能力バトルかと思ったら魔法少女、相手は怪獣   作:ハピ粉200%

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明けましておめでとうございます。
これからの3章も、よろしくお願いします。


第三章 龍の王国編
第一話 親父の来日(受難編)


 みんみんみ、みーんみーんみ、みんみんみ。

 

 セミ兄貴迫真の575をバックに、居間のソファでアイスなんぞをパクつく男が一人。

 三上ユウ。

 高校2年生にして魔法少女イスタスにして、『強化』能力者である。

 

 今は、妖精であるポヨ公と共にこの世界に落ちてきた7体の怪獣災害真っ盛り。

 怪獣は、今まで4体屠ってきた。

 一体目は、ご近所に現れたレーザーを撃つティラノみたいなやつ。

 二体目は、ニューヨークを襲った、衝撃波を放つ鳥みたいなやつ。

 三体目は、ドバイに現れた無限増殖する木みたいなやつ。

 そして四体目は、四国に現れた知的生命を喰って映像擬態するカメレオンみたいなやつ。

 

 どいつもこいつも、100m越えの巨体とパワーを持ってるから始末に負えない。

 ミサイル攻撃でも、絶対零度に凍結させても傷つかず、再生能力すら持っている。

 ユウの感触的には、戦略核ぐらいを使ってもこいつら死なない。

 

 だが幸いと言うべきか、ユウの火力の前に全て屠ることは可能だった。

 その為人としての生活を送るための身バレ対策として、ポヨ公により『魔法少女』となっていたのだ。

 

「夏休み……例年なら、海外に行くところだけど」

 

 時期は夏。

 四国での激動の怪獣対処のあと、学校は夏休みへと突入。

 学業に励む学生たち悲願の、だらだらした生活を手に入れることができたのだ。

 

「どうすっかな……」

 

 ユウの目下の目標は怪獣殲滅。

 近くの空き地にある『次元の穴』とやらに目掛けてやってくる可能性が高いらしい。

 それを考えると、今は動かない……が結論であった。

 

 直ぐに残り3体を探し当てて殲滅した方がいいって?

 それはユウもそう思う。

 でも、今はできない事情があった。

 

「琴音の力が戻るまでは……休みにするか」

 

 前回、四国で無事三人目の魔法少女となった後輩、雪下琴音ことイーリス・ブルー。

 彼女は元々ドルイドの血を引く魔法使いとやらで、人やモノを占いみたいに探す魔法を持っている。

 

 残りの怪獣の居場所も探し出してもらおうとしたのだが……。

 彼女は四国から帰ってきた後、ポンコツ化・・・・・してしまった。

 

 今、彼女は占いをしてもペンデュラム(ちなみに四国でブラックが吹っ飛ばして罅入った)は全然動かない。

 原因はどうやら『魔力マナ枯渇』……らしい。

 

 あの樹木をばかばか生やす木遁忍術みたいな魔法と、鼠の使役はまだましなのだが。

 最後に放った絶対零度の凍結魔法の魔力食いが凄まじかった様だ。

 あれ、どうやら四国や日本に留まらず、もっともっと広範囲から『魔力マナ』を集めていたようで。

 あれから1週間は経ったのに、全くここらの『魔力マナ』が回復しない。

 

 『魔力マナ』は大気に依存する、つまり夏型の気圧配置の現在は南からの『魔力マナ』を使ったのだと考えられる。

 秋になって北からの冷たい風が吹いてくれば、そこに宿る『魔力マナ』も回復するだろうと、本人は言っていた。

 

 気圧に体調が左右される女子みたいだ。いや、女子か。

 普段の生活すら魔法を使っていた琴音は殊更ショックだったのか、急にダウナーな性格になって臥せっている。

 

「ユウー、テレビつけて欲しいポヨ」

「自分で付けろ」

「遠いポヨー」

「しょうがねぇなあ」

 

 居間で寝っ転がってポテチの袋に耳を突っ込んで器用に引き寄せながら、ぽちぽちスマホを弄るポヨ公。

 こいつの我儘に付き合ってテレビを付けると、ニュース番組が映っていた。

 ちょうど怪獣問題についてである。

 

<<……本日は怪獣共生派として知られる、城南大学の生態物理大学教授の───>>

 

「……怪獣共生派ねぇ」

 

 んで、怪獣と魔法少女を巡る世間の動きは、ここに来て大きく動き出している。

 何と言っても四国で対決した『魔法少女』と『怪獣』により、彼らの生態が一部明らかとなったのも大きい。

 

 勿論大多数の人間は『魔法少女』を支持し、世間の歓迎ムードを作ることはできている。

 しかし、一部『怪獣共生派』と呼ばれる者達が現れて持論を展開した。

 

「彼らは一体何を言ってるポヨ?」

「食料の用意だったら、できるって主張だよ」

 

 曰く、怪獣とは共存可能だと。

 彼らは、『ルクス』の食糧供給は可能だと数字で示した。

 

 まずどのくらい食べるかだが、ライオンを基準にして考える。

 ライオンのオスが体長2m、体重200kgと仮定。

 で、ライオンの一日に必要な食事量は5kgほど。

 

 比較して『ルクス』の体長100mなので、ライオンの50倍の全長を持つ。

 一般的に生物の全長を2倍にすると体積(重量)は8倍。

 すると『ルクス』の推定体積は50の3乗倍で125,000倍。

 食べる分も125,000倍になるとして、5kg×125,000で625,000kg。

 つまり、625tとなる。

 

 成人男性が60kgだとして、625t分の人間とは……約10,417人。

 1日分で約1万人である。

 『ルクス』が7日ぐらいこちらの世界に居て、3万人喰った事を考えると誤差はあるが、凡そあってそうだ。

 

 以上から『ルクス』を1年飼うとして、約380万人も用意しなければならない。

 多いと思うだろ?

 

 でも全世界の死亡人口を見てみると、実は1年で5600万人程死んでいる。

 380万人の死体って用意できそうに思えないか?

 

 勿論これは倫理やら輸送問題やら、死んだ人間を喰うのかとかを全く無視した机上の空論ではある。

 大多数の人間は反対するだろう。

 

 でも人間以外の……例えば家畜の肉でも良いとなれば、かなりハードルが下がる。

 2019年の世界の牛肉生産量は、約7261万tだと言う。

 これならコスト問題を何とかすれば、『怪獣』の持つ技術なり目当てに飼う選択肢も視野に入ってくる。

 

「……って言う主張だよ」

「ふーん……まあ、別にそれはいいポヨ。

 でも、この街中に爆弾とか仕掛けている奴らは何ポヨ?意味わからんポヨ」

「『怪獣共生派』の中でも、先鋭化した奴ら……カルトだよ」

 

 やはりと言うかなんと言うか、『怪獣共生派』の中でも一部過激派が現れた。

 「すべての人類は怪獣と一つになるべし」というアレだ。

 終末思想的なカルトである。

 ラグナロクというか人類補完計画的な事を本気で主張している。

 

 なまじ『ルクス』に喰われることで情報化した高次の存在になれるとか言うのが、彼らの琴線に触れたらしい。

 『怪獣』を救世主やら弥勒菩薩やら、使途として崇め自ら喰われようとする。

 真面目にゼーレみたいな組織でもあんのかと言わんばかりに、全世界中にじわじわ勢力が拡大している。

 

「共生派はまだ、理解できなくもない。

 でもカルト連中はどうしようもないな」

「どうしてこんな考えが出るポヨ?」

「人間だからだよ。

 末期がんで早晩死ぬ運命にあったり、借金で首が回らなくなったり。

 世の中に絶望したら、死ぬよりワンチャン賭けてみたいってのも出るだろうよ」

「そうポヨか」

 

 それにしては不自然なほど広がっているようにユウは感じたが、流石のユウもそこまでは調査できない。

 できるとしたら『魔法少女チャンネル』を使って呼びかけるぐらいだろう。

 それでカルトに走るのはもう知らん。

 ユウとて別に全人類救いたい、みたいな大逸れた考えはない。

 

 呼びかけることで、義理は果たした認識である。

 後は警察なり国が頑張って治安維持してくれるのを期待するしかない。

 

「そういえば、ポストに手紙入ってたポヨ」

「マジかよもっと先に言えよ」

 

 ポヨ公と雑談しながらアイスを食べきってだらりとソファーに座っていたユウ。

 億劫そうに立ち上がり、ポストに手を突っ込んで手紙を漁る。

 

 それは、海外郵便の手紙であった。

 消印は……オーストラリアである。

 その場で封を切ったユウは中の手紙を読む。

 

「……帰ってくるのか、親父」

 

 彼の想像通り───それは、ユウの父親からの手紙であった。

 

 

──────────────────────────

 

 

 さて、これまでまーったく、これっぽっちも描写してこなかった三上ユウの家族であるが。

 実は彼は今まで、ほぼ一人暮らしをしていた。

 

 家族は父一人。母は小さいときに他界しており、顔も覚えていない。

 親父は単身海外で生活することが多く、年に1度ぐらいのペースで日本に戻ってくる。

 

「……たく、女物の服とか下着とか用意しとけって……また女作ったのか?」

 

 ユウが親父からの手紙を見ながら、愚痴る。

 

 親父には一つ……いや、一つどころじゃないが、悪癖があった。

 海外で羽目を外しまくって、よく愛人を作っているのだ。

 親父の職業は考古学者……なのだが、どちらかと言うと探検家と言った方がいい。

 まんまイン〇ィー・ジョーンズに憧れたとかで、世界の遺跡やら伝承を探っている大学教授である。

 

 妙にモテるのか何なのか、日本に帰る度に違う女性と連れ立って帰ってくる。

 この分ではどこに何人の兄弟姉妹が居るか、分かったものではない。

 

「ユウの父親ポヨか」

「ああ……一応念のために、隠れといてくれるか。

 そうだな、2階にでも行っておいてくれ」

 

 万が一、ポヨなんか見られたらどこぞの研究機関行きの可能性もある。

 がさごそとゴミを片付けて部屋の掃除をするユウ。

 ゴミ袋でも取ってくるかと台所に向かいかけたところで、チャイムが鳴った。

 

「え……早いな」

 

 もう帰ってきたのだろうか、とポヨ公をしっしと追い出しながら玄関に向かう。

 はいはーい、と声を掛けながらがちゃん、こん、とドアを開けた先には……親父と見知らぬ人物が立っていた。

 

「……お、おかえり」

「おう、ただいま。上がるぜ?」

「あ、ああ……」

 

 どかどかと靴を脱いで上がる親父。

 親父はテンガロン・ハットに革ジャケット、ジーパンという如何にも冒険野郎な恰好をしている。

 日本人顔であるが、着慣れているのかもうトレードマークとして定着しており違和感はない。

 そして親父の後ろに隠れて、クソ熱いのに茶色のローブ? サリー? のような布で顔を隠した女性が続く。

 ムスリムの人だろうか? と一瞬考えたが、どうもそれっぽい雰囲気がなかった。

 

「おう、紹介する。

 パースで拾ってな……自己紹介してくれ」

「犬猫じゃないんだから」

 

 ぽんぽんと気安く謎の人物の肩を叩く親父。

 謎の人物は、妙に腰を横に振りながらふらふらとユウの前に出た。

 

 ばさり、と被っていたフードを取る謎の人物。

 

 身長はユウより低く、140cmほど。

 特徴的に長く、そして緑色の髪。

 顔立ちは均整が取れ、目鼻立ちのくっきりした美人顔とかわいい顔の中間といった具合。

 

 男性か女性か……一見して分からない。

 服装はなぜか、どこかのユ〇クロで買ったかのような野暮ったいTシャツとジーンズ。

 胸のふくらみは皆無。すとーん、としている。

 

「初めまして……ミ=アー・ス・ラ・レーグヌムと申します」

 

 長い名前だった。

 しかしミドルネームはどこも聞き覚えがない。

 普通は洗礼名とか聖人名とか、地名とか、あるいはフォンとか貴族位が入ったりするものだが。

 

「あ、初めまして。三上ユウです」

 

 挨拶を返し、右手を差し出して握手を求めるユウ。

 彼?彼女?は不思議そうに手を見た後、何かに気付いたようにおもむろに振り返る。

 そして、なぜかふりふりお尻を振りながらぺとっと右手にあてた。

 

「おいおい……ちょっと」

 

 強制逆セクハラか? と、思わず反射的に手を引いたユウ。

 ミ=アー某……は首だけで振り返って、それを不思議そうに眺めた。

 

「あー……こうですね」

「え、はい」

 

 そして、改めて右手を差し出したミ=アーと握手する。

 ……妙にざらざらしている。

 何かの仕事で肌荒れしてるのだろうか。

 ぶんぶんと上下に手を振りながら、謎の感触に首を傾げるユウ。

 

「ええと……ミ・アー、さん、じゃなくて、ミアさんと呼んでも?」

「それで結構です。

 私もユ=ウと呼んでも?」

「好きに呼んでください」

 

 謎のイントネーションで名前を呼ばれるが、ユウは特に気にしなかった。

 ミアはにっこりと……いや、どちらかと言うと口の端を吊り上げるような笑い方?で家に上がった。

 

「とりあえず、こちらにどうぞ」

「ありがとうございます」

 

 二人を居間に上げ、取り合えず冷蔵庫から麦茶を注いで二人に出す。

 親父はグイっとそのまま一気に飲み干したが、ミアはちょろちょろと舌で舐めるように飲んだ。

 

「久しぶりだなユウ。

 最近どうだ?飯食ってるか?学校はどうだ?」

「飯も食ってるし、学校の成績も上位だよ。

 最近はちょっと忙しいけど、特に前から落ちてないよ」

 

 嘘だ。ちょっとだけ成績落ちた。

 今まで勉強に充てていた時間を、魔法の勉強に変更しているからだ。

 ポヨ公に強制的に教本を書かせて使っているが、残念ながらまだ成果は出ていない。

 

「それより、親父とミアさんのこと教えてよ」

「そうだな……こいつは、パースで言葉も喋れねぇのに、一生懸命人を探しててな。

 つい、連れてきちまった」

「え、いつもの愛人とかじゃないの?」

「ばか。流石に息子よりも年下そうな年齢の子に手を出さねーよ」

 

 言葉のニュアンスからは、ミアさんは女の子らしい。

 大きな瞳をくりくりさせ、ユウと親父を見ていた。

 

「ちなみにオーストラリアに居て言葉が喋れないって……元々日本に居たってこと?」

「違う。

 オーストラリア英語も日本語もこの前覚えたばっかだ。

 ジェスチャーとパッションだけで、コミュニケーションしようとしてたんだ。

 すげえだろ?」

「マジかすげぇな」

 

 大人しそうな第一印象とは裏腹に、なんともアグレッシヴである。

 そういうマインドが好きな親父が気に入る訳だ。

 

「てか、この前覚えたって……どのくらいの付き合いなの?」

「ん? 3日ぐらいだ」

「は?」

 

 3日で二つの言語を覚えたってか?何したんだ?

 普通に考えれば喋れないと嘘ついてたとしか思えないが……とユウはミアを見る。

 

「はい。マ=サミチは私が誰にも相手にして貰えず、言葉も喋れないところを助けて頂きました」

「そいつは凄い。

 というか、なんでまた親父と日本に?」

「人……とその、物を探し物をしています。

 日本に居る確率が高いそうなので、マ=サミチに連れて来ていただきました」

「パスポート誤魔化すの、結構大変だったぜ」

「さらっと犯罪するな」

 

 自慢げに両手を広げる親父にツッコミを入れながら、呆れた目でミアさんを見るユウ。

 親父も親父だが、この見た目中学生ぐらいの少女? の感性はどうなっているのだと。

 緑色の髪というアバンギャルドな恰好から考えると、ちょっとのその……中二的なアレなのだろうか。

 しかし彼女? の物腰は丁寧で、座り方一つでどこか気品さえ感じられる佇まいだった。

 

「私はどうしても……その者と会う事が必要だったため、単身国元を離れました。

 マ=サミチや供の者たちには迷惑をかけています」

「はぁ……それで、探している者とは?」

 

 言うや否や、ちょうどつけっぱなしだったテレビの番組が切り替わる。

 ちょうど四国で起こった事件の報道で、イスタスが映ってた。

 ミアはその様子を見、そしてテレビを指指す。

 

「かの者たち……『涙虹石イーリス・リアクター』を持つ少女たちの事です。

 失われた我が国の秘宝を───そしてそれと適合した者たちと、会うために」

「だそうだ……最近、なんか知らねぇか、ユウ」

「……」

 

 は? 俺だが。

 なんて言う訳もなく、ユウは顔色に極力出さないよう気を付けながら目をぐるりと回して思案した。

 

(今ミアはなんて言った?

 『涙虹石イーリス・リアクター』を知っている。

 しかも、失われた我が国の秘宝ときた)

 

 ユウは思わずポケットに入れっぱなしの『涙虹石イーリス・リアクター』をぎゅっと握る。

 てかこれってもしかして盗品か? ポヨ公お前……。

 

「はぁ、まあ、最近『怪獣』騒ぎで出てきているらしいですね」

「はい……この辺りは残留魔力も濃いゆえ、この辺りに居るとは思うのですが……」

 

 やばい。しかも琴音みたいに『魔力』を感知できる民だった。

 迂闊に変身すればすぐバレそうだ。

 焦る気持ちを抑え、ユウは自然を装って2階へと退避することにした。

 

「まあ、ゆっくりしていってください。

 俺は2階にいるんで、何かあったら呼んで頂ければ」

「ありがとうございます」

「後で風呂沸かしとけよー」

「はいはい」

 

 親父に適当に返事しつつ、速足で駆け上がったユウは自室に避難。

 そして妙に神妙な顔をしたポヨ公と合流した。

 

「おい、どういう事だ。

 今、下に居るミアとかいう娘は『涙虹石』を知っていたぞ」

「……」

 

 目を逸らすポヨ公に少し苛立ちながら、ユウはベッドに腰を下ろす。

 はあ、と息を吐いて心を落ち着けて改めて問い掛けなおした。

 

「『涙虹石イーリス・リアクター』と『魔法少女』を探してるんだってさ。

 あいつはお前の同郷か?」

「……違うポヨ」

 

 いつも飄々としているポヨとは違って、如何にも言い辛そうな小さい声だった。

 目もユウと合わせようとしない。

 

「失われた秘宝とか言ってたぞ。

 お前……まさか、ミアの国から『涙虹石イーリス・リアクター』を盗んだのか?」

「……」

 

 答えようとしないその態度で、既にその答えは分かり切っていた。

 何だよ……俺も共犯か? と、ユウは深く溜息を吐くしかない。

 急にもう力が抜けるような錯覚に陥って、ユウはどっかりとベッドに横になって目を覆う。

 

「別に俺はお前を責める気は、ない。

 だが、事情は……話してくれるんだろうな?」

「……分かったポヨ」

 

 思えば、ユウはポヨ公から簡単な事情説明しか聞いていなかったと思い返す。

 こいつの性格から、単に妖精とはちゃらんぽらんなアレだとイメージしていたのだ。

 もっと突っ込んで聞けばよかったと、ユウは後悔していた。

 

「事情は話すポヨ。

 でもその前に───下に居る『怪獣』を、倒すポヨ」

「……何だと?」

 

 あっさりと言い放つポヨの言葉の冷たさに、ユウは目を見開いたのだった。

 

 


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