間が悪い間宮君   作:ブルーな気持ちのハシビロコウ

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投稿する度に毎回リハビリと書いている気がします。

見つけてくれてありがとうございますリハビリです。


ロッカーから何か聞こえます

 

学園系ラブコメというのは実に唐突で、そして独占的なものだと思う。

 

スポットライトを浴びる主人公がいて、その周囲には十人十色の見目麗しき少女達。それが俺が通っている高校にもいる。

 

彼等の中には別荘を持つ者や、何故か絶望的に料理な苦手な者や、高校生ながらに肌やプロポーションがバグってる者や、そもそも人外っぽいのだっていたりする。

 

容姿はいいのは勿論、性格も決して悪い奴らじゃない。

他の人にはとことん厳しくて主人公君には優しいみたいな奴もいるがな。

 

 

まぁ初々しいアオハル、様々が恋愛があって実にいいじゃないか。

 

 

まぁ俺としては他所でやってくれればいいさ、叶うなら三光年くらい先でイチャコラしてくれればそれでいいと思っている。

だって彼女達可愛いんだもの、羨ましいよ許せねぇよ主人公。

 

しかし主人公君は恐ろしいくらいいい奴だからそうもいかない。

何万歩か譲歩して俺の視界に入らないでくれればいいよ、会話?もうイヤホンするから。

 

 

そう、それだけなのだ。

俺は黒板とノートに顔を向けてそして試験を合格して大学に入り、そして平凡な女の子とワッフワフなキャンパスライフしたいのだ。

 

 

しかし不思議なことに、そんな平穏はこない。

 

何故か?

 

 

『ち、ちょっと押さないでよ……っ!』

『いや、だって狭いから……!』

 

「……」

 

なんか、ロッカーが騒がしいです。

 

いや、本当になにしてんの?

 

 

 

 

俺は人並みに運動をするし、運動部に所属している。

 

特に大人になってまで続けようとは思わないが、少しでもうまくなりたいという思いもある、故に他の部活の奴等よりも残り練習することもしばしばあった。

 

しかしもう二度とやらないと心に決めた。

 

何故かって言われたらいまその光景は、まぁ光景というか扉一枚挟んだ浮かび上がる情景というか、うん。

 

ふざけんなよ。

 

なんだ、汗水の上に涙まで流さなきゃならんのだ。

 

 

『なんか、静かになった……?』

『行ったんじゃない……?でもドアが開いた音は聞こえないし……ちょっ!?動かないでよ』

『ご、ごめんっ。でも体勢がそろそろキツくてっ』

 

聞こえるんですけど。

ロッカーの中で艶のある声出すなよ。

 

 

あぁ、神よ。

この瞬間だけでいいから俺に人を石化する能力を授けてはくれまいか。その体勢のまま暫くいてくれ、具体的には老衰するまで。

 

もしくはテトリスのように消してくれ、ギチギチだろ中。

 

 

どうせ二人でイチャコラしようとした時に俺が来たから急いでロッカーに隠れたんだろ?なんで別のところに隠れないんだよ、シンプルに狭いだろ。うらやまけしからん。

 

 

ちなみにだが俺はいまロッカーの前で立ち尽くしている。

動くに動けないのは俺も一緒だった。

 

何故か?

 

 

 

 

隠れてるそれ、俺のロッカーなんだよなぁ。

 

 

『間宮渉』って俺の名前が堂々と書かれてんだよなぁ。

 

なんで?隣の山田か田中に行けよ。

それならまだ気づかないふりして血涙流すだけで終わるんだよこっちも。

ついついいつもの動きで俺のロッカーの前まで来ちゃったじゃん。

 

どうすんだよこれ。

 

お陰でロッカーの前で手だけ出して止まってるんだよこっちも。

誰よりも開けなれている俺のロッカーがここまで異質な物体として捉えられる事中々ないぞ。ファラオとかの棺の方が開けれるわこんなん。

 

無い筈のロッカーの手と握手を求めてるみたいになってんだよ。これはこれで滑稽な絵面曝してんだわ。

 

 

おいおいおいおい、誰がどうすんのが正解だよこれ。

いやまぁ確実にアクションを起こすのは俺なんだけどさ。

 

これで我慢できなくなって蒸されたロッカーから出てきた汗だくの二人を無視して着替えて帰るなんて所業なんてできねぇよ。仏ですら一気に三回目の顔コースだろこんなの。

 

 

だが、まぁ何故ここまでそれなりに正気を保っているかというと訳がある。

 

実は初犯じゃなかったりする、コイツら。

 

……いやまぁロッカーは初めてだけどね?

 

俺としては下手に主人公共を晒し上げるつもりもないし、応援するつもりもない。

 

 

いや主人公君はいい奴だし最初はそれなりにあったけど嫉妬を超えてこんな場面になんどか出くわすと流石に呆れの方が勝つ。

 

俺も俺で間が悪いのだ、本当に解せぬ。

 

 

いやでもやめてくれよ、ロッカーに入るのは。

その辺のミカン箱にでも入っててくれよ、多分いけるだろ?

 

今日奇跡的に何もかもが上手く行ったとしてこれからどんな気持ちでこのロッカー開ければいいんだよ俺。

 

ムフフな青春の一コマの一部にされてんだよこっちは。

 

『ね、ねぇもう行ったんじゃない?流石に静かすぎるわ』

『そ、う。かな?』

 

その言葉に俺は一気に背中が寒くなるのを感じた。

奴等、もう我慢ができなくてでようとしてないか?

 

 

そう思った瞬間に運動でかいていた筈の汗が冷や汗に変わった気がした。

 

……いや待って、俺の焦るのおかしくね!?

完全に被害者ではあるよ?気まずいから考えてはいるけど。

なんなら法廷にたってやったっていいよ?

 

 

『で、でももしいたらどうすんのさ?バレたら気まずくて学校行けないよ』

 

バレてんだよなぁ。

だとすれば既にお前は家に来世まで禁錮刑だよ。

 

しかしまぁ言ってやれ主人公、体裁は大事だ。

最悪バレたとしても黙っててやるから、元々バレてんだし。

 

『その時は……殺すしかない、かも』

 

物理的に黙らされる感じなのは聞いてないだけどな。

 

『いや物騒だよっ!そんなこと言うんじゃありません』

『ひゃん!ちょっと大きな声出さないでよっ、耳が近いんだから……息遣いとか、さ……』

 

なんなんだよこの恐怖と嫉妬がミキサーにかけられたみたいな複雑な心境。

 

『いい、いたらもう気を失わせればいいじゃない……私、これでも貫手得意だよ』

 

貫手は突き技なんだよな、せめて首トンだろうが。

なんでこの花のJKは殺傷能力高いんだよ。

 

『ち、ちょっと本当に、もう……無理……』

『ひゃ、だから動かないでって……もう!流石に、限界っ!!』

 

そういって、目の前の箱が大きく揺れる。

 

ヤバイ!ロッカーが空いてーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……ほら、誰もいないじゃない」

 

「ほ、本当だ。良かったぁ、こんなところ見られたら終わりだよ」

 

「でも、まぁ少しリード……かしら?」

 

「変なこと言ってないで、もう帰ろうよ。遅いし」

 

「そ、そうねっ……それにしても汗臭かったわ……」

 

 

 

~翌日~

 

 

「田中」

「ん~?どしたん間宮」

「お前のロッカー汚なすぎな、でもマジでありがとう」

「なんで貶されたのに礼言われたの俺……?え、なんか泣いてない?目元赤いけどぉ!?」

 




読んでくださりありがとうございます。
クスりと笑ってくれたら嬉しみです。
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