※ダイジェストでお楽しみください
「センセ、着いたよ…」
「猿取君、『殺してくれ』だなんて言っちゃいけません。先生も聞いていましたよ?」
「!?そ、そうだったんですか…有難うございます、その、織斑先生に黙っててもらって…」
自室のベッドに寝転んだ山田先生は、ジト目でこちらを注視し…ふっと悪戯そうに微笑むと天井を眺めながら言葉を続けていく…そうだよ、俺にはやらなきゃいけないことが有るんだ。勝手に死ぬだなんて言語道断だ…でも、泣けるくらい悲しかったんだ、あんないい子たちがあんなことするのは。
「でも、『淑女協定』の皆さんはまた少し仲良くなったみたいですし、災い転じて福となすですね…織斑君のほうは、まだ意中の誰かがいる感じではなさそうですが。彼はキチンと人を愛せる男性です。だから、彼がもう少し恋心を抱けるイベントが有ればいいんですけど…」
「明日にはうちの部屋の住人が増えますから部屋掃除してきます。3りめの男子…これがいいスパイスになればいいんですけどね」
…まあ、なんだかんだ言って皆最後の一線は超えなかった。『龍咆』や『スターライトMk.Ⅲ』のような飛び道具をセシリアや鈴が使わなかったのは掠っただけでもシノさんが死んでしまうからに他ならない…まあ、FCSは生身の人間が巻き込まれないように引金を引いてもロックをかけてしまうが、万一って事だって有る…掃除か、うちの部屋は最上階、ロフトが有るし明日からは布団しいてそこで俺が寝ることにしよう。それが一番だ…
「…明日からは中々『お邪魔』出来なくなりますし、消灯後にお邪魔しますね」
「…はい」
■
…山田先生と…その…ほぼ毎晩…コーイウ関係になってから、なんとなくわかったことがある。
「ほんと、胸が大好きなんですね猿取君…赤ちゃんみたい…」
「いや…やっぱり…こういうのは…夢中にならざるを得ないかと…キレイなピンクだし…って何で耳引っ張るんですか!?」
「…そういう感想は頭の中だけにしてください」
猿取君と入学の日にめぐり合えて、こうやって愛されて、やっと分かった。
「あっ…ほんと、コッチへキスするのも得意ですね、猿取君」
「そこ、重点的にグニグニするのは…うぅっ」
男が…その…色々するからその気になるんであって女の人は基本的にコーユーのは嫌いだと思ってた…女の人にも、その、性欲があって…その、しなだれかかってくるって…ホラ、黒豹女は色々と規格外だったから!外見は美女かもしれないけど中身は黒豹だから!うちのシマじゃノーカンだから!
中学校や高校で私をイヤらしい目でしか見ていなかった同級生や、満員電車で胸を掴んできた痴漢みたいなずるくて、弱くて、汚らしいばかりが男じゃない、猿取君のような紳士もこの世にはいるってことを。損得抜きで誰かのために必死になれる、それがドレだけ気高いかなんて…猿取君は気付いてないでしょうね。
「ダメですよ…吐き出すのは、コッチ…」
「はい…んんッ…ほんと、こうやって抱きしめあうと、胸の鼓動が聞こえて、ホントドキドキします…」
「フフ…猿取君は『対面』が大好きなんですね…」
ホント、『お近づき』になれたのは望外だ。あったかくて、お肌もスベスベで、いい匂いがして、…その、とっても気持ちがいい…だから、織斑先生と一夏との歪な関係は絶対に清算させる、させなきゃいけない…だって、先生にとっては俺は、男は、ジョーク・グッズ相手にしているのとおんなじなんだろうから。俺は、ウサ晴らしの相手なんだから。山田先生は…俺のことなんて愛していないんだから。
無責任な恋愛をしてきたつもりはない。捧げた相手だって素敵な人だった。センパイへの想いだって本物だ…でも、もっと早く猿取君のような男の子にめぐり合えていたら、男を嫌いにはなっていなかっただろう…本当、おぞましいとしか思えなかった行為を『交歓』と思えるようになった、それだけでも幸せ。対戦が終わって、コーリングさんが猿取君の初めてだってわかって…どれだけ妬けたかなんて知らないでしょうね、猿取君は。
「気持ちいいです…幸せです…ううっ…」
「あはっ…私もです…じゃあ、抜かずにこのまましましょうね」
…なんてヒキョウなんだろう、俺は。このままの日常が続いていけばいい、そう思っている…こんな事をする俺なんて、男なんて、先生にはおぞましいだけなのに。
…なんて姑息なんだろう、私は。このままズルズルと関係を続けていたい、そう思っている…8つも年上の女なんて、嫌気が差すだけなのに。
「汗っかきですね、猿取君も。これからの季節、お互いイヤですよね」
「ですね…ハッカ水常備してます。コロンとかそーいうのはガラじゃないんで。先生もいかがです?」
ホント、ずっとこの時間が続けば良いのに。
本当、この時間がこのまま続けば良いのに。
まれびと つみびと まよいびと
「お久しぶり、一夏」
「よ、シャルル!長旅お疲れさん」
日曜の午後、俺達は3りめの男子…デュノア君を迎えにモノレールの駅まで赴いていた…しかし華奢だね、黒豹女のほうがよっぽどガタイが良いよ…いや、アッチやらコッチやら出っ張ってるからだけどさ。
《いきなり手を!?なんて大胆な子なの!?》
《自分のほうが出会ったのは最初だってアッピルしなさい猿取君!》
…そして、IS学園の結構な数の生徒も出迎えに来ていた。一夏の『華奢なヤツ』という情報を俺や『淑女協定』の皆は持っていたからさほど衝撃はなかったが、ここまで美形で中性的な容貌の子だとは思わなかったよ、ミンナ目の色が変る変る。コナン・ザ・グレートみたいな筋骨隆々だったらこうじゃなかったろうな…だから俺はノーマルですって。
「初めまして、猿取と申します」
「茨君だね。一夏から話は聞いてたよ。ボクはシャルル・デュノア」
《何でそこで唇を奪いに行かないのよ!?猿取君のヘタレ!》
《違うわ!ノーマルぶる事で動揺を誘ってるのよ!》
一夏と握手していたデュノア君は軽くお辞儀をしてくる。握手の手を出そうかどうかちょっと悩んだ身としてはありがたい…男でも女でも、握手というのはちょっと苦手になった。その…山田先生とはよく繋ぐから。ゴルゴさんが握手嫌いなのも同じだからだろうか?違うよね。
「…駅の周りで騒いでる先輩や同級生の皆の会話は…その…あんまり気にしないほうが良いよ。難しく考えるだけバカだ」
「…まあ、女の子だけの学校で男子が3人も居てその男子全てがこうやって集まってるんだから仕方ないのは分かるよ、茨君」
「…それにしても、すごい人だかりだよな。パンダとかじゃないってのに…」
《…お持ち帰りしたくなったわね》
《…奇遇ね、私も》
いや、むしろ目の色が異様過ぎる。明らかに捕食者の目つきになってる子も居るぞ…まあ、こちらには『切り札』があるんだ、そう簡単に遅れを取る事はない。
「しょうがないよ一夏。皆珍しいんだよ、IS学園は女子高じゃないけどISを操縦できる人間は女子しか居なかったんだから…ボクもここまでとは思ってはいなかったけど」
「おし、じゃあ職員室まで案内するぜ、シャルル!その後は一通り学園を案内するよ」
「ああ、はぐれないように気ぃつけてね…まあ、生徒会長が先導してくれるから大丈夫だと思うけど」
「そうね…再会を喜ぶのは自室でヨロシク。それとデュノア君、もう少し筋肉をつけたほうがいいわ」
仏頂面で宣言すると生徒会長は駅の自動ドアから体を一歩出し…その途端雲霞のごとく集まっていた生徒の皆は潮が引くように一気に後ずさった。
《か…会長よ!皆逃げて!穢されるわ!》
《ここは私に任せて!!私があの餓えた猛獣たちのイケニエになるわ!》
「…私は悪くないもん。悪いのはあの薄汚いカフェオレ女だもん…」
ココは合肥か紅海か?…ホント、会長の震える肩がなんともアワレで、いつもよりも小さくみえる。
「…デュノア君。会長の手、握ってエスコートしてくれないか?不幸な事故があって、肩身が狭いんだ会長」
「う、うん」
《そ、そんな!?誰とでも!!顔に似合わず肉食系なんて!》
《落ち着きなさい!チャンスは誰にでも有るって事よ!》
…頭の痛くなるざわめきをやり過しながら俺達は校舎への道を歩いていく…ん?誰のつけている香水だ?コレ…
バーちゃんが余所行きの時につけてたのと同じ香りがする…ていうか会長近い近い!?
(猿取君、簪ちゃんのところに行ってあげて…私が行っても、何も出来ないから…さっさと行く!)
「は、はい!」
会長は…バラの花みたいな香水か…これじゃないよな…
◇
「アレが名高きカルナック列石ですか…中々にいい立地条件ですねですねココは」
「デュノア社の社員は、バカンスに海外に遠出する必要はなかったんです…このヴィラ(別荘)は絶好のロケーションでしたので」
「ババロアが固まりましたわ…どうぞ、お召し上がりください」
「おお、アイスボックスの氷でもキチンと冷えるね…チェリーにパンプキンにミルク、いいねえ。甘くてヒンヤリしてるよ」
「頂きます…どうやら、コレが最後の晩餐ですか」
「まさか。…ゴリラは群れのボスが交代するたびに前のボスの子供を皆殺しにするそうです。トップを狙うタイプじゃない僕としては、生き辛い世界ですね」
「ですが…チンパンジーはボス以外のオスも子供を残せるそうです…女としては、ボスよりも2番手3番手が魅力的に感じることは稀に良く有るものです」
「…僕は、男としても、ボスとしても最低の男です。最悪の選択肢ばかりを選び…」
「ですが、最悪の結末は迎えてはいません。クライアントからの伝言です。『ヘラクレスのものはヘラクレスに、そしてハイドラの血潮を彼女たちに。奪われたものには奪い返す権利と義務が有る、そしてそれは相続される』」
「警護の皆様は、当身にて気絶しています。お上がりになりましたら、出発いたしましょう…全てが終わったら、ココを再建するのも宜しいでしょうね」
フランス、ブルターニュ、風光明媚な景色を望み、夕焼けに染まる空の下、ガーデンテーブルを囲みババロアを頂いている三つ揃いの金髪の紳士、アウトドアルックの日本人の紳士と淑女。
…そしてその後ろには、2年前に焼け落ちたデュノア社所有のヴィラ(別荘)の焼け跡が有った。
⊿
さて、兵器としてのISが世に出でた時から…『白騎士事件』から、ISは様々な得物を抱え、戦場を、アリーナを駆けることとなる。
『白騎士』は剣を、そして荷電粒子砲を手に一人も殺すことなく数多のミサイルを、そして航空機を叩き落した。
『暮桜』は孤剣を必殺の武器とし、世界一の座を勝ち取った。
『蒼虎』は双剣と不可視の衝撃波を得物とし、
『無峰剣』は星の光を冠した銃と女王の守り手を率い、
『疾風』は、ありとあらゆる武装を使いこなし、
人々はその姿に熱狂した。
効力遡及禁止の原則に守られたソレを、ほとんどの人々は知らなかった、いや、目をそむけ、考えようとはしなかった。
…最も人を殺したISはどのような武器を振るっていたのかを。
■
「凄いね。もうほとんど完成してるんだ」
「まだ。『山嵐』が未完成…そもそも、OSにしろFCSにしろ既存のものの継ぎ接ぎにちょっと手を入れただけ…」
『打鉄弐式』が鎮座するIS学園整備科修理施設AOAブース。俺の感嘆の言葉に簪さんは苦い顔で反論する…不味かったかな、こりゃ。
「そんな事言っちゃダメだよダメだよメガネちゃん!『ファング・クエイク』だって作成時には『タイガー・シャーク』のソフトウェアやOSを相当な部分流用してるんだよ!まあ、アップデートやら何やらでかなりカスタマイズされたけどさ!」
相変わらずニヤニヤとイヤらしい笑みを浮かべるゲスジジイは、大皿に乗った赤ん坊の手のひら位の小さなハンバーガー…スライダーとかいったな、ウン…をクッチャクッチャ頬張りながら言葉を続けていく。ホント、メシ食うか喋るかどっちかにしてくれ。
「ソレよりさソレよりさ、どうする気なんだいこのハリネズミ…ああハリモグラだっけ?…まあどっちでもいいか!このままじゃメガネちゃんのオツムはこのホワイト・フォートのスライダーみたいにレンジでホッカホカになっちゃうよなっちゃうよ!」
「はあ!?どういうことよ、ソレ!?」
いや、何うつむいてるのさ簪ちゃん!?明らかにヤバそうじゃないのよ!?
Δ
「…グーテン・モーゲン…」
「「「「グーテン・モーゲン、隊長!」」」」
IS配備特殊部隊『シュヴァルツェア・ハーゼ』、通称黒ウサギ隊。彼女たちの朝は早い…開発部から依頼を受けた武装の評価、EU各国との軍事演習や他部隊のパイロットの錬成、デモンストレーションやレセプションなどの平時の行事など、隊長を初めとして各人が多忙であり、一つ所に集まることなど稀であった。だが、彼女たちは万難を廃し朝食を隊員全員で囲むため、所属基地に集っていた。
「隊長、どうかお気をつけて!」
「IS学園でのご活躍、期待しております!」
彼女たちの隊長…ラウラ=ボーデヴィッヒがIS学園へと入学するのだ。彼女たちにとってラウラとは自らの隊の隊長であり、ある者にとっては憧れであり、ある者にとっては目標であり、そして副隊長であるクラリッサ=ハルフォーフにとっては…本人が聞けば気を悪くするでろうが、妹のように思っていた…だが、食卓を囲む彼女たちは皆一様に心を曇らせていた。
(隊長、顔色が悪い…)
「…いかがいたしました、隊長?ご気分が優れないのでは…」
「…ここ一週間、夢にバーバウズが出てくる…言うセリフはただ一つだけだ…『貴女は人間、人としての生を楽しみなさい』…何が人としての生だ!」
ラウラはテーブルを思い切り殴り、料理の載った皿やミルクの入ったコップがぐらりと揺れる。慌ててコップを抑える他の隊員たちには目もくれず、ラウラは搾り出すように怨嗟の声を上げた。
「私にとって必要だったのは強さだ!鋭さだ!人としての生など、私には意味など無い…ソレを私はIS学園に行き証明してみせる!」
(…だが、バーバウズ博士は、私たちに人としての生を教えてくれた)
ラボのスタッフたちにとって何より重要だったのは、ラウラたちの『性能』でしかなかった…たった一人、バーバウズ博士を除いて。
『食べて寝て、鍛えるだけが人生じゃないわ。色々な楽しみが有るのよ、人生には』
『コレ?マンガよ。ジャパンのモノだから面白さは折り紙つき…他のスタッフたちには日本語のオベンキョのためって言っといた』
『いい?貴女達は人間よ。生まれも過去も関係ないわ』
『好きな歌、好きな花、好きなマンガに好きな人…コレが有れば、人間大体のピンチは乗り越えられるわ』
(優しく、聡明で、温かい人だった…どうして貴女は、『越界の瞳』を我々に植えたのです…?)
今は亡き恩人に嘆き、そして年下の上司が願いの方向性に嘆く…クラリッサは心の中で嘆くしかなかった。
■
『ホント、デュノア君様々だよ。日曜日のアリーナなのに空きが有るなんてさ』
『そうね、ドローンを出すわ…』
ココは第2アリーナ。『アンカー・スチーム』を纏った俺は『ラッキー38』の重さを肩に感じながら放送室の簪さんへと言葉を続けていく…おお、今日はそんなに怖くない。まあ、訓練だってこっちも分かってるからかな。
『…にしても無茶だよ簪さん、48発全てのミサイルを心で動かすってのは。セシリアさんだって同時に動かせるのは4つまでなのに…』
『セシリアさんは…BTシステムを使ってるから私とは負担が違うわ…それにミサイルは使い捨てよ…』
AOAブースでポツポツ教えてくれた簪さんの話だと、『打鉄弐式』に搭載される第3世代型装備『山嵐』は第3世代装備の例に漏れず心をトリガーにする兵器なのだが…6基の独立型のミサイルポッドからそれぞれ8発の小型ミサイルを放つシステムなのだが、簪さんはソレを全て心で誘導する仕様にする気だったらしく、ゲスジジイに散々からかわれていたらしい…流石にオツムがホッカホカになるって言うのは言いすぎらしいが、負担はかなりのものだろう。セシリア曰くモニターを5台用意して、それぞれ同時にフライトシュミレーターをプレイするくらいの負担がはかかるそうなのだ。使い捨てとはいえ12倍の負担を耐えられるとはとても思えない…ていうかさ、煽りに耐え切れなくなって飛び出した俺たちに『愛の逃避行だなんて中々隅に置けないじゃないかトレイニーにメガネちゃん!』とかよくもまあ言えたもんだよゲスジジイ。
…グーでいっときゃ良かったかな…
『使い捨てでもさ、しなくてもいい無茶はしないほうが良いよ…ではとくとご覧あれ!』
掛け声と同時に、俺はロックしていたドローンに『ラッキー38』から高速型ミサイル『ニューヨーク・ニューヨーク』をぶっ放し、一直線にミサイルは殺到、標的は木っ端微塵となる。『ラッキー38』をパージし、予めカーゴで運んできた別の『ラッキー38』を接続するとどんどんとドローンを壊し、パージしていく…試合ではウェポンラックは持ち込み禁止だからこんな事はしちゃいけないんだろうけどさ、シロートにはシロートなりの考えというものが有るのだ。
『これが高速型ミサイル。お次は高追尾ミサイル『カリフォルニア』、低速多連装ミサイル『フラミンゴ』、変則機動ミサイル『サーカス・サーカス』、セシリアさんのビットを砕いた『モンテカルロ』…んでもってこいつが垂直落下ミサイル『エクスカリバー』、面でぶち込む散布型ミサイル『シーザー・パレス』、そして最新型のFCSから完全独立した全自動型ミサイル『ルクソール』!…まあ、ドイツもコイツも一長一短なんだけどさ』
『ニューヨーク・ニューヨーク』はホーミングが甘い。『カリフォルニア』は初速がトロイ。『フラミンゴ』はトップスピードがトロく、『サーカス・サーカス』は狙い通りの場所に当たったためしがない。『モンテカルロ』は爆風が他のより小さく敵が正面にいないと威力が期待できない。『エクスカリバー』は真上の敵以外には高い所で撃てば天井のバリアに当たってしまうし『シーザー・パレス』は一気に十何発も発射するのに反比例するかのように一発一発がダメージが低い…そして『ルクソール』はFCSへの負荷をかけないためだけに作られたような低威力、低速度の代物なのだ…
『そしてミサイルへのお手軽な対策としてフレアやECMを拡張領域(バス・スロット)やハードポイントに仕込んでおくISは沢山いるわ。だからこそそれを無効化できる…』
『だからこそ、それを無効化できる心で操るミサイルは3、4発あれば十分じゃないのかな?』
『…えっ!?』
…あ、簪さん絶句してる。シロート考えだけどさ、理由がないわけじゃないんだよ!?最後までちゃんと聞いてくれよ!
『ほら、穴埋めの時にイーリさんが言ってたじゃない?『『コレは当たった』って思った局面が3人とも有ったよな…かわされてビビったろ?そしてあえなくご臨終…』多分コレって防御側にも言えると思う。フレアやECMで防御しきったと思ってたところにミサイルがやってくる…それが3,4発でも結構怖いと思う』
『それよ!それぞれ軌道や速度、弾頭の違うミサイルで壁を作って、本命を…違う逆!あえて先手で使うことで無駄撃ちさせて一気に…ああ『春嵐』や『夢現』で畳み掛ける手も…』
…ど、どうしたの簪さん?何かへんなこと言っちゃった?実は核地雷級の失言だったとか…
『ありがとう茨君!とっても参考になった!この御礼は絶対にするから!』
…あ、行っちゃった…まあ、参考になればそれでいいかな…ってあと片付け1りでやるのか!?バンメシまでには戻れるかな…
眠りに落ちるまで
「凄いよな、デュノア君。ウチラよりも遥かに勉強が出来てるよ…こりゃ最下位2りは固定のままだなぁ…」
「それだけじゃないんだぜ、茨!試合をした時なんて武器を流れるように出してきてさ…あっさり負けちゃったんだ、こりゃ俺たちも今まで以上に頑張らないとな!」
食事も自習も終わり、後は寝るだけ…なんだが、新たなる住人を向かえて俺も一夏も割とドキドキしている。というか一夏、お前この部屋で寝たのって数えるくらいだろ。
「う…うん…そうだったね、一夏…」
あ、そっか。フランスとの時差は7時間くらいあるんだ。さっさと寝ないといけないよな。
「うし、じゃあちっと早いけど寝ようか。デュノア君、こっちのベッド使ってくれ。俺は上で寝るから…」
「ぼ、ボクは上で寝たいかな!」
「でも、上に有るのは布団だぜ?キチンときれいにしてあるし…そっか、天窓から星が見たいんだな!」
一人で納得すると一夏は『白式』を纏う…あ、リョーカイリョーカイ。
「BattleBorn!…っと。じゃあ運ぼうか、世界一希少価値のある運送屋だぜ、ムッシュ」
そういや宅急便ってのはヤマトしか使っちゃいけないんだってさ。ほかは皆『宅配便』なんだと…おし、丁度天窓の下に俺の使っていたベッドが据えられた、コレでデュノア君も満足だろう。
『おし、完了。じゃあさっさと寝ようぜ!』
『じゃあ俺が布団だな…ムッシュもいい夢見られるといいな。故郷に残してきたマドモアゼルとかのさ』
『そ、そんな子居ないよ!』
おー、顔真っ赤にするとは意外と純朴なのかね…
お願いだから男にしか興味がないとかはやめてくれよ。