ひとりちゃんは最高にかわいい   作:白ノ宮

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ep11 ひとりちゃん、すごい頑張る2

我々がスタジオに移動して少ししてから伊地知さんがひとりちゃんに複数枚の紙を渡した。

 

「はいっ!後藤ちゃん、今回演奏する曲の楽譜だよ」

 

「あ、ありがとうございます...」

 

ひとりちゃんの後ろから楽譜を覗き込む。

 

うん、さっぱりわからないや。

でも曲名からしてひとりちゃんは多分弾いたことがあるんじゃないだろうか。

 

「ひとりちゃん、弾ける?」

 

「...ッ///」ビクッ

 

「ごめん、近すぎたね」

 

「だ、大丈夫です...」

 

あ、やば。不意に後ろから耳元で囁く形になってしまった。

 

それでこの大丈夫は曲の事と今の事を含めてだと思う。

 

「暗城ちゃん、後藤ちゃんは何て?」

 

「特に問題は無さそうです。ひとりちゃんは流行りの曲などもある程度網羅しているので大抵は対応出来るはずですよ」

 

「そうなんだ!じゃあ早速合わせてみよう!」

 

伊地知さんは山田さんとアイコンタクトで楽器の演奏の準備を行う。

 

「ひとりちゃん、頑張れっ」

 

「うん、頑張るっ」

 

ひとりちゃんにエールを送ると力強く頷いて、楽器の準備を始めた。

 

少しして全員の準備が終わり、合わせを兼ねた演奏が始まる。

 

一体、どういったハーモニーが発生するのだろうと少々期待して聴力に意識を集中させていった。

 

────

──

 

リズム隊が奏でる音の速さを無視して掻き鳴らされるひとりちゃんのギターは、演奏の調和を見事に破壊し、リズム隊の練習に部外者が妨害しにいっているような...そんな演奏だった。

 

「ド下手だっ!」

 

伊地知さんがそうなって当たり前の反応をする。

山田さんも何もいってはいないが、伊地知さんの意見に同調する様に軽く頷いている。

 

「な...なんで...?」

 

ひとりちゃんはどうやら原因がよくわかっていないようで、クエスチョンマークが頭の周りをぐるぐる回っている。

 

なので私は、原因を教えてみることにする。

 

「ひとりちゃん、聴いていた側の意見なんだけどね。ひとりちゃんの演奏がリズム隊の速度を無視して突っ走っていってるんだよ」

 

「な、なるほど」

 

「そういえばひとりちゃんって人と演奏を合わせるのってこれが初めてじゃなかったっけ?」

 

「...そうだった...。全然大丈夫じゃなかった...、これじゃ私人間失格...」

 

「え、ちょっとそれは言い過ぎなんじゃ...?」

 

ネガティブスイッチが入ってしまったのか床に寝転がり、白くなり始めた。

 

「どうもー、プランクトン後藤でーす....」

 

「なんか売れない芸人みたいなこと言い出した!?これ大丈夫なの!?暗城ちゃんっ!」

 

伊地知さん、ナイスツッコミです。

 

「えっと、多分大丈夫だと思います...。ちょっとまってくださいね、復旧作業入りますので」

 

「え、ん?復旧作業?」←唐突に関係ない単語を聞いて混乱する伊地知さんの様子

「うん、おもしろい」←なんかおもしろいので返答してから観察に入る山田さんの様子

 

引っ張り起こしてからボフっと、ひとりちゃんを自慢の包容力で抱きしめる。

こういう時こそ囁きの出番である。

 

「ひとりちゃん、よく頑張ったね。えらいえらい、でもこれで人に合わせる演奏で大失敗することはもう無くなったはずだよ?後はそこから上手くなっていくだけだから、ね?だから大丈夫だよ、安心して♪」

 

「なんか作品が違うような...」←唐突に発生したピンク空間に顔を赤らめつつ、メタな発言をしだす伊地知さん

 

「...ふーん...」←思っていたよりおもしろいことにはならずに少々不満気な山田さん

 

頭を撫でているとひとりちゃんに色が戻り始めて、20秒ほどでいつものかわいいひとりちゃんに戻った。

 

「伊地知さん、もう大丈夫そうです」

 

「あーうん、復旧作業お疲れ様。暗城ちゃん」

 

「暗城、褒めて遣わす」

 

ひとりちゃんが完全回復したのはいいが、これで人前でライブは出来るのだろうか。

 

「それにしても、今回のライブってお客さんはどれ程のものなんですか?」

 

気になった事を質問してみると、何か含みのある答えが返ってきた。

 

「ん?あー...私の友達が複数人来る感じかなぁ」

 

「このクオリティで行けるんですか?」

 

「うん、ぶっちゃけて言うとね。普通の女子高生に演奏の良し悪しなんて分からないからさっ!まったく問題なしっ♪」

 

おぉ、ホントにすごいぶっちゃけたな。

 

...?それにしてもさっきからなんか重いような?

 

「おーい、ひとりちゃん?」

 

引き剥がすと、そこにはスヤスヤと気持ち良さげに眠りこけるひとりちゃんの姿が...。

 

「暗城ちゃん、どしたの?」

 

「いや...、ひとりちゃん、寝ちゃいました」

 

「えぇっ!?こんな短時間で!?」

 

「多分、暗城のその胸を枕にして寝たんじゃない?」

 

「おそらくそうですね...」

 

白くなったり眠ったりを短時間で行うひとりちゃんは面白くてかわいいなー。




アニメの記憶がとても薄くなっていく...。

そういえばディスコード(スマホアプリ版)をバージョンアップしたら急に使えなくなりましたね。日本だけでなく、諸外国のユーザーも困っているようで...。新しいバージョンをダウンロードしても変わらずで、運営様はすごく苦戦しているようです。

本編についてはダンボールのくだりをどうしようかなーと考えている次第です。

ではまた次回お会いしましょう。

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