能力バトルかと思ったら魔法少女、相手は怪獣 作:ハピ粉200%
第一話 新たなる魔法少女、立ち向かう
───この世界に怪獣が、そして『魔法少女』が現れてから一週間が過ぎた。
世間は当然ながら怪獣と謎の少女について大変紛糾。
テレビでは毎日特番が組まれ、被害者の追悼やら、少女の正体に迫るやら好き勝手に報道されている。
世界を見渡せば、当然アメリカとアラブ、そして日本を中心に盛大として混乱は広がっていた。
被害自体は各地の紛争等に比べれば小さいものの、人知の及ばない怪獣がいきなり都市部を破壊しまわる。
それは国家防衛の観点から見て最悪の相手である。
人であれば、言葉が通じれば、講和も交渉も視野に入る。
しかし言葉も思惑も分からない獣が都市を国家を崩壊させるほどの戦力を有するのは、悪夢だ。
国連では緊急の総会が開かれ、全世界的な『怪獣』の捜索態勢の構築、及び対『怪獣』用の国連軍整備について議論が交わされている。
だが争点は、本当に『怪獣』を倒せるのか、という点が問題となった。
実際アメリカに出現した『鳥形』怪獣はAIM-120の直撃を優に12発以上は受けているにも関わらず、無傷であった。
そして出てくるのは、唐突に現れた謎の少女である。
3体の『怪獣』を謎の方法で一方的に殲滅し、そのまま消えていった。
日本からアメリカ、アラブそして日本を含む東アジア方面へと消えた所までは捕捉されている。
そして彼女には、状況的にこの『怪獣』災害の重要参考人として全世界同時指名手配が敷かれていた。
『怪獣』との類似性は無いが、関連性と彼女の使用した謎の武装による危険性を考慮すれば、やむを得ない事態である。
しかし、もちろん彼女に助けられた人々を中心に、彼女を擁護する声も多い。
特にアメリカではスーパーヒーロー・ヒロインの本場ともあって、熱狂的な信者も多かった。
スーパーガール、バットウーマン、いやいやスパイダーガールだなど様々な呼び名が彼女に付けられている。
日本でも多くの呼び名が作られたが、ある一つの呼び名に収束していくことになる。
元々日本では、彼女のようにコスチュームを着て戦う少女について世界より造詣が深い。
彼女もその例に漏れず、方々から彼女はこう呼ばれるに至っていた。
───『魔法少女』と。
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三上ユウが七井土あかりへ告白した日から一週間後の放課後。
二人は授業を終えて帰ろうと帰り支度をしていた。
「それじゃ、一緒に帰ろうか」
「う、うん……」
三上ユウは何でもないように七井土あかりを誘い、それを照れながら受けるあかり。
クラスメートのやっかみを無視するように連れ立って学校を出た二人は、心なしかゆっくりと家路へ着く。
三上ユウ突然の告白のあと、二人は『お試し』の恋人として付き合うことになった。
元々ユウに懸想していたあかりではあるが、彼女は突然の事態に倒れてしまったのだ。
んで、このまま付き合うと心臓が持たないとして『お試し』を提案し今日に至る。
お試しの内容は何だって?
そりゃ一緒に帰ったり、散歩みたいなデートしたりだよ。中世の貴族かな?
幸いというべきか二人の家は近く、殆ど道は一緒であった。
てくてく歩きながら、あかりはユウの手をちらちら見ながら繋ぐべきか考えておろおろし、実行に移せず項垂れる。
三上ユウはそんな彼女の様子を見ながら、少し微笑んでから逆にぎゅっと手を繋ぐ。
一気に赤くなって飛び上がりながらも、あかりはその手を弱弱しく繋ぎ返した。
「世間はすっかり、『魔法少女』ばっかりだな」
「う、うん……三上君は、その、気になるの?」
「まあ、そりゃあね。
出来たら会ってみたい気はするよ。
この街も救ってくれた訳だしね」
「うん……そうだね」
ティラノ型怪獣に襲われたこの街は一時、大変に注目を浴びた。
『怪獣』の爪痕は深く、二人の帰り道にも所々倒壊したビル群はまだそのままになっている。
一時は各国の調査団もいたが、『怪獣』の痕跡が殆ど無いことが判明すると撤退していったのだった。
「それはそうと、今日どこかに寄ってかないか?」
「あ……ごめん! 三上君。
今日はその、家の用事で……」
あかりは顔を顰めながら、ユウから目を逸らして言う。
「そうか、じゃあ、また明日な」
「うん、また明日」
離した手を名残惜しそうにしつつ、小走りで家へ帰る七井土あかり。
三上ユウは、その後姿を消えるまで見つめていた。
───廃神社の境内にて。
「じゃあ、第二回魔法少女、活動方針決定会議を開催します」
「ポヨ―」
「……」
二人と一匹。
魔法少女イスタスと謎生物ポヨ、そして七井土あかりが境内に勝手に用意された天幕の下でパイプ椅子に座っていた。
彼らの前にはどこからか用意されたホワイトボードがある。
ちなみにイスタスの姿は既にお馴染みの黒いインナーの上に短めのマント、フレアスカートといった出で立ち。
それに用意された伊達メガネをすちゃっと装着し、なぜか白衣を上から纏っている。
手には指揮棒を持ち、ホワイトボードをビシッと指す姿は『魔法少女』が女教師や学者コスプレをしている、といった感じだった。
「あかりちゃん、何か言いたそうね?」
「私はなんでここにいるんでしょうか……」
当然のことながら、七井土あかりはイスタスからまたこの場に呼び出されて赴いていた。
断ろうと思ったが、断ったらどんな事されるのか恐ろしすぎて来ざるを得なかったのだ。
「状況確認と共有に決まってるでしょ。
『魔法少女』に成るにせよ成らないにせよ、あなたは既にその身体からは逃げられない。
あなたの存在はもう私たちのリスクになっているんだから、そこは自覚して」
「……」
あかりはぎゅっと左胸を掴む。
そこには『魔法少女』に変身する源である『涙虹石』が入っているのだ。
「ところで、男と帰っていたそうじゃない。
どう?彼氏君を守るために『魔法少女』に変身したりしない?」
「できません! それは全然別のことです!」
「あっそ……」
顔を真っ赤にして立ち上がるあかりに、イスタスは内心結構がっかりしながら返す。
ちなみに言うまでもないが、イスタス=三上ユウである。
さっきの言葉は9割イスタスの本心であり、作戦が上手くいってないことに落胆していた。
「じゃあ、始めるわ。
まず世界情勢について」
気を取り直して、イスタスはホワイトボードにWebからプリントアウトした写真を張る。
そこには『怪獣』と『イスタス』、それから国連議会が映っていた。
「国連総会は緊急事態宣言として『重大災害に対する対応方針』を採択したわ。
この中には対『怪獣』用の軍備開発、配備はもちろん国連軍を用いた各国での戦闘行為の容認が含まれる」
「はぁ……」
「あまりピンとこないと思うけど、これ結構すごいことよ。
国連軍という錦の旗があれば、世界中どこでもちょっとした手続きで戦闘部隊を送り込めるということ」
「それって、反対は無かったんですか?」
おずおずと手をあげながら質問するあかり。
イスタスは意見を出したあかりににやりと笑い、椅子に腰を下ろして足を組み替えた。
「もちろんあったわよ。
ロシア、中国を含む東側諸国やインドなんかは、反対票を投じている。
でも多数決だからね、採択自体は三分の二の賛成票を得て決定。
まあ、実際にそうなったらなったで、反対国に行くときは揉めるんでしょうね」
「はぁ……」
それって何か意味はあるのか? というハテナ顔であかりが首を傾げる。
「ま、国連ってそういうものだから。
結局は当事者同士で調整するしかない。
学校だってそうでしょ? 校長先生が買い食いしないようにって言って、全員守ってる?」
「……無理でしょうね」
「そういうことよ。
まあ、という訳で今後は国連軍と鉢合わせする可能性が上がります、っていぐらいね」
「……」
イスタスはそこまで言うと、ホワイトボードの写真を片付けて新たな写真を張る。
そこには、海外の『怪獣』関連ニュースサイトの写し、そして空き地を複数の箇所から撮影したものが映っていた。
空き地は一見なんでもない風景には見えるが、目を凝らすと画面中央が歪んでいるように見える。
「次に、私たち『魔法少女』の活動方針ね。
まず、私のタスクは残り4体の『怪獣』殲滅。
でもこれは……4体とも依然、行方不明」
「魔法で捜索とか、できないんですか?」
「残念だけど、私の持つ力は広域探索とかには向いてないの。
世界中探し回るよりは、来る可能性が高い空き地近辺で待ち構える方がまだ現実的。
だから、現状待ちの状態ね」
そこら辺の捜索魔法とか、ちゃっちゃと発現して貰えないかな、という気持ちでイスタスはあかりを流し見る。
しかしあかりはイスタスが見ているのを感じて俯いてしまった。
「次に、空き地の監視及び中から出てきた脅威の捜索。
ポヨちゃん?」
「分かったポヨ。
今のところ次元の穴は小康状態、開く気配はないポヨ」
ポヨ公が飛び上がりながら報告する。
あかりは未だに苦手意識が抜けないのか、びくっと身体を震わせて硬くした。
「出てきた奴は、どこにいるか分からないポヨ。
前は魔力の気配がしたけど、最近は全然分からないポヨね」
「どうにか探る手段はないの?」
「魔力がないことには、ポヨにはできないポヨ」
「相手が生物だとすると、潜伏するにしても何も食べないでいるとは思えないけどね……」
「……」
一週間大人しくしているとしても、そろそろ食事を求めて暴れだしてもおかしくはない。
警戒すべきであるが、さりとて打てる手は無かった。
「やっぱり警察の協力を貰うべきかしらね……。
でも空き地の状況を見られたり、素性を探られるのはリスクが高いわ。
何よりあかりちゃんの状況が『魔法』抜きに説明できないし」
「……」
病院に連れて行って、複製されて動いている心臓がどう診断されるか分かったものではない。
そのまま貴重なサンプルとして拘束される可能性も否めない。
「奴の好みとか、何か類推できない?」
「うーん……あかりの心臓が食べられているとしたら、魔力と親和性の高い肉が好みかもしれないポヨ」
「……」
左胸に手を置きながら、あかりは柳眉を下げた。
又しても襲われたら彼女はもう壊れてしまうかも知れない。
でも……。
「……あかり、こうなったのは不幸だと思うし、同情もする。
でも、私が付きっ切りで守る訳にもいかないわ。
また『怪獣』が出たらそっちに向かうしね」
「……」
厳しい物言いだが、あかりとてそのぐらいは覚悟していた。
イスタスは掛けていた眼鏡を外し、真剣な表情で言った。
「今、あなたはあなた自身、そして周囲の人間を守れるかも知れない力がある。
……ねぇ、何か大切なもの。守りたいものって、ある?」
「……あります」
あかりの脳内では、家族、家や生活、友達、そして三上ユウの姿が思い浮かぶ。
それらが理不尽に奪われてしまう……と考えると、どうにかなりそうになる。
でも……。
(怖い……立ち向かうなんて、できない)
それでもなお、恐怖が優る。
それはあかりの考える『大切なもの』よりも自分が上になっているようで自己嫌悪する。
その様子を見て取ったイスタスは、少し相好を崩してあかりの頭に手を置いた。
「別に戦えって訳じゃない。
でも、自分は『どうしたいか』をよく考えておいて。
そうしないと、後悔するわよ」
「私が……どうしたいか」
あかりとて、勇気を出したいと思うときはある。
でも、身体が震えて動いてくれないのだ。
想いだけで、心だけで動けるのは一握りの人間だけだ。
その一人は目の前にいる『イスタス』であろう。
イスタスの撫でる手にどこか安心感を感じながら、あかりはイスタスの顔を見つめ続けるのだった。
──────────────────────────
翌日の放課後。
「一緒に帰るか」
「う、うん」
七井土あかりと三上ユウは、昨日と同じく連れ立って家路に付いていた。
彼女は昨日のイスタスの言葉が引っかかるのか俯きがちだったが、素直にユウについてきた。
「そういえば、彼女最近見ないな。
ほら、三笠さん」
「え? あ……佳奈子、風邪だって」
帰り道で、ユウが切り出した。
三笠加奈子、あかりが何時も窓越しに話している隣のクラスの女子である。
毎日話していたが、3日前ごろから姿を見ずユウは不思議に思っていたのだ。
「ふぅん」
「コロナじゃないみたいだから、大丈夫って言ってたけど」
「そうか」
そこまで話して、あかりは昨日、佳奈子からの連絡を貰っていないことに気が付いた。
昨日はイスタスからの言葉で頭がいっぱいだったせいで気づかなかったが、いつも一言二言はあるのだ。
急に心配になったあかりは、ユウに向けて言った。
「あ……ごめん! 三上君。
今日は佳奈子の様子を見に行ってみる」
「おう、行ってこい」
ユウはあっさりと承諾し、繋いでいた手を放す。
あかりはスマホで家に向かうことを佳奈子に伝えるが、既読は付かなかった。
「じゃあ、また明日」
「ああ、また明日な」
あかりはユウと別れると、そのまま三笠佳奈子宅へ足を向けた。
彼女は、あかりとは所謂昔馴染みである。
小さいころから一緒の学校にいたが、不思議と一緒のクラスにはならなかった。
いじめが起こった際、隣のクラスで唯一話せる友人として心の支えとなっていた。
彼女と三上ユウが居なければあかりは潰れてしまっていただろうと、あかりは自覚している。
「あれ、居ないのかな……」
佳奈子宅のインターホンを押すあかり。
しかし何度押しても誰も何も反応がない。
確かに彼女の両親は共働きでいないことが多いが、さすがに風邪の時ぐらい居ないのだろうかと心配になる。
「あ、開いてる……」
何の気なしにドアに手を掛けてみると、ガチャリとドアは開いた。
流石に不審に思いながら、中へ入るあかり。
「おじゃま、しまーす……」
心なしかトーンを下げながら玄関で靴を脱ぎ、そろりそろりと歩く。
居間にあるテーブルには、冷めたカップにコーヒーがそのまま残っていた。
それを横目に、階段を上がり二階へ行く。
階段の途中で気づいたが、佳奈子の部屋はドアが開いていた。
「……佳奈子? どうしたの?居る?」
不安な心を抑えたままドアを引いて覗いた部屋の中。
そのベッドに彼女は寝ていた。
「大丈夫? 昨日から返事が無いから心配したよ?」
少し安心しながらベッドに寝る佳奈子に向かうあかり。
しかしいつまでも返事がない彼女に、少し不振を感じる。
「まだ寝てるの? 佳奈───え」
掛け布団を手にかけ、少し捲ろうとした際に気づく。
布団が異様に重い。
そして、彼女のベッドの柄はこんなまだら模様だっただろうか?
「……あ、か……り」
そして、壁側を向いていた佳奈子の顔があかりの方を向く。
彼女の口からは、大量の血が溢れていた。
「……ッ!?」
何が起こった分からずフリーズするあかり。
布団が捲れた彼女───佳奈子の胸には穴が開いていた。
あかりが見覚えのある開き方である。つまり、致命傷だった。
「に……げ、……て」
それだけ言うと、佳奈子はがくりと顔を落とす。
瞳孔は開き、開きっぱなしの口からは血を垂れ流し続けていた。
「い、いや、いや……」
パニックになる頭のまま後ずさり、叫び声をあげそうになるあかり。
しかし後ろから妙な寒気を持つ気配を感じ取り、飛び上がる用に立ち上がって跳ねる。
その脇をすり抜けるように、黒い何かが部屋に飛び込んで突き刺さった。
ギキキキィ……と金属同士が擦れ合うような唸り声。
壁に突き刺さったままこちらに目と思しき器官を向ける『それ』。
───あかりには『それ』に見覚えがあった。
「また、あなたなの……っ!」
一週間前にあかりの心臓を潰し、この世界に現れた災厄。
あかりにとっての恐怖の象徴。
大きさはチンパンジーほどだが、黒光りする外骨格を持ち左右一対の牙と昆虫を思わせる複眼。
虫のような哺乳類のような、異様な生物。
それがあかりの心臓を、そして今親友である佳奈子の心臓を穿った犯人であった。
思わず叫びだしそうになるあかり。
しかし、ここ一週間での恐怖と困惑の日々が、そしてイスタスの言葉が頭をよぎる。
『自分がどうしたいかを、よく考えておいて』……と。
あかりはゆっくりと立ち上がる。
そこには、もう怯えも震えもなかった。
決然とした瞳で、『それ』を見た。
「許さない……」
あかりの左胸から光が漏れる。
あれだけ望んでも現れなかった『涙虹石』が、あかりの怒りと悲しみにより『死にたくない』という根源的恐怖を乗り越え、現れていた。
虹色の光を放つ『涙虹石』をぎちぎちと音が出るかと錯覚するぐらいに強く握りしめながら、あかりは叫ぶ。
「私は……絶対に許さないっ!
───変身!」
あかりの掲げた『涙虹石』から虹色の光が放たれる。
光の中であかりの制服は虹色に分解され、光の粒となって消える。
『涙虹石』から放たれる七色の魔力により辺りは目が明けていられない程の眩しさとなった。
その中で両手を横に広げたあかりへ七色の光が巻き付き、黒いレオタードのようなインナーとなる。
両手両足にはレース地、黒字に金のラインが入った手袋と膝までのソックスが伸びる。
腰の後ろに大きな黄色いリボンが巻き付き、そこから伸びた光がシンプルな黒地のミニスカートとなった。
上半身には白と黒のジャケットが形成され、金の刺繍とラインが入る。
少し開いた胸元には『涙虹石』が取りつき、ペンダント状へ変化した。
今まであかりが流していた涙は虹色の光と消え、長い黒髪は金色と染まる。
柳眉を逆立てたあかりが光と共にオート名乗りを上げる。
「命と悲しみを力に変えて、今、私は生まれ変わる」
黒い下地に金のラインが入るコスチュームの少女、七井土あかり。
彼女は仁王立ちしたまま、右手で『それ』を指さす。
「───魔法少女、イーリス・ブラック」
イーリス・ブラックから放たれる強力な魔力により、『それ』は牙を抜き思わず後ずさった。
魔力親和性の高い肉を好む『それ』は、目の前の相手が極上の肉であると共に強烈な畏怖を放つ存在であった。
通常、魔力とは基本的に生物と親和性が低いものである。
しかし目の前の少女は圧倒的な魔力を纏いながら、まだ生物として存在している。
「人々を苦しめる怪獣は、私の命を全て使って───倒し尽くして見せる!」
ブラックが右手を横に振り、見得を切ると共に彼女の胸元にある『涙虹石』が光る。
<<イーリス・リアクター戦闘出力。タイムアウトまで294秒>>
『涙虹石』に搭載されたサポートAIから残り変身時間についての注意が放たれる。
しかし、今のあかりにはそんなことはもうどうでもいい。
ただ、憎き『それ』を倒すためだけに。
命を全て捨てる覚悟をついに得た彼女───魔法少女、イーリス・ブラックが立っていた。
───ここに、新たな魔法少女が誕生したのだった。