俺の待ってた非日常と違う   作:陣陽

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食えば病み 食えねば拗ねる 毒饅頭




「あーあ、早くAOAに殺されないかしら芥子田のアホ。『打鉄弐式の開発を優先するべきですニャ!』なんてマジレス流行らないわよ。今のうちに泣きまねの練習でもしておこうかしら…それよりも例のISの修理よ修理!」




『倉持のスタッフ、芥子田寧子…どう考えても間諜よ』
「あるいは鉄砲玉かな。だが…若い連中はコッチに引き込む気満々さ」
『ダブルスパイねぇ…寝返る要素はあるのか?』
「…随分とネズミどもに疎まれていたようだ…素質としてはいい物を持っている、良心もある、鍛えれば一端にはなれるはずさ」
『ネズミ達は2つの毒饅頭にご執心のようだ…やれやれ、貧すれば鈍すとはまさにこのことだな…いや、それだけ魅力的というわけか』




「いや…やはりIS学園はIS関連の中心地です。倉持ではこうは行きません」(ニャハはは…チョロい!チョロ過ぎるニャ!学校だから秘密の取り扱いが甘甘だニャ!秘がゴロゴロしているニャ!ごっそり持って帰ってヒカルノにドヤ顔してやるニャ!)

「そうだ、ここにある情報はご自由にして構いませんよ。もしお入用なものが有ればお持ち帰りして結構です」
「!?…ご親切痛み入ります」(ニャ!?こいつら…まさか、ウチの素性がソコまで割れてたのかニャ!?倉持で冷飯食わされてたのバレバレだったかニャ…ネコジタだから別に良いけどニャ!ああそれより逃げる算段しないとニャ!)

「そういえば、貴女は筋肉にとても興味がありそうですね。この私の上腕二等筋への熱い視線…」
「あ、あ、アホなこと言うんじゃねーニャ!ウチはBL大好きノマカプもキライじゃないけど3次元は願い下げだニャ!!」(ハハハ…確かに屈強でしょうがそういう嗜好はございません)

「あ!?つい本音をぶちまけてしまったニャ!」


「良いね君!語尾に『ニャ』とかつける人カミーユ以外ではじめて見た!」
「佐藤先生かなり不満タラタラだったよね」
「年上の妹とか新しすぎだったよね」
「ああ…やはり筋肉でも乗り越えられないものが…否!マッスルメモリー無くして人は生きてはいけないのだ!」
「本音と建前が裏返るとかないわー、まじないわー」
「ていうかホモ好きかよお前、2年のメガネちゃんといいホモの嫌いな女子は…オウフ!ヤメテ!タイキックはヤメテ!?」
「ホモじゃないニャ!BLニャ!」




「ケシダネイコさんだっけ?今度来た倉持の人…AOAのスタッフ並に無表情だね、あの人」
「いいえ、カラシダって読むのあの苗字…茨君はああいう感じの人がタイプ?」
「まさか。類友っていうのかなあって思っただけ、簪さん」

「いいね君!ジョースターの血並みに馴染んでるよ『ペッパー』!!]
「芥子田→カラシダ→『ペッパー』…安直だな君達は…」
「ていうかDIOってあの状態で『シュッ ^^;』したら至高の悦楽だよね…」
「セルフバーニングよりも選り取り見取りでお楽しみの方が…」
「エリナとの純愛を、ジョースターの血統を陵辱!そうゆーのもありだニャ!」
「やっぱりホモ好きだよ…」


ヒーローへの道、挑戦しますか? ①はい ②いいえ ニア③ヒーローとは?

「どうやら殺される覚悟は出来たようだな茨」「男と男が同じ屋根の下何も無いわけが無いわよね」「友情が愛情に変質することは稀に良くあるそうですわね」「一夏がランボーなら茨君はヴェルレーヌかな」「ランボーにヴェルレーヌというキャラは居たか、猿取君?」

 

土曜朝8時すし詰め状態の『ジョブ&ホビー』視聴覚室。そこに居たのは『淑女協定』を初めとしたIS学園生、それより遥かに少ないAOAスタッフ、そして整備スタッフと整備科の先生達と俺だった。

 

「やっぱり1章なくしてコレは語れませんよね猿取君!皆で昨日予め視聴した甲斐が有るというものです!」「あの人生涯収入億単位で損したってマジ?」「アメリカのメディアの前でノンケ宣言とか冗談抜きで公開処刑だよね」「異常性愛に一番寛容なのは日本だよね」「ところで三河やデラックスは攻め?それとも受け?」「おい馬鹿やめろこの話題は早くも終了ですね」

 

…いや、殺意とか熱気とかその他おぞましいものがグルグルしていた…確かにさ、『ビデオ流す』とは言ったよ。でもさ…何でそうなるのよ…

 

 

 

 

「私が提案したんですよ、黛さんに。『もう一人の男子にインタビューしては如何でしょうか』と…お気に召しませんでしたか?…美味しいですね、このシフォンケーキ」

 

『ジョブ&ホビー』内『オートスミス・マークナイン」の鎮座する修理スペース。ピクシーは椅子にちょこんと座り言葉をとぎらせ、俺名義で差し入れたメープルシフォンケーキをモクモクと飲み込んでいく。

 

「姉さんの件でしたら気にしなくていいですよ。姉さんは好奇心旺盛ですけど虚栄心はそれほどでもないですし…オレンジシフォンケーキですか、コレは織斑君との甘酸っぱい関係の隠喩ですね猿取君!」

 

…何奢ろうがそういう反応なのは百も承知ですよ黛先輩…インタビューを終え、『ジョブ&ホビー』に顔を出したのは失敗だったかな…ゲンナリとした俺のツラにゲスジジイはニヤニヤしながら視線を寄越し、一口でヨーグルトシフォンケーキを飲み込むと嘯いていく。

 

「実にモテモテじゃあないかトレイニー、『打鉄弐式』も設計図完成したし…ボクがトレイニーだったらもう乾く暇がないくらいだったのに実に勿体無いねトレイニー!」

「俺はそういうのは一番嫌いなんだよ!…ていうか、設計図もうできたのか…って!?」

 

…まあ、俺には山田先生がいるしさ。おおっぴらに出来ないのはいろいろとアレだけど…ゲスジジイが放り投げた設計図をキャッチした俺はそれを開きながら話題を変えるべく言葉を返し、付随した完成予想図のアレさに絶句していた…関係者の名誉に賭けていうが、あんまりにもヘボかったとかそういうのでは断じてない。

 

「なあ…ゲスジジイ…俺これと似たISとこないだ戦った気がするんだけどさ…」

「あらァ?皆様今の言葉聞こえましたかしら?」「聞こえない」「何か言ったか?」「ボクのログには何も無いよ」

 

…ちなみにだ、今日ここに集っているのは『打鉄弐式』開発に関わった学生一同、AOAスタッフ、先生達や整備スタッフ、野次馬根性旺盛な学生の皆に専用機持ち一同だ。『1りケーキ1つだなんて貧乏くさい真似はやめなよトレイニー!』のゲスジジイの一声でケーキをありったけ買い込み、ケーキバイキングの宴と相成った…入りきらないことを見越してか外せる壁は全て取っ払い、簡素なテーブルや椅子でははあるがそれでもやや窮屈だし黒々と書かれた『祝!打鉄弐式再開発』の垂れ幕も眼に痛い…頭の痛くなるような『淑女協定』4りの答えの最後に、最後の1り…ボーデヴィッヒさんが申し訳なさそうに、だがしっかりとした口調で言葉を返す。

 

「安心しろ、猿取君…ドイツはこの件に関しては黙認している。私としても、役に立てるのなら何よりだ」

「基礎フレーム及びアビオニクスの4割、一次装甲の構成の3割は参考にさせてもらったよ、『シュバルツ』は…ああ尻を持ち込まれる危険性については安心しなよ!ココだけの話なんだけどさぁ…ドイツの開発チームじゃあOSのバックアップが消し飛んじゃったらしいんだらしいんだ!掃除のオバちゃんがコード間違って抜いたのかな抜いたのかな?1億ドルの請求書に『OSのデータ、戦闘データは今のところ無事です』ってメモを添えたらなんと6億ドル振り込んでくれたんだ!」

「補足と訂正をさせていただきます。ドイツでは『シュバルツ』シリーズの量産及び配備が進んでおりますが、『ブリュンヒルデ』との交戦データが有るであろう『シュバルツェア・レーゲン』が有ってこその計画と言えましょう」

「そしてそれは皆様が作成している『打鉄弐式』にも当てはまるのです。『シュバルツェア・レーゲン』との交戦データは、我々倉持としても無下に出来るものではありません…初めて頂きましたが、美味しいですねIS学園のスィーツは」

 

筋骨隆々のパイルさんがエッグタルトを飲み込むと呟いた言葉に、シュークリームで口元をベチャベチャにした芥子田さん…AOA社員には『ペッパー』って呼ばれているそうだ…が言葉を続ける。どうでもいいけどワンレンボブの綺麗な黒髪にサーモント眼鏡の似合う美人さんが台無しだぞ。倉持には変人しかいないんだろうか。

 

「『シュバルツ』の修理費計3億ドル!IS学園への寄付1億ドル!関係各国、各団体へのネマワシとして1億ドル!残りの1億ドルはフロイラインに頼んでドイツに返還してもらったよ!コレでフロイラインも面目を保てるってもんだ。ボク達AOAもたんまりデータを頂けたし、IS学園からスタッフ用食堂とカフェテラスの使用許可もいただけた!ドイツだって厄介なシロモノを秘密裏に修正できた!倉持から『打鉄弐式』再開発のお墨付きも頂いた!監視役コミなのが残念だけどね…これぞウィンウィン優しい世界!そしてボク達のヒーロー、ベビーフェイスとトレイニーの株もダダ上がりさ!ささレディース、アッピルタイムの始まりだよ始まりだよ!」

 

…ああ、俺周りの人口密度は確実に減った。殺気とか慕情とかも一夏に向かっている。俺はさっさとお暇しよう…

 

「ヒーローなんて作り話の世界にしかいないぜ、ジイさん」

 

一夏が、殺気立ってさえいなければ。

 

 

「どうしたんだいベビーフェイス?そんなカリカリしてさ…照れくさいのは分かるけど、そういうのにだって慣れた方が…」

「違うよ。ヒーローなんて現実にはどこにもいない」

 

AOAが音頭をとって開かれたお茶会…打鉄弐式再開発祝勝会…ではあったが、参加した我々は和気藹々とした時間をすごしていた…ゲスジジイが口火を切り、一夏がそれに噛み付くまでは。

 

「夢の無い話だねベビーフェイス。スチーブンソンやライト兄弟、ベーブルースはヒーローじゃないと?…トレイニーはどう思う?ヒーローは…」

「ジーちゃんやバーちゃんの受け売りだけどさ…いる、いないモノじゃないと思う。なんて言えばいいのかな…」

 

 

…瓢箪鯰な態度だな、茨。居るなら居る、居ないなら居ないとはっきり言ったらどうなんだ。

 

「どうしたんだいトレイニー?日本はヒーローが山のように居るんだろ?ベビーフェイスにおススメできるやつはないのかいないのかい?」

「…分かった。ヒーロードラマで良いのが有ると思う…ただ、俺んちに置きっぱなしだし…」

「なあ、そのビデオ見れば分かるのか?じゃあ週末にでも持ってきてくれよ」

「お、おお」

 

 

「なるほどなるほど…ビデオとくればアレしかないでしょう!どうです?金曜日の夜にでも先行上映いたしますか?」

黛先輩の言葉に私は間髪入れずうなずいていた。

 

 

…それが、どれだけの後悔の残る代物であるか知らないままに。

 

 

 

 

 

だから気付いていなかった、ゲスジジイの挙げたヒーローに武人、軍人、豪傑が居ないことに。

 

 

(何で…何でソコで噛み付くんれすか織斑君!?折角…トンズラするであろう猿取君とのランデブーを楽しめるはずだったのに!?)

(かんちゃんのヘタレ!どーしていばらんをつらないのー)

(別に…そんなんじゃ、ないから…)

 

 

(…ヒーローの否定か。飄々としているように見えて、屈折しているのか…いや、まだ彼は若い。修正なら効くはずだ…彼女のようなことは、もう懲り懲りだ)

 

 

 

 

「すごいな!休みの朝8時にこんなに集まるなんて」

「ポップコーンにプレッツェル、ローストピーナツはいかがだいいかがだいエブリバディ!」

「朝っぱらからよくもまあ集まるものだ…下らない内容なら厳重注意ものだぞ」

「あ、あのですね猿取君!ココも学校の敷地内なんですよ!?」

 

ああ…やっと来てくれたか一夏、織斑先生に山田先生…そしてゲスジジイ。ていうか今度はゲスジジイが売り子をやるのかよ…ていうか貴女も俺がエロビ流すと思ってるんですか山田先生。

 

 

「猿取君、一体何を上映するんだ?ここまでみんなが殺気立つのは尋常ではないぞ…」

「決まってるじゃないかフロイライン!ここまで人を集めて上映するんだハメ取りモノに…」

「分かったでしょう簪ちゃんこれがアイツの本性なのよ野良犬でも目を背けるような真似を私が許すと思っていたのかしらアンタの命は残り数時間よ遺言はあるのかしらああきっと悪魔でも耳を塞ぎかねないような破廉恥極まりない代物なのね」

「…信じてたのに、茨君…」

 

ああ、人が増えれば増えるほど混沌としていく。だが、救いの女神も同時にここに光臨していた…2度もイケニエにさせられたんだ、これくらいはいいですよね…

 

「そうだ織斑先生、『おじゃ魔女ドレミ』ってアニメ見たことあります?」

「何馬鹿なこと言ってるの猿取君!」「千冬様がそんな低俗な…」

 

 

「ああ、有るぞ猿取。私が7つか8つの時にやっていたヤツだろう?」

「幼心を忘れないなんて、流石はブリュンヒルデ!」「後でレンタルしてきます!」「すごいなーあこがれちゃうなー」

 

…おし、タゲは俺から確実に拡散した。ヘイトは抜けた。黒山の人だかりが落ち着きを取り戻すのを見計らうと、俺は務めて冷静に言葉を続けていく。

 

「今回流すのは、その30分前にやってたヒーロードラマ。小田桐さんの出世作」

「え!?独立リーグの田d…」

 

黛さんの妄言を聞き流しながら俺はジーちゃんから借りてきたブルーレイBOXを再生する。

最初のシーンには、ただ、こう書かれていた。

 

『この作品を 故 石ノ森章太郎先生に捧ぐ』

 

…『電王』にしようかとも思ったんだけど、女子がキャーキャー騒ぎそうだし…

 

 

「アレが一番ええじゃろ…平成ライダー1作目にして原点、ドラマとしても十分に楽しめるしの」

「確かに白眉よ。でもねゴンちゃん…キバ、ディケイド、鎧武でも良かったじゃないの」

「女子高生じゃぞ!ヒーロードラマにはじめて触れる女性にきつ過ぎるぞ…特にディケイドは平成1期知らんとイミフじゃないんかの」

「何言ってるのよ!茨にとって最初のライダーは555だったのよ!」

 

『ジーちゃん、どうしてこんなにこの人たちケンカしてるの?』

『ジーちゃん、どうしてこのニーちゃん年下の人にお母さんになって欲しがってるの?』

『ジーちゃん、どうしてこのニーちゃんこないだまで仲間だったのに裏切ってるの?』

 

 

「そうじゃったな。答えられんことが多すぎたの…」

「だから言ったじゃないの!アレは『惹かれあい、されどすれ違うINIとKBにちょっかいをかけるKIDUとKITRU、そしてノンケの皮を被った間男KSKとそれを付け狙うSWDの一大愛憎劇』だって!」

「ワシの見ていた555と、バーちゃんの見ていた555は違ったんじゃな…」

 

 

「おし、取りあえず10話までは流した…どうする?次は来週でいいよな…って、黛先輩を適当な所で開放してあげなよ…」

 

…どうやら昨日黛先輩は、新聞部でなにやら上映会をしたらしく…そのため結構な数の生徒が寝不足だったらしい。そういうことにしておこう。吊るし上げを恐れて逃げ出し、それを大多数の生徒達が追っかけているのはきっと下らないビデオだったからに違いない!『良くもあんなおぞましい物を!』とかその他の怨嗟の声は聞こえない、ないったらない!

 

「何時見ても良いねぇ良いねぇコレは!ホームズの有能さをアッピルするために無能にされるスコットランド・ヤードと違ってキチンとケーサツが活躍してるのが実にイイよ実にイイよ!マナーモードに出来ないイチジョーさんは頂けないけどさ頂けないけどさ!」

「日本文化にソコまで貴方が造詣が深いとは思いませんでした、アークライト博士…」

 

だよねボーデヴィッヒさん、まさか一昔以上前のヒーロードラマまでチェック済みとかホント怖いよゲスジジイ。ていうかお菓子が半分位捌けてるとか何だかんだで食欲旺盛だね皆。

 

「確かにさ、主役の人がヒーローだっていうのは分かるさ、茨。カッコイイと思う…でもさ、あんな人、やっぱり現実には居ないぜ」

「確かに居たら怖いよ、あそこまで能天気な人。でもさ、結構無理してるんだぜ…ネタバレになるから詳しくはいえないけど。それにさ、警察や周りの人たちも主人公任せにするんじゃなく自分達ができることをしてただろ?主人公にバイクをあげただけじゃない、バッタの怪人が煙を嫌ったのを見て特殊な煙幕弾を開発したり、イカの怪人の吐き出した超高温の体液から弱点を割り出したり、アジトを割り出して強襲したり、古代文字を解読してサポートしたり…誰かのために身を挺して何かが出来る、そういうことが出来る人がヒーローだと思う」

「クサイねクサイねトレイニー!アルちゃんサブイボ浮いちゃったよ!ボクにとっちゃあ誰かの野心、欲望を叶えられる存在こそがヒーローだよベビーフェイス!だから人の生きたいって願いを怪人ぶっ殺してかなえてるゴダイさんはヒーローだよベビーフェイス!」

 

…ああ、そうだろうねゲスジジイ。でもさ、それだけじゃないんだけどさ…

 

「…今日は俺は家に帰ってブルーレイBOX置いてくる。一夏も帰るか?」

「いや、昨日帰ったから今日は学園に残る、昼飯の前に部屋に戻るよ」

「そっか、じゃあ俺も一度部屋に…どうしたボーデヴィッヒさん?」

「私も途中まで付き合っていいか?」

 

 

Χ

 

「なあ茨…やっぱりヒーローなんて現実には居ない。だってさ…千冬姉を助けてくれた人は、ヒーローは…どこにもいなかったんだから」

 

君もヒーローなんだろ、『ブリュンヒルデ?』なら、教師として、ヒーローとして、振舞い続けたまえ。

 

「なあ一夏。さっき言えなかったんだけど…ヒーローって言うのはさ、何かをしただけじゃない、『ヒーローとして誰かに認められる』だからこそヒーローになれるんだと思う。ここの生徒にとって織斑先生はヒーローだろ?一夏の中じゃヒーローじゃないのか?」

 

私はヒーローでは有りません!私は…唯の罪人です。

 

「当たり前だろ!千冬姉はヒーローだ!…そっか、そうだよな…」

「ほら、ヒーローは居るだろ?ボーデヴィッヒさんにとってもそうだろ?」

 

3年前の…いや、10年前のあの日からか…だが、織斑君は普通の少年だよ。

 

「ああ…だがな、まだヒーローが居ることを私は知った。身を挺し私を助けてくれた…」

「そうだよなー、あこがれちゃうよなー」

 

…どうして、アークライト博士は…アイツの誘いを断ったんです!

 

「だ、だったら茨だってヒーローじゃないか!」

「そうだな。『ガラじゃない』とは言わせないぞ」「『能が無い』とも言わせませんわよ」「芽が出ないなら無理矢理伸ばすだけよアホ茨」「ダメだよ鈴、それじゃ枯れちゃうよ」

 

…決まってるじゃないか。僕は人間として生き、人間としてくたばるからさ。

 

「…オーケー、今日は予定を一部変更してジョギングしてから帰りますか!一夏も付き合えよ」「ああ、分かってる」「交際に即答!これはもうガチとしかいいようg」「出てきたかこの諸悪の根源!」「楽に死ねると思わないでくださいまし!」「追えー!追えー!」

 

…分かりました。私も、人間として、生きていきます…

 

「皆はとりあえず寝たほうがいいぞ…昨日何時に寝たんだよ…」




ざつむ 

「はい、コーヒー落ちましたよ…しかし、11月の文化祭の業者の選定ですか…」
「ありがと…そーよ、ウチの食堂や売店の業者さんだけじゃ対応がし辛いし、競争入札の形をとるから今から準備をするのよ」

一夏が各部活にお目見えをするようになってから、俺は自主トレをした後生徒会に毎日顔を出すようになった…一応は俺も雑用係だし、居れば居たで何かしら仕事は有るのだ。

「俺としては、7月の臨海学校が無事に終わることを祈りますよ。一夏を巡る…」
「とうとう尻尾を出したわねこの淫獣!あたしがいないからやりたい放題好き放題ってワケなのねいいわそっちがその腹ならコッチにだって考えがあるわ」
「だから危ないですって!俺コーヒーポット持ってるんですよ!?」


「お姉ちゃんに無理強いされてる…茨君かわいそう…」
「か、かんちゃん!?盗聴器はまずいよー…」
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