怪獣の育成をヤプール人に頼まれたけどその目的がウルトラマンゼロを倒すとか無理ゲー過ぎる   作:多趣味の男

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第六話 合成はロマン

家に帰宅した物間は風呂に入り寝巻きに着替えるとモンスギアを確認する。

そこには捕獲した怪獣の今の状態が映されていた。

 

「へーっ、コッヴって成長早いんだなぁ。」

同種を食い合わせる事で産まれたアルビノコッヴは身体を覆っていた白い身体が変色し固くなっていった。

確かコッヴのデザインイメージにはカブトムシだった筈なので変体もそれに属しているのだろう。

 

これならば朝になる頃には更に変化しているかもしれない。

物間は時計を確認した夜の22:00....明日はバイトもあるが悩む。

(コッヴの成長を見ていたいなぁ.....)

暫く考えた物間は決心するとバイト先の先輩に風邪を引いたので休むと連絡をするのだった。

 

 

次の日の早朝....何時もの物間なら起きることが出来なかったが今の物間にとって寝過ごすことは有り得なかった。

目覚ましよりも早く目を覚ますとモンスギアを手に取り画面を確認する。

コッヴの身体はサナギの様になり巨大な石のような形をしている。

それからずーっとモンスギアを眺めていると遂にサナギに亀裂が入り中から物間の見たことがあるコッヴが姿を現した。

 

「来たぁぁぁ!コッヴ爆誕!!」

物間は嬉しさからベッドの上を跳び跳ねる。

そして、モンスギアにインジェクターを付けるとヴァーサイトのインジェクターにいるコッヴを空のインジェクターへ移した。

家に帰ってからずっと、モンスギアを弄って中身を詳しく確認したお陰で使い方もある程度、理解することが出来た。

 

基本的にインジェクターへ保管できるのか一体だけらしい。

コッヴ幼獣を保管できたのはあくまでヴァーサイトの産み出す一部として認識されていたかららしい。

だけど、アルビノコッヴから完全な姿になる際、幼獣の要素が無くなるのでもしこのまま放置していた場合、インジェクターが破損する危険があるそうだ。

 

....わりと重要な情報だったがこれもリベルジュは説明していなかった。

「やっぱり、自分で色々と調べてみないと分からないなこれは....」

物間はそう言いながらこの後に試す"合成"について目を向けるのだった。

 

そう、このモンスギアには怪獣同士を掛け合わせて合成させる力があるらしい。

だが、それによって強くなるのかそれとも全く別の怪獣が産まれるのか...物間自身がモンスギアを調べても分からなかった。

 

だからこそ、それを確認するためにもリベルジュに頼んでいた物が自分の手に届くのを首を長くして待っているのだった。

 

バイトを仮病で休み家でリベルジュが来るのを待っていると空間にヒビが入り中からリベルジュが現れる。

「昨日ぶりだな。

約束の物を持ってきたぞ。」

そう言うとリベルジュは机の上に一本のインジェクターを置いた。

「これがお前の欲していた"レッドキング"が入ったインジェクターだ.....これを使って何をするんだ?」

 

「モンスギアにある合成の能力を使ってみようと思うんです。」

そう言うと物間は机に置かれたインジェクターをモンスギアに差し込んだ。

するとレッドキングのステータスが表示される。

 

『NAME (レッドキング)

 

(POWER)A(STAMINA)B

 

(DEFENSE)C(ABILITYアビリティ)E』

 

因みにコッヴのステータスはこんな感じだ。

 

『NAME (コッヴ)

 

(POWER)B (STAMINA)C

 

(DEFENSE)C(ABILITYアビリティ)B.....光弾』

 

流石はレッドキング、パワーに関しては文句無しのAランクである。

他のステータスもそこそこ高い、アビリティが低いのは脳筋故だろう。

 

代わりにコッヴはステータスはそこまで高いものはないがその分、オールマイティなステータスとなっている。

ガイアの初戦の相手としても相応しいステータスと言えるだろう。

 

「お前の持っているコッヴと合成させるのか?」

「はい、現段階ではこれ以上強くする手段もないでしょうし、それにコッヴはヴァーサイトを使えば時間はかかりますが量産できます。

なら、早めに合成について調べるためにも使うべきだも思ったんです。」

 

「成る程、ならば合成をやってみるか、

レッドキングとコッヴのインジェクターをモンスギアに装填しろ。」

リベルジュに言われた様にコッヴとレッドキングのインジェクターを装填する。

 

『2体の怪獣を確認しました.....合成を開始しますか?』

モンスギアがそう尋ねる。

物間は了承の意思を示すとモンスギアが動き出す。

『合成を開始します....終了までの時間は地球換算で、"1週間"です。』

 

「1週間もかかるのか。」

「異なる怪獣の細胞を合成し一つにするんだ。

それもこの小さな機械でな....それぐらいはかかるだろう。」

楽しみにしていたからか物間はあからさまに落胆する。

そうしているとリベルジュの開けたゲートから音が聞こえる。

「この音は何ですか?」

「どうやら帝国から連絡事項が来たみたいだ。」

 

そう言うとリベルジュはゲートから端末を取り出し中を確認する。

「何々...どうやら帝国の兵士がウルトラマンゼロに攻撃を仕掛けるらしい。」

「え?でも最終目標はウルトラマンゼロの打倒ですよね?」

「.....丁度良いかもな。

物間よこの戦い、観戦してみないか?」

 

「え?」

「ウルトラマンゼロの強さを知る上でも一度は見ていた方が良いだろう。」

確かにウルトラマンゼロは円盤(DVD)では何度も見ているが実際に見たことはない。

どれだけ強いのか見てみたいと言う好奇心があった。

「そうですね。

一度見てみたいです。」

「なら行こう....丁度、近くに観戦できる惑星もある。」

「分かりました。」

 

そう言うと物間はリベルジュに連れられてリベルジュの作り出したゲートの奥へと進んでいくのだった。

 

 

 

 

新生ベリアル帝国の栄えある兵士であるフック星人は意気揚々とウルトラマンゼロのいる惑星ダルタリオンへと宇宙船に乗って現れた。

 

「俺がウルトラマンゼロを倒せば幹部として昇格される....ふっふっふ、遂に俺にも運が向いてきたぞぉ!」

そう言うフック星人の乗る宇宙船にはベリアル陛下の配下から与えられた怪獣を乗せた"複数のポット"が置かれている。

縮小光線のかけられているポットに手を触れる。

 

「まさか、こんなに強い怪獣を下さるとは....いける!いけるぞぉぉぉ!」

 

そんな風に言っていると宇宙船がウルトラマンゼロを補足する。

「見つけたぞぉ!さぁ行け最強の怪獣達よ!

ウルトラマンゼロを倒すのだぁ!」

フック星人は宇宙船を操作してポットを地面に落下させる。

 

落下したポットが地面に到着すると凄まじい光を上げて怪獣が現れた。

"暴君怪獣タイラント"、"岩石怪獣サドラ"、"宇宙怪獣エレキング"の三体がウルトラマンゼロを睨み付ける。

 

「あ?どうしてこんなところに怪獣が現れるんだ?」

ゼロはその光景を見て不思議がりながらも構える。

「行けぇぇ!ゼロを倒せぇぇ!」

フック星人の声と共に三体がゼロに襲いかかる。

 

サドラの攻撃を回避するとゼロスラッガーを外し両手のハサミを切断するとエメリウムスラッシュを胸部に当てることでサドラは爆発する。

 

そして、"ストロングコロナ"へとタイプチェンジするとガルネイトバスターをエレキングに放つ。

エレキングは放電攻撃でガルネイトバスターを止めようとするが全く止められず攻撃を頭部に受けて首が無くなり爆発する。

 

残ったタイラントは"ルナミラクル"へとタイプチェンジしてウルトラゼロランスを取り出すとそこからビームを発しそれに当たったタイラントが時空の狭間へと消し飛ばされた。

 

「.......は?」

三体の強力な怪獣が数秒も持たずにゼロに倒されたのを見てフック星人は自分の目を疑った。

だが、現実は変わらない。

「てめぇか?俺に怪獣をけしかけてきたのは....」

 

「やっ、ヤバイ!」

そう言って逃げようと宇宙船を操作するがゼロが放ったスラッガーが当たり宇宙船が爆発四散した。

 

総バトル時間、20秒足らずの戦いを別の惑星から見ていた物間は絶句する。

「.....は?タイラントとサドラとエレキング相手にして秒殺?

何なのこのウルトラマン...チートやんチートラマンじゃん!」

そう言えばゼロが苦戦しているのってラスボスクラスの敵か弱体化しているか制限のある戦いだけだった。

 

体調万全のウルトラマンゼロの戦闘力を見た物間は余りのヤバさに頭を抱えてしまう。

(これはもう強い怪獣を作れば良いとかそう言う問題じゃない。

断言できる仮にこのモンスギアで邪神クラスの怪獣を作れたとしてもゼロは倒せない。)

 

その理由の一つがゼロの持つタイプチェンジである。

ウルトラマンダイナとウルトラマンコスモスの力を受け継いで手に入れた力。

ストロングコロナとルナミラクル....コイツらがヤバい。

二人のウルトラマンのタイプチェンジの長所を持ち技も強力、そしてウルトラブレスレットと併用した技も使える。

さっき放ったルナミラクルの技は恐らくウルトラマンダイナのミラクルタイプの"レボリュームウェーブ"に似た技だろう。

 

敵を異次元送りにして細胞レベルまで分解する....そんな技を平然と繰り出せるのである。

重ねて言うがこれはゼロの持つ力の一部であって切り札と呼ぶ程の力ではない。

そんな力ですら頭がおかしい位に強いのだ。

 

今の物間の手持ちの怪獣で戦っても勝ち目はゼロ...と言うか秒殺される未来しか見えなかった。

 

リベルジュも余りの強さから若干引いていた。

「改めて見ても凄まじい強さだなウルトラマンゼロは.....」

「そうですね。

ぶっちゃけ、普通に戦っても勝ち目は無さそうですよね?

倒せるビジョンが欠片も浮かばないんですけど....」

 

「だからこそ、このモンスギアがあるのだ!怪獣を合成し続ければいつかはゼロを越える怪獣が....」

「断言します"二万年"かけても無理です。

そもそも今のゼロを倒すのってぶっちゃけベリアル陛下の直属の部下でも無理だと思いますよ。

だからこそ、僕たちを使おうとしてるんじゃないですか?」

 

「何か方法があるのか?

ウルトラマンゼロを倒せる方法が...」

 

「どうでしょうか?でもそれを実行しようにも怪獣が少な過ぎます。

この難題をクリアする怪獣が.....」

「先ずはウルトラマンゼロを足止め出来る怪獣....それと次元を越えて移動できる怪獣も必要です。」

 

「つまりはその怪獣があればゼロを倒せると?」

「倒せると言うよりも弱体化に近いでしょうが...現状のウルトラマンゼロにはどう足掻いても勝てません。

なら、少しでも今より弱くする方法を試すだけです。」

「そうか....言い忘れていたが今後の怪獣捕獲はカルカスではなく別時空に向かい捕獲して貰う。」

 

「それってどういう事ですか?」

「君達に分かるように言うのなら原作介入を行いその時間に飛んで怪獣を捕獲すると言うことだ。」

「そんなこと可能なんですか?

それってつまりタイムトラベルですよね?

怪獣でもないのにそんな力が....」

 

「ある...と言うより"私が使えるからな"。」

「は?....へ?」

余りにも予想外の答えに物間の思考は止まる。

「簡単に言えば私の扱う異次元移動の能力は他のヤプール人と違い時間に干渉する力があるのだ。

栞のように歴史と言う本に挟み込むことで過去で活動することが出来る...まぁ制約もあるがな。」

 

「でもそれって過去を変えられるって事じゃないですか?

そんな凄い能力があるんですか。」

「まぁ、詳しい事は追々、説明されるだろう。

ここでの用事も終えた...帰ることにしよう。」

 

そう言うとリベルジュはゲートを使い物間と共にその惑星から姿を消すのだった。




物真が新たに獲得した怪獣....

《???》
レッドキングとコッヴを使い作られた合成怪獣。
完成には1週間を要する。

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