俺の待ってた非日常と違う   作:陣陽

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はい、虚ちゃん『お土産』だよ。『スタッフ』は向かわせておいたから。そうしないとディナーには間に合いそうにないし。こっちは当主様に渡してね…なんか、僕達会うたびに冷ややかな目で見られるから怖くてたまらないんだ…外様ってのは辛いねぇ…」
「ここまでとは、流石は『番狢』です…楯無様は譜代も外様も分け隔てなく接しておられます…お二人に楯無様が特別な態度を取られるのは…」
「そう、ロリコンだったの一郎さん…コレはオシオキが必要ね…」
「おいおいすみれちゃん、僕はキミに操を立てているんだ、そういうガセは止めてくれないか…無能だからだろ虚ちゃん」
「お二人が無能なら…私たちは何になってしまうんです!?」
「みんな僕達より優秀だよ、虚ちゃん…僕達は皆より無能だけど、ちょっとだけ『お人よし』なんだ。『お人よし』だから人の欲しいものが分かる。『お人よし』だから隠しておきたい秘密が分かる、『お人よし』だからこそ癒して欲しい痛みが分かる」
「そして『お人よし』だから誰彼構わず教えたくなる…自重はしてるんだけど、どうにもいけないわね…では、野ノ原一郎、及びすみれは猿取権太郎、その妻あやめの護衛に戻ります」
「…野ノ原様、楯無様からお約束のものを預かってまいりました…もし、楯無様が拒まれていたら如何なされるおつもりだったのです?」
「確かに、受け取りました…『3年前』と同じように行動していましたよ。ああ、今のはオフレコでお願いしますね…おお!凄いですねIS学園は。ああやって他校の生徒が殴りこみに来るんですか!改造バイクと長ランで木刀背負ったヤンキーが押しかけてきた高校時代を思い出しますよ」
「いえ!あれは…申し訳ございません!戻らせていただきます!」
「お構いなく…しかし残念ね、今の砲撃の余波で残ってた桜は全て散っちゃったわ」
「『明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは』…さ。モノレールに乗ってさっさと帰ろう、シスターも向こうで退屈されているはずだしね」
「そう?レゾナンスでお買い物の真っ最中のはずよ。『ジャパンのお菓子もオモチャも安くて安全高品質ですね』って目を爛々とさせていたもの」
「…まさに蜘蛛は母性の象徴だね…」



隙間無き鎧は 魂の住処を示すため 虹色の盾は 魂の寄る辺を護りきるため

「ここまでとはな…いや、1年の専用機持ちがほぼ全員揃うんだ、コレだけ溢れるのも当たり前か…」

 

開場前の第3アリーナ、1年から3年までの生徒たちが長蛇の列を作っている。自身でISを操るだけではなく見学するだけでも後学になる、そもそもISの試合ほどの娯楽はない、などの理由で試合の観戦希望者は後を絶たず、入学初日に茨が行った試験ですら6割方席は埋まっていた。ましてやクラス代表戦だ、立ち見の客すら出るのも不思議ではない。

 

「出遅れたわね…これは…別のアリーナの…観覧席に…行ったほうが…楽かしら…」

 

私の後で列に並んだ簪さんはゲンナリとした表情を隠そうとしない。第1、第2アリーナの超巨大スクリーンで見たほうが確かにゆっくり出来そうだ。

 

「まあ、例え立ち見であっても実際に目で見たい、と思うのは人の情さ…ん?どうしたんです山田先生?」

「ああ…天の差配ですね…篠ノ之さん…更識さん…ぜひお力を貸してください…」

 

ふと視線を後ろに向けると、憔悴した山田先生がそこに居た。

 

「アリーナのお仕事…織斑先生が多忙で…私だけでは…」

 

山田先生は瞳を潤ませながら私の手を握ってくる。

 

「「もちろんです、私たちでよければ是非」」

 

 

…楽に席が取れるかも、といった邪な気持ちがあったことは否定しない。

 

 

 

「…凄いですね更識さん!先生なんか比較にならない速度です!」

「そんな…照れくさい…です…」

 

私たちはアリーナ最後列、VIPルームそばの情報処理室で試合を観戦しつつデータ入力を行っていた。簪さんはいつもの口調はそのままに、息を呑むほどの速度でキーボードを叩いている…山田先生の処理速度が遅いだけなのでは?と一瞬でも考えてしまった自分が恥ずかしい。

 

(…ふむ、随分と凰は苛立っているな…攻撃が雑になっている…)

 

かく言う私は先程、山田先生と共に来賓へのお茶出しを行っていた。簪さんと比べる向きもあるだろうが労働に貴賎は無い。鼻の下を伸ばした男が山田先生と私の胸をチラチラ見比べていたのも笑って許してやろう…山田先生と私は7歳の差があるのだ!余りデカイのが嫌いな異性だって居るのだ!…一夏が華奢な体系やデカ過ぎるのが好みだとは思いたくない。

 

「上空から高熱源反応!敵襲!?」

「遮断シールド…レベル4に改変…!クラッキング…!?」

 

…そんな呑気なことを考えていられていたのも、そこまでだった。

 

「一夏、鈴は回収した!ピットの通路に置いたらすぐ戻る!…ホレ、盾代わりの撹乱幕だ!」

「おう!…お前の相手はこっちだぜ、乱入野郎!」

「あら、わたくしも花をそえさせて頂きますわ!」

『Baaaa…!』

 

俺とオルコットさんはシールドエネルギーをごっそり削られた鈴と、さほど消耗していない一夏を援護すべくそれぞれアリーナへとエントリーしていた。鈴の近くに居る俺は鈴をかっさらうと『ダブルダウン』から撹乱膜の煙幕弾を放ちながら後退する…暴れるなよ鈴、白馬の王子様じゃあないことは重々承知してる。

 

『Daaaaaaa!!!』

「は、離しなさいよアホ茨!まだ一夏との決着は…」

「水入りだよそんなもん!…クソ!あのビーム撹乱幕を貫通しやがった!『スターライトMk.Ⅲ』以上だぜ、あれは!注意しろよ一夏、オルコットさん!」

「「了解!」」

「ほい到着…こら、暴れるな少し休んでろ!」

 

アリーナに乱入してきた『何か』は、鈴を狙い打ちにする算段なんだろう、こちらにばかり狙いを定めてくる…鈴を担いだ俺はビームを紙一重でかわすとピットに通じる通路に突っ込み、鈴を横たえるとアリーナに舞い戻らんとする鈴を叱り付けるように声を荒げた。

 

「中2の時、熱っぽかったのに運動会でハッスルして風邪こじらせたの忘れたのかよ!?家で安静にしてろって言われてて俺や弾がプリント持って来た時はふんぞり返って強がってて、後から一夏が顔出したら思いっきり咳き込んで『もうダメ、死にそう…』って猫被ったなオードリー!」

「何いきなり人の過去をほじくりだしてるわけ!?後オードリーとか呼ぶのはあれほど止めろって言ったでしょアホ茨!」

「…ああ思い出した。はじめて一夏と一緒にお前んちへ遊びに行ってラーメンご馳走になった時の事!口つける前に胡椒振ったらグーで殴りやがったな!お前その後自分のお母さんにゲンコツされてマジ泣きしやがって!まさか食うわけにもいけないし泣き止むまで待ってたら思いっきり麺が伸びちまってた!それでも美味いんだから本物はマジパねえよな!!」

「…何よ!!一体何が言いたいのよ!?」

 

眼を白黒させながらこっちに噛み付いてくる鈴に苦笑いを浮かべながら俺は言葉を返した。やっと俺らの知ってる鈴になったな…まあ、俺の表情は見えないが伝わるだろう。

 

「たった2年関わった外野の俺でさえコレだけ思い出があるんだ。一夏とはスィートでハートフルな思い出があるんだろ?…だったら命を粗末にするのは止めろ。『死んで花火が鳴るものか』って言うだろ?お前たちの『デート』を台無しにした馬鹿野郎は焼けた中華ナベの中で土下座させてやる」

「…『死んで花実が咲くものか』でしょアホ茨!中国人のあたしに指摘されてどうすんのよ?…まあ、煮ても焼いても食えそうにないけど楽しみに待ってるわ」

「おう、楽しみに待ってなよアイアンシェフ!じゃあ行ってくるわ」

 

 

…大丈夫だ、怖くない…大丈夫だ、いつものように戦える…

 

 

 

「侵食速度が尋常じゃないです!優先度が第1の物理障壁が展開不能だなんて!?天井に再作成されたバリアだけでも解除できれば援軍も呼べるのに!」

「アンチウィルス…非常用ワクチンソフト…効果どころか反応すらしない…!?せめて非常用ゲートだけでも…開放できれば…コアネットワークは健在だけど…それだけじゃ…」

 

情報処理室の山田先生と簪さんはクラッキングを受け、掌握された第3アリーナを何とかして復旧し、再掌握しようと悪戦苦闘を続けている…門外漢のこの身が恨めしい。不幸中の幸いといえば観客保護用のバリアが健在という所だが…

 

『なんでミサイルもマシンガンも使わないんだよ茨!…っぶねえ、このままじゃ押し切られる!』

『『観客席に流れ弾が行ったら事だから使うな』ってアラームが鳴ってるんだよ!…クソ、なんて硬さだよこの装甲も皮膜装甲(スキン・バリアー)も!『キノ・チケット』じゃ歯が立たないし散弾(ショットシェル)の『ジャックポット』じゃ火力が足りない!!』

『こちらも『スターライトMk.Ⅲ』に制限がかけられました!ビットだけでは如何とも…』

 

敵はただ1体、全身装甲(フルスキン)の2メートルを超える異形の機体だ。確かに腕から放たれるビームや爪は脅威だが、動き自体は明らかに3人より下だ。だが…アリーナの窮状がISの方にもコアネットワークを通じて届いたのだろう、この間の試合の時よりも明らかに動きが硬くなっている。

 

…私にもISがあれば…

 

「箒さん…アリーナの皆に…オペレートをお願い…このままじゃ…勝てる相手に…負けてしまう…」

「そうですね篠ノ之さん、私たちはこちらの復旧に専念します!…大丈夫、火器のロックは天井方向になら発動しません!そういう風に誘導すれば勝機は十分にあります!もし被害が客席に及べば…」

「分かりました!…『聞こえるか一夏、茨、セシリア!敵は動き自体はお前たちよりはるかに悪い!アリーナの天井のバリア方向に撃つ形なら火器のロックはかからないとの山田先生からのアドバイスだ!茨、敵に思い切り接近して攻撃し注意をひきつけろ!セシリアはビットを包囲する形で展開、茨の背後から狙撃しろ!消耗している一夏は後方に退避し一度息を整えて、敵後方に回り込みながら一気に畳み掛けろ!山田先生と簪さんが復旧作業を行っている、物理障壁が降下するまでの辛抱だ!』」

『了解!…おおホントだロックが解けた!一夏、下ごしらえは任しておけ!』

『あら、わたくしもささやかですがアシストさせていただきますわ…お客様、サラダとフライどちらに調理されるのがよろしくて!?』

『すまない、2人とも…サンキュー、箒!』

『Da!Da!Da!』

 

いつものノンビリとした雰囲気とは一転し、キーボードを簪さんに負けず劣らずの速度で入力している山田先生の緊張感に満ちた言葉に私はオペレート用のヘッドセットをかけ、指示を飛ばす。先程とは比較にならないほど動きは鋭くなり、敵は翻弄されていく…そうだ皆、それしきの敵に、不意打ちだまし討ちしか出来ない卑怯者に勝てずしてなんとする!

 

「100点満点です篠ノ之さん!こっちは…援軍!?校外からクラックに利用されている通信網の一部遮断、及び汚染されていない処理領域が提供されています!」

「『君は一人じゃない』…ただそれだけね…添付されているメッセージ…山田先生…物理障壁降下させます…!」

 

『があっ…!??』

『BaaaBu…!!』

 

…油断があったことは否定しない。『こちらは狙われるはずが無い』そんな侮りが有ったことも否定しない。闖入者が切り結ぶ『アンカー・スチーム』を殴り飛ばすと距離を離し、こちらを見据えビームの発射口を向けた…私たち3人は光の奔流に飲まれ、蒸発していたかもしれない。

 

 

 

 

『…俺らの大切な人を手にかけようとか本気で死にたいみたいだな、デクノボー!『覚悟しろ』なんていわねー、泣いて喚いて地獄に落ちろ!!!』

 

 

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)で私たちの間に割って入り、虹色の沢山の六角形で構成された盾(プリズム)を構えた茨…『アンカー・スチーム』が居なければ。

 

 

 

 

…骨はこれ以上無いくらい冷たく、血はこれ以上無いくらい煮えたぎっている。今なら神様とだって戦えそうだ。

「すげぇ!そいつが茨の第三世代武装か!」

「…『武装』じゃなく『装備』だと。コイツ自体には攻撃力は無い…っと!」

 

新たに流れ込んでくる情報に頭をくらくらさせつつ、敵…木偶だ、木偶でいい…のビームを『プリズム』で弾きながら俺は一夏に言葉を続ける…いや、俺の頭の中の情報を整理するためにも声に出さなきゃいけない。

 

「ISの皮膜装甲(スキン・バリアー)は当たったら削れちまうだろ!だから当たる前に捻じ曲げてしまうっ…木偶が、ウザいんだよ!…ただし最大角度は90度、きちんと弾く角度を見極めないと大惨事ってわけ…のぉっ…!!」

『Abaaa…』

 

まあ、そこいらもきちんと演算してくれるAOAのFCS様様だ。弾いたビームは全て天井のバリアーに突き刺さっている。ゲスジジイにはあとで缶コーヒーでもおごってやろう…現状問題なのは『プリズム』の制御の為に左手が完全に塞がってしまっていることだ。ミサイルのロックはできるが、近接戦を挑んでいる現状では近すぎて爆風に巻き込まれかねない。

 

「…あら、じゃあこういう使い方もお出来になりまして?…やはりメイドインアメリカ、無駄に頑丈で応用が利きますわね」

「…っと!流石狙撃のイギリスだ!どうだいデクノボー、セシリアのありったけを喰らった気分は!?」

『Ngyaaaa!!!!』

 

俺の左側に位置を移していたセシリアの『スターライトMk.Ⅲ』とビットの射撃が同時に『プリズム』に突き刺さり、それは捻じ曲がって木偶の土手っ腹に直撃した…ん?

 

(-パックの使用を提案します-…?何でも良い、使えるものは何でも使ってくれ、相棒!)

 

その意思を汲んだのだろう、『プリズム』はバラバラに解れて木偶を取り囲む。木偶は脆くなったと思ったのだろうか、その一つを狙い撃ちし…

 

『BaaaAa!!!…Daa!!!』

 

いくつかの板に弾かれた後、真後ろから自分のビームを味わった。続けてビットが、『スターライトMk.Ⅲ』が板を狙い撃ち、弾かれたエネルギー弾は正確に木偶の頭部に当てていく…成程、確かに『パック』(包)だ、木偶にとっては牢獄(プリズン)だろうけどな!

 

「待たせた茨、セシリア!…よくも鈴を傷つけたな!!!」

 

頭を抑えてもがく木偶の後方から一夏は瞬時加速(イグニッション・ブースト)で一気に間合いをつめ…ん!?何だあの光の剣?

 

『あれは…『零落白夜』!?先輩の単一能力(ワンオフ・アビリティー)…』

 

山田先生の呟きとほぼ同時、『白式』の光の剣は逆袈裟に木偶を切り裂いていた。下半身と上半身は生き別れとなる…ああ、コイツ本当に無人機だったんだ。コードやらチューブやらオイルやらが断面から溢れていった。もし人間だとしたら絶対防御が発動して闖入者は無様な姿を晒していただろう…

 

-敵のISの再起動を確認、ロックを受けています-

 

そう、人間なら出来ないようなバンザイアタックだって機械にはできる。どうやら木偶は一番近い俺を巻き込む気満々のようだ。

(マズい、『プリズム』を手もとに戻すには間に合わない!しょうがない、皮膜装甲(スキン・バリアー)と全身装甲(フルスキン)を信じるか!もってくれ相棒…!)

体を硬くし衝撃に備える…瞳をつぶってしまったのは後にして思えば失策だった。

 

 

「何ビビってるのよアホ茨。あたしにも一撃入れさせなさいよ!」

 

 

慌てて目を開けると木偶はアリーナの外壁に衝撃波で吹き飛ばされ、段平で縫い付けられ、今度こそ機能を停止していた。ピットに通じるアリーナ入り口で俺を助けてくれた鈴…『甲龍』はエネルギーを使い果たしたのだろう、機能を停止し解除されていく…鈴は、ゆらりと体勢を崩しうずくまりながら、それでも強がり言葉を続けていた。

 

 

「あたしを仲間はずれにするとか…マジで勘弁してよ…折角再会できたのに…」

 

 

 

 

「第3アリーナ、機能復旧しました…結局バリアーは破壊出来ずじまい、クラッキングの対処も情報処理室の2人と、彼ら任せでした…申し訳ありません!」

「君たちが気にすることは無い、恐らくは国レベルの強敵だった。ISと情報侵食による制圧とはな…対処班はゆっくり休んでくれたまえ。善後策は私のほうで立案する。」

「はい、ありがとうございます!」

 

涙ぐむ警備の現場責任者を職員室から退出させると、千冬は深いため息をついた。

 

(…転んで擦り傷を負ったものが何名か…凰は過労と睡眠不足により医務室で経過観察…残りの操縦者は無傷ではあるものの経過観察のため医務室で待機…、今回はコレで済んだから良かったものの、警備体制、情報防衛体制は1から刷新するか…)

 

そんな彼女の黙考は、新たなメッセンジャー…山田真耶により破られることとなった。

 

「織斑先生…その、彼らが…レセプションを開きたいので校庭を貸していただきたい、との事です。あの…理事長は『織斑先生さえ良ければよろしいです』とおっしゃってましたが…」

「…わかった。今回の防衛の立役者である彼らの要望だ、私に嫌なはない。こんなアクシデントがあったんだ、今からの準備ではささやかな宴だろうが、楽しもうじゃないか」

 

…千冬は知らなかった。

 

『彼ら』はあらかじめ食堂と調整を済ませ、断られた場合は食堂内で『ささやかなレセプション』を行う予定だったことを。

…そして、全額前払いで参加費用を現金で手渡したその豪放さに心打たれた理事長が、全ての機材、食材を使用することを快諾したことを。

 

 

『『零落白夜』か…単一能力(ワンオフ・アビリティー)を予め載せるとは、随分と無茶をする…心が通う、それゆえの単一能力であることを忘れたのか…』

『『天災』め、随分と我慢が利かなくなっているな…わざわざ『ブリュンヒルデ』が日程をずらした意味、分からぬわけではあるまいに』

『最も哀れな女は忘れられた女、その言葉が骨身に染みているんでしょうね』

『『木偶』の中身…やはりアレか』

「ああ。確証は無いがな。『天災』は他人を信用していない、例え己の狂信者であろうとも。そして無人で動かせるはずが無い、我々の使用しているISと『木偶』が同じならば」

『潜入する気か?その歳なんだ、無理はするな』

「老骨はお互い様だ、『ブリュンヒルデ』にも警告を込めて行くつもりだ…折角の『宴』ではあるがな」

『『p』は愛により眼を覚ましたか…『Paladin』(聖騎士)ではないな、彼の有りようは』

『盾、そして袋…『絹の国の勇者』だな、まさしく』

 




もうひとつの『戦い』

※『おススメ』用語が頻発します。読み飛ばしていただいて構いません。

「お、学園の連中クラッキング喰らってやがんの。設立当時からのセキュリティじゃそうなりますっての」
「まじで?ちょうやべぇじゃん」
「学園の皆さん、食堂の利用を断って来たのれす。あんな美味しそうなケーキ独り占めとか許せないのれす」
「…まただよ。修理外注の契約結んだ時にこっそり『食堂の利用を申請する』って記入して博士に怒られたこと…」
「おい、クラッキング受けたってマジかよ!?俺らのネット環境はIS学園に依存してるんだぞ!?」
「…そうだ!今日はメンテが有るんだ、『おススメ』の!」
「マジで!?超ヤベーじゃん!」
「いつも独占されている『裏』を!混雑している『パゴ』を!順番待ちの列が並ぶ『縄張り』を!」
「「「「今こそ1番目に!」」」」

「随分と楽しそうじゃないか、諸君。『ジョブ&ホビー』の電子戦装備全て使っても勝てない敵だろう?『天災』は」
「くそ!こっちまで侵食してきやがった!ベガスとデトロイトの暇人どもにも声をかけろ!『13日戦争』以上の刺激的な戦場がお待ちかねだ!」
「敵の侵入ルート…200以上!?想像をはるかに超える勢いなのれす!!?」
「おまえ頭悪ぃな、本社と支社の連中にはルート遮断を優先しろといっているサル!」
「はー?人を猿呼ばわりとかハラスメント行為だとおもいまー!」
「…僕も参加しよう、久方ぶりの睦み合いといこうじゃないか」
「…よし、クラッキングに使用された通信網の遮断10%完了!正常な処理領域、アリーナに提供完了!」
「『君は一人じゃない』とかカッコつけすぎ!修正されろ!」




「システム、完全復旧…中々の頑張りだったじゃないか。延べ1万対1だったがね」
「1万対1!?アレは…人間…なのれすか…!?」
「僕の知っている『彼女』は人間だったよ…十年一昔だ、もう面影すらも残ってはいないだろうさ」
「ああ…『おススメ』にInする気力も無い…今日は寝る…」
「おお、皆に朗報が2つある。轡木君から我々の尽力に対し、レセプションを行いたいとの事だ。予算はもう払い込んできたよ」
「お酒もご飯もいらないれす…寝たいれす…」
「…そしてもう一つ、『P』が覚醒した。『プリズム』『パック』の2種類だけだがね」
「マジで!?イージャン!イージャン!スゲージャン!」
「来た!『P』来た!メイン『P』来た!これで勝つる!」
「ああ…コレは運命なのれす…愛を超え、怒りを超え…」
「…だから皆、いつもの白衣に着替えたまえ。芋ジャージでは流石に品性を疑われるぞ…」
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