俺の待ってた非日常と違う   作:陣陽

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さいかい じょしかい ききかいかい

「3年ぶりの再集結なのにピリピリしてるネ、初代様。2代目が4つ上じゃダメかナ?」
「ケラケラケラ!サヤマヨリミサワガトシウエッテコトハアリマセンゼ、アネサン!」
「相変わらずにぎやかですね、ジョセスターフ…織斑先生、その節はありがとうございました」

「で、ロートルが雁首そろえて何の用だ?誰が来ようが私は復帰しない」

「なあ、織斑センセ…一体何があったんだ?3年前のあんたはこれ以上無いくらい輝いてた。ヤンヤンを予選で完封して、アタシをいつものように叩き潰したあんたは一体どこにいったんだよ!?」
「何も変っていないさ、私は。ただ、戦う理由が無いだけだ」
「!?おかしいよ、ソレ。愛国心の濃い薄いハあるヨ。イタリーにも結構居るシ。でもサ…大切な人はいないノ?その人のためには戦えないノ!?」



人とその他を分かつもの

「委員長、どうぞ食べて下さい!」

「!?このフカヒレの握りは凰さんが、ですか…貴方にデスクワークをさせていた人民解放軍は無能の謗りを免れませんね」

「…私だけでは、この味は出せませんよ。職場の皆さん、そして家族あってこそこの味があるんです」

「…本当、こうやって過ごせる日々こそが幸福です」

 

キヨマロ…ナカマロだっけか?『味の宝石箱』って絶賛するのって…まあどっちでもいいか。

 

「…とても綺麗で美味しいです、ママ!」

「メリーゴーランドみたいです、ママ!」

「透き通ったイカ、脂の乗ったハマチ、このコブ締めのタイも絶品ですわね。待った甲斐があったというものですね、ミス・ブランケット、ウェルキン、オルコット」

「はい、ミセス・チャーチル。食生活については心配しておりませんでしたが、ここまでとは…」

「入学してから生魚を頂く機会は増えましたが、ここまで美味しいのは初めてです…」

「あら、チェルシーの焼いたアップルパイやスコーンが懐かしくなる時もございますわ」

 

IS学園の食堂は全学生が一気に入っても大丈夫な席数はある。だが本当に全学生にゲストが一堂に会し、席を並べて寿司を摘むというのは絶景といえば絶景だよな、ウン…俺達が海底散歩中にゲスジジイは『ディナーの準備だよエブリバディ!今回は支社長就任記念だからねだからね、札ビラ切って奢ってあげようじゃないか!』の大号令の下回転寿司のレーンが敷かれ、テーブルはパーテーションで仕切られあっという間にスシ・パーティーの準備は出来上がっていった。衆人環視の下チキンウィングフェイスロックを会長に極められていた俺は『更識、ディナーの準備が出来たそうだ。ロシア代表は出ないのか?このままだと痛くも無い腹を探られるぞ』…織斑先生の鶴の一声でたちまちのうちに解放された。有難うございます織斑先生。でももう少し早く開放していただくことは出来なかったのでしょうか織斑先生。

 

「隊長、太巻きの中のこのピンクの具材は何なのでしょうか?とても甘くて砂糖菓子かと思いましたが」

「桜デンブだ、ハルフォーフ。白身魚と砂糖、食紅から作るそうだ。私も初めて食べた時はスィーツかと思ったぞ。…これは厚焼き玉子、ギョクと言うらしい、食べてみろ」

「甘くてとてもふわふわしています、隊長!」

「生魚だけがスシではないのですね、隊長!」

 

『淑女協定』やクラスメイトの皆は一夏に群がる、と思いきやそれぞれの国の知人達とテーブルを囲んでいる。まあ、そりゃそうだ。久々の知人と囲む食事は絶品だろう。カウンターよりもテーブル席が多く、中がうかがえないのは仕方ない、出歯亀根性は俺には無いのだ。

 

「…こうやって回転寿司に行った事あったっけ?千冬姉…」

「いや、無いな。ブン屋が集る…すまなかったな、一夏…」

「だ、大丈夫かよ千冬姉!?酒入って無いだろ!?」

「嬉しいのさ、お前と過ごすこの一時が…」

 

ああ、俺には隅っこのカウンター席なんて見えない。一夏に寄りかかってる織斑先生なんて見えない。アレですか?『どんなに強い女でも泣きたい夜はある』ってヤツですか?ゲスジジイをダシにするなんて一味違いますね織斑先生。でもゲスジジイの出汁なんてロクなモンじゃありませんよ織斑先生。

 

「ケラケラケラ!マヒマヒ・スシ!オクトパス・スシ!ソール・スシ!アーチン・グンカン!グラッチェ!グラッチェ!」

「すごいね、おねーちゃん。ピンクの鳥さんキチンとお箸使ってお寿司つまんでる」

「キチンとネタだけに醤油を付けていただいてますね…」

「…私はテーブルマナーには苦労したほうだが…デュノアさんはお箸の使い方、綺麗だな」

「ボクもお箸習うのには結構苦労した…ジョセスターフさんがこの子に教えたんですか?」

「まあネ。日本は礼の国でショ?頑張ってるみたいネ、サファイア。明日は期待して良いヨ」

「マジッすね!?マジ嬉しいッス!!ダリル先輩、頑張りましょう!!」

「はい、全力を尽くします」

 

楊さんは鈴たち一家と、チャーチルさん一行はセシリアさんや2年のウェルキン先輩と、ジョセスターフさんはシノさんやデュノアさんやのほほんさん姉妹、2年のサファイア先輩や3年のケイシー先輩とテーブルを囲んでいる…2代目ブリュンヒルデと一緒のテーブルでも物怖じしないなんてホント大物だよな、のほほんさん。

 

「どうしたんだいトレイニー!ああわかったカイチョーのサブミッションの味が忘れられないんだねトレイニー!ドMだなんてドンビキだよトレイニー!ボクと御揃いの血の色をしたスジコ軍艦でよかったかなプレジデント!」

「あ、そのアジは山田先生の…ていうか俺はMじゃねーよ。そういうネガ工作は余所でやってくれよゲスジジイ…」

「有難うございます、ピクシーさん。それとゲンナリしながらご飯を食べても美味しくないですよ、茨君?」

「美味いな、このヅケマグロにアナゴ…随分しょげ返ってるな、マック。そういや決勝まで残ったんだって?どれだけミンナにご奉仕したんだぁ?」

「ああそうなのね快進撃の裏にはそんな裏事情があったのね蛇の道は蛇ってヤツかしら師弟共々前回モンドグロッソのことも含めてきっちり話してもらうわよソレとその炙りサーモンは簪ちゃんの分よ、取ってもらおうかしら」

「有難うございます…でも、そんな事実、無いわ…だって、まだ何もしてもらってない…」

「生徒会長、簪さん、イーリの口車に乗せられないでください。博士、社長の席に座られたのですから品位を保つ義務を貫いて下さい。茨、ミル貝はいかがですか?」

「トリモチ弾じゃなくスラグ弾のほうがお好みかしら?アークライト支社長。それとそのホタテ、2枚お願いね」

 

…で、どうして会長と簪さん、そしてAOA本社社長アーデルハイド・エクスラー・アルブレヒツベルガー…ゲスジジイ曰く『ボクの腐れ縁で古い馴染さ!『ハイジ』って愛をこめて呼んであげておくれよおくれよ!』ホント、命知らずここに極まれりだよ…黒豹女にゲスジジイにピクシーが同じテーブルに居るんでしょうか。俺は絶対他とトラブると思ったからゲスジジイふん捕まえてテーブルに陣取ったんですよ。

 

『あら、アークライト支社長。猿取君の影に隠れてどんな悪だくみ?』

『人聞きが悪いね悪いねプレジデント!ボクは『アンカー・スチーム』のプロジェクトリーダーなんだよなんだよ!トレイニーは重要な要素の一つなんだ、彼のケアもボクのオツトメなんだよプレジデント!』

『そっちのほうがよっぽど人聞きが悪いじゃねえかゲスジジイ!』

『茨君、私でよかったらなんでも言って。何の力にもなれないけど…一緒に泣いてあげる』

『…カウンセラーとしましても一人より二人のほうが心のケアが出来ることは確定的に明らかれ、です…隣失礼しますね、茨』

『どちかというと調理人多くてスープが台無し、ジャネーのか?…隣座るぜ、ピクシー』

『金とコネに物を言わせて陵辱とか何処からそんな悪知恵が湧くのかしらきっと脳を切開する必要があるわねその病巣は何処なのか詳しく聞かせてもらうわよ』

『せ、生徒会長落ち着いてください!猿取君、先生も一緒に座ってあげますから逃げちゃいけませんよ」

 

…ああ、誰かが悪いわけじゃない。ピタゴラスイッチみたいなもんだ。だから親の仇でも見る眼で見ないでください会長…お?

 

「来た来た、俺のおススメのスシ」

 

 

「これが茨のおススメか?」

「意外か?シノさん。とろろみたいで美味いし、髪もツヤツヤになるぜ、メカブ軍艦」

 

隣のテーブルの茨の声に釣られるように私は真っ白な皿に乗ったメカブ軍艦をレーンから取り、口に入れた…磯臭さのまったく無い自然な甘さとさわやかなおろし生姜の風味、そしてコリコリとしつつ、それと相反するかのようなぬるりとした食感が喉を通り抜けていく。

 

「美味いな…海が綺麗だからかな、この味は」

 

先程啜った味噌汁のワカメとこのメカブが同じワカメかどうかは知らなかった。だが、茨は大きく頷くと言葉を紡いでいく。

 

「ご名答。さっき見た海はとても綺麗だった。ジーちゃんから聞いたんだけど昔はヒドかったらしいぜ?昭和の40年代前半は海はゴミだらけのヘドロだらけ、海を浚ってゴミを取って流れ込む川に汚水が混ざらないようにして、山に植林をしたんだ。『森は海の恋人』って言って、山や森が荒れると川からノーガードで土砂が流れ込む…」

 

「実に偽善的じゃないかトレイニー!自分の都合で汚しておいて復旧かい復旧かい?人間さえ居なかったら自然は壊…」

 

「アークライト博士の仰ることももっともですわ。わが英国も産業革命の折の環境破壊、未だに癒え切ってはおりません…ですが、だからといって癒すことを辞めてしまえばもっと酷い環境を子孫に渡してしまうことになってしまいます」

「文明が自然の中で営めないからと言って、無秩序に破壊するだけじゃありません。折り合いを付けて自然と共に生きていく事だって、他の生命のために自然を復興させる事だって可能でしょうし、現にしています」

 

茨の言葉を邪魔したゲスジジイの長広舌を遮ったのはセシリアとシャルだった。その二人に気を悪くすることもなく何時ものようにゲスいほほえみを浮かべると、ゲスジジイは面白いオモチャでも見つけたかのように嘯いた。

 

「流石は西欧列強、その矜持トレイニーにも見習わせたいよせたいよ!よし、そんなミンナに問おう!『人とそれ以外の違いとは!?』回答は食事の後さ!『言葉を使う』『道具を使う』そんなショッパイ答えは出さないでおくれよおくれよ!…おお、美味しそうなナマコ軍艦じゃないか!ガッツリ行きたまえよトレイニー!」

「俺はナマコ苦手なの!押し付けるなよゲスジジイ!!」

「フフフ語るに落ちるとはこういうことね明日からの食堂はナマコ尽くしに決定よこれは会長命令よ覆すことは不可能だと知りなさい」

「わ、私毎日お弁当作ってきてあげる!」

「…ナマコのコストは誰が支払うのかな、鈴?」

「父さんも母さんもナマコ料理のレパートリーは有るけど…どれも結構いいお値段よ、シャル?自前で作ってアホ茨に送りつけるのがいいんじゃないのかしら、ラウラ?」

「…ふむ、毎日昼は手作り弁当…男心をくすぐるのは胃袋、か…」

 

…まったく、相変わらず茨の周囲はかしましい。一夏に悪影響を及ぼす前に誰かと交際するなり意中の人物に告白して玉砕すれば、茨も女難の相に苦しめられることは無いだろうにな。

 

 

…まあ、ゲスジジイに答えを返さなくて良かった…

 

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「うう…どうして!?どうしてさ!!どうして箒ちゃんは束さんに連絡を寄越さないのさ!!?折角決勝まで勝ち残ったんだよ!!専用機があれば文句なし、ブッチギリで優勝できるじゃない!どうしようもないモブなんていなくたって、中途半端な量産型ISなんてなくたって確定的に明らかじゃない!!」

「AOAの開発した『アンカー・スチーム』…スペックは中々だとは思いますが、操縦者が足を引っ張っているのでしょうか…」

「違うよ、くーちゃん。アレは作ったものじゃない。白騎士と同じだよ。最悪だよ先生は…真実を知ってなお嘘に付き合うところも、当てこすって虎の子用意する所も、10年以上前から、同じだよ…」

 

 

「いや、ホント美味かったな、茨!」

「ああ、そうだな」

 

…終わった。後はもう帰るだけだ。VIPの皆様はこの後『ジョブ&ホビー』に用意された部屋でお休みになり、学生は学生で自習の時間だ…もう何も無いよな。いや絶対無い。そうであって欲しい。

 

「さてエブリバディ満腹になったかいなったかい?ナマコ軍艦ねじ込まれた感想はどうだったトレイニー!」

「いや、俺は嫌いじゃなくて苦手なのゲスジジイ。今日のナマコ軍艦は美味かった、普通にランクアップしそう…ど、どうしたの簪さん!?何涙ぐんでるの!?」

「そうだったんだ…高度な情報戦だったんだ…そうやって、人の心を…お姉ちゃん、だいっ嫌い…」

「違うわよ簪ちゃん!ああそういうことなのね姉妹の絆を引き裂いた挙句美味しくいただこうって作戦なのね釣り橋効果ってヤツなのかしらその悪魔的発想には恐れ入ったわ悪魔は悪魔らしく…離しなさいカフェオレ女!武士の情けよ今悪を野放しにしては将来に禍根を残すわよ!!」

「ソコまでにしときなよ、カイチョー。そのうちマジで訴えられっぞー?」

「あら?やはりお互いに引く気は無いのですね、ミス更識にミス・コーリング。アーサー、ヴィクトリア、アレがジャパニーズ・ソープオペラですよ」

「一体どなたが本命なんですか?ミスター!」

「そもそもどうしてこうなったのかあらすじを教えてください、ミスター!」

「凰候補生…友達はキチンと選びなさい」

「『朱に交われば赤くなる』ですか、アルフレッド・オーウェル・アークライト…」

「ナイワー、まじナイワー。ぼくどんびきダワー…」

「そう言わないノ、コリブリ。エロゲーやエロマンガじゃ稀に良くあるデショ?で、誰ルート?イーリ?会長?それとも眼鏡ちゃン?みんな愛が重いかラ…選択肢間違えたラ刺されるヨ」

「ですよねー、ジョセスターフさん」

 

相変わらずのゲスジジイ、ハイライトの消えた瞳で涙ぐむ簪さん、激昂する生徒会長、その襟首を掴んでニヤニヤする黒豹女…とてとてで非日常なはずなのに割と良く有る光景に思えるのは何故なんでしょうか?VIPの皆様、クラスメイトの皆、そんな生暖かい目で見つめないでください。生きるのが辛くなります…人生の電源ボタン切るべきなんでしょうか?もう二度と再起動できないんですが良いんでしょうか?

 

「…静粛にお願いします。さて、回答をお願いしましょうか」

 

そんな中でも何時もの様子を崩さないピクシーは流石だろう。仕切り直しってヤツですかそうですか。ホッペについたツナマヨは指摘しないでおきますね。

 

「矜持を持てるかどうか、ですわね」

「憧れを抱けるかどうか、ね」

「正しさを求めるかどうか、かな」

「記憶を記録に出来るかどうかだ」

「生き方を自分で決められるかどうかだろう」

「今あるものをより良く出来るかどうか、だと思う…」

 

ピクシーに視線を向けられたセシリア、鈴、デュノアさん、ボーデヴィッヒさん、シノさん、簪さんはそれぞれしっかりとした瞳を向けて言葉を返していた。そうだよ、君にあんな瞳は似合わない…え?俺もかよピクシー?ええっと…

 

「事前の準備が出来るかどうか、とか?」

 

…ああ、しょぼい。何でもっとカッコいい答えが出せなかったんだろう…あ、一夏も?

 

「夢を持てるかどうか、かな…」

 

ああ、本当に一夏は格が違う。理想を持った犬猫なんて聞いた事無い。皆の返答を聞いたゲスジジイはヤニ下がった笑みを浮かべるといけしゃあしゃあとのたまっていた。

 

「イイねえイイねえ青すぎてクサ過ぎの回答イイねえ!言っておくけどこれには模範解答は無い!強いて言うなら『問いに答えを返せるかどうか』!それこそが人ならではの要素だね!そんな皆にプレゼントだ!ペッパー君、例の物を!」

「…何よ、コレ…」

 

ペッパーさん…芥子田さんが一抱えはある段ボール箱から取り出し、皆に配りだしたのはビールの王冠だった。ご丁寧にも『アンカー・スチーム』の横顔のシルエットがプリントされている。

 

「猿取君のISと同名のビールがあることはご存知ですか?ニッポンビールがアメリカでその醸造会社を買収しまして、秋口には新製品を日本で販売する予定なんです。AOAもタイアップするとの事でして、明日試供品をお持ちします…ああ、勿論未成年の皆様には学園を通じてご実家のほうに送らせていただきます」

「うちにもムスリムの方は居られるんですけど…」

 

「あ、それなら大丈夫。うちのパパやダーリンならニコニコしながら受け取るわ」

「そうそう、大人たちは陰でコソコソ飲まなくなっただけだもの」

「酷かったわよウチのホテルのレストランなんて。わざわざジーンズに着替えて飲みだすオッサンばっかり!今は堂々と飲むオッサンばっかり!」

 

俺のぼやきにいち早く反応したのはナディアさん、そして他のムスリムの面々だった。俺は敬虔な仏教徒でも神道の信者でも無いけどいつの間にか末法の世は来てたんでしょうか。さっきの俺へのアレはマッポーの世の一側面なんでしょうか。そろそろアーマゲドンが起きるんでしょうか。宇宙飛行士に発破の技術を教えたほうが良かったんじゃないんでしょうか、アレ。

 

「そう悲観してものでも無いぞ、猿取。『お神酒上がらぬ神は無い』これが真理だ。さて、さっきのアークライト博士の問いだが…私の答えは『酔えるかどうか』だな』

 

 

…まあ、織斑先生なら四騎士だろうが七つ首だろうがチョチョイのチョイですよね。

 




愛は金では買えない。だから愛する人への贈り物はこれ以上無いくらい金をかけろ

「本気ですか!?…これだけの情報、億単位のドルが値札についていても買い手はおります!」
「それでも捨て値だネ。あたしならバチカン全土に全てのデコレーションを質に入れてでモ買いたいヨ」
「…ウェズレリー一門全ての財産を抵当に入れても、追いつきませんわね…」
「で、プレジデント…そしてジー様。AOAの機密中の機密。『黄金の愛』『白金の平和』の全運用データなんて持ち出してきて…何のオネダリだ?世界征服の助っ人か?」
「まさか。そんなバカバカしいことじゃないわ。もっと崇高で切実な望みよ」
「そうだな」



「このままなら人の世は数年以内に終わる。それを防いでもらいたい」

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