怪獣の育成をヤプール人に頼まれたけどその目的がウルトラマンゼロを倒すとか無理ゲー過ぎる 作:多趣味の男
「ちょっと物間君、困るよちゃんとしてくれなきゃ」
バイト先の先輩が物間に小言を言う。
「はい、すいません先輩。」
「最近、弛んでるんじゃないのぉ?
僕が若い頃は.....」
この先輩は人に説教することが好きだ。
若い頃モテてただの要領が良かっただの自慢する説教が殆どだ。
だが、今回に関しては別の"用件"がありそっちに意識が向いてしまっている事は否めなかった。
モンスギアを渡された3日後の夜、連絡が入っていた。
モンスギアの液晶に「今夜、怪獣捕獲のルールをお教えします。」と書かれていたのだ。
それが楽しみすぎて寝られず今日は遅刻しかけてしまった。
するとツインテールの女子高生が部屋に入ってきた。
「失礼します。」
「あっ、
今日もバイトかい偉いねぇ、頑張ってね!」
良い年した
彼女の名前は
ここにバイトに来ている高校生だ。
真面目に働いて顔も良いから先輩も気に入っている。
「君も彼女のように頑張りなさいよ物間君。」
「はい、すいません。」
そう言うと物間は何時も通りバイトに勤しむのだった。
先輩から説教を受けていた物間だが実際に頭で考えていたことはバイトの事ではなく怪獣を捕獲する事だった。
(どうやって捕獲するんだろう?
このモンスインジェクターって呼ばれる試験管に怪獣を捕獲するわけだろ?
どう考えても僕一人で捕まえられる気がしないんだよなぁ....もしかして初回はリベルジュさんが助けてくれるのかな?....それともモンスギアに戦える機能があるとか?
"ジャンボット"とか"ウルトラマンZの特空機"みたいな物があるのかな?
.....あぁ、ヤバい楽しみすぎて眠気が全く来ないんだけど....大丈夫かな本物の怪獣見た瞬間、気絶しないようにしないと....エナジードリンク買っといた方が良いかな?)
そんな事を考えているとバイトが終わり先輩の何時もの説教を全力で聞き流し外に出ると急に時空が歪む感覚に襲われる。
気持ち悪さから目を瞑りゆっくり開けるとサイケデリックな色に包まれた空間だった。
そこにいるリベルジュが物真に話し掛ける。
「ようこそ、怪辻 物間君。
ではこれから君に怪獣捕獲の...」
「あ...ヤバいうぼぇぇぇ!」
「えっ!いやちょ!待っ....」
突如、招いた異次元空間で大量のゲボを吐いた物間にリベルジュは動揺する。
「すいません....暗い道からいきなり極彩色豊かな空間に連れてこられたせいで酔いました...」
「そうなの?人間って脆弱過ぎない?」
「大抵の人間ならここに運んでくるのは地獄だと思いますけど....あのどうにか背景だけでも落ち着けてくれませんか?
このままだとまた何かが出そうで....うっぷ。」
「ちょ!ちょっと待ってね!今変えるから...だからこれ以上ここを汚すのは止めてね!」
ヤプールにとってこの空間は自分の落ち着ける家のような空間であった。
だからこそ、これ以上人間のゲロで汚されることは避けたかった。
リベルジュは焦りながら手を開いて空間の色合いを調節していく。
そして、原作のウルトラマンAと対峙した赤くボヤけた様な色の空間へと変えた。
「ちょっと落ち着いた?"メトロン茶"あるけど飲む?」
リベルジュは空間に手を突っ込むと赤いパッケージに
「ありがとうございます.....プハッ!落ち着きました。」
物間は眼兎龍茶をゆっくりと飲み進めていく。
味はさっぱりしつつも味わい深い烏龍茶の様だった。
苦味も丁度良く、直ぐに飲み終わる。
「なっ....何かゴメンね。
まさか、吐く程この空間がツラいなんて思わなくて.....」
「いえ、こちらこそすいません。
ここって、リベルジュさんにとって家のような場所ですよね?
家に盛大に吐くなんて...後で掃除します。」
「いや、大丈夫だから....でも不思議だな。
過去にここに来た人間でそこまで酔った人はいなかった筈だけど?」
「その人物について聞いても良いですか?」
「あ、うん
成る程、"人間と融合したウルトラマン"を基準にしていたらそりゃ駄目ですわ。
「多分、その人は
多分、これでもヤバい人は酔うと思いますから....」
「そうなのか....ありがとう。
じゃあ、話を戻そう!今日は君に怪獣の捕獲方法について説明する。」
そう言うとリベルジュが異次元から装置を取り出すと起動した。
「それはなんですか?」
「モンスギアとモンスインジェクターの使い方を纏めた映像資料だ。
これを使えば説明の面倒もなく何度でも見返せるからな後でこの映像はモンスギアに転送しておくから復習したいのなら見直してくれ。
では始めるぞ。」
リベルジュがそう言うと装置が起動しプロジェクターの様に映像を投影し始めた。
そこにはウルトラマンゼロの宿敵でもある"カイザーベリアル"がモンスギアとインジェクターを持って堂々と映っていた。
「....は?」
余りの光景に物間は口から変な声が出る。
「俺の名はカイザーベリアル。
新生ベリアル帝国の皇帝にして光の国とウルトラマンを憎む者だ。
貴君らは我等の作り出した最高傑作であるモンスギアとモンスインジェクターの使用を許された者達だ。
今一度、自分達の立場を再確認して欲しい....では早速、モンスギアの使い方について説明し....」
「ちょっとストップ。」
物間が映像を止めるようにリベルジュにジェスチャーした。
「どうした?まだ冒頭しか進んでないぞ?」
「えーっと、ちょっと整理したいんですけどこの画面に映ってるのって"ベリアル"って言ってましたよね?」
「そんな馴れ馴れしく皇帝の名を呼ぶなっ!幹部に聞かれたら粛清されてしまうぞ!」
動揺するリベルジュの姿からこれがドッキリではなく真実なのだと理解する。
「因みに質問ですけど"ウルトラマンジード"ってもういます?」
「うっ!それも陛下の前では禁句だぞ!息子でありながらウルトラマンに憧れるなど許せん!とおっしゃって大変お怒りだったのだから...」
(うっわぁ、マジかぁ....死んでなかったのかぁベリアル、てかだとしたらどうやって生き残ったんだ?
ジードがいるってことは一騎討ちをした筈だからそこから更に何かしたのかな?)
そんな事を物真が考えているとリベルジュが映像を再生させた。
「では先ず、怪獣を捕獲する際の"やり方"を説明しよう。
空のモンスインジェクターをモンスギアに装填する。
そしてモンスギアから放てるビームを当てるんだ。
するとモンスギアにビームを当てた怪獣を捕獲する為の時間が表示される。
その時間が0:00になったら捕獲が行われモンスインジェクターに怪獣が転送される仕組みだ。
一度、捕獲すれば怪獣はお前に従順に従う、暴れさせたいなら好きなだけ暴れるしある程度の命令は遂行できるだろう。
怪獣を捕獲する際にかかる時間だがその怪獣の強さと体力に依存する。
強力な怪獣を捕まえたいなら一度、体力を減らす必要があるだろう。
次に、捕獲する際の注意点だがビームを当てただけじゃ捕獲できたことにはならない。
捕獲までの時間が残っているのに命令なんぞをしようとすれば返り討ちに遭うのは必須だ。
故に捕まえる時は気を付けるように....
最後にお前には怪獣を捕獲してもらうが一人では難しいだろう?
だからそこのヤプール人に一体の怪獣を貸し与えた...それを使って怪獣を捕まえてみろ。
これはゲームで言う"チュートリアル"の様なものだが失敗すれば死ぬことになる....折角力を手に入れたんだそれを使う前に死ぬようなみっともない真似だけは気を付けてくれよ?
では諸君らの健闘に期待する...」
そう言うと映像が止まった。
「と言うわけで物間、君にはこれから一人で自分の使役する怪獣を捕獲するためにとある場所へ行って貰う。」
「は?」
「安心しろ、そこは陛下が多数の次元を移動し集めてきた怪獣が放牧されている星だ。
ウルトラマンが来る心配も無い。」
「いやいや、いきなり過ぎるでしょう!
それにリベルジュさん来ないんですか?
カイザーベリアルだって言ってたじゃないですか!
リベルジュさんに怪獣が貸し与えられているって!」
「大丈夫大丈夫、モンスギアで連絡してくれれば怪獣を転送するから....アッ、ヤベもう時間が...」
「時間?どう言うことですか?」
「実は君以外にもモンスギアを渡している者達がいてね。
彼等にも同じ説明をしないと行けないんだよ。」
「だったら僕も含めてその人達を一ヶ所に集めてその映像見せれば良かったんじゃないですか?」
「......あ、確かにそうだね。
でもそれで予定組んじゃったし、変えるの面倒くさいからこのまま行くわ。」
「おい、コラ!何、面倒くさがってるんだ!
いきなり、そんな怪獣だらけの所に放り込まれたら死んじゃうかもしれないじゃないですか!」
「......まぁ、何とかなるよ。
それじゃあ、転送するから頑張ってくれよ怪辻物間。」
「あっ!ちょ!まだ話は終わって....」
物真がリベルジュに突っ掛かろうとすると物真の地面が突如無くなり落下した。
世に言うボッシュートのノリで.....
「ふざけんなぁぁぁ!コラぁぁぁぁぁぁ...」
そうして物間がこの空間からいなくなるとリベルジュは新たな者をこの時空に招いた。
「ようこそ、色草 千鳥君....君にはこれから怪獣捕獲の方法を.....」
リベルジュはこの説明をこれから何回もすることに疲れながらも新生ベリアル帝国の末席に座る者として仕事を完璧に行うのだった。