転生したら刃王剣十聖刃でした《一時完結》   作:不死身の機動歩兵隊

6 / 10
長らくお待たせしました。


第6話「玄武激怒」

‐ワンダーワールド‐

 

タッセル

「皆さん、ボンヌ・レクチュール!僕はタッセル。前回、ワンダーコンボで死闘を乗り越えてグレーターデーモンとダンジョンマスターを倒し、無事ゴブリンダンジョンを制覇した十聖剣とフラン。ギルドに帰投後、ギルドマスターからの質問に答えていた時に何やら怪しくて嫌な雰囲気の騎士が突然入って来たけど2人は大丈夫かしら?」

 

‐現実世界‐

 

何だこの太っちょ騎士は?入って来るまで全然気配を感じなかった。何者だ?

 

フラン

「誰!?」

 

???

「何?小娘・・・私を知らないのか?ハァ全く、これだから下賤な者は・・・」

 

そう言いながら香水を自身に吹き掛け、ポーズを決めると薔薇の花弁が舞う。凄い凝ってるけど全然似合わねぇ・・・

 

オーギュスト

「我はオーギュスト・アルサンド。アレッサ騎士団の副団長だッ!!」

 

あぁ~ネルさんが言ってた冒険者嫌いでギルドの要請を蹴った副団長ってコイツなのか。しっかし俺達に何用だ?

 

オーギュスト

「私のユニークスキル、虚言の理は嘘を見抜くスキル・・・私に嘘は通用じんぞ。」

 

ユニークスキル持ちかッ!?こりゃあマジで面倒だな。

 

クリムト

「彼女が嘘を付いていると?」

 

オーギュスト

「うむ!この小娘、魔石は消滅したと言ったがそれは嘘だ。何処かに隠し持ってる筈だ。」

 

刃王剣十聖刃

『この副団長、何言ってんだ?魔石消滅に関しては嘘言ってないぞ?』

 

フラン

「持ってない。本当に消滅した。」

 

オーギュスト

「フン、また嘘を言ったな!正直に答えたまえッ!!」

 

フランも嘘ではないと言うけど副団長、オーギュストは嘘だと言って聞く耳を持たなかった。そもそも虚言の理の条件って何だ?鑑定で確認するか。

 


名称:オーギュスト・アルサンド  年齢:29歳

種族:人間

職業:戦士

状態:平常

 

〈レベル:30〉

HP:108 MP:99 腕力:52 体力:53 敏捷:45 知力:50 魔力:47 器用:45

 

〈スキル〉

演技:Lv1、歌唱:Lv1、騎乗:Lv1、欺瞞:Lv1、宮廷作法:Lv4、剣術:Lv1、算術:Lv1、社交:Lv2、毒耐性:Lv1、毒知識:Lv2、薬草学:Lv2

 

〈ユニークスキル〉

虚言の理*1:Lv5

 

〈称号〉

子爵、アレッサ騎士団副長

 

〈装備〉

ミスリルのロングソード、銀鉄の全身鎧、赤獅子のマント、気配遮断の指輪


 

なぁにこれぇ?ダンジョンマスターに毛が生えた程度のクソ雑魚じゃん。ユニークスキルを除いて全ステータスがお粗末じゃないか。それに気配を感じなかったのは気配遮断系のアイテムを所持していたのか。それに虚言の理の詳細を確認したけど、これ絶対に悪用してるだろ・・・

 

オーギュスト

「さぁギルドマスター、この小娘を騎士団に引き渡してもらおう。貴族の私に平気で嘘を付いたのだ。不正を見逃す訳にはいかんだろう。」

 

クリムト

「お断りします。それに彼女は貴方の手に負える様な冒険者ではないのですよ。何せグレーターデーモンを単独で仕留めた方ですから。」

 

ギルマスの言葉にデブ副団長は一瞬ビクついたが、余裕を崩さずに言い返そうとする。大方予想は出来るけど。

 

オーギュスト

「で、ではそのグレーターデーモンの魔石と素材を騎士団が没収する。それが無理ならその小娘の剣で手を打ってやろう。相当な業物の様だが、下賤な冒険者より私の方が似合う。」

 

やっぱりな。コイツ、俺達が激戦の末に倒してギルドに提出した物を分捕ろうとしてたか。それとシレっと俺を寄越せとか抜かして来やがった。お前に使われるくらいなら自壊した方がマシだッ!

 

クリムト

「何故そうなります?素材はギルドに正式に収められた物ですし、魔石をもし彼女が持っていたとしてもゴブリンダンジョン攻略作戦の要請を断った貴方方にそれを奪う権利はないでしょう?」

 

そうだそうだッ!もっと言ってやれギルマスッ!!ギルマスがそう言うとデブ副団長はニヤつきながら鼻を鳴らして言い訳を言う。

 

オーギュスト

「不確かな情報で騎士団の人員を割く訳にはいかんからな。そういうのは冒険者、底辺の者共がやるのが相応しい。」

 

クリムト

「彼らの献身的な働きや犠牲で今回の騒動は解決したのです。冒険者を愚弄するのはやめて頂きたいッ!!大体あのウルス団長が断るとは思えない。まさか貴方の所で勝手に話を止めていませんか?」

 

オーギュスト

「そ、そんな訳なかろう・・・!」

 

椅子から立ち上がると同時にバンッ!っと強く机を叩くギルマスの抗議にデブ団長は顔に汗を流す。あれはやってるな。

 

クリムト

「ではウルス団長に問い合わせても良いのですね?」

 

オーギュスト

「貴様ァ・・・我が騎士団、そして我が父オルメス伯と事を構える気か?」

 

クリムト

「出来ればそうしたくは無いのですがね・・・」

 

顔を真っ赤にするデブ副団長と眼が笑ってないギルマスの間に激しい火や貴族のしがらみに組織同士のパワーバランス等が闇鍋の様に渦巻いてるな。

 

フラン

「ん、分かった。じゃこれあげるから2人とも仲直りする。」

 

 

オーギュスト・クリムト

「(ぬ)?」

 

するとフランがそう言って見せたのは倒したゴブリンの角であった。それに反応したのはデブ副団長だった。

 

オーギュスト

「侮辱するかッ!?汚らわしいゴブリンの角などいらぬわッ!!」

 

フラン

「―――ッ!!」ガーン

 

そう言ってデブ副団長はフランの手を跳ね除け、ゴブリンの角が飛び散る。そして再びギルマスと言い争いを始める。しっかしデブ副団長のあの顔は笑いものだわw

 

刃王剣十聖刃

『よくあんな高度な煽りを思いついたなフラン。』

 

フラン

『師匠・・・アイツ、許せない。斬っていい?』

 

あっ、本気だったのか。その間にもフランは俺を抜刀しようとする。

 

刃王剣十聖刃

『待て待て待て!!流石にギルマスの部屋で貴族をぶった斬るのはヤバイってッ!?アレッサの歴史に残っちゃうってッ!』

 

もし殺っちゃったら俺達の冒険が終了しちまうッ!

 

刃王剣十聖刃

『それよりアイツ悪人だし、あのスキルの実験体になってもらおう。』

 

フラン

「ッ!OK、同時ね。」

 

オーギュスト

「何だ?貴様。」

 

デブ副団長にフランは右手を向けてエクストラスキルを一緒に発動する。

 

フラン・刃王剣十聖刃

「『スキルテイカーッ!!』」

 

この凶悪スキルは不可視で感知不能な所だ。更にカンストしてあるから百発百中だ。

 

アナウンス

『師匠はユニークスキル、虚言の理を奪取しました。フランはスキル、宮廷作法:Lv4を奪取しました。』

 

刃王剣十聖刃

『よしッ!お目当てのスキルゲットだぜッ!さて、ちょいと懲らしめてやるか。』

 

フラン

「ん。私は100歳、ホントか嘘か分かる?」

 

オーギュスト

「何だ貴様突然、そんなもの簡単にだな・・・ッ!?」

 

フランは早速宮廷作法のスキルを使ってカーテシーをしてそう言い、デブ副団長はいつも通り看破しようとするがソレが使えない事に驚愕の顔を浮かべる。当然だ。だってアンタのスキルは俺が持ってるからな。

 

フラン

「答えて。」

 

オーギュスト

「う、うるさい(な、何だ)!」

 

デブ副団長は頭を掻きながら何度も看破しようと答えが出ない事に困惑する。おうおう焦ってる焦ってる。

 

フラン

「早く答えて。」

 

オーギュスト

「その、何だ!きょっ、今日は気分が悪い!帰るッ!また出直すぞ!覚えていろよ貴様らッ!!」

 

そう言ってギルマスを含めた俺達に指を指してから退室する。それと入れ替わる様にネルさんが入った後に外から屁をこいた音が聞こえたが多分デブ副団長だろう。

 

フラン

「ネル!」

 

ネル

「フランちゃん!お帰りなさい。」

 

クリムト

「ふぅ、申し訳ありませんでしたね。彼は副団長という地位を金で買った俗物で嫌われ者・・・レベルも30位と中堅なのですが、まぁ貴族によくある話で身内の騎士や金で雇った強者でメンバーを固めて高ランクの魔獣を狩らせて自分は何もせず、レベルだけを上げた輩でして。」

 

リアルなパワーレベリングか。道理で戦闘系スキルは成長してない訳だ。それにレベルも当てにならない時もあるんだな。

 

ネル

「あれでも街を仕切る大貴族、オルメス伯爵の息子なのよね~」

 

顎に手を当てて困った顔をするネルさん。成程、そりゃあギルマスも迂闊に手を出せないし強気に出れない訳だ。

 

クリムト

「フランさん、今回の事で貴女も眼を付けられたかもしれません。十分に注意を・・・」

 

フラン

「ん、大丈夫。」

 

クリムト

「話は以上です。ともかく我々ギルドとしては貴女に感謝しております。ネル君、例の準備は?」

 

ネル

「はい、出来ました。」

 

クリムト

「ではフランさん、帰りに受付でランクアップして行ってください。既に事務処理は終わっていますので。」

 

あ~そう言えばダンジョン攻略を成功したらランクアップするって言ってたな。グレーターデーモンとデブ副団長のインパクトが強すぎて忘れてたわ。

 

フラン

「Eランクになる?」

 

クリムト

「いえ飛んでDランクに上がってもらいます。都市災害級の脅威度Bの魔獣を倒したのですからC以上で申請したのですが余りにも短期間ですので他の支部の承認が得られませんでした。」

 

まぁそれは尤もだな。Cランク何て上から4番目、上位冒険者としてのスタートラインだ。ギルドに入って数日の新人冒険者をいきなり上位ランク入りさせる訳ないよな。

 

フラン

「ん、分かった。」

 

ネル

「報酬も忘れずに受け取ってくださいね。」

 

クリムト

「ボーナスも弾んでおきました。」

 

おぉー!そいつはありがたいッ!

 

フラン

「それは嬉しい。感謝。」

 

クリムト

「ど、どもいたしまして。」

 

ネル

「フランちゃん可愛い♡」

 

フランはもう一度カーテシーで感謝するとギルマスは呆気にとられ、ネルさんはメロメロになっていた。そしてネルさんと一緒に受付に向かう。

 

刃王剣十聖刃

『おいおい、奪ったスキルを乱用し過ぎだぞ。』

 

フラン

『でもあれ前からやってみたかった♪』

 

まぁ脳筋で戦闘キャラになるよりカッコ可愛い剣士になってくれたマシかな。そして受付でランクアップの話をしていたら、他の冒険者達が声を漏らす。このギルドで最速の昇級との事だ。某白兎の冒険者と同じくらいかな。

 

ネル

「フランちゃんランクDに昇格おめでとう!そして報酬です♡」

 

フラン

「ん、ありがとうネル。」

 

おお、結構な量だな。この大袋にどれくらいの金額が詰まってるんだ?

 

ドワーフの冒険者

「スゲーな嬢ちゃん、もうDランクかよ!」

 

フラン

「ドワーフの・・・」

 

エレベント

「俺はエレベントって言うんだ。パーティーを組みたくなったら声掛けてくれ!」

 

冒険者A

「あんた凄い活躍だったね!空飛んで!」

 

冒険者B

「上級悪魔を仕留めたって本当ですか!?」

 

冒険者C

「乱戦の時は助かったよ、ジュースでも奢らせてくれ。」

 

昇格と報酬を貰った後、周りの冒険者達がフランに集まる。

 

刃王剣十聖刃

『なあフラン。結構ボーナス出たし逆に奢ってやるか。共に戦った仲間だし。』

 

フラン

「ん!今日は私が奢る。皆飲んで!」

 

その言葉に他の冒険者達は歓喜の声を上げる。それを微笑んで見守るドナドとネルの姿があった。

 

エレベント

「こりゃ大物だぜ!ガハハハッ!太っ腹じゃないねぇか!嬢ちゃん!」

 

フラン

「む、太ってない!」

 

エレベントとのやり取りで周りの冒険者達からドッと笑いがギルド内に響く。

 

‐数時間後 宿‐

 

フラン

「zzz・・・」

 

全くアイツ等はギルドに備蓄してある酒を全部飲み干す気か。そう思いながら窓の外に眼を向けると夜の街が広がっていた。あの時、フランの安全第一で撤退したらこの風景は無くなっていたかも知れない。本当に大した子だよ、フランは。歴代ライダー達(彼ら)もこの風景を見ていたかな。

 

フラン

「師匠、華・・・麗・・・」

 

刃王剣十聖刃

『ハハハ、そうだったな。今日は頑張ったからな、明日は飛びっきり美味いカレーを作ってやらないとな。』

 

そして俺は布団をそっと掛けてフランの頭を撫でながら朝を待つ。

 

‐???‐

 

気が付くと俺は知らない空間に浮遊していた。すると眼の前には金髪に銀髪と褐色、黒髪の3人の女神の様な女性達がいた。

 

金髪の女性

「―――。」

 

銀髪と褐色の女性

「―――。」

 

黒髪の女性

「―――。」

 

彼女達は何かを言っている様だが俺には分からない。ただ、俺を導く様に引っ張っていくとそこには1本の剣があった。これに触れればいいのか?ん?待てよ、これって・・・刃王剣十聖刃()ッ!?それに気付いた時には俺の手は触れていた。その瞬間に違う景色が頭の中に流れ込む。

そこはワンダーワールドに近い様な世界で本みたいな建物が建ち並ぶ都市が広がっていて何かのお祭りが行われていた。その中央にある闘技場で13人の剣士が見覚えのある聖剣を持って演壇の上に立っていた。これってまさか、刃王剣十聖刃の・・・

 

‐現実世界‐

 

フラン

「師匠、師匠ッ!!」

 

刃王剣十聖刃

『―――ッ!?お、おう。』

 

フラン

「師匠どうしたの?」

 

刃王剣十聖刃

『あぁ、何でもない。大丈夫だ。』

 

フランにはああ言ったが、あれは一体・・・夢なのか?でも今の俺は聖剣だ。寝る必要も無いのに?でも妙に現実的だったな・・・

 

刃王剣十聖刃

『ありゃ、すっかり夜になっちゃったな。』

 

フラン

「ん、でももうすぐ街。」

 

ゴブリンダンジョン攻略戦後から1週間が経過した。ガルスさんに頼んであるフランの防具が完成するまではアレッサから動けないので俺達は暫くこの周囲で依頼を受けながら活動している。今日は人が中々近付けない毒の沼地に生息する魚型魔獣を討伐した帰りだ。次元収納を使って独沼の水を全て吸い上げられるとは思いもしなかった。多分無限に収納可能だと思う。どんな魔法やスキルも使い方次第で変わるんだな。

 

フラン

「カレー♪カレー♪」

 

刃王剣十聖刃

『あれからすっかりカレーの虜になった。』

 

1週間前、ギルドの祝勝会を終えた次の日に10万ゴルドで買った材料を調理して振る舞った際にフランの反応は。

 

フラン

『ウミャイイイィィィッ!!!』

 

あの時のフランは嬉し泣きしながらバクバク食ってたな。作った側としてはフランの笑顔が見れて心がほっこりだ。今度は違う種類を振る舞うか。そんな事を考えていると街の門に付いていた。

 

門番

「おォ!フランちゃん!大物は仕留めたかい?」

 

フラン

「ん、こんなに大きかった。」

 

門番のおっちゃんか。依頼を受けてよくこの門を通るからすっかり顔馴染みになったんだよな。

 

門番

「そう言えばフランちゃん、アルサンド子爵は知っているかい?その部下って男がお前さんを探してたぞ。」

 

フラン

「ハムサンドシシャム?」

 

この言葉に俺も門番のおっちゃんもズッコケる。違う食べ物じゃないよ。それと涎垂れてるぞ。

 

刃王剣十聖刃

『あれだよ、ギルドで文句言ってきたデブ副団長。』

 

フラン

「ああ、雑魚副団長?」

 

フランの物言いに門番のおっちゃんは目を丸くして少し笑った後に事を話す。

 

門番

「そのアルサンド子爵なんだが、最近王族相手に酷い失態を犯したとかで父親のオルメス伯に激怒されたって噂だ。色々と追い詰められた状況らしくてな。」

 

成程、王族相手の酷い失態は俺達が奪ったスキルが原因だなこれ。まぁそれ使って今まで悪用して来たんだ、因果応報だな。

 

門番

「フランちゃんとの関係は分からんが、何をされるか分からないから気を付けな。」

 

フラン

「ん、分かった。ありがとう。」

 

そんで門番のおっちゃんと別れた俺達は人混みの中を通りながらギルドへ向かっていた時に悪意の気配と視線を感じ取る。

 

フラン

『師匠。』

 

刃王剣十聖刃

『そのまま振り返らず人気の無い場所に誘導しよう。噂をすれば影だな。』

 

撒くのは簡単だが、何時までも張り付かれたら鬱陶しくて仕方がない。早めに憂いを断ち斬って損は無い。

 

‐裏路地‐

 

フラン

「・・・何か用?」

 

暫く進んで完全に無人になったタイミングでフランが尾行する連中に声を掛ける。相手側の1人は気付かれた事にビクついた。そして姿を現す。

 

???

「きっ、貴様・・・あ、あの時にわわ私に呪いをかけたァ獣人族だろォォおッ!!!」

 

アンデットッ!?ってよく見たらデブ副団長じゃないかッ!ウッソだろ、1週間でここまで人相が変わり果てるものなのか?

 

オーギュスト

「お前のォォせいでェ私はおしまいだァァ!!責任を取ってもらうぞォォッ!!!」

 

フラン

「どちら様?」

 

オーギュスト

「えッ!!?ひ、人違い・・・?」

 

フラン

「ん、だって覚えてない。」

 

え?フラン、もしかして人相が一変し過ぎて分からない感じか?それとも覚えてない可能性もあるな。

 

オーギュスト

「ひ、人違い?本当に?」

 

フラン

「ん、じゃあね・・・」

 

オーギュスト

「・・・いや!!その剣!!お前やっぱりあの時のッ!!」

 

流石にバレたか。誘導中に姿を変えてれば良かったな。

 

オーギュスト

「や、やはり嘘だったのかッ!クソッ、どいつもこいつも嘘ばっかつきやがってッ!!許さァァんッ!!おいッ・・・ギュランッ!」

 

ギュラン

「フン、黒猫族のガキか・・・任せて下さい。俺達の一族はこいつらの扱いにゃ慣れてますんで。身包み剥いで奴隷商に売っちまいましょう。」

 

フラン

「青、猫族・・・ッ!!?」

 

姿を現したもう1人の猫系の獣人族をフランが見た瞬間に俺を構えて殺意と警戒心を剝き出しにする。こんなフラン見た事がないぞッ!!?

 

刃王剣十聖刃

『フラン、青猫族って何だ?』

 

フラン

『青猫族は敵ッ!何百年の昔に・・・仲良くするふりをして私達黒猫族を騙して最低な身分にした!それからずっと黒猫族を狙って闇奴隷商に売るのを続けてる一族。お父さんとお母さんと旅をした時も何度も襲われて死ぬ思いいっぱいした!悪い奴しかいないッ!』

 

質が悪い嫌な話だな。青猫族、フランの天敵として覚えておこう。

 

オーギュスト

「ヒヒヒッ、千人斬りのギュランはルーズ戦役の英雄だぞ!貴様なんぞ瞬殺だァァッ!!!」

 

ギュラン

「何だ急に黙りこくって?今更ビビったか?当然だ、俺には自分より弱い奴が分かるスキルがある!お前程度では俺に敵わんぞ。」

 

フラン

「ッ!?」

 

そう言って近付いて来る青猫族、ギュランに対してフランは俺を構えたまま固まっている。どうしたフラン、相手は近付いてるぞ!

 

ギュラン

「怯えているな?俺が怖いか?そうだろうな・・・ククッ。お前ら黒猫族にゃ青猫族に狩られ続けた歴史が刻まれ本能的に恐怖を感じる筈だ。それはこれからもずっとなッ!」

 

刃王剣十聖刃

『フランッ!』

 

フラン

「ッ!?」

 

俺の声で恐怖で固まっていたフランは意識が戻し、振り下ろされた剣を受け止めて鍔迫り合いとなる。その際に奴の剣を鑑定すると。

 


名称:幻輝石の魔剣

攻撃力:650 保有魔力:200 耐久値:600

魔力伝導率・B

スキル:幻影撃


 

グレーターデーモンの剣よりも強いな。それからフランは何度か攻撃を捌くが、中々反撃にでれない。さっき奴の話を聞いて精神が乱れているのかッ!

 

ギュラン

「おい、抵抗するのかッ!」

 

フラン

「グ・・・ッ!」

 

そして無防備な腹に回し蹴りが入り、俺達は吹き飛ばされて建物の壁に激突する。

 

刃王剣十聖刃

『大丈夫か、フランッ!』

 

フラン

「うぅ・・・ッ!」

 

ギュラン

「中々しぶといな・・・それじゃあ、この力を使ってみるかぁ♪」

 

何とか立ち上がって再び俺を構えるフランの姿に奴はそう言うと懐から禍々しい黒一色の小さな本を取り出した。オイオイ、あれはッ!?

 

刃王剣十聖刃

アルターライドブックッ!』

 

『暗黒剣士!弱者を斬り殺す暗黒の剣!』

 

青猫族がアルターライドブックを開くと同時に音声が流れ、その姿を禍々しい黒色の鎧に変化した幻輝石の魔剣を持つ姿へと変わる。カリバーに近い外見だが、あんなメギドは見た事ない。まさかオリジナルかッ!

 

暗黒剣士メギド

「さて黒猫ぉ、簡単に死ぬんじゃねぇぞッ!」

 

そう言って奴の凶剣がフランを襲う。フランは紙一重でそれを防ぐが威力は先程よりも強く吹き飛ばされて倒れそうになるが暗黒剣士メギドはそれを許さず追撃を加える。コイツ、フランを甚振って楽しんでやがるッ!

 

暗黒剣士メギド

「前に俺に抵抗した黒猫族の女はよ、目の前でソイツの娘を耳、手足、尻尾と順に斬り落としてやったよぉw」

 

フラン

「ッ!」

 

暗黒剣士メギド

「ガキは途中で発狂して死んじまってよぉ、残った女の方は眼玉抉って斬り潰して、ゆっくり皮を剥いでやったよぉ。その呻き声が唆るんだぁ♪」

 

この畜生が・・・人の命を何だと思ってやがるんだッ!!その間にフランはトラウマとダメージで倒れてしまう。そして暗黒剣士メギドはフランの頭を踏み付ける。

 

暗黒剣士メギド

「それから飢えた野犬に食わせた。聞いた事あるか?生きたまま骨が砕かれる音。最高に笑ったぜッ!お前はもっと楽しませてくれるのか?おいッ!」

 

フラン

(やっぱり・・・私達は、狩られるだけの・・・)

 

刃王剣十聖刃

『しっかりしろ!フランッ!!思い出せ、俺と出会ってからの冒険を、君自身の物語をッ!!!』

 

フラン

(師匠との冒険・・・私の物語・・・)

 

フランにそう叫びながら声を掛けると瞳の奥で光が強く灯る。それで良い、君はこんな三下よりもずっと強い奴と戦って勝ち抜いたんだ。だから立ち上がれ、フランッ!!!そして足蹴の状態からフランは立ち上がり、暗黒剣士メギドを睨み付ける。

 

暗黒剣士メギド

「何だ・・・その眼は?」

 

フラン

(ありがとう、師匠。もう大丈夫。)

 

暗黒剣士メギド

「何だその眼はッ!!!」

 

フランの態度にキレた暗黒剣士メギドは剣を振り下ろすが、フランにあっさりと受け止められて驚愕する。

 

暗黒剣士メギド

「何だとッ!?」

 

フラン

「何人・・・」

 

暗黒剣士メギド

「あァ?」

 

フラン

「今まで何人、黒猫族を売ったり殺したりしたッ!」

 

フランの質問に暗黒剣士メギドはニヤリと笑いながら答える。

 

暗黒剣士メギド

「5人。いや10人、20人だったかな?20より先は忘れちまったわw」

 

フラン

「・・・良かった、遠慮なく殺せるッ!」

 

フランはそう答えて暗黒剣士メギドを蹴り飛ばして距離を放す。すると俺は土に包まれて弾けるとフランの身長を超える大剣、土豪剣激土(どごうけんげきど)へ変化した。激土も奴にはご立腹の様だ。

 

土豪剣激土

『よぉしフランッ!あの外道を一刀両断にするぞッ!!』

 

フラン

「ん、行こう、師匠ッ!」

 

フランは玄武神話ワンダーライドブックをライドブックホンダナーから取り出して開く。

 

『かつて、四聖獣の一角を担う強靭な鎧の神獣がいた・・・』

 

音声が無い終わった後、ワンダーライドブックを閉じてゲキドシェルフに装填。背後に巨大な玄武神話ワンダーライドブックが現れる。そしてゲキドトリガーを引く。

 

フラン

「変身ッ!」

 

『一刀両断!ブッた斬れ!ドゴ!ドゴ!土豪剣激土!激土重版!絶対装甲の大剣が、北方より大いなる一撃を叩き込む!』

 

全身を覆う装甲、ブシンゴウラを纏い、か弱き者を虐げる悪に対し威圧する眼部のグラウンドバイザーを持つ土の剣士。

 

仮面ライダーバスター

 

へと変身した。突然姿と体格が変わった事に暗黒剣士メギドは驚くと同時にその威圧感に圧倒されて後退る。

 

バスター

「1つ、外道な悪に・・・2つ、震える大地の怒りを・・・3つ!見舞って上げる、問答無用ッ!!」

 

暗黒剣士メギド

「ッ!?」

 

両手で土豪剣激土()を振り下ろし、暗黒剣士メギドに攻撃するバスター。暗黒剣士メギドは咄嗟に防御するが高火力な重い一撃を持つ今の俺には悪手だ。

 

暗黒剣士メギド

「グガァァァッ!?」

 

防ぎ切れなかった暗黒剣士メギドは一撃を喰らって吹き飛び、地面に激突して悶える。

 

暗黒剣士メギド

「バカな!俺のスキルでは、こんな強い訳が・・・ッ!」

 

バスター

「もうおしまい?」

 

暗黒剣士メギド

「ッ!?舐めるな黒猫風情がァァァッ!!!」

 

バスターの言葉にブチ切れた暗黒剣士メギドは変化した幻輝石の魔剣でバスターを斬り裂こうと何度も攻撃する。しかしその装甲には掠り傷すら付かない。

 

暗黒剣士メギド

「何でだ、何で俺の剣が効かないッ!?」

 

そしてバスターは幻輝石の魔剣を持つ手を掴み、腕力で暗黒剣士メギドの手首を粉砕する。

 

暗黒剣士メギド

「グアァァァッ!?俺の右手がァァァッ!!」

 

バスター

「師匠よりへぼいけど綺麗な剣。貰うね。」

 

手元から落ちた幻輝石の魔剣は元に戻り、それを次元収納に回収する。使うか分からないけどいざという時は売ってお金にするか。そしてバスターは止めを刺そうと俺を担いで暗黒剣士メギドへゆっくり近付く。

 

暗黒剣士メギド

「わ、悪かったッ!俺が悪かったから・・・いいい、命だけはぁぁぁッ!!!」

 

バスター

「・・・今、お前の様に命乞いした黒猫族をお前は助けたの?」

 

暗黒剣士メギド

「ッ!!?」

 

あーあ、フランの地雷踏んじまったな。もう助からないゾ。

 

バスター

「今まで殺し、売られていった同胞の報いを受けろッ!!」

 

『玄武神話ドゴーン!会心の激土乱読撃!ドゴーン!』

 

速読機、シンガンリーダーに玄武神話ワンダーライドブックを読み込ませて必殺技を発動するバスター。正直悪人とは言え、仮面ライダーが戦意を失った相手を殺す姿は見たくない。けどここは異世界、命が軽いのが当たり前な世界だ。地球の価値観をフランに押し付ける権利は俺には無い。なら俺は彼女の剣として役目を果たすッ!

 

土豪剣激土

『フラン、人を殺す時は必ず俺で斬れ。いいな?』

 

バスター

「ん・・・ッ!」

 

そして戦闘の際に生じた周囲の瓦礫を刀身に集めて巨大化させ、バスターは俺を勢いよく振り下ろすッ!

 

バスター

大断断ッ!!!

 

暗黒剣士メギド

「グアァァァッ!?この俺が、黒猫如きにィィィーーーッ!!?」

 

暗黒剣士メギドを両断すると同時に爆発し、青猫族のギュランはこの世を去った。すると爆心地に例のアルターライドブックが落ちていたので変身解除したフランに拾ってもらい、それを間近で見る。やっぱり原作には無いタイプだった。これもこの世界に現れたメギドの1体だろうか・・・ん?

 

フラン

「あ。」

 

そう思っているとアルターライドブックは黒い粒子となって消滅した。如何やら破損してみたいだ。もっと詳しく調べたかったが残念だ。そう言えばあのデブ副団長はどうなったんだ?

 

オーギュスト

「・・・・・・」チーン

 

死んではないけど立ちションの状態で真っ白に燃え尽きていた。さっき放った大断断がギリギリ届いていたみたいだ。あっぶね、巻き込んで殺っちゃう所だった。

 

フラン

「師匠、このゾンビどうする?」

 

刃王剣十聖刃

『まだ死んでないよ。そうだな・・・一先ずギルドまで連行してギルマスに相談するか。』

 

フラン

「ん、分かった。」

 

そんでデブ副団長を連れて行こうとした時、空中に半透明の水球が現れた。俺達は警戒するが杞憂に終わった。

 

クリムト

『ふぅ・・・何とか間に合いましたね。フランさん、彼を殺さずにギルドへ連れてきてください。』

 

水球からギルマスの声が聞こえて俺達は驚くものの、ギルマスの指示に従ってデブ副団長を連れてギルドへ向かう。

 

‐冒険者ギルド・ギルドマスターの執務室‐

 

ギルドに到着すると入り口にはギルマスと冒険者2人がおり、その2人にギルマスが指示を出して連れてきたデブ副団長を運んでいった。そして今俺達はギルマスの部屋で事の説明を受ける。

 

クリムト

「フランさんを捜しにやったこれ、水の精霊なんです。可愛いでしょう?」

 

そうなのか、精霊ってもっと人型だと思ってたわ。

 

フラン

「変なの。スライムみたい、もっと人間ぽいかと思った。」

 

クリムト

「なッ・・・!?」ガーン

 

おっと、ギルマスの地雷を踏んじゃたか?

 

クリムト

「スライムと一緒にしないでもらいたい!!こっちの方が全然可愛いですしッ!!人に近い形を取れるのはもっと上位種の精霊なんです!戦闘時でもなければそんな上位精霊を呼び出すものじゃありませんッ!!!」

 

フラン

(師匠、ギルマス怖い。)

 

刃王剣十聖刃

『アハハ・・・熱弁だな。ギルマスは精霊マニアなんだな。』

 

クリムト

「こ、コホン。そんな事よりオーギュスト・アルサンドの件でしたね。」

 

ギルマスが言うにはデブ副団長の父親、オルメス伯が「息子を内密に捜し出し発見次第拘束してくれ」っと依頼を出した様で今頃実家へドナドナされているだろう。

 

クリムト

「王族に無礼を働いたので軟禁されていたのですが、隙を見てかなりの額の金子を持ち出し脱走したみたいですね・・・」

 

俺達に復讐した後にソレで何処かへ高跳びする気だったかもな。

 

クリムト

「処分なさるのか、一生地下牢に閉じ込めるのかは分かりませんが取り敢えず一件落着といった所でしょうか。」

 

まぁこれ以上手を汚さずに済むのなら万々歳だ。流石に貴族絡みの面倒事に巻き込まれるのは勘弁願いたい。

 

フラン

「依頼って事は報酬?」

 

クリムト

「あ、ああ!勿論、フランさんにもボーナス付きでお支払いします。只、この依頼の件は他言無用でお願いしますよ。貴女も貴族のゴタゴタに巻き込まれたくはないでしょう?」

 

フラン

「ん、口は堅い。」

 

そして話は終わり、受付にいるネルさんに今日最初の依頼と極秘依頼の報酬を受け取りにフランが出る時。

 

???

「帰ったわよッ!!」

 

ギルマスの部屋に入って来た黒髪ロングの女性エルフの巨乳にぶつかって吹き飛ばされた。

 

刃王剣十聖刃

『大丈夫かフラン?思いっ切り地面に顔をぶつけたけど。』

 

フラン

『大丈夫、鼻血出てない。』

 

黒髪ロングの女性エルフ

「ってあらあら、ごめんなさいね。」

 

気付いた女性エルフは謝罪して手を差し出した時、フランの顔を見て眼を見開いて動きが止まる。どうしたんだ?

 

黒髪ロングの女性エルフ

あれ・・・?貴女・・・えっ!?

 

フラン

「?」

 

黒髪ロングの女性エルフ

「わ・・・」

 

フラン・刃王剣十聖刃

「『わ?』」

 

黒髪ロングの女性エルフ

「私が貴女のママよぉ!!」

 

フラン・刃王剣十聖刃

「『ッ!?』」

 

突然初めて会った女性エルフがそう言ってフランに抱き付く。え、えぇぇぇ!?一体全体何がどうしてこうなってんだッ!?誰か説明してくれーーーッ!!!

 

第6話END

*1
対象の嘘を見破る。また自身の嘘を他者から見破られにくくし、信じ込ませやすくする。




次回「Aランク冒険者VS風の忍者」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。