ネバダ州ラスベガス。アメリカ最大の歓楽街であり、鴨が群れなしてカジノという名のロースト製造機へと突撃していくモハビ砂漠に鎮座する不夜城である。僅かばかりの幸運で他の鴨のローストをゲットできたものが、またしてもロースト製造機へと突撃していくが…結果は推して知るべきであろう。
「結果は無効試合(ノー・コンテスト)。なお、対戦相手にレギュレーション違反があった模様。」
幸運という不確かなものではなく、己の知恵と才能を磨き上げることで財を、名声を手に入れてきた面々もこのベガスにいた。だがしかし、彼ら彼女らにとって見れば己の生み出した商品…いや、作品こそが生きる意味であり、生きた証であった。作品によって得られた利益など、冷めたハンバーガー、履き潰したスニーカーとなんら変わりが無かった。
「…以上が、『アンカー・スチーム』の初陣の結果です」
現地時間深夜1時、ベガスの1等地であるストリップ地区。そこに鎮座するAOA本社内の大会議室にて巨大モニターに浮かび上がる各種交戦データを血眼になって追い、合成音が淡々と述べていく『アンカー・スチーム』の交戦記録を片言隻句たりとも聞き逃すまいと耳をそばだて、メモを取り、或いはノートPCにデータを打ち込み続けている総勢数百人のスタッフはネバダ…いや、アメリカ中で最も価値があり、『天災』篠ノ乃束博士を除けばIS開発の最前線に居り、1人でも後塵を拝する同業他社がヘッドハンティング出来たとしたらIS開発事情は様変わりするであろう事請け合いの人材ばかりである。
「やったー!チーム・レーザーオンのミサイルは世界一ィ!」
「ま、マシンガンは!?マシンガンは使われなかったの!?」
「で、でたー!瞬間火力は随一(キリッ とか言ってたマシンガン厨!」
「…と、拡張領域(バススロット)、ハードポイントどころかウェポンラックから引き出されもしなかったアンチマテリアルライフル作成担当が言っております。フルオートモードとか聞いた事ないんで抜けますね」
「お前絶対ショットガン厨だろ…汚いなさすがショットガンきたない」
「最高れす!恐れを知らない…いや、義務感で恐れを押さえつけるその戦いよう…何杯でもご飯いけそうなのれす!!」
「見えるんよ…彼の体内で歓喜勇躍するナノマシンが見えるんよ…いいんよ…」
「美味ぇ!!!スラスターの唸り声でバドが、クアーズが、ミルウォーキーが美味ぇ!」
「そんな事よりタコス食おうぜ!!いや、3段重ねマリナーラピザもいいなぁ…」
「「「「「装甲豚は豚小屋にカエレ!」」」」」
幸か不幸か、才能と人格とは比例するわけでもなく、反比例するわけでもない。海のものとも山のものもつかないIS作成のため、AOA結成の際にアメリカ全土から集結した俊英は…好意的な言い方をすれば…個性的な面々ばかりだった。朱に交われば赤くなる、類は友を呼ぶというのは古今東西を問わず枚挙に暇が無く、ベガスでは『オケラになったヤツはAOAのモルモットにされる』というのがまことしやかな噂となって流れている…まあ、彼らから言わせれば『そんなものを使わなくてもコンピューター上で大体の実験は出来るし、アルコールやら薬物漬けのサンプルなんて願い下げ』だそうだが。
「諸君、夜中というのに元気だね。宵っ張りは老骨には中々堪えるよ」
老若男女の興奮と喧騒の坩堝と化していた大会議室。しかしながら、するりと入ってきたたった一人の白衣の老人の一言で、水を打った様に静まり返った。
「さて業務連絡だ。今から2時間後にIS学園行きの特別便がマッカランから出発する。修復用・データ収集用の機材や機器も必要だから定員は29名。各パートは準備しておきたまえ…ああ、週末にはクラス代表決定戦が開催されるそうだ。今回行くメンツは辞退してもらうから立候補はよくよく考えるように」
分厚いマホガニーのドアを開け、老人は大会議室からするりと抜け出す…が、思い出したかのように顔をドアの間から出し、またもや喧騒の坩堝と化しそうな大会議室の面々に苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべながら言葉を続けた。
「先月の錬成講習の時の選抜のように、ベアナックルで片をつけようとか言い出すんじゃないよ。君たちはステイツ1利口な筈なんだ。僕を失望させないでくれ」
…なお、マッカラン発日本行きの特別便に貨物室に忍び込んでいたものが5名、宇宙服を着込んでタイヤの格納庫に忍び込んでいた者が4名、スーツケースに忍び込んでいたものが2名いた事を付け加えておこう。
「はじめまして、生徒会長の更識楯無よ…そう緊張しなくていいわ、別にとって食おうなんて思っていないし…で、学園には慣れた?」
つやつやの革張りのソファ、ふかふかの絨毯、口に含んだ緑茶は今まで味わったことが無いくらい爽やかだ…あ、お茶請けは俺が轡木さんに買ってきたヨーカンと同じヤツだ。
「まだ二日目ですから。不慣れなことばかりです…」
(なのにこんなに居心地が悪いのは何故なんだろ…余りにも唐突だから、なんだろうなあ…)
2時間目の休み時間、ニコニコ笑う生徒会長に見つめられながら俺は朝の教室でのことを思い返していた。
■
「お早う織斑君!昨日はご馳走様!」
「おにぎり美味しかったよ、織斑君!」
「いや…どう、いたしまして…」
食堂に入ってくる女子たちの歓声を浴びながら居心地の悪そうな一夏。折角のイケメンが台無しだぞ。俺は隣に座る一夏の肩をポンと叩きながら、ボール一杯のフルーツ&グラノーラを胃袋に流し込みつつにこやかに声をかけた。
「やっぱりイケメンだけじゃあダメだよなぁ…うん!細やかな心配りが出来る、男たるものかく有るべきだよなあ…おし完食。」
(…なんで俺なんだよ!お膳立てしたのは全部茨じゃないか!!)
(昨日も言ったろ、篠ノ之さんのためだって…ほら、結構打ち解けてるぜ)
噂をすればなんとやら、朝食の乗ったトレーを持った女の子たちに囲まれた篠ノ之さんが入ってきた…おお、和気藹々でいいじゃない。やっぱり『何であんな娘が!?』よりも『あの娘じゃあ仕方ないか…』位の友好度は必要だよな、うん。
「お早う一夏…その、昨日は有難う…隣いいか…?」
「お、おお。お疲れ様な、昨日は…」
甘酸っぱい空気が流れ始めるのを感じると、俺は空になった食器をトレーに載せて席を立った。野菜ジュースにシリアルにシーザーサラダ完食…ま、小腹が空いたらカロリーブレッドでも頂きましょう。
「じゃ、一夏お先。教室で予習でもしてるわ」
「お、おい!早すぎるだろ!もうちょっと茶でも飲んで時間でも…」
「ま、早メシも芸のうちさ。」
…それに、お邪魔虫が居ちゃ旧交も暖めにくいだろうしな。
■
「昨日は…ご馳走様…猿取君…」
「サンドイッチご馳走さまねー、いばらん」
授業開始前の教室。だぼだぼ袖の制服に身を包んだ、のほほんという言葉が具現化したようなクラスメイト…布仏さんだった、確か…と、口数の少ない眼鏡の同学年生…リボンの色で分かるってのは楽で良いよな、うん…のお礼の言葉に、俺は一瞬反応できないで居た。
(いばらんって…俺のことか?ていうか何でバレたのよ!?俺はアリーナに居た子達とは一切接触してないのに)
「いばらん、サーモンサンド美味しかったよー。食堂で注文したら出てくるかなぁ?」
「売店では…ミックスサンドと…カツサンド位しか…売ってないのよ…おにぎりも…パリパリの…ノリのしかないの…食堂の…芳田さん…言ってたわ…20人くらい…アリーナで見学してる学生が居るから…店仕舞い前に申し訳ないけどって…痩せた男の子が来たって…」
芳田…?ああ、あのオバちゃんか!『いーわよいーわよ、サンドイッチは置いてないけどチーズとスモークサーモンのでよければ作ったげる。評判が良かったらメニューに入れるし』って無理通しちゃったんだよなあ。流石にオルコットさんがおにぎりにかぶりつく姿は想像できなかったし…
「食材が…無駄にならなかったって…喜んでたわ…サンドイッチの評判は…中々だったって…伝えておいた…じゃあね…」
「またねー、かんちゃんー」
そういいながら眼鏡の子は教室から出て行った。だぼだぼの袖を振っていた布仏さんはくるりと俺のほうに向き直ると、純真無垢な笑みを浮かべながら俺にメッセージを渡した。
「そーだ、いばらん。かいちょーが2時間目のお昼休みに来てくれって。生徒会役員室は3階だからね?」
■
「猿取君は、部活動に参加する予定はある?」
「折角の高校生活ですし興味はあります…ただ、どんな部活があるのか分からないですから…」
まあ少なくとも硬式野球は無いだろうな…いや、確か女子高生も一昨年から甲子園にいけるようになったんだっけ。色々ニュースになってたな。ここの生徒ならガチで優勝狙えそうだよな。
「ゴメンなさいね、普通の学校なら初日は部活紹介や学校紹介するんだろうけど…ここは特殊だから。ところで…」
生徒会長が何か言いかけたところで授業開始の予鈴がなる。いけない、次の授業は織斑先生だ。どんな用事かは分からないがさっさとお暇しよう…あ、でもどうする?お昼休みはAOAのチームが来るし、放課後は一夏と特訓だ。用事があるんなら一夏辺りに連絡入れて遅れる事を伝えたほうが…
「ああ、授業に行って頂戴。特に用事が有ったんじゃないの。簪ちゃん…眼鏡の女の子が居たでしょ?あの子の食事を用意してくれてありがとうって言いたかっただけだし…ところで…」
そこで言葉を切ると、生徒会長は笑みはそのままで、鋭い視線をこちらに向ける。
「野ノ原一郎、野ノ原すみれって名前に、聞き覚えはある?」
「はぁ…俺の両親ですが何か?」
「…」
…あれ?固まった?親の名前なんて…ああそっか。俺は爺ちゃんと婆ちゃんの養子になってるから姉夫婦って言ったほうが良かったのか?でも実際に俺は爺ちゃん婆ちゃんからではなくお父さんとお母さんから生まれたわけであって…だめだ、頭がこんがらがる。
「あの、生徒会長?そろそろ行きますね?」
不敵な笑みを浮かべたままフリーズしている生徒会長はシュールだったが、授業が待っている。さっさと行こう。
(まあ、年に1度か2度会えれば良いってのが普通の家族じゃないってのは分かるんだけどさ…『普通』ってのがよく分からなかったんだよね。弾の所も親父さん蒸発してたし…)
■
教科書ってのは、都合の悪いことは教えたがらないんだよな。中学校の社会科の授業は大正デモクラシー辺りで終わって後は過去問の詰め込み詰め込みだったし、俺が生まれる前辺りの教科書じゃでかでかと乗ってた捏造した原人の話なんて今じゃ何処も触れちゃ居ない。
「織斑先生。ISが理想的な宇宙服だ、というのは分かったんですが…何で宇宙開発には使われなかったんですか?」
…小1だか小2だよな、『白騎士事件』が起きたの。おぼろげにしか覚えてないけど白騎士ごっことかやってたよな。俺と弾が悪者で蘭ちゃんが白騎士。ステッキ持った蘭ちゃんに追っかけまわされてたな…あんなことばっかりしてたから蘭ちゃん元気一杯になったんだろうな。
「お、織斑君…『白騎士事件』の項は読んでいないんですか?教科書の270ページから…」
真っ青な顔の山田先生。先生と俺達は7歳違うんだっけ?じゃあニュースとかで知ってるはずだよな。その後何が起きてアラスカ条約が締結されたのか。
「勿論予習済みです。ただ…」
俺は自分を日本人だと思ってるし、二十歳になったら日本国籍を選ぶつもりだ…だけど、『ステイツがあなたにISを預ける以上、猿取訓練生にはこれを知る責任が有るのです。忘れて構いません、でも聞いてください』とナタルさんに言われていたし、アメリカ国籍持ちは俺しか居ないし、あのカンパのこともある。この場でこれを説明するべきなのは俺しか居ない。
「織斑先生…それは俺が説明してよろしいでしょうか。この場の誰が説明するより角が立たないんじゃないかと」
何だろう、凶悪犯が身内にいる奴ってこんな気分を味わうんだろうか?滅茶苦茶居心地が悪い、胃がキリキリ痛む。
「…そうだな」
織斑先生に許可を取ると、俺は立ち上がり教室中を眺め回す…ポカンとしている顔の子が2/3、青ざめている子が1/3。篠ノ之さんとオルコットさんは青ざめ組…か。布仏さんも笑みが消えてる、意外だな。山田先生はといえば青を通り越して土気色だ。
「一夏、『白騎士事件』は昨日予習したから説明しなくても良いよな?」
「あ、ああ…」
「その前後にコアと白騎士の開発データが世界各国に回されて、そこから各国がISを作成し始めて、その後アラスカ条約で色々な規制が敷かれたのも予習したよな?」
頷く一夏を見やると、俺は身を切るような想いで言葉を続ける。
「その欄に書いてあったよな?『何件かの不幸な事故があり、その反省を踏まえアラスカ条約が締結されました』って」
俺は一度言葉を切り、深呼吸した…正直、説明をしてくれたナタルさんすら『もうこの話はしたくないです』ときっぱり言うくらいの嫌な話だ。
「『何件かの不幸な事故』がどんなのだったのか教えるよ…別に機密でもなんでもない。どこの図書館に行っても資料があるし、覚えてる大人は一杯居る…ただ、余りにも悲惨すぎて口に出したくないだけだ」
■
『ベーコンエッグ』戦争:イラン、イラク、アフガニスタン、シリアで展開された一連の作戦名。史上初のISが投入された戦闘である。作戦期間は僅か5日であったが、その5日で4カ国に存在する兵器の99.99%はガラクタになり、宗教に根ざした国を作成しようと目論む武装組織は殲滅…女、子供、老人を含む…され、独裁者はクーデターによりベーコンのように吊るされ、宗教国家は追放したはずの王の末裔を王として招き入れることとなった。なお、これにより高騰していた原油価格は大暴落、何名もの著名な投資家がハンプティ・ダンプティのごとき憂き目にあったためこの名が付けられたとされるが、真っ赤な嘘である。この作戦に投入されたIS『白金の平和』(プラチナム・ピース)操縦者が漏らした一言『堂々とベーコンエッグを食べられる世界にしましょうか』の一言が由来であり…そしてそれは現実となった。なお、この作戦中史上初の第2次移行(セカンド・シフト)が発現した。
『不幸な事故』戦争:べーコンエッグ戦争とほぼ同時に南シナ海で勃発した戦闘。運用テストを同盟国であるフィリピン近海で行っていたIS『黄金の愛』(ゴールデン・ラブ)は『たまたま』領海侵犯を行っている中国の巡視船を発見、遭遇。『不幸にも』巡視船は『黄金の愛』に発砲し、『偶然にも』周辺海域で軍事演習を行っていた人民解放軍海軍:南海海軍の空母機動艦隊に打電。白騎士事件でのISの高性能ぶりを目にしていた中国共産党軍事委員会は拿捕を命じ…『黄金の愛』はその悉くを水底へと叩き込んだ。南海艦隊は事実上壊滅、南シナ海は『無人の海』、『屑鉄の海』と呼ばれることになる。中国はアメリカのこの行為を宣戦布告無しの開戦と非難、国連による制裁を提案するものの、アメリカは拒否権を行使。その後このような『不幸な事故』が2度と起こらないよう、自衛、邦人保護以外でのISの交戦を禁止することをアメリカ大統領は明言した。
『過剰防衛』戦争:フィリピンでの運用テストを終えた『黄金の愛』はアメリカに帰還したが、メキシコ大使館において発生したテロリストの立てこもり事件を解決するために投入された。テロリストは殲滅され大使館員は無事開放されたが、メキシコ政府は内政干渉と反発、メキシコ軍に『黄金の愛』接収を命じ…『黄金の愛』は無人の荒野を作成しながら帰国の途に着くこととなった。なお、現在メキシコはアメリカの信託統治下に置かれ、『米国51番目の州』と揶揄される状態であるが、麻薬カルテルが事実上壊滅している現状において最も平和な状態で有るともいえる。
『そして、それから、何も無い』戦争:『ベーコンエッグ』を終了させた『白金の平和』はイスラエルの都市テルアビブにて調整を行っていたが、エルサレムにおいてパレスチナ暫定自治区を支配する原理主義組織との小競り合いが勃発、イスラエル政府からの強い要望により『白金の平和』は戦闘に投入され、戦闘中に操縦者が発狂し…それがパレスチナという国の、エルサレムという町の最後の日になった。同市の生存者は0、都市は、歴史的遺構は、両国首脳は全て塵芥と帰し、『白金の平和』操縦者は駆けつけた開発チームが起動した『最後のインディアンボーイ』によって頚部を著しく損傷、死亡が確認され、同ISは停止した。なお、ISによる第3次移行(サードシフト)が確認された唯一の例であり、その能力は『共鳴』であるとされている。
■
「…このISを使った一連の戦闘の惨状で口約束ではない、明文化したルールが必要になった。気軽に使える核兵器がどれだけ恐ろしいものか世界は知ったからな。猿取が説明した4件の戦闘以降、アラスカ条約締結後はISは一切戦争には使用されてはいない。どこの国が条約破りをしても良いように防衛用としてのISは各国で準備されているがな」
沈みきった教室の空気の中で、織斑先生の声が響く…本当、星条旗(スターズ・アンド・ストライプス)なんて背負う国旗じゃないよな。
「茨…質問良いか…知ってたらでいいんだけど…」
「…何だ?」
「『黄金の愛』の操縦者って…今どこに居るんだ…?それと…『最後のインディアンボーイ』って何だ?」
どこか虚ろな目の一夏を三白眼で見据えると俺は言葉を返す。
「『黄金の愛」の操縦者は…アラスカ条約締結前に自殺した…喉にピザを詰まらせた姿で発見された。それと、『最後のインディアンボーイ』ってのはAOAが開発した最終安全装置だ。スキンバリアー(皮膜装甲)を貫けないなら内側から破壊すれば良いってことで…コアネットワークを利用してあらかじめ装備した首輪を起爆させるのさ。推理小説にあるだろ?『そしてだれもいなくなった』てのが。アレに出てくる童謡から取ったのさ。一応言っておくけど、兵器としてのISが無い以上、もうどのISにも積まれては居ない。」
実技の時にニヤニヤ笑いながら言っていた黒豹女の言葉が今更ながら胸に突き刺さる。
『マック、お前とあたしが今纏っているのはこの春最新のモード服でもF1マシンでも無い、人殺しの兵器さ』
『ハイスクールに行くんなら、ダチを作れよ…自分がイカレちまったらこいつになら殺されてもいい、ダチがイカレちまったとしたらそいつの名誉のため、刺し違えてでも殺してやろうってダチをな』
「…当主様からね。何だった?」
「もっと親としての勤めを果たしなさい、あそこまでプラスにもマイナスにも想われていない親なんてはじめて見たわ!…だそうだ。」
「先代は使い潰す気満々であらせられたのにね…」
「いつの間にか使い潰すには惜しくなられてしまったが、ね。大方、茨に粉かけでもしたんだろうさ。」
「…人としての幸せは茨が味わえばいいわ。私達の幸せは外道の幸せよ…二人とも、地獄で閻魔様にこってり絞られましょうね。」
「安心してくれ、僕が2人分かぶろう…」
「あら、お互い他人の何倍も罪をかぶってるのに?」
「…ああ、それともう1件。子供としての勤めを果たせ!だそうだ…」
「それって…まさか!?」
「…ああ、猿取権太郎、その妻あやめの護衛を命ぜられた…」
「ママに…二人で謝ってきましょうね…」