俺の待ってた非日常と違う   作:陣陽

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おひるねから醒めて

「!!?…良かった…夢じゃったか…」
「!!?…良かった…夢だったのね…」

「バーちゃん…変な夢でも見たんか?」
「ゴンちゃん…変な夢でも見てたの?」

「ああ…茨が化物に…殺される夢じゃ…」
「ええ…茨が山田先生と結婚する夢よ…」

「ソレのどこが変な夢じゃ!?確かに年上じゃが…」
「当たり前じゃないの!滞りなく式が終了するなんておかしいわよ!弾君や一夏君が乱入しないなんておかしいわよ!何で私とすみれが『てんとう虫のサンバ』歌わないといけないのよ!?そこは『Komm, süsser Tod』でしょ!?」




「バーちゃん…管理組合の理事会の資料、作成しとく…」
「…今夜は柏蕎麦にでもするわ…」



或いはそれは、か細いながらも結ばれた絆

『無事か、猿取…すまなかったな、お前を危険な目に合わせてしまった』

『は、はい、何とか…どどどどうすれば…』

 

下手に反撃など考えず回れ右して全力で飛び退ったのは正解だったのだろう…なんとか初太刀をかわした俺はアリーナの壁に背を任せながらガタガタ震え続けていた…アレは、夢と同じようにドロリと溶けた少佐殿のISは、居合いの構えを取り続けるそれは、学園で配布された資料集で掲載されていた、AOAの講習のビデオで見た…そう、織斑先生の纏っていた『暮桜』だった。

 

『な…何だよあれ…!?』

 

 

…チョコレート・フォンデュみたいなドロドロが寄せ集まった姿を『暮桜』といえれば、の話だったが。まあ、夢の中じゃあなす術もなく真っ二つにされていたんだ。何とかして退路を探さないと…

 

『アレかい?まさしく死神の小間使い(ヴァルキリー)さ!やったねトレイニー、ヴァルハラが待ってるよ!ブッディズムじゃあ死を尊ぶそうじゃないか、『ゴング浄土、厭離江戸』だっけ?さあ往きたまえ、極楽往生間違いなしだよ!』

『悪ふざけはそこまでです、アークライト博士。猿取、アレはお前の相手取れるモノではない…いや、私以外では瞬殺されるのがオチだ。さっさとピットから退避しろ』

 

 

…退かなきゃ!何でこんなことで、こんな所で死ななきゃいけないんだ…俺は、俺は悪いことなんてしてないのに…

 

『ち、じゃなかった織斑先生…あの子は、少佐殿は!?コレは一体?』

『…私の自業自得だ、織斑。アイツが悪いわけじゃあない…償うべきは私だ…』

『そんな事言ってる場合かいブリュンヒルデ?あのままだとフロイラインは死んじゃうよ!キミを慕って来たフロイラインをキミは見殺しにするのかい?血の代わりに液体窒素でも流れてるのかい?オーイオイオイ、可哀想にねえフロイライン…ダメじゃないかベビーフェイス!こんなことになる前に男の素晴らしさをコッテリと…』

 

…俺は怖い、山田先生とサヨナラするのが。

 

 

『ジイさん、アホな言葉はよせ!あの子は、どうすれば助かるんだ!?』

 

…俺は怖い、山田先生を裏切るのが、恨まれるのが。

 

 

『助ける?まあ簡単な話だよ、ぶっ壊せばいいんだ。あの刃は皮膜装甲(スキン・バリアー)だろうが絶対防御だろうがお構い無しの死の刃、その危険をかいくぐりながらね!でもさぁ…見捨てるのが上分別だよ。聞いた話じゃあキミの横っ面引っ叩こうだなんて考えてたそうじゃないかフロイラインは!トレイニーだってさんざ粘着されてたんだよ!何でそんなヤツのために…』

 

 

 

…俺は怖い、死ぬのが…

 

 

《どういうことだ説明しろ!》

 

…粘着?

 

《すいません、少佐がご迷惑をおかけして…織斑教官は本日はどちらに?》

 

 

ん?…ああ…

 

 

《ところで…このピラフとスパゲティとサラダとポークカツの乗ったこのプレートだが…何故トルコライスと呼ばれているのだ?》

 

…そっか…そうだよな…

 

《…悪くないな、ココの食事は。まあ、私の許容範囲の崖っぷちだが》

 

 

御免なさい山田先生、俺…逃げちゃあいけない理由、思い出しちゃいました。

 

 

 

俺は怖い、顔見知りが悲しむのは…血は、少しづつ熱くなっていく。

 

 

『俺はあいつのこと、何も知らないさ。でもさ…それは見捨てていい理由にならない!』

 

 

(《『ピーカブー』の使用を提案します…》?…有難うよ相棒、コレなら誰も死なずに済みそうだ)

 

 

俺は怖い、顔見知りに恨まれるのは…骨は、少しづつ冷えていく。

 

 

『頼む茨!こいつは俺にやらせてくれ!』

 

 

怖いのは消えたわけじゃない、俺一人じゃどうしようもない…でも、一夏と、そして相棒と一緒なら…これなら何とかなりそうだ。

 

 

 

『…頼む一夏、俺に、力を貸してくれ…』

 

…ホント、一夏の雄叫びに比べたら俺の震え声はなんと情けなく、頼りないんだろう…『アンカー・スチーム』から渡された情報にくらくらしてるんだ、少しは多めに見て欲しいんだけどさ。

 

『織斑、おまえが出て行っても同じだ。無責任な発言はやめろ、猿取』

『違います先生、俺と一夏でなら何とかできる、そう思います』

 

…不思議なくらい声は落ち着いていた。怖いのはずっと続いてるのに不思議だよな。

 

 

『でしたらわたくしたちも!今すぐそちらに…』

『それは止めておいたほうがいいよレディ!もちろんクーニャンもムッシュもね!アルちゃんの見立てなんだけどさぁ…あの機体はダメージを与えれば与えるだけフロイラインにダメージを与えると見たね!ぜいいん無事に済ませたいなら一撃必殺しかない!さあそれでも虎口切所に挑むのかいボーイズ!』

 

 

…不思議なもんだね。ゲスジジイの煽りが煽りに聞こえないなんて。まるで少佐殿を案じているような感じに聞こえてしまう。ビビリで俺もおかしくなったのかな。

 

『挑むさ!俺はあの子がどんな思いでここに来たのか何も知らない!知らないまま死なせたら、いくら悔やんでも悔やみきれない!』

『挑むよ。『欠けている物を骨身に刻んでやるといい』って織斑先生、仰ったじゃないですか。あの子に何も教えてないですよ、俺』

『…何をあいつに教えるつもりだ、猿取』

 

 

俺は怖い、関わりを持った人が死ぬのは…震えが、波が引くように消えていく。

 

 

 

『『ウマイ飯を食ったことのある人生は、捨てたもんじゃない』ただそれだけです。一夏、『アンカー・スチーム』が『ピーカブー』の使用を提案してる…データをそっちに回す、こいつで何とかできそうだ…ソレとゲスジジイ、『プロヴィデンス』は切ってくれ。操り人形みたいでどうにもしっくり来ないんだ、コレ』

『オーケイオーケイ!ナマで行こうだなんて中々のナイス根性だね!骨は拾ってあげるから安心しなよトレイニー!』

 

《…まあ、心中は御免だ》

 

一夏らしくないボヤキだな…などと思いつつも直近のコンテナを開封する…『ダブルダウン』、良いツキだ!金星ラーメン様サマだね…肩に接続しながら俺は一夏のように雄叫びを上げた。

 

『わかってる…下手な装甲より心強いものがコッチにはある!行こうぜ一夏!』

 

 

『応!これならなんとかなりそうだ、速攻で片をつけようぜ!』

 

 

?さっきの呟き…誰のだ…?

 

 

Δ

 

 

(何故だ…何故私は勝てない!あんなドシロウトに翻弄されて…)

 

…弱いからよ。

 

(なら…力が欲しい…欲しい!誰にも負けない強さが!どんな時でも、誰が相手でも、破壊できる力が欲しい!私はそのために生まれたのだから!私は…兵器だから!)

 

…ならくれてやろう、破壊の力を。欲しいだけ、ありったけ。

 

(寄越せ!寄越せ!ありったけを!こんな雑魚など真っ二つにしてやる!よりにもよって哀れみを浮かべる軟弱者など、殺してやる!)

 

…捧げなさい、肉も血も皮も骨も、髪一筋も…そして貴女は成り下がる、兵器に、道具に、『醜き兵』エインヘリヤル(einherjar)に…それで良いの?

 

(それでいい!負けて生きるなら、そんな生に…)

 

…そんな強さでは、お前の相対する相手には未来永劫勝てはしない。

 

(どうしてだ!ただブルブル震えているだけの惰弱な男に!?卑怯な手管でしか勝てない男に、何ができる!)

 

…貴女の求める強さは、虎や熊、孤高の、獣の強さよ…

…良く見ておけ…組織の、絆の、人間としての強さを…

 

 

カタパルトからエントリーした『白式』…一夏は地面に突き刺さる勢いで着地すると一直線にドロドロの暮桜へと向かっていく…直情径行か、だが、無為無策で突っ込んでいく気か!?

 

『いっけぇ…一夏!』

『応!!』

 

一方アンチマテリアルライフルを構えた『アンカー・スチーム』…茨は肩部からスモークスクリーンを射出し、ドロドロの暮桜と一夏のちょうど中間に煙幕が発生した…臆病だとは言わないが一夏だけ突っ込ませる気か、茨…ん!?

 

「一夏…!?あいつ…!?こんな時に!!」

 

煙幕に突っ込む一瞬前、確かに私は見ていた…『雪片弐型』を構える手とは逆の手が左手を開いたり閉じたりする様を…こんな時に有頂天になるとは、何を考えている!?

 

『…のあっ!?』

 

…それ見たことか!突っ込んでいった一夏の斬撃は手前で仕掛けそこなった。刀を狙う袈裟懸けの先の太刀、篭手を食む逆風の中の太刀はすんでの所でかわされていた…『乱烏』か、ガラ空きの胴はまさに横薙ぎにしてくれといわんばかりだ!ドロドロの『暮桜』は『不動』を仕掛けようと…ん!?まさか…わざと!?

 

 

 

 

『…十戒の11番目と12番目、知ってるかい?…11番目は『汝見つかる事なかれ』だぜ!!』

『ギ…ギギギィィィ!!!???』

 

 

 

暮桜の真正面にいきなり顕現した茨は、弾丸のような勢いで暮桜を『プリズム』でしたたかに打ち払っていた!何処から出てきた茨!?しかし、『プリズム』は接触しても『両者ともに』ダメージは受けないはず…そうか!体を崩そうと…一方、一夏は逆風の勢いのまま天へと舞っていた。

 

『さあって…と!?後は頼むぜ一夏!そして最後は『汝諦める事なかれ』だ!!』

 

 

 

そのまま茨は手を翳し、バラバラになった『パシフィスト』は、暮桜を球体状に取り囲んでいた。『パック』か!?しかし『白式』には一切の銃器は搭載されていなかったはず…ん!?一夏などお構い無しに暮桜は踏み込みながら抜刀し、茨を『不動』で両断しようとしている…一夏が見えないのか!?

 

 

 

 

 

『解ってる!!…もらったぁぁぁ!!』

 

『うぅひぁぁぁ!!』

『ギァァァァァァァァ!!!!』

 

そしてその隙を見逃す一夏ではなかった。零落白夜を展開し、中空から瞬時加速(イグニッション・ブースト)の勢いも加え、体を両断する終の太刀が暮桜を両断していた。暮桜はそのままおぞましい叫び声と共に闇が払われるが如く霧散雲消し、少佐殿は傷一つ無い姿を表すと倒れ伏していた…すんでのところで茨は『不動』をかわし、その余波で跳ね飛ばされ、一回転するとうつ伏せに倒れこむ…

 

『少佐殿は無事だぜ、茨!『白式』がバイタルサインにも異常無しだって…茨?茨!』

 

 

 

 

…あの太刀筋はまさに織斑先生…『ブリュンヒルデ』のものだった…まさか!?…当たり所が悪ければ…

 

 

 

 

 

『悪ぃ一夏、手貸してくれ…腰抜けた…』

 

 

 

 

…だからその情けない発言は止めろ、茨。折角の勇敢な行動も額面どおり取られないぞ…

 

 

 

『かくして怪物は打ち倒され、姫君は王子様に助けられました…ね。ベタなのは嫌いじゃないわ』

『まあな…だが、『パシフィスト』が新たな力を示したほうがオメーにとっちゃあ重要なんだろ、アル?』

「ああ…『兜』とはな…」

『『剣』が顕現すると踏んでいたのか?『剣』が顕現していたとしたらエイブの未練は十中八九死んでいた。そうなれば我々も死んでいただろう…』

「分かっている…優しさだろうな、彼の…エイブの未練だが、後遺症も副作用もなさそうだ」

『で、ドイツへのオイタの付けはどうするつもり?』

『その件なら安心しろ…『更識』が滞りなく回収するはずだ』

『…直接というわけではなさそうだ。交友関係は広そうだな、更識のエージェントは…安心しろ、『未練』全員身の立つようにしてもらおう』

 

 

 

 

「…以上が『更識』からの実況中継です…いやいや若さとは良い物ですな。一切の打算も見返りもなく人命を救える…俗臭プンプンの我々としては恥じ入る限りです」

 

ドイツ首相官邸大会議室。本来ならば首相を初めとして各大臣は夫々に職務に、或いは外遊にと過密なスケジュールをこなしている最中であり、一同に会するスケジュールに無い事は自明の理であるはずだった。

 

「…何が言いたいのだね、ローゼンベルガー副局長」

「説明したまえ!我々を拉致同然で集め、このような映像を見せ…」

 

だが、ソコには一堂に会するはずもないドイツ首脳陣が欠けることなく揃い、座り心地のよさそうな椅子に腰掛けながら蒼白の表情でIS学園からの生放送を食い入るように見つめ続けていた…自らの上司たちを前に、いけしゃあしゃあと中肉中背の白人男性…ドイツ連邦情報局副局長、カール・ローゼンベルガーは嘯く。

 

 

「どうもこうもありませんよ、首相。『ブリュンヒルデ』への意趣返しは失敗に終わった、ただそれだけです…彼女を裏で『黄色いサル』呼ばわりしていたことは我々がキチンと録音していますよ。ああ、ウチの『影』たちがご公務は滞りなく済ませてますんでそこいらはご心配なく、野暮用が終わったら無理なく交代します」

 

「…そんな事はありません!我々は彼女に恩義を感じ…」

「大体にしておいてだ、どうして貴重な戦力を割いてまで意趣返しなど…」

 

「戦力、ですか。毛も生え揃わないようなガキを『戦力』とは、人権に喧しいわが国とは到底思えませんや。それともアレですか?鉄とシリコンとガラスの子宮で育った人間は人間じゃあないと?」

 

沈黙を纏った首脳陣に苦虫を噛み潰した表情を浮かべると、手帳を捲りながらカールは言葉を続けていく。

 

「AOAからの請求は修理費のみで1億ドル…F-22半機分とは実に良心的ですなぁ、倉持の試作機を1台お釈迦にして、数えるほどしかいない男性IS操縦者を危険に晒したにしては。ああ、修理はAOAが『レーゲン』も含めて『IS学園の依頼の下、IS学園の監視下で』行うと…」

「そんな馬鹿な話があるか!アレは我がドイツの…」

 

血相を変えて言い募る防衛大臣に冷たい視線をくれると、カールは意にも会さず言葉を続けていく。

 

「あ、そのクレームは門前払いですわ。『IS学園特記事項第21項 本学園における生徒はその在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない。本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする』…IS学園生を積極的に害する恐れのあるシステム、許すと思います?ウチの腕っこきでもあそこに突入するくらいならロシアの冬将軍とのガチンコを選びますわ…ま、悪いオチには持っていかないんで工作費はいつものように差っぴいておきます。あと、フランスの男子についてはウチからも探りを入れときます」

 

(コレで勝ったとおもうなよ、鳥なき里の蝙蝠…)

 

刺すような殺気をまといながら、カールは会議室を後にしていった。肝を冷やしていたドイツ首脳陣は怨嗟を呟きながら立ち上がり、次善の策を打とうとしていた…思い出したかのようにカールが出入口の隙間から顔を出し、事も無げにのたまうまでは。

 

「ソレと…『レーゲン』とその搭乗者を開発したラボの連中、IS委員会が嘴挟む前に確保しようとしたんですが…電脳関係は全て外部からのクラッキングを受けて真っ白け、肝心のスタッフも脳味噌『だけ』沸騰しちゃってまして…これじゃあ2度と『バルキリー・トレース・システム』は再現できそうにありませんや…それと、ウチで黒兎のメンツは保護してますんで、ご安心を…AOAからの突っつきなんですが…一匹残らず身を立つ様にしないと納得はしないようですよ向こうも、IS学園も、私もね」




くうそう もうそう だいぼうそう


「ううう…ようやく感覚が戻ってきた…ホント、トイレに行ってからアリーナに行ったのは正解だったよ…」

『ジョブ&ホビー』医務室のベッドの上でようやくマトモに動けるようになった俺は、ぼやきながら伸びをする…因みに少佐殿は精密検査が必要との事で個室に入れられ、一夏も別の個室だ…『淑女協定』とデュノアさんは向こうに付きっ切りだ…頑張ってくれよ皆、ココが好感度の稼ぎどころだぞ!

「そんな事ない…凄いわよ、あんな殺気を受けてまともに動けるなんて…」
「かなぁ?正直、一夏がいなかったら俺もそのまま尻尾巻いて逃げてたよ…」


そして、同部屋の対面のベッドにに居たのは簪さんだった。『何かしらの悪影響が有ってはいけませんので、一応の検査は必要でしょう』ってことで一緒の病室に入れられたんだが、特に検査もなくかれこれ1時間は過ぎ、愚にもつかないことをダベっている…ん?




《イヤラシイ…》




…見てしまった、目が合ってしまった…



《簪チャンヲ1時間モ独リ占メトカイヤラシイ…》


…廊下から窓越しに睨みつける視線を…



《私デモシタコト無イノニイヤラシイ…》


…いや、心配なら入って来ればいいでしょ?天井に張り付いて窓越しに監視とかヤモリですか会長?

「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる。なんか腹具合悪くてさ」

務めて平常心を保ちつつ、俺はベッドを抜け出して行く…安心してくれ簪さん、別に会長は取って食うようなことはしないと思うぞ…

(会長、ウチのゲスジジイがお膳立てしたんですよ…簪さんを責めないでくださいね)
(いわれなくても分かってるわよ!!ささっと出てきなさいよ!!)

「大丈夫簪ちゃん!?何処も痛い所は無い!?乱暴なことをされたなら言って頂戴コッチには敏腕弁護士が山のようにいるわよ」
「だいじょうぶ…ごめんね、姉さん…ずっと迷惑かけて…」
「何馬鹿なこと言ってるのよ!良いのよ…だって…たった一人の家族じゃないの…」


「ありがと…まさかこんな事で恩を売ったとか思っていないでしょうね簪ちゃんにコナカケとか100年早いわよこのスケコマシ」
「は?いや別に特にそういうのは…」
「何よ簪ちゃんは魅力的じゃあないって言うのアンタ頭おかしいんじゃないのちょっと待ちなさいよ何処に逃げようとしてるのよ」
「いや別にそういうのはないですから!タダの同学年生…」
「ああ思い出してきた思い出してきたあんた薄汚いカフェオレ女に頼み込んでまであたしにネガ工作してたわよねコレって簪ちゃんをモノにしようとしてたのよね反間の計ってヤツなのよね」
「もう1月前じゃあないですかいい加減忘れてくださいよ!ちょっと離してくださいよ!!」
「私の中では終わっていないわよどれだけ名声を汚されたと思ってるのよ!?」

(お姉ちゃん?茨君と…?)

※簪ちゃん視点です

『ありがと…でも、簪ちゃんにコナカケなんてする必要ないわ…私がいるでしょ、このスケコマシ…』
『いや、別にそういうのは…』
『逃げる必要は無いわよ、もう私は貴方のモノよ…』
『や、止めて下さい!忘れてくださいよ…俺と会長は、もう終わったんです…』
『私の中では終わってないわ…いくらでも汚して、いつもみたいに…』

「…お姉ちゃん、茨君と…やっぱり…そうだったんだ…」
「違うのよ簪ちゃん!!茨君がいきなり!」
「何をどうやったらジャパニーズレッグクラッチホールドを決める展開になるんですか!?お願いだから離してくださいよ!簪さん助けて!!」
「不潔よ…茨君も、お姉ちゃんも…」
「違うのよ!コレは茨君が無理矢理!!」
「だから何でソコで腕ひしぎに移行するんですか!?」

…結局俺が解放されたのは、のほほんさんがタイガーマスクばりのドロップキックを決めてからだった…

「酷いよ…お姉ちゃん…茨君…」
「違うよ…違うのよ簪ちゃん…」
「女ゴロシだねー、いばらん…」
「な、何でそうなるのよ!!」

何でこうなるんだよ!?俺が何をしたんだよ!?何で会長と簪さんが泣くんだよ!?泣きたいのは俺のほうだよ!!こんな非日常願い下げだよ!!
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