ひとりちゃんは最高にかわいい   作:白ノ宮

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難産でしたねぇ...。

えーっと...他に何か書こうとしてたけど一瞬で忘れたな。
ど忘れってなんかモヤモヤしません?


ep9 人を盾にしていると思ってたより会話が回ってこない

ダウンしてしまったひとりちゃんを見て慌てている伊地知さんに事情を説明して同行を許可してもらった。

3分ほどしてひとりちゃんが再起動したかと思うと私の後ろにサッと隠れてしまった。

 

とはいえ、帰りたいというワードを含んだ独り言は聞こえないのでおそらく私を盾にした状態でいきたいと言う事だろう。

 

私はヒーラー兼タンクだった...?

自分の新たな職業適性に納得していると伊地知さんが何かを聞きたそうな顔をしていた。

 

「暗城ちゃんっ!」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「もしかしてあたし、後藤ちゃんに嫌われた!?」

 

「え?...そんな事はないと思いますよ。ね、ひとりちゃん?」

 

背中にひっついているひとりちゃんに目線だけ向けて訊いてみる。

 

「...キライニナッタワケジャナイデス....」(超小声)

 

声ちっさ!質問者は私じゃなくて伊地知さんだよ、ひとりちゃん。

伊地知さんが心配そうにこっち見てるよ、絶対聞こえてないって!

 

大きな声でもう一度言う気配が無いので私が伝える事にする。

 

「嫌いになった訳じゃないです、だそうですよ」

 

「なら良かったよー!色々勢いに任せちゃったから心配だったんだ」

 

ほっとしましたのテンプレの様な、胸に手を当てて『ほっ』と息を吐く仕草をする伊地知さん。やたら絵になるのは何故だろう。

 

□■□■□■□■

 

場所は変わって下北沢駅付近。

 

件のライブ会場と言うのはこちらの方面にあるのだろうか。

 

普段寄り付かないオシャレそうな街という印象だが実際のところはどうなのだろうか。

 

「暗城ちゃんと後藤ちゃんって下北の方は初めてだったりする?」

 

「そうですね。私とひとりちゃんは基本的にこちらでは寄り道しませんから、下北の方は今日が初めてです」

 

「そうなんだ、と言う事は家って遠くの方なの?」

 

「えぇ、神奈川の方で片道2時間といったところです」

 

「すっごい遠いね!あれ、でもなんでそんな遠くからこっちに?」

 

「うーん、そうですねぇ...」

 

ま、まずい。ここで本当のことを言うとひとりちゃんの面目が丸潰れだ。

何か良い理由...あっ!あるじゃん、若者が使いそうなやつ。

 

「強いて言えば、東京への憧れ...ですね」

 

「へぇ〜、意外!...ん?でも寄り道はしないんだね?」

 

「先程言った通り片道2時間かかるので、まずは通学慣れる必要があるんですよ。寄り道は慣れた後にする予定でしたよ」

 

「ほほう。あ、もうすぐでライブハウスに着くよ!」

 

「ライブハウス...ですか?」

 

「うん!でもでも、安心してね。大きいとこじゃ無いから」

 

ライブハウスとなれば大小分かれるが伊地知さんが言う大きいとこじゃ無いと言うのは小さめの箱という認識でいいのだろうか。

 

まぁ結局はその場に行ってみないとよくわからないと言うのが結論だ。

 

「そう言えばさ、暗城ちゃんの肩にかかってるその大きなバッグって何が入ってるの?」

 

「コレですか?鍵盤ハーモニカです。実家の倉庫に未開封のものがありまして、せっかくだから練習してみようかなって持ち歩いている次第です」

 

「学校で使う様なアレとは違うの?」

 

「はい、学校で多く採用されている鍵ハモは32鍵で私が今背負っているのは37鍵です。学校のより幅広い音域に対応出来るんですよ」

 

「なんか凄そうだね!」

 

「その分大きくて重いので、肩に掛ける為のベルトが付属しているんです。でも結構格好いいんです♪」

 

「そっか!練習頑張ってね!」

 

そんな感じで会話していると目的の場所まですぐだった。

 

 

 

「あっ!ここだよ!私が言ってたライブハウス『STARRY』。お姉ちゃんが店長やってて、あたしもここでバイトしてるんだぁ〜」

 

意気揚々に話す伊地知さんの目線はひとりちゃんの方に向けている。しかし、悲しいことにひとりちゃんは私の肩に顔を埋めている。

 

「他のスタッフさん達も優しい人ばかりだから、後藤ちゃんでも安心だよ!」

 

「...ッ」ビクッ

 

せめて顔出して頷くぐらいの反応しようよ...。なんかひとりちゃんのコミュ障具合が悪化している様な気がしてくるなぁ。

 

─────

──

 

地下一階にあるライブハウス『STARRY』。

地上と高さを比べると実際には地下二階に位置していそうなその場所は、何か薄暗い雰囲気を醸し出している。

 

これはそろそろ前に出てきてもらったほうがいいかなと思った。

 

「伊地知さん、ほんの10秒お待ちいただけますか?」

 

「うん?いいよー」

 

その場に荷物を置いて身軽になったところで、高いジャンプをして、ひとりちゃんを軸に反転し、ひとりちゃんの背後に降り立った。

 

二人が呆然としているうちに荷物を拾って、ひとりちゃんに後ろから抱きつく形で前に押し出す。

 

「わぁ!暗城ちゃんアクロバティックぅ!」

 

「うぇ!?な...なんで?」

 

「ひとりちゃん、流石にそろそろ前に出て貰わないと..,頑張るんですよね?大丈夫、私が後ろにすぐ付いていますから」

 

「....う、うん....」

 

「暗城ちゃん大胆だね〜。んじゃ、入ろっか!」

 

伊地知さんがライブハウスの入り口を開き、私達はその中へと歩みを進めた。

 




伊地知ちゃんは明るさで乗り切るタイプの様なので『!』多めに使うと思います。

作業に使うBGMをバンドと無関係な作品のものを使ったら、途中で作品の雰囲気が壊れ掛けることがわかった。

では、また次回お会いしましょう。


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