無戸籍ネグレクト少女を拾ってしまったから(幸せを)わからせたい   作:エテンジオール

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・・・おや!? HAPPYEND?のようすが・・・!(╹◡╹)


H■PP■■ND?小■な幸せの■■■場所(裏)

 思い返してもさすがに少しはしたなかったかなと後になってから少し反省した、燐さんに迫られて迫り返した日から一週間ほどすると、燐さんがわたしに向けてくる視線の質が変わりました。以前までのものと比べるとどこか粘性が高くて、全身を撫でまわすような、そんな視線です。

 

 最初にそうみられたときは何事かと驚いてしまいましたが、それが本で読んだことのある、情欲の視線に似ていることに気がつけば、もうウェルカムです。正直大口は叩いたものの、これまで全くそういう目で見られていなかったことなどを考えれば、わたしが燐さんの好みから大きく外れている可能性も十分にありましたし、考えたくはありませんでしたが燐さんが仙人様になってしまっている可能性もありました。そうじゃなくて本当に良かったです。

 

 そこから一週間は、燐さんのことを誘惑しながら、いつになったら手を出してくれるかドキドキする時間です。わたしからのスキンシップだけではなく、それに応える燐さんからのスキンシップも激しくなっていって、素敵な時間でした。首筋を執拗に撫でまわされた時は、危うく粗相しかけたくらいです。

 

 けれど、決定的な一線は越えてもらえないまま、一週間が過ぎてしまいます。間違いなく、燐さんはわたしを欲してくれているのです。なのに、手を出してはくれないのです。

 

 もうそろそろ辛抱がきかなくなったわたしが、もう我慢をやめようかと思った頃、お母さんから避妊は忘れないようにとメッセージが届いて、意図がわからず混乱します。その答えは、その日珍しく一人で外出していた燐さんが帰ってきたことでわかりました。

 

 何でも、燐さんはわたしに手を出すことをためらって、お母さんに対して相談に行ったらしいです。そこで答えを見つけたように見えたから、お母さんが気を付けるように念を押したとのこと。

 

 でも、少しいただけませんね。これが、手を出しても大丈夫かの最終確認であれば、燐さんはただしっかりと、真面目に筋を通しただけで済んだのですが、燐さんは手を出したいけど出していいのか迷っているという類の相談をしてきたようなのです。

 

 わたしが、あんなにも恥ずかしいのを我慢して、早くその気になってもらえるようにがんばって、その結果が他の人に背中を押してもらうなんてものだったのですから、わたしの怒りも当然でしょう。これまでの鬱憤を全て晴らすべく、やっとその気になった燐さんにはたくさん頑張ってもらわなくてはなりません。

 

 そう思って、燐さんの言葉を、やっと燐さんからしてくれた告白を受け入れました。告白というよりもプロポーズと言った方が適切な言葉でしたが、わたしからはすでにそれ以上の言葉を伝えていたので、比較したら普通の告白相当です。

 

 それを聞いて、燐さんがちゃんとわたしに発情してくれているんだと確認を取って、いざ初めての瞬間を迎えようとして、まずは燐さんからのキスを待ちます。いつかいつかとまっても、いつまでも燐さんはキスをしてくれません。わたしはこんなに待ってるのに、何もしてくれません。

 

 しびれを切らして、いつになったらしてくれるのかと、目を少し開けてねだります。早くしてほしくて、早く行動で示してほしくて。そうしてようやくしてもらって、次に移ります。そして、この時初めて、ある事が発覚しました。

 

 わたしは、自分で読んできた本の内容やら、燐さんに対する愛情を頼りに、何でも受け入れられると思っていただけで、実際の生々しいものは、全くの知識がなかったのです。義務教育の範囲の性知識すらまともに持っていないのだから、当たり前といえば当たり前のことでしたが、実際に始めてみた男の人の象徴は、わたしの恐怖とこらえようのない羞恥心を掻き立てるには十分すぎるものでした。

 

 こうして、誘うだけ誘ってやっとの段階で逃走を図ったわたしと、それまでのもうプッシュから突然逃げられた燐さんの構図ができました。ひとつ後悔するとしたら、対象年齢を真剣に守ってきたせいで、実際の行動なんてものを全く知らなかったことでしょう。次のタイミングまでには、ちゃんと向き合えるように、予習をしておくことにします。

 

 

 

 そんなわたし失態はさておき、燐さんはわたしの準備ができるまで待ってくれると言ってくれました。生殺しもいいところでしょうが、それ以上にわたしも我慢をしてきたので、諦めてほしいです。……いえ、それはあまりにも燐さんがかわいそうですね。わたしも頑張りましょう。

 

 色々工夫しながら、どうにかできないかを試しているうちに、時間は経ちます。いつの間にか、わたしは18歳になっていました。お母さんに最後に誕生日を祝ってもらったのが10歳のときで、まだ燐さんに出会ってから一年も経っていないので、わたしは7年もネグレクトされていたということになります。

 

 時間の感覚が曖昧だったのであまり考えたことがありませんでしたが、あの状態でよくお母さんはそんなに長い間わたしを手元に残しておけたものです。時間のことを考えれば、お母さんがやたらとわたしたちの生活を援助しようとするのも、納得のできる話ですね。ちなみにわたしは就籍の手続きの際に初めて自分の年齢を知りました。

 

 

 それはさておき、わたしが不甲斐ない姿を見せた後も、燐さんは相変わらずわたしに良くしてくれます。誕生日をお祝いしてくれた後に、ちゃんと籍を入れてくれます。女の子なら式も挙げたいんじゃないかと気にもしてくれましたが、そうなるとわたしの側の参加者がお母さんだけになってしまいますし、事情が事情だけに燐さんが周りからどんな目で見られるかも分かりません。

 

 だから遠慮して、でも綺麗なドレスは着てみたかったので、写真だけ撮らせてもらいます。わたしだって乙女の端くれなので、ウェディングドレスへのあこがれくらいはありました。それでも自分には全く縁のないものだと思っていたので、こうして形だけでも実現出来て、実現してもらえて、とても嬉しかったです。

 

 新婚生活のための新しいお家も、用意しました。狭いところで燐さんをすぐ近くに感じられる生活を失うのは少し寂しくもありましたが、代わりにベッドをくっつけて寝れるようになったので、総合的に見たら大幅にプラスです。わたしが、いつかほしいと言っていたクラゲも、飼えるスペースができました。

 

 

 そして、ここまでわたしのためにしてくれたのだから、いい加減わたしもちゃんと想いに応えたいという気持ちが、強くなります。どんなものが燐さんの好みなのかわからないながら、わたしがかわいいなと思った下着を用意しました。当日喜んでもらうための、いつもより豪華な晩御飯も考えました。どんな風に雰囲気を作っていくのかも調べて、考えました。

 

 あとはもう、“その日”を迎えるだけです。

 

 

 わたしが“その日”に決めたのは、燐さんが会社に行って、休暇の申請をしてくると言っていた日です。しばらくバタバタしていたから、身の回りの整理と休憩を兼ねて、週末に2日多く休みを取ってくるとのことでした。

 

 今日で絶対に決めると強い意志を持って、いつもより早く起きます。早く起きて、普段なら燐さんの寝顔を眺めているのを諦めて、朝からちょっと気合を入れてご飯を作ります。

 

 いつもよりも二品多いおかず。食べ応えは普段と変わりませんが、いつもよりも手間がかかっています。

 

 早く起きすぎてそれでも時間が余ったので、少し早いですが唐揚げの下準備もしてしまいましょう。柔らかくなるようにフォークで滅多刺しにして、料理酒に漬けておきます。そうしているうちに、ちょうどいい時間になったので、燐さんを起こします。

 

 朝が弱いわけではないせいで、声をかけただけで起きてしまう燐さんに少し物足りなさを覚えますが、決して悪いことではないのであきらめます。もっとゆさゆさ揺すりながら、いたずらとかしてみたかったのはここだけの話です。

 

 燐さんを起こして、ご飯をよそってもらって、一緒に食べます。不便なこともありますが、一緒に何かをするというのはこれはこれでいいものです。そのまま向かい合ってご飯を食べて、お兄さんを送り出します。

 

 

 行ってらっしゃいのキスは様式美です。そう自分に言い聞かせて、ちゃんとすぐにやめます。したいからする、となってしまうと、いつまでたっても終わりが来なくなってしまいますからね。カバンを渡す時に、今日はご馳走を用意しておくことと、今晩は楽しみにしていてほしいことを伝えます。朝からこんなことを言うのは少し恥ずかしいですが、宣言することで自分の逃げ道をなくすためですから、仕方がありません。

 

 行ってきますと抱きしめられて、行ってらっしゃいと返します。ずっとこうしていたいけれど、燐さんが遅れてしまうので程々で切りあげます。

 

 そうして見送ったら、すぐに家事の時間です。まだ暮らし始めて日の浅い家だから基本的にほとんど汚れていませんが、今日は特別な日にしたいので一通り掃除をします。晩御飯は唐揚げにオムライス、あとはお野菜が足りていないので野菜たっぷりのミルクスープ、付け合せに茹で野菜にしましょう。本当はハンバーグも作りたかったけれど、さすがにこの手じゃハンバーグは作れません。

 

 掃除と料理をしているうちに、いつの間にかお昼は過ぎていました。野菜は茹で終わって、ミルクスープをじっくり煮込んでいます。

 

 あとは唐揚げの2度揚げと、オムライスの卵だけです。火を使っているうちに少し汗をかいたので、一足先にさっぱりして、燐さんのために選んだ下着を身に付けます。少し早いけどパジャマに身を包んで、寝室の準備をします。燐さんが帰ってくるのは、まだ先です。でもいつ帰ってきてもいいように、今できる中で一番いい状態のわたしをキープします。

 

 

 そうしているうちに時間は過ぎて、不意にインターホンがなりました。時間的にはまだ帰ってくる頃ではありません。頼んでいた荷物が届いたのでしょうか?パジャマに着替えてしまったので他の人に見られるのは少し恥ずかしいなと思いつつ、玄関に向かいます。

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