プロローグ
※この物語は全てフィクションであり、登場する団体名、会社名、人名等は全て架空のもので、実在する団体名、会社名、人名等とは一切関係ありません。
長い長い、夢を見た。白、赤、金、銅、肌色、それらの色が混ざり合っている感じがして、自分の周りを離れない。他人から見たら不快感に襲われるだろう。でも不思議だ。そうした感情は一切湧いてこない。むしろ幸福感に似た感情が湧き出てくる。そして色はやがて原型をとどめていった。それはまるで、まるで…
「ハッ!?」
気づけば、見慣れた天井が、自分の視界を支配していた。
「やれやれ。またこの夢か…」
ハ〜、っとため息をこぼす。高校に入ってからこの夢ばかり見てしまう。一体、それがなんの夢なのかは、今のところはわからない。原型を留める前に目が覚めてしまうのだ。
[まあ、考えても仕方のないことだ。顔洗ってこよ」
諦めが早いのも彼の特徴だ。そうやって彼は重たいまぶたをこすりながら一階の洗面台へと向かって行ったのである。
「あー、今日はなんか悪運が強い予感がする」
根拠のなく言い放つ暴論。だが、今日という一日が、突然の暴論によってこのあと街が火の海に化すことなど、今の彼、いや、今の「前田」は知るよしもなかった…
「不吉なこと言ってんじゃねえぞ、ナレーション」
あ、バレた?
てか、こいつメタすぎだろ…ま、まあ気を取り合おして。ウォッホン!!!!
そうしている隙間にも、時間はどんどん過ぎていく。あっという間に登校する時間になってしまった。
「時間ってもんは、憂鬱なもんだよなあ」
そんな独り言をこぼし、今日も学校へ向かっていく。千葉県〇〇○市H高校。地獄と天国の狭間にいるかのような感覚になる場所。飴と鞭の使い方を一番良くわかっている性格ど底辺の学校、少なくとも自分の中ではそういう印象だ。
でも、そんなことはどうでも良かった。前田にとって大切なことは、地獄を生きる自分にとって唯一無二の光、担任の今村を目に焼き付けることだった。まあ、端的に言ってしまえば、前田は今村が好きだったのである。それも、好意をいだきすぎて崇拝するにまで至ったほどである。今村が冗談話で新小岩に住んでいる等と話していた日の夜には、今村の住所を割り出し花を届けようと思ったためわざわざ新小岩に足を運んで駅の周りをうろちょろし、駅近くの小学校に不審者情報が出たほどである。
前田は今村のことになると、手がつけられなくなる。それほどまでに狂気的な愛いや、狂気的な純愛といっておこう。
そう話している間にも、高校についてしまった。
「それでさー、中学生の女テニがマジでうざくてさー、まじでア○ルキンキン・スカイウォーカーって感じー」
「黒田も同じくらいうざいよー」
「お前諸橋見てみ、飛ぶぞ」
そんな、楽しい談笑が周りから聞こえてくる。後ろから
「ハア、ハア、俺の高松。今日のカワイイなー。ペロペロしたい。あのとき腰に回した手、まだ洗ってないからなー。早く俺のものになればいいのに。男子バスケットボール部が邪魔しやがって。死ねやアイツラ。帰ったら盗んだハンカチで一回ヌクか〜(この先は宗教上、性差別、名誉毀損に抵触するおそれがあるため、省略させてもらいます)」
などと聞こえた。周りからは
「うわ、賢のやつだよ」
「またいんのかよ。学校ちげえだろ」
「高松は私のものです」(諸橋)
自分も流石にあそこまでキモくない。キモくない…よな?
あれを見ていると心が汚くなりそうなので、と、前田はそそくさと校舎の中に入っていった。さて、今日はどういう一日になるのかな、と、期待と疑心暗鬼の心情を持ちながら、教室に入っていった。
閲覧いただきありがとうございます。次回にご期待ください。