旧き世界で貴方と共に   作:デュアン

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決戦!!地球の攻防戦!!(前編)

「ワープアウト完了、落伍艦無し。現在位置、地球より96万キロメートル」

「第一段階は成功か……敵影は?」

「前方2時の方向、小型艦18」

「敵艦隊に高エネルギー反応確認」

 

 地球圏。地球連邦の鼻先に現れたのは漆黒の艦隊──地球侵攻軍"黒色艦隊"。

 戦力としてはプレアデス級攻勢型戦艦『ガリアデス』を旗艦とし、その他にプレアデス級3隻、アトラクター級巨大空母5隻、ポラリス級巡洋艦62隻、ヒアデス級護衛艦168隻。それに加えてグロータス准将率いるゴルバ5隻と地上制圧部隊としてタイゲタ級大型輸送艦等の揚陸艦隊が追随する。

 

「敵艦隊、波動砲を発射……二番艦に命中、損傷無し」

「良し。敵砲弾を十分に警戒しつつ攻撃せよ」

 

 ワープアウトした黒色艦隊にまず接近したのは小型艦の小規模艦隊──無人迎撃システムフリゲート『エイジャックス』18隻。

 無人迎撃システム、通称"無人艦隊"は地球圏防衛の為に建造されたシステムである。ガミラス戦役にて総人口の六割を失い、ガトランティス戦役でも少なくない戦力を失った地球にとって人員不足は急務の課題であった。

 そこで考案されたのが無人艦隊である。これは通常艦艇の代替というよりかは地球防衛用、要するに戦闘衛星の代替品なのだ。事実アンドロメダからもたらされた技術をもってしても未だ完全無人運用技術は実用化出来ておらず単なる遠隔運用されるだけのラジコン艦であり、通常戦力を代替するまでには至らないであろうという判断であった。

 

 さて、彼女らは黒色艦隊を見つけるや否や波動砲のチャージを開始し、発射する。しかし通常ならば必殺の一撃になる筈のそれはゴルバの巨体に完璧に受け止められる。

 その後無人艦らしい軽快な機動で突撃しショックカノンやミサイルによる攻撃を開始するものの、そもそも多勢に無勢。彼女らは大した被害も与えられずに全滅する。

 

「敵艦隊全滅」

「ふむ、順調だな」

 

 侵攻軍総司令であるカザンはガリアデス艦橋にて頬杖をつきながら呟く。

 

「重核子爆弾及び揚陸部隊、地球へ降下せよ」

 

 その指示と共に揚陸艦、輸送艦、そして()()()()()が護衛艦を伴って大気圏へと突入していく。

 道中にて残されていた戦闘衛星による攻撃が加えられるものの、所詮は代替案が出てくる程度の物。瞬時に蹴散らされ部隊は地球連邦首都であるメガロポリス直上へと辿り着く。そこでもビル屋上などに設置された対空砲やミサイルによる迎撃が加えられるが、極めて散発的なものであり痛撃を与えるには至らない。

 やがて重核子爆弾はビル群を圧し潰しながら着陸。輸送艦からも次々と爆撃機や三脚戦車、兵が放出され街を攻撃していく──

 

 

「……静か過ぎる」

 

 プレアデス級攻勢型戦艦『アリエス』艦橋にて黒色艦隊第一分艦隊司令のミヨーズはそう呟く。

 

重核子爆弾(ハリボテ)を恐れている、という事であればいいのだが……」

 

 以前の侵攻にて地球侵攻作戦の要であった重核子爆弾はアンドロメダの特攻により破壊された。そして重核子爆弾は量産出来る代物ではなく、新たな物を作るには半年は必要とした。

 しかしながら、一隻で50隻もの艦艇を道連れに出来る国家相手に300隻程度の艦隊では心もとない。

 そこで総司令たるカザンは苦肉の策としてガワだけを再現したハリボテを用意した。ワープ機能だけある単なるデカブツ。しかし先日の攻撃で一応その効果を確認しているであろう地球相手ならば脅しの策程度にはなるだろう──

 

 そして今、地球側の迎撃行動は随分と消極的だ。

 本土防衛用とは到底思えない小規模艦隊による攻撃、戦闘衛星による迎撃、地上防衛システムによる散発的な攻撃……事前調査により敵艦隊本隊がタイタン基地に居る事を加味してもあまりにも消極的であった。

 

「カザン総司令より通信。第一、第二分艦隊は敵首都直上にて待機せよ、との事です」

「了解したと伝えろ」

 

 やがて作戦は第二段階に移る。

 第一段階は揚陸部隊による電撃的な首都占領、第二段階は艦隊による上空封鎖による圧力だ。それを遂行する為にミヨーズ率いる艦隊は地球へと接近する。

 

「地上軍の被害状況は」

「敵対空砲により物のみで非常に軽微です」

「そうか……」

 

 ミヨーズは口に手を当てて考え込む。

 明らかに迎撃行動に覇気がなさすぎる。今攻撃されているのは敵の首都だ。その人口は数百、数千万にも及ぶ筈。今頃我々の攻撃によって数多の民間人が──

 

 

「──まさか」

 

 

「楽勝ですね。まさか殆ど迎撃を寄越してこないとはとんだ腰抜け国家だ」

「無駄口を叩くな。兎に角任務を遂行しろ」

「はっ」

 

 ジェットパックによって地上へ降下したとある兵は、上官とそんな軽口を叩く。

 地上へ降下した戦力に求められた任務は主に三種類。軍事施設の無力化、政治中枢の掌握、そして民間人への攻撃による威圧であり、彼らが課せられたのは三つ目である。

 そして彼らに割り当てられた地域には丁度透明チューブによる公共交通機関の駅があり、チューブ・カーも停まっていた。

 

「アレをやるぞ」

「了解」

 

 兵士達は銃を構え、チューブ・カーの天井に乗り移る。

 そして車内に向けて乱射し、暫くしてから内部を覗く。そこにあったのは撃たれ泣き喚く人々の姿──

 

「「……は?」」

 

──などは一切無く、ただ破壊された椅子と床があるのみ。

 いわば完全なる、"もぬけの殻"。そして。

 

「なっ──」

 

 次の瞬間には彼の視界は光と熱に包まれる。仕掛けられていた爆弾が爆発したのだ。

 

 そんな光景が都市の至る所で──否、侵攻軍が攻撃した()()()()()()()で見られていた。

 地球の民間人はおろか、軍人すらいない。遠隔制御された艦隊、遠隔制御された衛星、遠隔制御された対空砲、そして原始的なブービートラップ。

 今、この星で流された血は全てデザリアム人の物だった。

 

 

「……マズイ、ガリアデスに繋げろ!」

 

 その光景は当然上空で待機していた艦隊からも見えており、そんな中いち早く行動したのはミヨーズであった。

 誰も居ない都市、仕掛けられたトラップ。彼は血相を変えて叫ぶ。

 

「これは罠だ!!」

 

 だが、彼のその行動は少し遅かった。

 

「三時の方向、何者かが海中から出てこようとしております」

「クソッ!!」

 

 観測員の報告。

 その海がモニターに映し出された直後、海面に大きな水柱が立ち、そこから黒い影が飛び出してくる。

 そしてその姿は、彼らがよく知っている物だった。

 

──その艦はかつて、たった一隻で果てしない旅に出た。

 目指すは遠く14万8000光年の彼方、立ちはだかるは強大な敵、ガミラス。

 その戦艦は阻む敵を次々と打ち倒し、やがて救いの手を伴って帰還する。

 滅びかけた星が放った、水上艦の面影を十分に残した一本の矢。そして彼女は、デザリアムにとっても因縁の相手。その名も──

 

 

「──ヤマト!!」

 

 

 次の瞬間、ヤマトの両脇に二本の水柱が立ちそこから一隻の空母とフリゲートが現れる。

 宇宙戦艦ヤマト、あまぎ型戦闘空母『あまぎ』、ゆうなぎ型パトロール艦『はるかぜ』──以前イスカンダルにてデザリアム艦隊を殲滅した『第七航空戦隊』が今、海中から現れた。

 

「迎撃を、ッ!!」

 

 ミヨーズが指示を出すよりも早く、三隻から一斉に砲撃が加えられる。

 はるかぜはフリゲート特有の軽快な機動力によって敵を攪乱し、あまぎとヤマトは砲撃と突撃をしつつ艦載機を発艦させる。よく訓練された精鋭航空隊は大気圏内かつ移動中での発艦という難しい任務も恙なくこなし、即座に全機が展開され艦隊を囲みながらデザリアム艦隊へと突入していく。

 

 ショックカノンが護衛艦や巡洋艦を砕き、あるいは貫いていく中、ミヨーズは何とか態勢を立て直さんと指示を出す。

 

「敵艦に肉薄し砲撃を浴びせ続けろ! 奴等のバリアーも無限ではない! カザン総司令は──」

 

 と、彼が上空を見上げた、その時だった。

 

「ッ……!?」

 

 上空にて待機するゴルバ、その奥にて何か青白い閃光が無数に現れ、それらが更に無数の細い閃光へと()()()()

 直後、そこは幾多の爆発に包まれる。そしてそこには、ミヨーズの艦隊と分かれた黒色艦隊の本隊が居る筈だった──

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