怪獣の育成をヤプール人に頼まれたけどその目的がウルトラマンゼロを倒すとか無理ゲー過ぎる   作:多趣味の男

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第十三話 だから説明してくれや

 

自宅に帰って来た物間はモンスギアを机に置くとウォルスから渡されたインジェクターに目を向けた。

 

内部に収められた黒く重い闇のエネルギーが相も変わらず中にあり、ウォルスとの出会いや事件が夢ではないと分かる。

 

「これ、どうしようかな?

中に何か仕込まれている.....とは思えないしなぁ。」

 

次元移動から帰って来た物間は何かに焦るリベルジュから出番があるまで家で待っていてくれと言われここにいる。

 

「やっぱり、ウォルスのやったことってかなりヤバいことだったのかな?」

『勿論、だがそれは君自身にも危険がある行為だ。』

 

「え?」

突如聞こえた声に驚いて目を向けるとそこにはスーツ姿の男性(山○耕史の見た目)が目の前に立っていた。

 

『リベルジュの奴め.....やはりちゃんと説明せずに帰していたのだな。』

「あの....えっと....誰ですか?」

 

『失礼、この姿では分からないか。』

そう言うと手に持ったスイッチを押すと彼の姿が変容しメフィラス星人へと変わった。

 

「は?...え?」

『私はグランデ...そのスーツや君がロボブースカと呼ぶアンドロイドの製作者だ。』

 

「でも、さっき人間に....」

『あぁ、君なら理解しているだろう?

擬態装置だ。』

 

「いや、それもそうですけど!何で人間態が"シン・ウルトラマン"のメフィラス星人の姿何ですか?」

『敢えて言うなら、この姿が気に入ってね。

並行世界....君に分かりやすく言えば"シン・ウルトラマンの世界"と言った所か。』

 

グランデのその言葉を聞いた物間は驚いた。

「グランデ、貴方は特撮としてのウルトラマンも知っているのですか?」

『この世界には沢山の並行世界が存在する。

所謂、マルチバース。

その中には我々の存在が物語の中の娯楽として存在する世界も当然ある。

君がいる世界の様にな.....リベルジュもそれを知った上で君をスカウトした。』

 

「それはどうして?」

『君の疑問は最もだが先ずは私達の疑問について答えてくれ。

君はパワードの世界に転移した後、ウォルスと呼ばれる者と接触した。

そして、通常ではあり得ない強さを持ったレッドキングが現れて正史とは違う動きをした。

 

事態を重く見た君は怪獣を召喚し被害を最小限に止めようとした。

ここまでで何か間違いは無いか?』

 

「間違いないです。

そこで、僕はRコッヴを召喚して強化されたレッドキングを倒すと急に周囲の時間が止まってウォルスが現れると....このインジェクターを僕に渡したんです。」

物間はそう言ってウォルスから渡された闇の因子が入ったインジェクターを見せる。

 

『本当にこれを渡されたのか?」

「はい、ウォルスが僕に.....」

 

『そうか......これは私が開発したインジェクターと全く同じものだ。

中身は三千万年前に現れた邪神が産み出した闇の力だろう。』

「やっぱり....これってグランデさんに渡すべきですか?」

 

『いや、ここに帰還した際、スーツを介して手に入れた物を自動的に分析する機能が使われて既に中身は分かっていた。

奴等に繋がる手がかりはゼロだ。

それは君が好きに使うと良い。』

「そうですか....あの、ウォルス達を皆さんは知っているのですか?」

 

『その人物に関して私は陛下から何も聞かされてない。

そもそも、このインジェクターすら私が作った記憶もない。

今のところ、何も分からない。

しかも、次元湾曲のような危険な行為を犯す理由もな。』

「次元湾曲について聞いても良いですか?」

 

『次元湾曲とは確定した過去の歴史に介入し意図的に分岐点を作り出し現実世界に影響を与える現象だ。

過去と現在への差が大きければ大きい程、大きな湾曲を産み世界が壊れていく。

 

だが、それは時に"恩恵"にも繋がる。

ロボブースカの映像から君のRコッヴが新たな力を使ったのは見た。

あれこそ時空湾曲の恩恵だ。

"怪獣が空想の世界にいる人間"と"生物として存在する世界"....その2つの差違が引き起こした現象だ。』

「えっ?でもさっき、時空湾曲は危険だって....」

 

『あぁ、だからこそ大きな変化を起こすべきではない。

今回は君の活躍で被害は抑えられたがそれでも大きな湾曲を起こしてしまった。

そちらは陛下達が対処してくださるそうだ。

 

今回、君には時空湾曲の危険性と今回の件について君への責任がないことを伝えに来た。

まぁ、リベルジュも焦りながら君の安全だけは陛下に具申していたから問題は無いだろう。

 

それと、今回みたいな事が今後も起こらないとは限らない。

緊急用の連絡コードをスーツに転送しておく。

それを起動すれば我々に連絡が行くだろう。』

 

グランデはそう説明が終わると擬態装置を再起動し時計を確認した。

『すまないがそろそろ戻らないと行けない。

最後に初の次元移動おめでとう。

陛下も仰っておられたが今後の活躍に期待するとの事だ。

では、失礼。』

そう言うとグランデは何かの機械の作動音と共に姿を消した。

 

 

グランデが帰った後の自室で物間は自分に起きた事を考える。

(時空湾曲.....ウォルスはどうしてそんな事を?)

目的の見えない敵?だが今の話だと恐らくベリアルとは敵対しているのだろう

 

(でも、僕への態度は優しかった....敵と言う感じもしなかったし....うーん。)

考えても無駄と思った物間はベッドに倒れこむ。

 

「グランデさん...説明丁寧だったなぁ。

パートナーって変えられないのかな?」

これまでの前科から物間はわりと本気でパートナー交換について考えるのだった。

 


 

物間がグランデから説明を受けている頃、

とある星系の宇宙空間に複数の螺旋状のエネルギーが発生しそこから大量の怪獣が現れてると周囲を暴れ始める。

 

すると、空間が湾曲し一隻の戦艦が現れるとそこから巨大化した"グローザ星人"と"デスレ星人"が出現した。

「あれか?陛下の仰っていた"時空の歪み"は」

「だろうな。

あれで最後だと願いたいが....."ケイ"の分析から考えても難しいだろうな。」

 

そう二人の星人が会話していると戦艦から話題に上げていた"ケイ"から通信が入る。

「調査の結果、歪みはこれで最後だ。

これを止めれば一先ずは安心だろう。」

 

「そりゃよかった。

にしてもアンタ(ケイ)が前線に来るとは意外だな。

何時もは研究室に隠っているだろ?

連絡も基本はグランデからだしよ。」

グローザ星人の問いにケイは答える。

 

「あぁ奴は今、陛下が直接指揮する計画に駆り出されている。

ベリアル様から命令を受けた故に私がここに来たのだ。」

「そう言うことか。」

 

このケイと呼ばれる異星人はベリアルの為に自らの命する捧げたストルム星人の"伏井出 ケイ"本人だった。

しかし、この世界では彼は生き永らえている。

 

その理由はベリアルがジードを産み出す前から"ストルム器官の培養"を命じていたからだ。

故にジードでベリアルが復活した時も培養に成功した"ストルム器官"を吸収してアトロシアスへと姿を変えた。

 

そしてケイは今でもベリアルの忠臣であり科学者としてその身を捧げているのだ。

 

「歪みの中心を破壊すればこの現象も止まる。

私が歪みの破壊を担当するからお前達には出現する怪獣の相手を頼みたい。」

「それはいいが....どうやってその歪みの中心に近付くつもりだ?

まさか、戦艦で無理矢理近付くとは言わないよな?

戦艦のお守りまでは出来ないぞ?」

 

「無論だ。

この宇宙戦艦も陛下から下賜された物だ。

万が一にでも傷をつける訳にはいかない。

だから"こうする"。」

 

そうケイが言うと戦艦から紫の光が発生しグローザ星人とデスレ星人の間に怪獣(ペダニウムゼットン)が現れた。

それを見て二人は驚く。

 

「話しには聞いていたが本当に怪獣になれるのだな貴方は.....」

「当初はベリアル様のお手を煩わせなければこのジードライザーを使えなかったがストルム器官の培養の褒美として私の身体にベリアル様の細胞を移植させていただけた。

そのお陰で私一人でもライザーを使いベリアル様のお役に立てる。」

 

「それにしても、次元湾曲と言うのは厄介だな。

一つ起こっただけでこれだけの被害か起きるのか?」

この三人は物間が巻き込まれた次元湾曲を引き起こす事件の対処に追われていた。

 

宇宙空間に現れた螺旋状の歪みも次元湾曲によって起こった事件の一つだ。

そう言ったデスレ星人に、ケイが言う。

「いいや、違う。

今回、引き起こされた次元湾曲は"3つ"だ。

3つ分の歪みがこの事態を起こしたのだ。

他の被験者達の所にも同様に正史とは違う怪獣が現れてその対処を行ったそうだ。」

 

物間達も知らない二つの事件が起きたことでこの次元湾曲が起きた。

しかし、そんな事実はケイにとってはさほどの興味もない。

 

彼にとって重要なのはベリアルに歯向かう存在がいる点だ。

(ベリアル様の邪魔をする輩がいるとは.....即刻見つけ出し滅ぼさねばなるまい。

だが、先ずは目先の事からだ。)

そう心に決めながらケイは目の前の事件の対応に目を向けた。

 

「あのクラスの歪みを対処するにはそこそこ時間がかかりますが.....それまで怪獣の相手は任せても問題ないのか?

君達の事は話では聞いているが....実力を見たことは無くてな。」

ケイの言葉を聞き二人は鼻で嗤う。

 

「ふん、あの程度の怪獣しか出ないのならば問題はない。」

「あぁ、狩りは"我々の領分"だ。

心配しなくて言い.....そちらは私達への"報酬"だけ気を付けてくれればな。」

 

「そちらは問題ない。

ベリアル様からもそこに関しては言及されていたのでな。

そちらが満足する報酬を渡そう。」

ケイの言葉に二人の異星人は笑う。

 

「ならば、互いに仕事を始めよう。」

そう言うと二人は"一枚のカード"を取り出すと空へ投げた。

 

投げられたカードが光ると二人の姿が変わる。

 

グローザ星人は中世の様な大き白い鎧を纏い背中に巨大な氷のハンマーを背負っていた。

デスレ星人は逆に黒く赤いラインの入った日本風の鎧を纏い左手に骨で彩飾された鞘を持つ日本刀を備えていた。

 

変わった二人の姿を見てケイは言った。

「ベリアル様から聞いてはいたが、正に"ハンター"だな。

君達の働きに期待する"ヴェント""ナグモ"。」

 

ヴェントと呼ばれたグローザ星人が答える。

「勿論、仕事はこなす。」

 

ナグモと呼ばれたデスレ星人も答える。

「そちらも手早く頼むぞ。」

 

 

 

この2体の異星人はベリアルが直々にスカウトしていた集団のメンバーだった。

彼等は"ウルトラマンが存在しない時空"で怪獣を狩り生きていた。

 

その目的は超エネルギーを保有する鉱石"プラズマソウル"を怪獣が宿していたからだ。

プラズマソウルを宿した怪獣は巨大化し凄まじい力を振るう。

 

そんな奴に対応する為、異星人も武器と鎧を纏い三人でチームを組み戦っていた。

だが、この二人はだけは一人を好みソロで戦っていた。

だからこそ、ベリアルの元へ来たのだ。

 

背中に携えたハンマーを使い敵を凍りづけにする。

"氷牙の騎士"グローザ星人"ヴェント"。

 

刀に自らの炎を宿し敵の首を落としていく。

"煉獄の首斬り"デスレ星人"ナグモ"。

 

増え続ける怪獣に向けて二人は別れて突撃していった。

 

ヴェントの周りにいた怪獣はハンマーを打たれ凍ると粉々に砕けていく。

反撃しようとしてもヴェントの纏う鎧は硬く攻撃が通ることはない。

砕けた怪獣の破片が宇宙を舞いそれが雪の様にも見えた。

 

対称的にナグモがいる場所では"頭だけが無い怪獣の死体"で溢れていた。

ナグモは怪獣からの攻撃を紙一重で避け通り過ぎる刹那に刀を抜き首を落とすと次の獲物へと向かっていく。

 

戦闘スタイルが違う二人であったがその強さは本物で先程まで宇宙を埋め尽くさんとしていた怪獣達は二人が狩りを始めた瞬間に一気に減り始めた。

 

狩られる怪獣も戦いを放棄し逃げようとするがそれを二人が許すことはない。

二人のハンターの活躍により余裕の出来たケイは時空の歪みの中心へ向かうと分析を始めた。

 

(これは....やはり複数の歪みが同時に起きたせいで空間が千切れて強引にいろんな所と繋がってしまっているのだろう。

 

例えるなら刃が3つついたミキサーで食べ物を混ぜようとしたら砕いて粉々にしてしまっている状況か.....

ならば、解決する手段はシンプルだ。

回っている3つの刃を全て破壊すれば良い。)

 

ケイはペダニウムゼットンのパワーを解放すると両手と顔に3つの火球を作り出す。

"ペダニウム・メテオ"....一発で山一つを吹き飛ばせる強力な攻撃をケイは歪みの中心に向けて放った。

 

ほぼ同時に歪みへと着弾すると歪みが消滅し螺旋も消え増え続けていた怪獣も止まった。

すると、ペダニウムゼットンも消滅しケイは戦艦内部に戻ると壁に手をつき息を吐く。

 

「はぁ...はぁ....エネルギーを...使いすぎだか。」

原作でも強力な威力な分、身体への反動が凄まじいペダニウム・メテオを三発放ったのだ。

こうなることはケイにも分かっていた。

 

だが、それでも手早く事態を解決させる選択をとった。

「これでまたベリアル様に"褒めて貰える"。」

 

忘れもしない。

あれは私がストルム器官の培養に成功した事をベリアル様に報告に行った時だ。

 

ベリアル様は私と同じサイズになると私の肩に手を置き仰った。

「流石だ。

お前を信じてよかった。」

 

たった一言だがその言葉を受けて私は喜びに心が打ち震えた。

そして、私はその言葉をもう一度、戴ける様に行動した。

 

そこで私は遂に完成させた。

完璧なベリアル様のボディを.....

 

勿論、敗北を考えて造ったのではない。

ただ、褒めて欲しかった。

 

そして、ベリアル様は息子との戦いに敗れその精神だけをスペアボディに転送した。

復活したベリアル様が私を見た時、私は覚悟を決めた。

(独断先行をした私を罰せられるのだろう。

だが、それでも構わない。

ベリアル様が復活なさること以上に素晴らしいことはない。)

 

そう思っていた私にベリアル様がお与えなさったのは感謝だった。

「やはり、お前こそ"私の忠臣"だな伏井出 ケイ。」

 

ここから先の記憶はない。

私の心が歓喜に耐えられなかったからだ。

だがそれ以降、私はベリアル様の忠臣として仕え続けている。

 

ジードがベリアル様を倒した話を利用し裏で再起の準備を整えた。

仲間を集め組織を拡大し今に至る。

 

そんなケイだが今でも彼の行動原理は変わらない。

ベリアル様に褒めて貰いたい。

その為だったらどんな無茶もやってやる。

 

狂信すら越える感情へと進化したケイは艦長室の椅子に腰掛ける。

モニターを見ると歪みは消滅したがその中心に強大な怪物が姿を現していた。

 

「あれは...."タイラント"か?

普通のタイラントとかなり形状が変わっているな。」

大方、時空の歪みで現れた怪獣が倒された怨念が集合したのだろう。

 

足が四足になり頭部にはジェロニモンを思わせる羽が追加されている。

タイラントが吠えて動き出そうとするがその前に鉤爪が付いた腕が落ち片足が凍って砕けてしまう。

その近くを観察すると切り落とされた腕の近くにナグモはと凍った足の近くにヴェントがいた。

 

「どうやら、この怪獣で打ち止めの様だな。」

「図体だけデカくなろうと問題無い。

首を落とせば死ぬ。」

ヴェントとナグモはそう言うとタイラントを狩る為、突っ込んでいった。

 

(本当なら私も加勢するべきなのだろうが....要らないだろうな。)

ケイはそう判断するとタイラントがヴェントとナグモによりなす術無く完全に倒されるまで椅子で休むのであった。

 




【追加キャラ】

「グローザ星人 ヴェント」
ウルトラフロンティアで活動していたハンター。
その実力も高かったがハンマーを使い周囲を冷気で凍り付かせる戦法は他のハンターを巻き込む恐れがあり一人で狩りを行っていた所をベリアルにスカウトされた。
寡黙だがコミュ障と言う訳ではない。


「デスレ星人 ナグモ」
ウルトラフロンティアで活動していたハンター。
怪獣の首を落とす事に固執しており独断行動が酷かった為、ハンター達からも敬遠されていた所をベリアルにスカウトされた。
星人界の首置いてけ侍。
報酬と怪獣の首が大好き。

「伏井出 ケイ」
ウルトラマンジードで初登場したベリアルの配下。
ベリアルに心酔しているが目的が自分の持っているストルム器官だと分かりベリアルにそれを奪われた事で死ぬことになった。

だが、この作品では早めの内にストルム器官の培養をベリアルに命令されてそれを完遂している。
更には完全なるベリアルのスペアボディも開発した何気に凄い人。

ベリアルから褒められる事が人生の全てになっている残念おじさん。

それにしても原作通りのベリアルならこんな風に伏井出 ケイを褒めるか?
と言うか私なんて言うか?普通俺だろ?と思った読者諸君!!.....その疑問は当たっているよ(ニチャア)

【追加怪獣】

「改造タイラント」
歪みから発生した怪獣の死体と怨念が融合し産まれた怪物。
初登場はゲーム
ウルトラマンファイティングレボリューションリバース。

その強さは数々のプレーヤーを苦しめた存在だったがこの世界ではヴェントに四肢を凍り漬けにされ砕かれナグモからは首を斬られ再生してもろくな反撃も出来ず二人の手で仕留められた。

本当なら相当苦戦する相手だがフロンティア勢(自分よりデカく強い相手)はある意味で馴れている相手だったので殺られてしまった。
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