怪獣の育成をヤプール人に頼まれたけどその目的がウルトラマンゼロを倒すとか無理ゲー過ぎる   作:多趣味の男

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(あー、緊張で吐きそう。)

物間は待ち合わせの駅前で一人立ち尽くしながら周りを眺めていた。
緊張しているせいだろう。

目に映るのがカップルばかりに見えてしまう。

明らかに場違いだ。

ネットに散乱してたデートに着ていく服装を丸パクリした自分が更にダサく見える。

スマホを何度も確認し待ち合わせの時間が来るのを願う。
心が折れそうになりもう帰ろうかとも思ったが何も言わずに帰るなんてそんなヤバイことは出来ない。

(出来るだけ早く来てくれ。)

この時ばかりは物間の考えはそれだけとなっていた。





第十五話 デッ....デートにびびってねぇし!

約束の時間になると白いワンピースを着た千鳥が物間の前に現れた。

 

「お待たせしてしまってすいません。」

千鳥が物間にそう伝えるが当の本人は千鳥の可愛さに見惚れてしまっていた。

 

「あの....物間さん?」

「ふぇ!?...あっはい!待ってないです!」

 

物間の返事に驚きながらも千鳥は言う。

 

「えっと....今日は宜しくお願いします。」

「此方こそ....宜しく。

そう言えば怪獣博覧会って色んなブースがあったけど千鳥ちゃんは何処から行きたいとかある?」

 

「...個人的にはロボット怪獣のブースに行きたいです。」

「ロボット怪獣かぁ。

...あっ!もしかしてウルトラセブンが好きなのってロボット怪獣が多いからとか?」

 

「そうです。

怪獣博覧会は他にもありますけどロボット怪獣をここまでピックアップしてくれるのはここの展示だけらしいので....どうしても見たくて」

(分かるわぁ...その気持ち。

マイナーな怪獣が出る展示会や劇には参加したくなるし)

 

物間は千鳥の言動に染々と共感する。

「OK。

じゃあ、ロボット怪獣のブースから行こうか。

ロボット怪獣に関してはあまり知らないことも多いし千鳥さんの知識も聞きたいしね。」

そう言うと二人は怪獣博覧会へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

物間と千鳥が仲良く歩く姿をバイト先の店長は嫉妬深い目で見ていた。

「物間の奴....千鳥ちゃんとイチャイチャしやがって!?」

 

その目は血走っており冷静さを欠いているのは誰にでも分かった。

街行く人はそんな彼を奇怪な目で見ている。

 

その中でエクセテスだけは彼を好機な目で見つめながら囁いた。

「その通りだ....."お前の彼女である千鳥"を"物間は奪おうとしてる"。

これは許されざる事だ....そうだろう。」

「あぁ、そうだ。

俺の千鳥ちゃんを....俺の?...俺は千鳥ちゃんと付き合っていたのか?

一体何時.....」

 

「おっと...余計なことは考えず深呼吸したまえ。」

エクセテスはそう言って取り出した花を店長の顔の前に差し出す。

差し出された花の花粉を吸った店長は一瞬、痙攣すると棒立ちの姿になった。

呆けた顔で店長は言った。

 

「俺は....何を?」

「さっき君が言っていたじゃないか?

俺の彼女である千鳥を物間が奪おうとしていると...」

 

「....そうだ。

物間の野郎、バイトの分際で....許せねぇ。」

「君の言う通りだ。

これは許されてはいけない。

君には彼等を罰する権利がある。

...さぁ、これを」

 

そう言ってエクセテスは怪獣の入っているインジェクターを渡した。

「これを使えば君は彼等を罰せる....さぁ、罰を与えるのは君だ。」

エクセテスの言葉に従う様に店長はゆっくりと物間達の後を追った。

 

その滑稽な姿を見たエクセテスは口を抑えながら身体を震わせる。

 

「ふふっ....あはっ!...あはは!

やっぱり人とは面白い!

我々、異星人が驚く程の知性を持つ者もいればゴミの様な考えしか出来ない個体もいる。

これならば態々、これを使う必要もなかったかな?」

 

エクセテスは手に持った花を見つめながら言った。

この花は"ヴァリエル植物"と呼ばれておりヴァリエル星人が地球侵略の為に用いた道具だ。

 

光合成により作られる神経ガスを吸った者は記憶を失い洗脳しやすくなる。

本当ならばここから更に洗脳装置を使い記憶の改竄を完璧にするのだが普段から他責感情の強い店長にはそれすら必要なかった。

 

「今頃、ベリアル小飼いの犬どもは勘違いしていることだろうな。

時空湾曲の目的について....ふふっ!

あぁ、楽しみだなぁ。

この世界がこれからどう壊れていくのか。」

 

そう言って笑うとエクセテスはその場から煙の様に姿を消すのだった。

 

 

 

 

物間のいる宇宙と隔絶された並行世界....そこには物語の中で作られたM78星雲が本当に存在していた。

 

光りに囲まれた星の中で"ウルトラの父とゾフィーとセブン....そしてウルトラマンゼロ"が話をしていた。

 

「急に呼び出して何の様だ親父?」

そう尋ねるゼロにセブンが告げる。

 

「これを見ろ。」

そう言って渡されたのはとある時空間から観測されたエネルギー波だ。

微弱だが特徴的なその波紋を見てゼロは驚く。

 

「これは....ベリアルのエネルギー波じゃねぇか!

アイツ、まだ生きてやがったのか!」

ベリアルはジードの活躍で完全に消滅させたと思っていたゼロにとってその真実は驚愕に値する内容だった。

 

その姿を見てセブンが諌める。

「落ち着けゼロ。

エネルギー波といっても微弱なものだ。

それこそ、"デビルスプリンター"を食らった怪獣かもしれん。」

「だったら、尚更早く見つけねぇと....ウルティメイトイージスを使って次元を越えれば直ぐに見つけられる筈だ。」

その言葉をゾフィーが否定する。

「ゼロ....それは不可能だ。」

「あ?俺に不可能はねぇ!」

 

ゼロはウルティメイトイージスを起動し時空に亀裂を入れようとするが入った亀裂から漏れ出したエネルギーに弾かれてしまう。

「うわっ!?....どう言うことだ?」

「この時空間は我々、ウルトラ戦士では突破できない。

....正確には我々の世界で時を長くした者は入ることすら出来ないのだ。」

 

「俺にも分かるように説明してくれ。」

「数ある並行世界の中で最も移動が困難なのは我々の存在が別の意味で認識されている空間だ。

"神や伝説"として残っている場所ならば問題はないがことこの時空間ではそうはいかないのだ。

 

ゼロ...この時空間では我々は"創作物...フィクション"として扱われてしまっている。

だからこそ、現実の我々の力の強さに空間が拒否反応を起こしてしまっているのだ。」

 

「なら、ベリアルはどうやってそんな世界に入り込めたんだよ。

俺でも弾かれちまうってんならベリアルなんて触れることすら出来ない筈だろ?」

「それは....分からん。

だが、少なくとも現状、我々ではこの空間に介入する手だては無いのだ。」

 

「マジかよ....でもよ。

だからって指加えて黙って見てることなんて出来ねぇぜ俺は」

「分かってるだからこそ、お前....いやお前達、"ウルティメイトフォース"の力を借りたい。」

 

「ウルティメイトフォースを?」

「そうだ。

彼等と共にコレの調査をして欲しいのだ。」

 

そうして、差し出されたのは赤と緑色の混ざった一つの鉱石だった。

 

「これは?」

「ベリアルのエネルギー波付近で発見された鉱石だ。

私達のデータベースではどこの星かまでは見つけられなかった。

だが、お前達なら新たな視点で場所を探せる筈だ。

その間に我々も何とかこの時空間に干渉出来ないかやってみる。」

 

「そう言うことなら分かったぜ。

早速、仲間に連絡する。」

ゼロはそう言うと光の国を離れ仲間の元へと向かうのだった。

 

 

 

 

怪獣博覧会では円谷がこれまで製作してきた怪獣のスーツや歴史が展示されていた。

じっくり見つめるとスーツにある劣化や傷が分かりそれがまた、僕達の心を刺激し興奮させていた。

 

「す....凄い。

やっぱり生で見る怪獣のスーツは迫力が違うなぁ。」

食い入る様に見る物間を他所に千鳥もロボット怪獣であるキングジョーを食い入る様に見つめていた。

 

「千鳥さんってキングジョーが推しだった?」

「そうですね。

ロボット怪獣としての基礎を確立した存在ですから.....」

 

「そうだよねぇ、半端な攻撃じゃビクともしない身体とパワー、分離合体も出来る怪獣なんてこの頃から考えればかなり挑戦していただろうしね。」

「はい。

.....それにキングジョーからは余計な心を感じなくて済みますし」

 

「余計な心?」

「生物は色んな感情を持ちますよね?

怒りや悲しみ、傲慢な考えも....でもキングジョーはペダン星人の命令であるセブンの破壊しか行わない。

 

そのシンプルさが....見てて楽と言うか....変ですよね?」

 

「うんまぁ....あんまり考えたことの無かったけど良いんじゃないかな?

怪獣に対して何を思って感じるかは僕達、見る手の自由なんだし」

物間の言葉を聞き千鳥は意外な顔をする。

 

「え?...気持ち悪いとか....思わないんですか?」

「そんな事、思わないよ。

僕達の趣味って普通の人からしたらめっちゃバカにされるじゃん?

自分の考えと合わないからってバカにするのはソイツらと同類になるし何よりそれを作り出している人に失礼だよ。

 

僕はそんな事はしたくない。

それに、千鳥さんもその考えを僕に押し付けようとは思わないでしょ?

なら良いじゃん。」

 

当然な顔をして言う物間に千鳥が驚いているとアナウンスが聞こえてくる。

 

 

「まもなく、特設シアターにて怪獣製作の歴史を放映致します。

ご観覧される方はB2フロアまでお越し下さい。」

 

「怪獣製作の歴史だって!?....そんなの面白いに決まってるじゃん!

千鳥さん!....行こう!」

「あっ、はい!....えっと...物間さん!」

 

テンションの上がった物間に連れられB2フロアに向かう二人....だが、二人は気づいていなかった。

アナウンスが聞こえた筈なのに動いているのが自分達、二人だけだと言うことに......

 

 

B2フロアに到着すると扉を開けて中に入る。

部屋の中は真っ暗で何も見えなかった。

「随分、暗いなぁ。」

「映画みたいに映すから暗いんじゃないですか?」

 

「そうかも....でも何も案内が無いと不安になるな。」

そんな会話をしていると辺りの景色が急に明るくなる。

 

余りの眩しさに二人は目を覆う。

少しずつ馴れてきて目を開けるとそこに広がっていたのは先程まで楽しんでいた博覧会では無く辺り一面何もない岩ばかりがある空間だった。

 

「ここ....は...」

「えっ?...」

二人が驚愕していると目の前にバイト先の店長が現れた。

 

「店長?...どうしてここに?」

「どうしてだと物間?

お前こそどういうつもりだ?

俺の彼女である千鳥ちゃんに手を出すなんてよぉ!

 

その言葉に驚いた物間は千鳥に目を向けるが千鳥は全く知らないと言った顔をしている。

「私と店長さんは付き合ってません!」

「え?どういうこと?」

 

そう話していると店長は頭を抱えだす。

 

「俺と千鳥ちゃんは将来を.....違う!...ずっと仲良くして.....可愛いなぁ....物間め!このクソ野郎がぁ!.....どっかでホテルに誘えないかなぁ。」

明らかに普通じゃない店長を見て二人は警戒するが彼の持っていたインジェクターを見て更に驚いた。

 

「えっ!店長!何処でそれを?」

あぁぁぁああぁあぁ!!...

うるせぇうるせぇ!!

お前ら全員、皆殺しにしてやる!」

 

店長が勢い良くインジェクターを投げると強烈な発光が起きて中から巨大な怪獣が現れた。

 

「あれって!?」

「"超獣....ベロクロン"。」

 

急に目の前に現れたベロクロンに向かって店長が命令する。

「あの二人を殺せ!」

 

ベロクロンはその言葉に従う様に二人を睨み付けた。

 

物間はバックに閉まっていたモンスギアに触れる。

(ダメだ!千鳥さんの前で怪獣なんて出したら......

でもこのままじゃ二人とも!?)

 

そうして、葛藤していると千鳥が物間の前に立つ。

「物間さん....私と怪獣博覧会に来てくれてありがとうございました。

お陰で....初めて人といて"楽しい"って....思えました。」

「千鳥さん?」

 

「だから私.....物間さんだけは助けます。」

千鳥はそう言うとモンスギアを取り出しインジェクターを装填した。

 

(千鳥さんもモンスギアを!?)

 

「お願い...."キングジョー"。

私達を助けて」

 

そう願いながら千鳥はモンスギアをベロクロンに向けると一つの光が放たれそこから金色のロボット怪獣...."キングジョー"が姿を現した。

 

両腕を上げて独特なポーズを行うとベロクロンの顔を殴り付けた。

凄まじいパワーによりベロクロンは吹き飛ばされる。

 

「このまま、ベロクロンをやっつけてキングジョー!」

 

キングジョーは千鳥の命令を聞きゆっくりと倒れたベロクロンに近付いていく。

だが、悠然と歩くキングジョーの背中を数多のミサイルが直撃すると地面に倒れ付してしまった。

 

「どうして!?」

 

驚いて背後を見るとそこには"超獣バキシム"が空間をガラスの様に割り手に搭載されたミサイルを此方に向けていた。

 

「バキシムもいるのかよ。

一体どうなってるんだ?」

 

バキシムは地面に降り立つとベロクロンと共にキングジョーに向かって行く。

二体に挟まれながらの戦闘は厳しくキングジョーは反撃できずにやられっぱなしとなっていた。

 

「そんな....頑張ってキングジョー!」

 

懇願する千鳥の声を聞き店長は笑う。

 

「ふふっ...無様だな!これも全部、俺をふったお前が悪いんだよ!

大体、良い年して特撮とか怪獣とかキモいんだよ!

ガキのおままごと何時までもやってんじゃねぇよ!」

 

その言葉を聞き今まで黙っていた物間はぶちギレた。

 

うるせぇんだよキモ親父!!

偉そうに上からもの語ってんじゃねぇよ!」

「あ?」

 

「自分の好きな物を好きでいて何が悪いんじゃ!

お前みたいに誰にも迷惑かけてねぇわ!

大体、そっちも良い年こいて年下の女性に鼻伸ばすんじゃねぇよ!

バイト中...ずーっとキモかったわ!」

「んだとこのクソガキ!

上等だ!先ずお前から殺してやるよ!」

 

「うるせぇ!さっきから黙ってりゃイイ気になりやがって.....もー我慢の限界だ!

お前のキモがってる怪獣の力、見せてやる!」

物間はバックからモンスギアを取り出すとインジェクターを装填した。

 

「物間さんも!?」

驚く千鳥を他所に物間は叫ぶ。

 

行けRコッヴ!お前の力を見せてやれ!

 

物間のモンスギアが光るとキングジョーを攻撃するバキシムにRコッヴは体当たりした。

奇襲により連携が崩れたことでベロクロンVSキングジョー、バキシムVSRコッヴの図式が出来上がる。

 

「千鳥さん....混乱してるとは思うけど今は目の前の敵を何とかするのが先決だ。

僕はバキシムをやるから千鳥さんはベロクロンを....」

「....はい!」

 

二人がアイコンタクトを交わしたのを見た店長は更に怒り狂う。

 

「ふざけんじゃねぇぞ見せつけやがって!

お前らっ!何してる!さっさと、二人を殺せぇ!」

 

店長の言葉を聞いた超獣達は目の前の怪獣に意識を再度向ける。

隔離された空間での戦いが今始まる。




【今回登場した怪獣】

「キングジョー」
皆、大好き金色のロボット怪獣。
初登場はウルトラマンセブン。
硬い、強い、遅いの三拍子が揃った名怪獣。

色々なバリエーションがあり、最近ではウルトラマンZで防衛軍が味方機として運用した。

因みに本作のキングジョーはペダン星人が千鳥の為に差し上げた一体となっている。
美女には宇宙人も敵わないこれ真理である。

「ベロクロン」
ウルトラマンAの第一話で登場した超獣。
手から光線、口から炎、背中からミサイルをぶっぱなす全身武器怪獣。
(作者のお気に入り怪獣の一体。)

サンゴと宇宙怪獣を合成して作られたらしいがその割りに背中のサンゴが柔らかそうなのはこれいかに?

「バキシム」
ウルトラマンAで登場した超獣。
空の窓ガラスを割って登場すると言う見せ場を与えられた優遇怪獣。
更には人間に化ける能力もあり知能も高かった。

手から炎、ミサイルを放つ。
こんなカッコいい見た目だが芋虫と合成された超獣。
怪獣酒場の漫画でのバキシムの回は面白いから個人的にオススメ。
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