俺の待ってた非日常と違う   作:陣陽

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最近のあれこれ。

 

 

スマホでまとめサイト見てると、イヤになるくらいFanz@の広告出るんですよ。

そいでもって、嫌いなジャンルのエロマンガの広告がこれでもかって出るんですよ。

 

 

まあでも、だからって広告消せ!とかそういう風には思わないんです。

だって、健全さを求めることこそ不健全ですもの。

 

 

あ、どうせ流すならオネショタ物がいいです、Fanz@さん。
買いましたよ、『The Outer Worlds』。

 

ベセスダがどこかに置いてったFallout魂がありましたね。



凶刃砕く雷挺は 天(ちち)なる神(カミ)の賜り物 傷口癒す羽衣は 地(はは)なる祇(かみ)の授かり物

『行くの?このまま寝ていてもきっと方はつくのに』

 

 

 

往くさ。皆が泣いてる。皆には笑顔が一番だ。

 

 

 

『《護符》がいるのに?あいつが居れば、万事問題無しよ』

 

 

 

護符?そいつが誰かは知らない…でもさ、箒の偽者は皆を傷つけた、そして茨を殺した!あんないいヤツが殺されていい訳が無い!

 

 

 

 

 

『貴方の恋路を邪魔する人が…いいヤツ?』

 

 

 

 

 

分かってる。でも…あいつの、茨の言うことも分かるんだ。もし俺と千冬姉のことが誰かに知られたら、千冬姉は終わりだ。それだけは絶対にダメだ!それに、俺なんかとは違ってた。慎重で、無くしちゃいけないもののために、明日のために怖くても命を張れた!だから、アイツのためにも俺は戦う!

 

 

 

『…なら、力をあげるわ、誰にも負けない勇敢な強さ。どんな敵でも倒せる力…でもね、忘れないで』

 

 …ああ、ありがとうな、『白式』。

 

 

 

 

『これは、業を背負う者の剣。正義や義務という言葉を言い訳にするのなら、悲しみを、憎しみを背負うことを拒むなら、守るべきものも、己の命も奪う、破壊の剣よ』

 

 ●

 

 

 

「正気ですか、箒さん!?」

 

 

 

茨たちを背にした私は打鉄を降りると、赤椿に、私の偽者へと歩みを進めていた、…ああ、私は正気だよ、セシリア。後20歩。

 

 

 

 

 

『そうだ…それでいい。くれてやろう。無敵の力を』

 

 

 

「嘘でしょ…そんな…箒…」

 

 

 

そんなに泣くことはないだろう、鈴…岩礁に足をとられながらも、私はゆっくりと赤椿へと近づいていく。満面の笑みを隠すことは出来ない。後15歩。

 

 

 

『気にすることは無い、学園の有象無象も、くたばったモブも、どうでもよくなる…この力があれば』

 

 

 

赤椿は機体を待機状態にし、こちらに差し出す…赤の組紐か。後10歩。

 

 

 

 

 

「最悪だよ、箒…」

 

 

 

そう泣くな、シャル…それとそんな事は言わせない。後5歩。

 

 

 

『ああ、そうだ。そいつらも、どうでもよくなる…この力さえあれば』

 

 

 

笑みを浮かべたまま、私は髪を解いた。一夏からもらったリボンが宙に舞う…後3歩。

 

 

 

「あ、ああ…」

 

 

 

ラウラは滂沱の涙を止めようとはしない…それでいいんだよ。それで。後一歩。

 

 

 

 

 

『さあ、受け取るがいい』

 

 

 

 

 

純白の私の、満面の笑み…ああ、なんて、なんて、

 

 

 

「断る」

 

 

 

醜いのだろう、畏れを知らないということは。どう足掻いても勝てなかった相手、全力を出し切っても超えられなかった壁、そんなものに逢えなかった私はここまで醜くなるのだろうか。

 

 

 

『!?』

 

 

 

 

 

ああ、気付いたか。でも遅い。私は解かれた髪から零れ落ちた笄(こうがい)を後ろ手に構え、笑みを浮かべたまま純白のまがい物の胸へと突き立てていた。本来であれば、ISスーツに阻まれ、或いは肋骨に当たって軽傷であろう。

 

 

 

 

 

 

 

「偽者でも血は赤いか。お前の作り主に伝えておく、もう姉でも妹でもないと…お前はな、私の弟を手にかけたんだ」

 

 

 

 

 

だが、母さんから伝授された『神羽振』は美しいほどに心の臓を貫く技、チタンで作られていた笄はISスーツを軽く貫通していた。噴水のように流れ出した血が私の顔を汚していく…ああ、すまなかった茨。私が『エアヘッド』からいち早く脱出していれば、お前は死なずにすんだだろう。簪さんにも会長にも顔向けできない。皆と共に過ごす資格ももうない…だから、私に一夏のリボンをつける資格はもう無い。

 

 

 

 

 

だから、コイツだけは、私が殺す。躓きながらも打鉄へと乗り込み、ブレードを構える…ああ、紛い物も『赤椿』を展開し、ブレードを構えていた…心の臓を刺し貫いたはずなのに、動きに支障はない、か…!?

 

 

 

『イダダダ…っと、『杖』、刀一本じゃ力不足だろ。返すぞ』

 

 

 

 

 

沸きあがる光の柱。

 

 

 

その中心に、斃れたはずの『アンカー・スチーム』が…茨が、刀を引き抜いて、立ち上がり、『赤椿』の足元に引き抜いた刀を投げ返す。

 

 

 

 

 

『しかしながら、その纏い手、どうにかならなかったのかよ『杖』』

 

 

 

 

 

そして、その喉からは、鈴のように澄んだ、女性の声がもれ出ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第2次移行(セカンドシフト)。

 

 

 

初めて顕現した機体…『白金の平和(プラチナム・ピース)』…を纏った操縦者が発狂し、エルサレムの全住民を巻き添えにする形で自尽するという最悪の結末を迎え、変質、劣化の類ではないかとの喧々囂々の議論が巻き起こる中2例目の第2次移行(セカンドシフト)を発生させた日本製IS『桜』とその操縦者、織斑千冬。マスコミに取り囲まれながら彼女が語った言葉は、甚だ恬淡としたものだった。

 

 

 

『進化、或いは劣化と行った類ではありません。非常にシンプルなものです…自分に完璧に合うサイズに服を仕立て直す、そんな感じでした…『暮桜』への第2次移行(セカンドシフト)は』

 

 

 

 

 

そして、第1回モンドグロッソで、並み居る強敵を下し、彼女は…暮桜は優勝した。

 

第2次移行(セカンドシフト)に伴い顕現したワンオフ・アビリティー(単一仕様能力)、『零落白夜』によって。

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前はモブじゃない…誰だ!?』

 

 

 

『ああ…ダメか『杖』。雁字搦めで声も出せないか。『剣』がいればすぐに起こしただろうに…いや、ダメだダメだ。アイツは見た目どおりの超然主義者で自力本願がご宗旨だ。甘えは許しちゃあクレネーな』

 

 

 

 

 

 

 

激昂する『赤椿』など何処吹く風で『アンカー・スチーム』は腰を手に当て言葉を紡いでいく…おかしな話だ、言葉の紡ぎ手が茨ではない、それだけでこうも印象が変るのか。

 

 

 

 

 

『うるさい、うるさい、うるさい!お前は誰なんだ!?誰なんだ一体!?』

 

『…ごめんなお嬢さん。アイツのせいで顔、血だらけになっちゃったな…まあおかげで何とか蘇られる。ここから大逆転の始まりだ』

 

 

 

 

 

…ああ、そして機体もドンドンと形を変えていく。赤青白(トリコロール)のデジタル迷彩は青地に白のストライプが入った柄となり、全身装甲(フルスキン)だった全身は白式のようにあちらこちらが崩れ落ち、その代わりのように深紅のケープ…いや、マントを羽織る。ヘルメットのようなバイザーヘッドは青いシルクハットに変り、そして馬鹿でかいスマイリーフェイスがシルクハットにあしらわれた…これは、これは!?

 

 

 

「第2次移行(セカンドシフト)…!?」

 

 

 

『第2次移行(セカンドシフト)!?何でだよ、何でなんだよ!?いっくんですらなってないのに、何でお前がなるんだよ!?殺してる、壊してやる!また同じようにその心臓突き殺してやる!!』

 

 

 

投げ捨てられた太刀を引っ掴むと、『赤椿』は『雪嵐』で先ほどと同じように茨の心臓を串刺しにしようとした。激昂を通り越して錯乱じみてはいたものの、その鋭さは先程と変わりはなかった…が、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はっ、オメーには負けねえよ!さあご主人様、出番だぜ。私はもう眠る…ありがとうな。お嬢さん。アンタのおかげで、誰も死なずに済みそうだ』

 

 

 

 

 

いつの間にか左手に構えられていた『プリズム』により、あっさりと止められてしまう…いや、その色は虹色ではなく、黄金色に輝いていた…いや、中空に鎮座していた『エアヘッド』も、金色に輝いていた。

 

 

 

『な、なんだよ!どうして抜けないんだよ!!?』

 

 

 

 

 

…そして、『エアヘッド』、『プリズム』、その中心に描かれていた聖母像は、どこかで見たような姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『痛…っつぅ…!!』

 

 

 

胸に走った鈍い痛みは速やかに消えていく。良かった、アイアンさんみたいな目には俺は合わなくて済みそうだ…いや、まずはこの『色なし』を何とかしなければ枕を並べて討ち死にだ。

 

 

 

『みんな無事か!生きてるか!ケガしてないか!心は折れてないか!』

 

 

 

 

 

 

 

後ろで呆気にとられていた『淑女協定』の面々に俺は視線を向け、声を上げた。一瞬みんなは逡巡したが…

 

 

 

「勿論戦えますわ!!」 ≪たとえ我が目衰え、弓手震えようとも、汝らが敵を射止め続けん≫

 

「当り前じゃないアホ茨!!」≪たとえ我が肉体衰え、命運つきようとも、汝らがため戦わん≫

 

「まず自分の心配をしなよ茨君!」≪たとえ我が弾丸尽き、剣折れようとも、汝らがため赤き血を流さん≫

 

「ああ、私にも一撃を入れさせろ!」≪たとえ我が心魔に侵され、肉喰われようとも、汝らがため人たり続けん≫

 

 

 

 

 

ああ、いつも通りの元気ぶりだ。正面に目を回せば、相変わらず『色なし』はじたばたと太刀を盾から抜こうと無駄な努力を続けていた。

 

 

 

『クソ!何でだよ!?さっさと離せよ!』

 

 

 

…ああ、こいつは、この『色なし』は絶対シノさんじゃない。シノさんはこんな下品な女じゃない。どれだけの訓練を積んだか、俺は知ってる。どれだけの自制をしていたか、俺は知ってる。だから、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ご照覧あれ、天神地祇』

 

 

 

 

 

 

 

…容赦も、情けも、一切不要だ。だから、悪罵も、罵倒も、何も要らない.蚊を叩くのに罪悪感が要らないのと同じように、間違って踏んだ蟻に罪悪感を抱かないのと同じように…ご照覧あれ、か。ゲスジジイの口癖が移っちゃったかな。

 

 

 

 

 

≪たとえ我が盾砕け、鎧朽ちようとも、汝らを護り続けん≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ああ、頼んだぜ、相棒。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ご照覧あれ、天神地祇』

 

 

 

その言葉からは、まさにあっという間だった。

 

 

 

≪たとえ我が目衰え、弓手震えようとも、汝らが敵を射止め続けん≫

 

≪たとえ我が肉体衰え、命運つきようとも、汝らがため戦わん≫

 

≪たとえ我が弾丸尽き、剣折れようとも、汝らがため赤き血を流さん≫

 

≪たとえ我が心魔に侵され、肉喰われようとも、汝らがため人たり続けん≫

 

 

 

 

 

まるで時間が巻き戻ったかのように皆のISは元通りに復旧し、まるで『アンカー・スチーム』の『プリズム』のように虹色に輝きだした…そして、口火を切ったのは意外なことにシャルだった。

 

 

 

『6crg@!』

 

『あ、が、ぁぁぁぁ!!?』

 

 

 

『灰色の鱗(グレー・スケール)』…パイルバンカーが土手っ腹を貫き、『赤椿』はピンボールのように吹っ飛ばされた…なんだ、なんだそのスピードは。ISのハイパーセンサーでも追いつけない。

 

 

 

『3lk38nix56sljr0!』

 

 

 

セシリアのビットがまるで群狼のように襲い掛かり、機体の各部を穴だらけにし、ダメ押しとばかりに『スターライト』の接射が『赤椿』の…いや、私の偽物の頭すら貫いていた。

 

 

 

 

 

『7ytylty、0x@0tljr!』

 

 

 

大きく仰け反った『赤椿』、それを囲むように鈴が火球を打ち出し…

 

 

 

 

 

『ejq@、ly!』

 

 

 

その火球から抜け出そうとした『赤椿』の動きを読んでいたのだろう、ラウラはアクティブ・イナーシャル・キャンセラー(停止結界)で動きを止め…

 

 

 

『m5zg¥!』

 

 

 

その一瞬を逃さず、鈴が手を締め上げ…

 

 

 

『ギャガアああああ!??』

 

 

 

 

 

周囲の火球ごと『赤椿』は雑巾が絞り上げられるかのように全身が歪み、燃え上がる…だが、恐ろしいことにそれでも『赤椿』はその機体を、体を修復させようと…いや修復しかけていた。

 

 

 

 

 

『ss@/q@eat!』

 

『mooq33!』

 

 

 

…ああ、流石だ。いつの間にか海から上っていた一夏は…『白式』もまたその姿を変えていた。その翼はさらに大きくなり、風切羽の部分から飛び出した青い羽根が『赤椿』に刺さり、動きを止め…

 

 

 

『hqf@;555555!』

 

 

 

 

 

…野太刀の如く大型化していた『雪片』から撃ちだされた光波が、赤椿を…私の偽物を両断していた。ああ、すごいよ、たった3秒足らずで『赤椿』を仕留めるなんて…ああ、だから私を慰めるみたいな視線はやめてくれ。私のそばに近づくのはやめてくれ。私は汚い。私に必要なのは悪罵だ、蔑視だ…そんな思いは早くも打ち砕かれていた。

 

 

 

 

 

「う、うげぇぇぇぇ…」

 

 

 

『だ、大丈夫か一夏!?』

 

 

 

…いや、一夏だけではない。私を除いたすべてのISが絶対防御を発動し、搭乗者は喉が溶けるほどの勢いで嘔吐し続けていた。

 

 

 

「ごめん、シノさん。皆を『エアヘッド』に収納して帰ってくれ…あ、あ、あと…イーリさん達も途中で乗せてくれると助かる…ウ、うげぇぇ…」

 

「わ、分かった」

 

 

 

…真っ二つにされた私の残骸が、にやりと笑ったような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チート【ズル】は所詮ミラクル【奇跡】には勝てなかった…以上が交戦記録だ」

 

 

逃げるのか、束。

 

帰るだけだよ…ほんと、ちーちゃんと戦いたかったなあ。

 

 

 

「…今の今まで交信が出来なかったところを見ると、そちらもてんてこまいだったようだな」

 

 

 

逃げだ。結局のところ、おまえは一夏に、猿取に…箒に負けた。それは純然たる事実だ。

 

…ずっと逃げ続けてる人には、言われたくないな、ちーちゃん。

 

 

 

『ああ。こっちは無事だったが八ケ国はメインサーバーを含め殆どのスパコンがオーバーロードしかけていた…まさかここまでとはな。まさに『P』そのものものだな…』

 

『ベガスもデトロイトも同じ。ホント『天災』ね』

 

 

 

「諦めろ、束。お前はもうどの道も進めない」

 

「生まれた時からだよ、ちーちゃん。もう私はどんな道も選べない…ほかのみんなと違ってね」

 

 

 

『…そして、白騎士も目覚めた。どうやら、我々の命日は1年を切ったようだな』

 

「ああ。『The Day IS Comming』」

 

『『『『The The Day IS Comming』』』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪たとえ我が刀曇り、武運尽きようとも、汝らがため白刃を振るわん≫




しょうしゅう

 

「『わ、わかりました。今向かわせていただきます』…いかんな、茨のやつ体調を崩して倒れたそうじゃ…三浦なら近い、今から向かってくれんか、すみれ、一郎君」

 

「わかったわパパ」

「大丈夫ですよ、茨ならお義父さんに似て丈夫ですから着くころには無事な姿を見せてます」

 

 

「…『天災』様のせいね」

「ああ、そうだろうな。あんなもの、茨に渡さなきゃよかったな…」

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