能力バトルかと思ったら魔法少女、相手は怪獣 作:ハピ粉200%
四国温泉宿に一泊した朝。
一行は朝食として持ち込んだ菓子パンをもぐもぐ食べた後、宿前の駐車場に全員集まっていた。
朝から何やら約束を交わして勝手にモチベーションを上げた二人。
七井戸あかりことイーリス・ブラックと、後輩魔女っ娘である雪下琴音は、心なしか距離近くなってイスタスの前に現れた。
いや、並んで立つ二人は、明らかにいつもより距離が近い。
強固なATフィールドを纏い、一定のパーソナルスペースを作っていたあかりの内側に琴音は立っている。
二人の距離の近さに気づいたイスタスは少し首を傾げたが、それだけ距離が縮まったのかと喜んだ。
「二人とも一晩でずいぶん仲良くなったみたいだけど……何したの?」
「そりゃー、女の子同士にしかできない話をイロイロと……。
スタ先輩には内緒っス」
「うん、そうね」
「……」
ねー、と顔を見合わせる二人に、イスタスは訝しむ顔を向ける。
あれ、こいつら何か秘密の共有してるな? とイスタスは気づいたが捨て置く事にした。
ここで追及したところで話しはしないだろうし、せっかく仲良くなったのなら突っ込むのは無粋だ。
ちなみにお前のことやぞ三上ユウ。
「まあいいわ。じゃあ、早速町の方に行きましょうか。
昨日、鍵付きのEV車見つけたからこれに乗って町に行くわよ」
「あ、車っスか。免許いいんスか?」
「バレなきゃ犯罪じゃないんですよ。
運転も昨日の夜少しだけ練習したわ。オートマ車なら楽ね」
イスタスは昨日こっそり見つけた鍵付きEV車を運転練習していたのだ。
これでも昔アジア方面を移動した時に廃棄車を利用していたこともある。
標識はまだ怪しいが、オートマ車であればそれ程難易度は高くない。
少し擦ったりはしたが、車線を外れないレベルで走らせることはできるようになっていた。
それ程スピードさえ出さなければ、事故ったとしても怪我は負わないであろう。
「歩きで行きたいなら、それでもいいけど……町まで3kmぐらいの山道歩きたい?」
「乗りまーす」
「乗るポヨ」
緊急避難用に鍵付きの車を残しておいたくれた方に感謝しつつ、三人と一匹は車に乗り込む。
イスタスが運転席、助手席に琴音、後部座席にあかりとポヨ公。
車の充電は宿の横にあるスタンドで満充電。
ちなみに普通のガソリン車もあったが、結界を張って隠れる関係上音の出ないEV車にしたのだ。
EV車のスタートはガソリン車と比べて静かな起動である。
パーキングブレーキを外し、アクセルを踏むとするすると車は音も無く走り始める。
「……あ、なんかいいっスね」
「何が?」
駐車場を出るためにバックしようと助手席のシートに左手を掛けたイスタスに、なぜか琴音は興奮。
ドキドキしながらイスタスを見やる。
(……琴音って俺が男だと思ってんな)
昨日は有耶無耶にして時間を稼いだが、男なのは疑って無さそうなのを感じて憂鬱になるイスタスであった。
ちなみに言い訳はまだ決まっていない。
その時の自分に任せて棚上げしている。
「ちなみに魔法でパパッと飛んだりできないの?」
「あたしが使う魔法は自分の魔力だけでできなくて、世界に満ちる魔力を少し借りて動かしてるっス。
魔力を100%使えたらできるかも知れないっスけど……。
それは仙人っスよ。そんな事おばあちゃんでも出来ないっス」
「あら、そう」
まあ空の上は逃げ場がないし、現地調査には車のほうがいいだろう。
今度琴音の言う魔法とポヨ公の言う魔法の違いを確認するか、と割と気楽に考えながら車をのろのろと運転するのであった。
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───市街地にて。
EV車を走らせること、30分ぐらいで市街地の中でEV車は入っていた。
速度を30km/hぐらいに抑え、ゆっくりと街中を探索する。
ここでもし例の残っている人がいれば、事情を聴くか……と思っていたのだが───
「……なんか、普通に生活してるっスね」
「ええ。意外……というか、何してるのよこの人ら」
探そうと思ってた人たちは、割と普通に町で生活していた。
総数こそ少ないが市街のビルにはサラリーマンが歩き、商店街では店が営業し、学生が学校へ向けて歩いている。
対向車が少ないのが幸いだが、もっと車道が込み合っていれば事故になりそうなぐらいであった。
「避難命令が出てるのに……」
「あれっスかね。ここは自分達の街だから絶対離れねぇ!って感じっスかね?」
「でも、そんな悲壮感無いのよね……」
そりゃ色んな事情で離れない人間だって居るだろうが、ここにいる人達はあまりにも普通過ぎた。
『怪獣』だとか四国が封鎖されてるとか、まるで関係ないとばかりに普通の生活を送っている。
ここでは普通であることが、普通ではなかった。
イスタスは暫く慎重に車を走らせた後、見えてきたコンビニ脇にある駐車場に頭から車を停めた。
人通りが少ないことを確認した後、後部座席のあかりへ振り向いて言う。
「……あかりちゃん、ちょっとそこのコンビニで話聞いて来てくれない?」
「え、私で、すか?」
「私は運転、琴音は結界を張ってるから、あかりちゃんしかいないわ」
「お願いっス、ナナ先輩」
「……そ、そうね」
いきなりお鉢が回ってきて身体を強張らせるあかり。
よりによって一番コミュ力が低いあかりに回ってくるかという所だが、流石に運転と結界は代われない。
イスタス、琴音、ポヨの順に顔を見て本気である事を悟り、観念したように承諾した。
おそるおそる車のドアを開けて外に出るあかりに、イスタスが声をかける。
「声が聞こえるように、スマホを琴音に掛けた状態でスピーカーモードで持っていて。
危ないと思ったらすぐこっちに逃げること。いいわね?」
「わ、分かりました」
「がんばっス。
車から出て大体3歩ぐらいで結界が切れるっス」
あかりはスマホを琴音で掛け、スピーカーモードにして胸ポケットにしまう。
あ、あ、と小さく声を掛けると琴音がぐっと親指を立てるのを見て、コンビニへ向かった。
ちなみにあかりの足と手が両方同時に出ている。
「……だいぶ緊張してるな」
「大丈夫っスよ。あたしたち見てますから。
こっちの声ミュートしますけど、危なくなったら声かけるっス」
はじめてのお使いレベルの緊張感と見守り度であった。
ハラハラしながら二人と一匹はあかりの行先を眺め、カチコチのあかりがコンビニへと入る。
あかりはガーっと開いた自動ドアを通り、正面のレジ裏のキッチンにいる店員を見た。
黙々とチキンを揚げる男性店員に向けて、おそるおそる近づいたあかりは
「あ、あの~~……」
恐々声をかけるあかりにしかし、店員は振り向かずに黙々とチキンを揚げている。
もじもじしながら何度か声をかけると、後ろから客が商品を持ってレジにやってくる。
気配無く近づいた客があかりがぶつかりそうになり、あかりは身を固める。
しかし、すっと客はあかりをすり抜けてレジに商品を置いた。
「……あ、あれ?」
身構えたあかりは、拍子抜けして変な声を上げた。
彼女は来ると思っていた衝撃は来ない。
「……え」
あれだけ呼んでも来なかった店員は、客に反応してレジを打つ。
あかりは混乱して思わず客の肩を掴もうとして───それもすり抜けた。
「……え、この人たち……触れない? もしかして、映像?」
『! ……あかり、すぐ戻って!』
あかりがそう呟いた瞬間、状況を理解したイスタスからの声が飛ぶ。
イスタスの声と同時に動き出したEV車が正面に止まり、ドアが開いて二人があかりを呼ぶ。
そしてその行動により車に掛かった認識阻害の結界がほつれ───ぐるん、店内に居た人間の顔が車に向く。
「ひっ!?」
その線上にいるあかりは思わず悲鳴を上げた。彼女は視線には敏感なのだ。
「琴音、引っ張って来て!」
「了解!」
助手席から飛び出した琴音があかりを掴むと、問答無用でポヨが開けた後部座席へ一緒にもつれ込む。
イスタスはアクセルをベタ踏みし車を発進させた。
相対速度差から見て結界はもう解けて、見られているだろう。
なので、一刻も早くここから離れるために速度を上げた。
「ス、スタ先輩、右!?」
「大丈夫だ!」
そして交差点で横合いから急に現れた衝突コースの車に琴音とあかりは悲鳴を上げる。
しかしイスタスは意に介さずにそのまま直進させる。
ふたりのあー! という悲鳴と共に横合いから来た車はイスタス達の車を───すり抜けていった。
「……え、これって……全部幻って事っスか?」
「そうみたいね。
何のつもりか知らないけど、結構悪趣味じゃない」
こんなことができるのは、恐らく『怪獣』しかいないであろう。
どこからどこまで幻なのか分からない。
『怪獣』自身が隠れているとしたら、途轍もない擬態能力である。
「ちなみに、琴音ちゃんはこういう幻を見せたりできる?」
「だから無理無理っス!
街一つ幻見せるとか、ドンだけ魔力喰うし、精神力いるのかって話っスよ!
たとえ先輩たちの『涙虹石』があっても無理っスよ!」
大規模な幻を見せるにしても、今琴音が見ている幻の街のクオリティは群を抜いている。
街行く人たちの動きに破綻は無く、普段通りと思える行動をそれぞれ取っていた。
そんな演算、人間の頭では到底不可能である。
「じゃあ、これは魔法じゃない?」
「魔力は感じないっス!
物理的なもんじゃないっスか!?」
カーブを曲がるGに耐えながら、イスタスと琴音が叫ぶように言い合う。
魔法じゃなく、物理的な現象。そんなの更にあり得るだろうか?
「……とりあえず、あの『怪獣』の仕業でしょうね」
イスタスは謎の解明は半ば諦めた。
3次元上に映像を映すこと自体は出来なくもない。
テレビと同じで映像を走査線に分割し、60Hzとか人が残像を認識できる速度で振り回せばいい。
奥行も含めて映像分割したり3次元に振り回す仕掛けがあれば、ハードルは高いが不可能じゃない。
でも現在の技術でやろうとすれば、映すにはそれなりに大掛かりな装置が必要だ。
そしてそもそも、3次元上に破綻無く表示できる街一つ分の映像───そんなものどうやって撮った。
仮に撮れたとして、それを映像出力できるような画像処理をするなんて人類の持っている最高峰のコンピュータでも処理しきれないだろう。
そして最後には、自分たちの車に反応して人の首を振り向かせる芸当まで見せていた。
ただ単なる録画ではなく、リアルタイム処理で動かしている?近未来にあるVRMMOかも知れない。
「とりあえず、郊外まで出るわ。
もう『怪獣』には見つかったと考えた方がいいわね……」
バックミラーでイスタスが後部座席を見ると、ぎゅっと手を握り合って肩を寄せるあかりと琴音が見えた。
街の幻を見て、不安になっているのだろう。
あかりはともかく、琴音はこういう鉄火場に連れ出したのは初めてなのに良くやっている。
「ポヨちゃん、そろそろ……『いい』わね」
「分かったポヨ。
イスタスがいいなら、異存はないポヨ」
イスタスは街から出て郊外の路肩に車を停める。
念のためガードレールやら樹木やらを触って実態があることを確かめてから、木に背中を預けて息をつく。
一行は5分休憩を取った後、イスタスの周りに集合した。
イスタスはどこからか出したミニホワイトボードを地面に置き、皆へ説明を始める。
「時間が無いから手短に言うけど……基本は当初の予定通り。
二人はこれからあの丘に登って街に向けて射撃体勢を取って。
それから私の合図を待って、琴音が『ルクス』に向けてあかりを誘導して、あかりが射撃。
攻撃されたり、無理だと思ったら直ぐに逃げなさい」
イスタスは街が見下ろせる高台の上に〇を書いて、「あ」、「こ」、を書き込む。
二人はそれを見てお互いに顔を見合わせてから、おそるおそる手をあげた。
「ス、スタ先輩はどうするんスか?」
「私はこれから街に戻って、『怪獣』と会話してみる。
あいつ多分、街の中心に居る筈よ」
「……大丈夫、ですか?」
不安そうにイスタスを見やるあかりと琴音に、イスタスはぐっと笑顔で親指を立てた。
「私は、何があろうと大丈夫。
あかりの弾が当たろうと、街が吹き飛んでも死なないわ」
「……あそこに、もしも幻じゃない人がいたら、どうするんです?」
曇り顔のあかりがイスタスに尋ねる。
彼女としてはあそこに本当の人が居る可能性を考えているのだろう。
特にあかりの場合、変身するには自分が『死んでもよい』と考えるだけの理由付けまでいる。
イスタスとしては琴音を傍に付けることで守らせる必要があると思わせ、変身の動機としたかった。
しかし、そこは少し状況が変わってきたこともあり、少し詳しく説明する方針へと変えたのだった。
「出方次第かな。
これはまだ予想だけど……多分、あの街にもう生きてる人は居ないと思う」
「!? ……それは、どうして……」
イスタスは腕を組みながら、あかりに向けて指を二本立てる。
「考えられる奴の目的は二つ。
一つ目は単純に私たちを油断させておびき寄せ、正体を暴くこと。
変身してる私はともかく、あかりと琴音は顔を見られた可能性が高い。
これは私が迂闊だったわ……御免なさい」
イスタスの謝罪に二人が身体を固くする。
年頃の少女として、『怪獣』に顔を覚えられたなんてのは恐怖でしかないだろう。
「二つ目。
街一つ立体映像で再現なんて、大分無駄なことをしてる。
隠れるだけだったら、山の中でいいじゃない。
……なんでだと思う?」
眉を寄せたあかりが下を向いて悩み込む。
その横で琴音ははいはーい、と腕を上げた。
「やっぱり、人質じゃないっスか?
自衛隊の事を調べたんなら、民間人が普通に生活している街をバカスカ攻撃なんて、できっこないっス」
「それは、そう。
でも、思い出して欲しいのは、あの『怪獣』、私を恐れて国に保護を依頼する動画まで作ってる癖に、まだここに居るっぽいのよね。
あんな途轍もない擬態能力があるんなら、とっくに四国から逃げ出してもおかしくない」
2人に考えさせるように言うイスタス。
しかし、あかりも琴音も顔を見合わせて首を傾げるしかなかった。
「ほら街の方、見て御覧なさい。まだ幻が掛かったままになってる。
さっき『怪獣』は私が居ることを知ったし、私が幻と見破った事も知った。
にも関わらず、まだ少なくない労力を使って街を維持している。
つまり、私を誘っている、と考えられる」
街からは追っても来る気配はなく、ただ日常を過ごすように時間が流れていた。
遠目にも人や車が行きかう様子が見れる。
「うーん、分からんっス」
降参とばかりに手を上げる二人。
イスタスはホワイトボードに街を書き込んで大きく丸を書いて言った。
「私はあの街って、『怪獣』が作った『セット』なんじゃないかって……思うのよね」
「『セット』? って、大道具とかその……特撮とかの?」
「そう。あの街は怪獣と私が暴れるために作られた舞台装置。
多分……私と決着付ける気なんじゃないかな」
二人は目を丸くする。
イスタスの実力自体は知っていたので、どうすれば戦う気になるのか想像できなかったのだ。
「私が『怪獣』ならあの街で戦ったとしたら、すかさず生放送で動画配信する。
前の『怪獣動画』の時もそうだったけど、こっちの弱点……イメージ悪化を狙ってるし」
「え……じゃあ、あの街で先輩が戦ったら?」
「派手に街や人をぶっ飛ばして……いや、
私は本体を見つけられないから、『特異点』ぶっぱするぐらいしかないのも、バレてそうだし」
今まで極力人工物は壊さないように立ち回ってきたが、今回はそれも難しい。
大々的に私が人や街をぶち壊す存在だと配信されてしまえば、人々や国の態度も大きく変わらざるを得ないだろう。
「奴の擬態能力を考えれば、2,3発『特異点』ぶっぱした街破壊映像を配信した後こっそり逃げるでしょう。
その後で『私は被害者です!』って訴えられたら、流石にこっちは分が悪いわ。
あの街だって後から辻褄合わせできるように、今被ってる映像が剥がれたら結構廃墟なんじゃないかと思うのよ」
「あ、だから……生きてる人間に配信で余計な事を喋られたりしたら邪魔だから、居ない?」
「そういう事」
あかりは得心がいったと、頷いた。
「人々を守る存在であれば、大衆は歓迎するわ。
でも『怪獣』ごと人や街を吹き飛ばす存在を、歓迎はしない。
それはもう、人型の『怪獣』でしかないからね。
特撮的に言うと、私を『
そうなった場合、イスタス達『魔法少女』への人類からの風当たりは悪くなる。
一生こそこそ隠れるしかないし、人類の科学力を信じるイスタスとしては今後隠れきれる自信もない。
「じゃあ、もういっそ一旦帰った方が……」
「それはそれで、ねつ造イメージ悪化動画は作れるわ。
二人の顔っていう情報も持ち帰られるしね」
声を無くす二人に、しかしイスタスは安心させるように微笑みかけた。
「以上を踏まえた上で───。
私たちはここで『怪獣』を仕留めるしかない。
勝利の鍵は、まだ奴に情報を見せていないあかり、そして琴音、あなた達二人に掛かっている。
……ポヨちゃん?」
「わかったポヨ」
ポヨ公は真面目な顔で、左耳に付けていた月のようなイヤリング───三つ目の『涙虹石』を琴音に手渡した。
「これ……」
「使うタイミングは琴音に任せる。
あなたの役割は当初の予定通り、あかりの狙撃観測手。
でも危ないと思ったら迷わず、使いなさい。
……頼んだわよ」
「先輩……了解っス!」
感極まった様子で、琴音は『涙虹石』を握り締めてイスタスへ敬礼などした。
「次にあかり。『怪獣』を仕留められなくてもいい。
手傷を負わせることができれば、それで居場所さえ分かれば私が仕留める。
だから焦らず、琴音の誘導に従って『奴』を撃って」
「分かり、ました」
あかりはぎゅっと自分の左胸を抑えながら、唇を噛み締める。
ここが正念場であると、言わずとも彼女は分かっていた。
「あ、でもスタ先輩。
先輩が囮になって攻撃しなかったとしても……。
あいつの動画編集能力が高いなら、生放送中に動画編集されて民間人に攻撃したー、とか。
横から人が出てきて潰されたーとか……やられ放題になりません?」
琴音がいいところを突いてきた。
それはそうなのだ。
相手は街一つシミュレートできる規格外の処理能力を持っている。
哀れイスタスの犠牲となるNPCを作って幾らでも捏造し放題、という可能性も高い。
だから……こちらも対抗する必要がある。
視点は、一つだけではダメなのだ。
「そう。だから動画には動画を。生配信には生配信で対抗するしかない。
何のために『魔法特捜部(仮)』チャンネルを開設したと思ってるのよ。
ちゃんと『器材』は持って来てるわ」
そういう後ろで、ポヨ公が車からガサゴソと何かの機材を引っ張り出してくる。
それは
「『魔法特捜部(仮)』チャンネルのライブ配信第一弾、『怪獣』さんとのオフコラボ配信、始めましょうか!」
魔法少女達が立ち上げたチャンネル最初のライブ配信。
それは、ゲリラにして『怪獣』オフコラボと言う前代未聞の始まりとなる。
唖然とする二人の前で、イスタスは親指を立てて笑うのだった。