俺の待ってた非日常と違う   作:陣陽

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揮えよ 牙持つもの 奮えよ 牙未だ生えぬもの そして震えよ 牙捨てしもの



「『イーリス・コーリングの件で重大発表あり』…どうせ免職だろうよ」

世にISが生まれ出でて早9年の月日が流れ、第2世代機が世に出回ると、兵器としてのISの進化は最早終わってしまったのではないかという議論が囁かれ始めた。

「まったくです。未成年の折からの飲酒疑惑、賭博疑惑、不特定多数との性的関係疑惑…テストパイロットとして拾ったAOAに泥を塗り続ける所業、もはや愛想も尽きたようですわね」

要は武装こそが、そしてパイロットこそが重要なのではないか?機体はどれを使おうがさして変らないのではないか?ISとはウェポン・キャリアーでしかないのではないか?


「そもそもだ!あんな薄みっともない戦いをステイツ初の『モンドグロッソ』で晒したのだ!さっさと放逐…」



まだ冬の寒さが残るデトロイト、AOAから招待された硬軟様々のマスメディアは言いたい放題嘯いていた。


この中の誰も知らなかった。

何故、わざわざアリーナに招待されたのかを。

疑惑は疑惑でしかなく、決定的な証拠は誰も掴んでいないことを。

そしてその疑惑は、出所を探っていけばAOAへと行き着くことを。



『やあお歴々、お久しぶり。どうよ?酒とバクチと男に耽溺するアバズレにしちゃあ瑞々しいだろ』


彼らは、そして世界は震撼することとなる。

臥薪嘗胆の2年間を過ごしていたイーリス・コーリングに。

彼女の纏う『ファング・クエイク』に。

ブリュンヒルデ以外には遅れを取ることはなかった連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)から作り上げた連続瞬時加速装置(リボルビング・イグニッション・ブースター)に。

纏えば誰でもが単一能力(ワンオフ・アビリティー)を使いこなせるようになる第3世代型装備に。



…かくして世の俊英は、大枚は、まだ見ぬ第3世代機へと費やされることとなる。


Obsidian Storm

「奇しき縁に導かれ、集いましたる少年少女…いいねえ、こっから眺めただけでも滅茶苦茶血がアツくなってるのがわかる。ドイツもコイツも今からでもむしゃぶりつきたいってくらい飢えてンなぁ!…お、センパイが後輩を労わる、ヤッパリこうじゃあなきゃあなあダメだ、うん!」

「飢えているのは貴女でしょう!?」

「純情な一夏を弄ぶなんて汚いわさすがメリケンきたない」

(まあ、一夏とのひと時をくれたんだ、感謝する…)

 

見学していた先輩たちが我々一手指南を終えた我々1年生や整備科の面々に椅子を譲り、立ち見の席に並んでいる姿をアリーナの中央でニヤニヤと眺めなら性悪…ISスーツ姿のコーリング女史は言葉を続けていく…額の冷却シートがとても心地いい…一夏、無言で赤面しながらアリーナを見つめるな。狐落としをせざるを得なくなるぞ…その、ハグでダメなら…接吻!?チュー!?つまりはキスしかないのか!?

 

『もう少し品位を保て、性悪…』

「熱は引いたかぁブリュンヒルデ?…ま、色々いたな新入生。イノシシみたいな突撃ちゃん、近寄ってこないで弾幕張る小心者、自分の策におぼれる策士…いや、想像以上に…」

 

コーリング女史は笑みを消し、真剣な表情で観客席を睥睨する…まあ120人も戦って一撃も入れられなかったんだ、罵倒の限りを尽くされるのは覚悟している…

 

 

 

       「優秀だね、み・ん・な」

 

…えっ?

 

 

「言っとくけど、デトロイトであたしやナタルが鍛え上げてる若い連中のほうが技量や体力なら遥かに上だ。戦いへの姿勢だよ、あんたたちが光ってるのは。武器なんざ持たず10秒間回避のみに集中、或いは速攻で降伏…あたしみたいな性悪の提案したルールだ、それくらいの事はするんじゃないかと踏んでたんだぜ?でも皆は必死に抗った、ベテランだろうとなんだろうと一縷の望みを賭けて、一撃を叩き込もうってさ…まだ本格的な訓練も始まってない状態のヒヨッコに時々ヒヤヒヤしたんだぜ、後生恐るべしってやつだ。来て良かったよ本当に!」

 

表情に再び笑みをたたえたコーリング女史は、カタパルトの方角を見つめながら誰にいうでもない感じで言葉を続けていく。

 

 

 

「あたしは弱かった。3年間努力はしてきたが、今回も乗り越えることは出来なかった…伸び代はあるやら無いやら自分自身にゃあわかりゃあしない。というわけでだ…手前勝手な話だが学園で2番目に強いであろう先生に『見極め』ってヤツをお願いしたい。今回の『穴埋め』の対価としちゃあ妥当ですかねぇ、織斑センセ?」

『…私としてはこちらの持ち出しの気がしないでもないがな。まあ、じっくり見極めればいい…強いぞ、山田先生は』

 

 

「山田先生?」

「どうして山田先生と?」

「現役時代は織斑先生の補欠だったらしいけど…」

「もっと…強い人はいるんじゃないの…?」

「かいちょーとかね、かんちゃん」

「山田先生を…?なぶり者にする気ですの?」

「汚いわね流石メリケンきたない、私はこれでメリケン嫌いになったわ余りにもヒキョウすぐるでしょう?」

 

 

ざわつき始めた観客席を尻目に、笑みを消した彼女は厳かに言い放つ。

 

「『義理を欠く』『恥をかく』『人情を欠く』…『三欠く』が金持ちになる秘訣だなんて世の中じゃ言うらしいが、強くなるための秘訣としてあたしは『見栄を張る』『意地を張る』『胸を張る』…『三張る』ってのを推したい。だからこそかな、あたしはこの言葉を『ファング・クエイク』のコールサインにした。見目麗しきブリュンヒルデに憧れた身としてね」

 

 

『Powerful Is Beautiful(力強さは美しさなり)』

 

 

…今日は己の不明を恥じる日なのだろう。

 

私たちは何も知らなかった。

 

 

『始めましょうかコーリングさん!』

 

 

私たち1年生の実技の試験官が、何故山田先生だったのかを。

 

 

『採点よろしくお願いしまぁす、山田センセ!』

 

 

ブリュンヒルデの代わりが務まるということが、どれだけ凄いということが。

 

 

「ホントすごいねー、山田せんせーもコーリングさんも…目がぐるぐる回りそう…」

 

 

『かぁっ…センセ随分なタヌキだね!どうやったらマックは相討ちに持ち込んだんだか小一時間問い詰めたいわ!』

 

 

…試合開始から20分、第3アリーナには歓声も声援もない…ただ、全ての観客は食い入るように二人の動きを見つめている。

 

「凄ぇ…ホントに凄ぇよ山田先生もコーリングさんも…これが二人の本気なのかよ…」

 

 

 

山田先生…『ラファール・リヴァイブ』は目で追えないほど機敏なコーリング女史…『ファング・クエイク』の先手を取るように胃袋が裏返るような機動で回りこみ、死角へ滑り込み、『レッドパレット』やアサルトカノン『ガルム』、アンチマテリアルライフル『ヘカーテ』で狙い撃つ…おお、ミサイルランチャーを拡張領域(バス・スロット)から引きずり出した!一気に決めるのか!?

 

「本当、入学試験の時の私など思い上がったヒヨッコでしたわね…何処まで強いのか、及びもつきませんわ」

 

 

…『ラファール・リヴァイブ』が引金を引く前に『ファング・クエイク』は動き出す…スローイング・ダガーでミサイルランチャーの発射口を、弾倉を狙い、『ラファール・リヴァイブ』は自爆を避けるためにランチャーを放り捨て…その爆炎を突き抜けながら一気に瞬時加速(イグニッション・ブースト)で『ファング・クエイク』は畳み掛けていく。二つの剛拳はまさに一撃必殺の重みを湛えていた。

 

『性悪猫には言われたくはありません…っと!どうやったらスローイング・ダガーでミサイルや徹甲弾を迎撃できるんです!?』

 

…だが、その動きも『ラファール・リヴァイブ』は読んでいたのだろう。目前に何個もピンの抜かれたグレネードを放り、爆炎にあぶられながら後退していく。シールドエネルギーは自爆で削られたもののミサイルランチャーの暴発を突っ切った『ファング・クエイク』よりもはるかに浅手だ。

 

「上海でやった試験の時よりもはるかに鋭いわ、山田先生…骨相学ってホントあてにならないわね」

 

 

 

一方『ファング・クエイク』は複合防護障壁を拡張領域(バス・スロット)から引きずり出し爆風を防御すると、瞬時加速(イグニッション・ブースト)で間合いを離した…『ラファール・リヴァイブ』のシールドエネルギーは残り7割、『ファング・クエイク』はそろそろ危険域だ。

 

 

 

『センセ…人の嫌がること進んでしましょうって言われたら背中にガマガエルねじ込むタイプだろ?1、2、の5!でグレネードをダースでばら撒けるなんて中々いねーぞ、少なくともウチの若いのにゃあ無理だ!』

 

…『弱い』?そんな事は絶対にない。修行を積み、才能の裏打ちがなければ出来ない動きだ、お互いに。ここまでの強さをその身に刻み込むまで、どれだけの修羅場を潜り抜けてきたのだろう。

 

 

 

 

『貴女は、ゴーヤたっぷりの野菜炒めご馳走するタイプですね…いい見切りと思い切りじゃありませんか!中々出来ないです!』

 

 

…私たちもここまで強くなれるのだろうか…

 

 

『自分よりちょっと強い相手と戦う…ホントしんどくて楽しいな!』

 

 

「大丈夫、あの二人だって人間よ…同じ人間の私たちだって…鍛えれば…同じくらい強くなれるわ…」

 

 

『ええ、本当に大変で、本当に楽しいですね』

 

 

「…だよな。でも、あの二人以上なんだよな、千冬姉は…」

 

 

 

『じゃあ、そろそろ〆のデザートと行きますかぁ…甘くてクリーミーなバナナ・スプリットいかがですかぁ!』

 

 

…いよいよ最後か。結果はどうあれ、お互いに悔いは残らなさそうだな。

 

 

 

『私は抹茶プリンをおススメしますよ!』

 

 

…どれだけ強いんだろうな。あの二人が恋焦がれる『ブリュンヒルデ』は…

 

 

 

 

 

 

『かぁっ…センセ随分なタヌキだね!どうやったらマックは相討ちに持ち込んだんだか小一時間問い詰めたいわ!』

 

黒豹女は長距離からの狙撃も、中距離から近距離での射撃戦もこなせる…何せ俺に立ち回りを教えてくれたのは黒豹女だ。『食らわなきゃあ解んないぜぇ?』などとイイ笑顔を浮かべながら何度も穴だらけにされた…まあ、FCSの関係で俺は遠距離戦は不得手で、近距離で『ジャックポット』や『プレイヤー&バンカー』『キノ・チケット』で立ち回るばかりだった…『パシフィスト』をどうやって組み込んでいけるのか色々と試してみよう。

 

『性悪猫には言われたくはありません…っと!どうやったらスローイング・ダガーでミサイルや徹甲弾を迎撃できるんです!?』

 

だが、黒豹女の十八番は格闘戦だ…射撃よりも単純な殴る蹴るの方が怖かったし、汎用型に設計された『タイガー・シャーク』が第2次移行(セカンドシフト)、単一能力(ワンオフ・アビリティ)の発動後に近接格闘型へ変貌した後、後継機である『ファング・クエイク』自体が近距離格闘をメインに設計されているのもその影響だ…モジュール構造で汎用型や遠距離支援型にも容易に換装できるから、順次『タイガー・シャーク』と交換していくそうだが。

 

 

『センセ…人の嫌がること進んでしましょうって言われたら背中にガマガエルねじ込むタイプだろ?1、2、の5!でグレネードをダースでばら撒けるなんて中々いねーぞ、少なくともウチの若いのにゃあ無理だ!』

 

山田先生の得意分野は真逆の射撃だ。機動性に優れた『ラファール・リヴァイブ』ではなく遠距離射撃に秀でた『メイルシュトローム』の方が向いてるんじゃないかな?などと考えてしまうのは素人の浅知恵であったことを痛感してしまう…本当に第2世代機なのかよ、あの機動!

 

『貴女は、ゴーヤたっぷりの野菜炒めご馳走するタイプですね…いい見切りと思い切りじゃありませんか!中々出来ないです!』

 

 

お互い札を切り続けてるけど、切り札だけはお互いまだ切ってはいない。最後のチップを場に出して手元のカードを睨みながら何を切ろうか考えてる最中だろう。

 

『自分よりちょっと強い相手と戦う…ホントしんどくて楽しいな!』

『ええ、本当に大変で、本当に楽しいですね』

 

 

俺はどちらも応援できない、いや、肩入れできない…ただ、一つだけいえることは二人とも悔いの無いよう戦って欲しい、それだけだ。

 

『じゃあ、そろそろ〆のデザートと行きますかぁ…甘くてクリーミーなバナナ・スプリットいかがですかぁ!』

『私は抹茶プリンをおススメしますよ!』

 

 

 

…ああ、それと…どうか二人ともあのことについては気付きませんように!!

 

 

 

 

 

残った得物は単分子結晶ナックル『ワンダフル・ガイ』、投擲型高周波ブレード『シビリゼーション』が2本…使い捨ての複合防護壁『イージー・リビング』無駄打ちしたのは痛いなホント…あンた、強いな。IS学園のセンセってだけじゃない、よっぽど鍛えてなきゃここまではなれない。何で先生なんてしてンだよ。

 

『レッド・パレット』と『ガルム』がマガジン2個づつ、25mm7連砲身ガトリング砲『ムスッペル』と『ブレッド・スライサー』は新品同然…センパイにさんざん付きまとっていただけの事はありますね!

 

 

…ホント、久々だよ…ここまでイヤになるくらい怖くて…ここまで楽しいのは!

…本当、センパイ以来です…ここまで震えが止まらないのは、心が熱くなるのは!

 

 

『『だけど、楽しい時間はいつかは終わる』』

 

 

負けてもらいます、センパイの名誉のため…この身に代えても!

 

勝たせてもらうぜ、ステイツの名誉のため…この翼を捨てても!

 

 

 

 

 

『ご馳走様』

 

 

『レッド・パレット』と『ガルム』で弾幕を張り、『ファング・クエイク』を蜂の巣にしようとした『ラファール・リヴァイブ』…だが、『ファング・クエイク』は最後の札を切っていた。

 

『お見事です、コーリングさん』

 

汎用フレームでも格闘フレームでも共通していた特徴的な2対の六連ブースターポッド…連続瞬時加速装置(リボルビング・イグニッション・ブースター)の全てのブースターが火を吹き、先程までとは比較にならないほどの…例えるなら、漆黒の稲妻のように『ラファール・リヴァイブ』へと突撃し、剛拳は、瞬脚は流れるように『ラファール・リヴァイブ』の各部を打ち砕いていた…

 

『同調瞬時加速(シンクロナイズド・イグニッションブースト)…開発スタッフはそう名づけたが…そいつを絡めてあたしはこのフィニッシュ・ムーブを編み出した。ステイツがくれた二つ名を添えてな…最初に『ご馳走』させたかったのはブリュンヒルデだが…アンタになら悔いはない。『漆黒の嵐』さ、コイツが』

 

 

《ラファール・リヴァイブ・戦闘不能》

 

 

『ラファール・リヴァイブ』の絶対防御が発動するのとほぼ同時、『ファング・クエイク』のブースターポッドが音も無く崩れ落ちる。着地すると同時に『ファング・クエイク』を解除すると自虐の笑みを浮かべたままコーリング女史は言葉を続けていく。

 

「そしてコイツの最大の弱点が使ったら最後、ブースターポッドが全部お釈迦ンなってまともに動けなくなるトコロだ…羽を毟られた鷲なんてアヒル以下だ…」

 

『だが、勝者は勝者だ、どんなに薄みっともなくともな…なんだそのしょぼくれた顔は。昨日のようには胸は張れないのか?先程の演説は嘘か?』

「私は…アメリカ暫定代表よりも弱かったですか?」

 

放送室からの織斑先生と、先程まで相対していた山田先生の悪戯っぽい表情と言葉にコーリング女史は顔を白黒させ、大きなため息をつき…満面の笑顔を浮かべると胸を張って宣言…いや、吼えた。

 

「そうだ!山田センセは強かった!『ファング・クエイク』とあたしの技と業を引き出さなくちゃあ勝てない程!…だからアンタにもまた出てもらうかな、『モンドグロッソ』!」

 

『一度でも土を付けることができたらな…猿取、勝者と敗者を祝福しろ、お前なりの手段でな』

 

『えっ!?…は、はい了解しました!』

 

戸惑いに満ちた茨の通信の後、『アンカー・スチーム』はアリーナへとエントリーし、コーリング女史と山田先生を肩に乗せる。

 

「な、何するんですか!?私は負けたんですよ猿取君!」

「いやオメーにしちゃあ気が利いてるじゃねーかマック!このまま1周凱旋した後、控え室まで送ってくんな!…センセは負けたんだ、コレくらいは我侭を聞いてもらうぜ!」

『了解!はい山田先生も手を振って!』

 

赤面しながら身を縮こませる山田先生とゲラゲラ笑いながら『アンカー・スチーム』の頭を小突くコーリング女史…それはとても微笑ましく、何故だかとても羨ましかった…一夏、どうしたその真剣な表情は?やはり控え室に行こうというのか?ならば私の屍を乗り越えて行ってもらうぞ。

 

「俺さ、絶対強くなる!千冬姉の名前を汚さないためにも…」

「なら、私にもその手伝いをさせてくれ」

「抜け駆けとは感心しませんわね、箒さん…僭越ですが、私もお手伝いさせてくださいまし」

「油断も隙も無いわね、二人とも!もちろんあたしも手伝うわよ!」

 

 

…ああ、月に群雲とはまさにこの事だな…まあ、朝からずっと雨模様だが…

 




ねぎらい


※ダイジェストでお楽しみください

『お二人ともお疲れ様でした!それでは失礼します!』

高らかに宣言すると、俺は『アンカー・スチーム』を纏ったまま控え室の前から去ろうとする。そりゃそうだろ?控え室で二人はシャワーとか着替えを済ますはずなんだ。こんな所にいたらあらぬ噂を…
「マック、一つ聞きたいんだけどさ…」

…何だよ黒豹女、人の肩に手なんて置いて…俺だってさっさと体の手入れをしたいんだよ…


「山田先生とあたし…どっちが良かった?」
(気付かれてたぁぁぁぁ!?)

七転八倒したい衝動を何とか抑える。そうだ、これは『試合』の話なんだ!そうに決まってる!何とか煙に巻く方向で…

「あ、やっぱり分かります?」
「そりゃあそうだろ?最初に抱きついた時に女の匂いがしたし、一人だけ山田センセを慰めてるし、さっき隣に居たときには、マックの匂いがプンプンしたし…なぁ?」
(自分からバラシていくのかよ山田先生ぇぇ!?)

もうダメだ、逃げよう!そう思った俺の肩をイイ笑顔の山田先生ががっちり掴む。えっ?何その力?俺IS纏ってるんですよ?アラームなってるんですけど?

「入学初日の試験の日、『俺と一緒に堕ちましょう』って口説かれたんです…その前の夜は口付けをしたら舌を絡ませてきて…」
「つまりそのだらしねぇ体をなぐさめてもらうためにベッドに潜り込んだわけだ?あたしがベッドに誘った時は感動の涙を流してたんだぜぇ…分かるよなマック?」
「猿取君ご存知ですか?一人前の女性には心に棚があるんですよ」

…えっ?何で俺のIS解除されてるの?何で二人ともイイ笑顔なの?何で控え室に鍵かけてるの?何でシャワールームに押し込もうとするの?意味わかんないんですけど?笑う壷ってどこです?赤いメット被ってプラカード持ってる人は何処です!?早く出てきてよこのままじゃオンエアできないよ!?






『悪ぃ…あと1時間かかる…アリーナの鍵はセンセがかけるとよ…つーかセンセ…ガキに何やらかしてるんだよ…っつぅ』
『貴女こそ、子供に何仕込んでるんですか…ぁあっ』
『ぅぅぅ…どうして…こんな…こんな…』


「と、言うことで本日のディナーはラーメン・ヌードルのスタンドに決定しました。ピクシーさん感想を一言」
「何で、何でなんれすかぁ!?イーリならともかく山田先生とじゃ相性悪すぎなのれす!」
「大丈夫ピクシー!男なんて月の数ほど居るから!…ほら、火星とか木星とかなら1個以上あるっしょ?」
「何の慰めにもなってないれすぅ!」











※ 後1話で『穴埋め』も終わりです
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