ホラーエロ漫画の巻き込まれ主人公ですが、陵辱されたくないので魔法少女始めます。   作:クルスロット

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第十七話 魔法少女と悪魔とお昼ごはん

 

 

 授業風景は、旧東京の頃とあんまり変わらないらしい。

 昔のアニメとか漫画で見て、前に近代史の授業で聞いた。

 

 机を並べて、手元のタブレットに記述される板書を見ながら先生の説明、質問、他の生徒の回答に耳を傾ける。時折タッチペンで気になるところを重点に線を引く。配られる問題を回答する。 

 まあ授業自体はつまらないといえばつまらない。なんとなく窓の方を見る。秋晴れの下の太平洋はとっても綺麗。忙しなくモノレールがプレートの合間に上、等間隔に生えたビルの群れの隙間を動き回ってる。人の姿が豆粒みたい。 平和すぎて欠伸が出そう……出てきたのは腹の虫。くうくうと主張する。

 

「……お腹空いた」

 

 4限目。この授業を耐えればお昼の時間。今日のお弁当はなんだろう。ベリアルが作ってくれたお弁当。楽し……忘れてた。聞こうと思ってたことがあった。この前の緑の部屋騒動で忘れてしまっていた。

 

「ねえ、知ってる? 魔法少女の噂」

 

「最近そういうの多いよね。怪談話もだけど。流行ってるの?」

 

「魔法少女と怪物が戦ってるムービーは最近だとかなりマジなやつだよ? ちゃんとネット見なって」

 

「どういうこ「──ということでここの文章を……山田さん。ここの計算してみてください」は、はい!!」

 

 こうやってこそこそ話を見咎められて当てられたりもする。

 

「私たち、結構噂になってるんだ……」

 

 魔物や殺人鬼を倒す度に、派手に街を破壊してしまうことがある。目撃されちゃうこともあったりするからこうして広まったりする。

 

「そういえばさ、ベリアル」

 

「授業中だぞ、ミハ」

 

 ぷにっとした背中を小声で呼ぶとすぐに返事が返ってきた。授業中、ベリアルは大体私の机の上にいる。

 

「はっきりさせておきたいことがあったのを思い出したの。お昼は、ココと一緒だから今のうちに聞いておきたい」

 

「……聞こう」

 

「私のラスボスってどんなものなの?」

 

「……ラスボス?」

 

「うん。ベリアルは、結末が認められなかったから来て、私を戦えるようにしたんでしょ? だったら相応のラスボスがいるわけじゃない」

 

「まあ……いるが……」

 

 なんだか端切れが悪い。

 

「今、聞きたいか?」

 

「今だと駄目な感じなの?」

 

「今じゃなくてもちょっと……その、まだ早いっていうか……な?」

 

 な?って言われても……。そういう焦らされ方すると余計気になってくるんだけど。

 

「ベリアル。早い話、私がいつまで戦うことになるのかが気になってるの」

 

「中途半端な情報で不安にさせた俺も悪いがしかし……今か……」

 

 ここまで動揺するベリアルも珍しい。何より私の嫌な予感センサーがうるさい。そうなるとラスボスというのは……。

 

「勝てる見込みがないとか……?」

 

 最悪の可能性。そもそも雑な結末とベリアルに言わしめた辺りが怖い。デウスエクスマキナ。無理矢理な結論。絶対に倒せない敵。そういうものが浮かんでくる。

 

「…………まだ、始まったばかりだ」

 

 そのままベリアルは黙り込んでしまった。困った。空気がシリアスになった。どうしよう。

 

「では、ここまでで」

 

 そんなことをしているといつの間にかチャイムが鳴っていた。課題がタブレットに配られてくる。面倒くさい。それにそれどころじゃない。

 

「ミハ、お昼──何この空気」

 

 がやがやと昼休みに入ったのもあって教室が騒がしくなってきたところ、ココがコンビニの袋を片手にやってくると怪訝とした顔をしてた。なんて説明しよう。

 

「う、うんん、なんでもない。ちょっと授業中に寝てたらベリアルに怒られちゃって」

 

「そうなの? モノレールでしっかり寝たのに?」

 

「育ちざかりだからだね」

 

「……そうね」

 

 そう言うとココは、細めた目でじっと私を見る。どこ? 胸? いつもと変わらない胸元。

 

「確かに」

 

「結構邪魔だよ? これ」

 

 ちょっと手元が見にくいのよね。重いし。お風呂の時とかも厄介だし、下着も選びにくいし。

 

「そういうことじゃないっての。ほらさっさと行こうよ。昼休み短いんだから」

 

「ああ、ごめん。ちょっと待ってね。すぐに準備するから」 

 

『ミハ。声は出さなくていい。このまま聞いてくれ』

 

 巾着袋を手に取ろうとしてベリアルの声が頭に響いた。つい手が止まるけど、とりあえず言われたまま返事はせずにそのまま巾着袋を手に取る。

 

『今の話、言えない理由がある。まだ早い、まだ知るべきではないと思うからだ』

 

 ベリアルの話を聞きながらリュックに放り込んでいた端末を取り出して、スカートのポケットに入れる。

 

『いずれ必ず伝える。だから今は俺を信じてほしい。必ず君を生き残らせる』

 

「お待たせ。行こっか」

 

「いつものところでいい?」

 

「いつものところでいいよ」

 

「OK じゃあお願いね」

 

 席を立つ。連れ立って行くのは、いつもの場所。つまり屋上。秋が深まってくるとちょっと厳しいので他の場所を探さなきゃね。でもどこがいいかな。空き教室? いっそのこと食堂? でも視線が鬱陶しい。うるさいし。

 

『俺の一途さを信じてほしい』

 

 大丈夫。私は、私を推してくれるベリアルを信じてる。だからその時はお願い。

 

『分かった。ありがとう』

 

 それはそうと、とベリアルが続ける。なんだろう。また嫌な予感がする。

 

『今朝、モノレールで魔物の気配があった。人間と混ざっていた。間違いなく殺人鬼だ』

 

 ……そんな気はした。お昼食べながらお話し合いしましょう。

 

『ちなみにどんな殺人鬼か分かる?』

 

『原作でもモノレールに出現するものは限られる。シチュエーションかぶりは二番煎じになりかねないからな。そして殺人鬼となると──恐らくミートチョッパーだ』

 

 ミートチョッパー? 

 

『原作では、駅員だった。乗客を拉致、モノレール内に監禁してハンティングごっこを繰り返す殺人鬼だ』

 

 ね、ベリアル。

 

『なんだ、ミハ』

 

 ところでそのミートって?

 

『その殺人鬼の主食は、狩猟物だ』

 

 …………お昼に話すのやめよっか。

 

 

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