怪獣の育成をヤプール人に頼まれたけどその目的がウルトラマンゼロを倒すとか無理ゲー過ぎる 作:多趣味の男
パワードになったカイは焦っていた。
暴れ回るテレスドンを止める為に戦っていたらカイは突如発生した雷を胸に受けて吹き飛び目の前に消えたレッドキングがいきなり現れたのだ。
しかも、前には無かった角と雷を操る能力を手に入れていた。
あのレッドキングのせいで周りのビルが停電になったことから電気を身体に溜めているのは分かったが二体一の状況は余りにも不利だと認識せざるを得なかった。
二体の怪獣による猛攻は確実にパワードの身体にダメージを与えエネルギーを消耗させていった。
(不味い...このままじゃ"時間"が.....)
ウルトラマンパワードの姿で地球で活動できるのは3分間が限度でありそれ以上はこの肉体を維持することが出来ない。
そして、それは自らが受けたダメージの量によっても変わる。
(このままじゃジリ貧だ。
ならば、いっそのこと相討ち覚悟で光線技を....)
そんな事を考えているとレッドキングからの攻撃が止んだことが分かり目を向けると新たな怪獣が自分とレッドキングの間に割り込んだ。
互いを牽制し会う姿を見てカイは理解する。
(あの怪獣はレッドキングを狙っているのか....ならこのチャンスを使わない手はない。)
カイはテレスドンに目を向けると構えた。
両者が一進一退の攻防を続ける中、カイはこちらに飛んで来るストライクビートルが見えた。
(リックが何か仕掛ける気か?
ならば!)
カイはテレスドンの懐に入り背中に回り込むと背後から身体を持ち上げた。
このタイミングを待っていた様にストライクビートルからマグネシウム閃光弾がテレスドンの目に向けて発射される。
強烈な光を浴びたテレスドンの目は潰れ光を失ってしまいカイに投げられ立ち上がるもテレスドンはカイの姿を捕らえられず右往左往している。
その隙を逃さないカイは両手を十字にクロスすると手から青いエネルギーがテレスドンへと放出された。
"メガスペシウム光線"、パワードの必殺技と呼べる光線はテレスドンに命中するとテレスドンはエネルギーに耐えられなくなり大爆発を起こした。
(良し!テレスドンは仕留めた。
次はレットギングだ.....くっ!?)
カイはレッドキングに向かおうとするが地面に片膝をつける。
これまでのダメージとメガスペシウム光線のエネルギー消費によりパワードのエネルギー推量は危険域に達していた。
それを示すように胸部のカラータイマーも赤く点滅し警告音を発している。
(もう....エネルギーが.....)
カイは顔を上げてレッドキングを見つめる。
新たに現れた怪獣の相手で体一杯なのだろう。
その為、カイの存在が無視されていたのだった。
テレスドンとパワードが戦っている中、
Rコッヴはレッドキングに攻撃を仕掛けていた。
パワーの上がったRコッヴの鎌がレッドキングを襲う。
鎌による斬撃がレッドキングの皮膚を切り裂く。
少し仰け反るレッドキングだが、傷口から稲妻が起きると一気に回復して傷が塞がってしまった。
お返しとばかりにレッドキングの豪腕がRコッヴを襲った。
何とか防御しようとするがパワーを更に強化されたレットギングの一撃は意図も簡単に防御を弾き飛ばしRコッヴは吹き飛ばされてしまった。
その瞬間、物間のモンスギアから警告音が鳴る。
『Rコッヴの耐久値がレッドラインに到達しました。
これ以上のダメージは怪獣の生命活動に大きな障害を残します。』
「たった一撃で!?....Rコッヴ!
光弾で奴を近付かせるな!」
物間の命令を受けたRコッヴは立ち上がると頭部から光弾を放ったレッドキングは全身を放電させる事で光弾を防御した。
「放電した電気で光弾を防御するなんて一体何れだけのエネルギーを溜め込んでいるんだあのレッドキングは....」
これまでの戦闘を見ていた物間はレッドキングが変異した原因にある程度の予想がついていた。
(特徴的な角と電気を喰らい放電する能力.....あれはきっと"エボリュウ細胞"だ。
あれは確か身体能力も強化させる筈だからレッドキングのパワーも上がったのか。
確か、通常のレッドキングのパワーはAだった筈だけど今のあれはそれよりも強いパワーを持っているのだろうな。)
Rコッヴはレッドキングを素体として使ったこともあり通常のコッヴよりも明らかにパワーと防御力が上がっていた。
そのRコッヴを一撃でピンチにさせたパンチを警戒するなと言う方が無理があるだろう。
普通ならば勝ち目がない戦いのように見えるが物間には原作の知識があった。
「Rコッヴ!威力よりも手数だ!
構わず光弾を撃ち続けるんだ!」
物間の命令を受けたRコッヴは引き続き光弾を放ち続ける。
レッドキングはそれを放電し続けることで防御していた。
その光景をストライクビートル内で見ていたリックが言う。
「おいおい、あの怪獣遂に自棄になったのか?」
その言葉をジュリーが否定する。
「いいえ、あのレッドキング、放電する度に体内のエネルギーが急速に減少していっている。」
「つまり、
「簡単に言うとそうみたい。
パワードも動けなさそうだし私達はどうすれば...」
そう話していると二人の会話にラッセル隊長が割り込んでくる。
「本部と話し合い決定が下された。
レッドキングと戦うあの怪獣を援護しレッドキングを倒した後、あの怪獣の処分を決める。」
「了解....だけど具体的にどうしますか?
あのレッドキング前よりもタフになってそうですが?」
「あのレッドキングは怪獣が放つ光弾を防ぐのにかなりの電力を消費している。
ストライクビートルのビーム攻撃で奴の電力を削ってやれ。」
「了解」
ストライクビートルにリックがそう答えると操縦桿を操作してレッドキングにビームの照準を向ける。
リックが引き金を引くと緑色のビームがレッドキングへと向かった。
しかし、ビームは着弾する前にレッドキングの放電により防がれる。
「よーし良い子だ。
そのまま全部吐き出しちまえ。」
リックとRコッヴの攻撃により放電能力を使い続けたレッドキングの動きが弱まり始める。
チャンスと捉えた物間はRコッヴに追撃の指示を出す。
しかし、ここでレッドキングが思わぬ反撃に出た。
突如、身体から衝撃波は放ったのだ。
「何だ今のは?」
物間の問いにロボブースカが答える。
「あれは電磁波だよ!
モンスギアには影響ない。」
「と言うことは防衛部隊の戦闘機には!?」
物間が空を見るとコントロールを失い落下していくストライクビートルの姿が映った。
リックは制御を失ったストライクビートルを何とか立て直そうと操縦桿やシステムのスイッチを押し続けるが何も反応しない。
「くっそ!何だよこんな時にっ!」
基地との通信も効かなくなったから電気系統が壊れたのだとリックも分かる。
何時もおちゃらけているがリックも立派な防衛隊の一員であり緊急事態の対処法もちゃんと知っていた。
「ストライクビートルのシステム接続を切って飛ぶようにしないと....」
そう言って行動するリックの目の前にレッドキングが映る。
「よりによって怪獣側に落ちんのかよ!?」
レッドキングが戦闘機を叩き落とそうとする姿が見えてそんな本気で焦るリックの目に映ったのは
「あのままじゃマズイ!」
レッドキングが墜落するストライクビートルを狙っている姿を見て物間は焦る。
助けに行きたいがRコッヴの攻撃でレッドキングの放電の壁を越えない以上、どうにも出来ない。
「そうだ!チャンドラーを召喚すれば.....!?
何で召喚できないんだ!」
物間はモンスギアを操作するが"召喚不能"の表示しかされない。
「今のモンスギアでは召喚して戦うと言う行動が出来るのは一体だけなんだ。
それ以上、召喚しようとするとコントロールが不安定になってしまうんだ。」
「でも、このままじゃストライクビートルが!?」
焦りモンスギアを握る力が強くなる物間にチャンスが訪れる。
ピコン!
『Rコッヴに新たな能力を確認。』
「能力?....何もしないよりずっと良い!
Rコッヴ新たな力をレッドキングへ放て!」
物間の命令を受けたRコッヴは頭部で蓄積させるエネルギーを両手の鎌へと集約させるとそれをレッドキングに向けて振り抜いた。
鎌の形を残したまま放たれた光弾はレッドキングの放電に阻まれそうになるが電気を切断してレッドキングの右肩に直撃し爆発すると吹き飛ばした。
「凄い威力だ。
レッドキングの放電を突破した。」
物間が新たな攻撃に驚いていると体勢を持ち直したストライクビートルかよろよろと戦線から離脱した。
倒れているレッドキングは右肩を抑えながら立ち上がる。
怒りから更に放電しようとするがエネルギーが足りないのか電気が生成されないでいるとレッドキングは近くの建物を壊してそこから電気を供給し始めた。
「まだ戦う気なのか。
なら、次の一撃で仕留めるしかない。
Rコッヴ!さっき攻撃の最大出力でレッドキングへ放て!」
物間の命令に頷いたRコッヴは全身のエネルギーを頭部に集約していく。
発光する頭部のからもそれが必殺の一撃になると分かる。
それを見ていたレッドキングも電気の吸収を急ぐがそれをパワードが背後から羽交い締めにすることで止めた。
"行け!"
パワードからそう頼まれた気がした物間は叫ぶ。
「行ぇぇぇぇぇぇぇ!!」
チャージを終えたRコッヴの額からエネルギーが解放される。
それを右手の鎌が触れることで吸収すると腕を上に掲げた。
発光する鎌をレッドキングに向かって振り下ろすと蓄積したエネルギーは鎌ごとレッドキングへ放たれた。
レッドキングと同じサイズにまで膨れ上がった光の斬撃がレッドキングに直撃すると悲鳴一つ上げることなく地面に倒れた後、直ぐにレッドキングは爆発した。
レッドキングの爆発を確認するとRコッヴは光に包まれて物間のモンスギアへと戻っていった。
消えるRコッヴにパワードは何か言いたげだったが怪獣が消えたことで役目を果たしたパワードは空を飛び姿を消すのだった。
モンスギアに怪獣を戻した物間は一息吐くと地面に身体を預けた。
「何とか勝ったぁ......」
ロボブースカはそんな物間を労う。
「お疲れ様、物間君。」
「うん、ありがとうねロボブースカ。
取り敢えずこれで歴史が変わることはないのかな?」
「多分....ズレはあったけど大筋であるテレスドンとレッドキングは倒した。
だから、時空湾曲も無い筈だよ。」
「良かった。
それなら一安....心?」
ホッとしたのも束の間、物間のスーツは空間の異常を検知し伝えてくる。
「"時空停止エネルギーを確認"?.....ロボブースカ!それってどういう...」
そう言って物間はロボブースカに目を向けるが彼は動かない.....いや、動くことが出来ていない。
「これはどういう?」
そう言いかけた時、誰かか拍手している音が聞こえる。
パチパチ!
「流石は物間君!無事に"ファーストステージ"をクリアしたねおめでとう!」
「君は....ウォルス君だよね?
どうしてここに」
「今の君なら分かるんじゃない?」
まるで悪戯が成功した子供の様に笑うウォルスを見て物間は確信する。
「やっぱり、この事件を起こしたのは君なんだね?」
「正解!....まぁ、ヒントも上げちゃったしそれぐらい分かって貰わないと困るけどね。
....あっ!忘れてたこれを渡しておかないと」
そう言うとウォルスは一本のインジェクターを物間に渡す。
「エボリュウ細胞はオマケで本当の僕の目的はこれだった。
ここまで言えば物間君もこの中身が何か分かるんじゃない?」
「エボリュウ細胞はティガとダイナの世界の物.....
だとするならこれは"闇の力"....いや"因子"かな?」
物間の解答にウォルスは笑う。
「やっぱり、君と戦うのは惜しいなぁ.....ねえ、物間君?
僕達の所に来ない?
君ならきっと僕達を理解できるしそのモンスギアももっともっと有効的に使える。
.....どうかな?」
ウォルスの言葉を受けた物間は警戒しながら言う。
「君はこの世界で別の力を使って歴史を歪めたらどうなるか分かっているのか?」
「勿論、歪められた歴史は何れ歪みとなって今を生きる世界や次元に影響を与える。
それが時空湾曲だ。」
「それを知った上でやっているのならやっぱり、君の仲間にはなれない。」
「.....そっか、まぁ今すぐ決めろとは言ってない。
ゆっくり考えて結論を出してこれから何度も会うことになるんだからさ。」
そう言って去ろうとするウォルスを物間は止めた。
「待って!.....君は何者なんだ?
地球人じゃないんだろう?」
物間の問いにウォルスは立ち止まると此方に顔を向けずに言った。
「昔々....僕達は巨人を崇拝していた。
でも、その巨人を嫌う者に全てを滅ぼされた。
それで物語が終わるなら良かった.....でも、それは許されなかったんだ。
今度、僕達は崇拝していた巨人に裏切られて更なる絶望を知った。
.....アドバイスして上げるよ物間君。
ベリアルもウルトラマンも君達の味方じゃない。
"全員敵"だ。
弱者を救ったフリをして厄災を振り撒く....」
「"怪物"だよ。」
そう言うウォルスの言葉は他の何処、言葉よりも重く冷たかった。