残響ノクターン   作:平華 慶兆

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はじめまして。平華慶兆(ひらか けいちょう)といいます。
私は小説を書くのが初めてですので、「文がおかしい」など気になった所があれば遠慮せず、お叱り下さい。


第1話「怪異狩りの少女」

「やっぱり……自転車はいいな。風も気持ちがいいし、そしてなにより、何も考えなくていい」

 

 道路の左端をマウンテンバイクで走り、深緑色のモッズコートと前髪長めのウルフカットのピンクの髪の毛をなびかせながら少女は呟いた。

 少女はモッズコートと同じ色のニット帽を被っており、日本人か? と疑うくらい綺麗な赤い目をしていた。

 ズボンはピチピチのダメージジーンズを履いており、1足2〜3万はするであろう有名スポーツブランドのスニーカーを履いていた。

 

「帰ったら何しようかな。自転車の整備は昨日したし……あ。新しいピアスが届いてるはず。たしか新品のニードルがあったはずだから届いてたら付けよ」

 

 現在彼女の右耳にはインダストリアルピアスがふたつ、耳たぶに3つのピアスがぶら下がっている。ピアスを風に揺らしながら新しいピアスをどこに開けようか悩んでいた。

 

「え。ここのコンビニって潰れたんだ。学校行くの久しぶりだから知らなかった。ここが1番家から近いコンビニなのに、残念」

 

 元コンビニの横の坂道を降り、居酒屋、美容室、塾、と横切っていった。外を歩く人が多くなってきたのでペダルを漕ぐ足を加速させ、スピードを出していく──はずが

 

「あ」

 

 スピードが乗ってきたと思ったら赤信号に捕まった。

 

「赤信号、三重から和歌山に帰ってきてからなんか知らんけど赤信号にめっちゃ捕まるんだよな……」

 

 ──ここは和歌山県。少女が住んでいるのは市内の方ではなく、有畑川町(ありはたがわちょう)という、そこには何がある? と聞かれたらみかん畑しかないとしか言えない所である。他には? と聞かれたら、強いて言うのであれば焼肉店が3つあるくらいだ。

 

「車通り少ないのにすっごい長いんだよな、ここの信号。この前測ったら1分あったぞ」

 

 左右を見ても車が来る気配はない。その代わり、右の方から異様な存在(・・・・・)の気配がする。

 自転車を止め、背負っていた長細いカバンをおろし、中身を取り出す。

 

「なんと偶然……さてと。金儲けの時間だ」

 

 彼女はポケットからタバコを取り出し火をつけ口にくわえた。タバコを吸い、煙を吐く。

 カバンを下ろし、中身を取り出した。カバンから出てきたのは『L96 AWS』という狙撃銃だった。ボルトアクション式のスナイパーであり重さもそんなに重くない。

 その場でしゃがみ、右足のかかとの上に座り左足を伸ばし狙いを定める。この独特な姿勢は彼女特有の狙いの定め方だ。

 

「気配は近づいてきてる。このまま待っておけば……」

 

「お姉ちゃん何してるの?」

 

 何かを待ち伏せしている彼女に小さい男の子が駆け寄っていき話しかけた。普通の人なら集中している時に突然話しかけられたことにより驚き銃を撃ってしまうが彼女は話しかけられても微動だにしなかった。しかも

 

「もうすぐ怪異が現れるの。姿を現した怪異を撃つために待ち伏せしてるんだよ」

 

 と小さい男の子の質問に答えた。

 

「それより僕、気配を消すのが上手いね。お姉ちゃん気づかなか」

 

「なんでタバコ吸ってるの? 怪異ってなに? その銃スナイパーだよね? なんでスコープつけてないの?」

 

 彼女の言葉をさえぎり男の子は質問を浴びせた。

 

「タバコを吸うと落ち着くんだ。そして何故か知らないけどタバコの煙が私の弾を導いてくれる気がするんだ。スコープは覗くより、自分の目で撃つ方があたるからだよ。それと怪異なんだけどすこし難しい話になるけど僕にわかるかな?」

 

「うん! 僕賢いもん!」

 

「怪異ってのは簡単に言うと、人の噂話などから生まれた言霊が言魂になり、その魂が具現化したのが怪異なんだ。えーっと……わかるかな?」

 

「僕……賢いのに……わかんないっ!」

 

「いずれ分かるよ。わかった時は、君は世界一賢い人だと思ったらいいと思うよ。それと」

 

 男の子の質問に丁寧に答えながらも彼女の独特な姿勢は崩れず、視線も変わらず道の奥を見ている。

 

「僕、耳塞いどきな」

 

 彼女は男の子が耳を塞いだのを確認しトリガーに指をかけ、銃を撃った。

 何も無いところに撃ったかと思われたが、弾が交差点を通過する直前、高速道路の柱の影から、髪の長い女性の顔が現れ、球が女性の頭に当たった。

 

「……え、お姉ちゃん、人……撃ったの?」

 

「よく見な僕。頭は人間みたいだけど、よく見るとほら。下半身が蜘蛛の体だ」

 

「本当だ! お姉ちゃん! あれが怪異ってやつ!?」

 

「そう。あれが怪異。あれが人に害を与えるんだ」

 

 彼女は携帯灰皿をカバンから取り出し、半分以上残っているのにもかかわらず、火を消し、灰皿の中に入れ、片付けた。

 

「僕、ここを離れた方がいいよ。もうすぐ怪異の関係者の人が来て、色々と質問攻めされて、自分の時間奪われるよ。せっかくの遊び時間、邪魔されたら嫌でしょ? 私だって嫌だもん」

 

 男の子に話しながらスナイパーライフルをカバンにしまい、背負い、自転車に股がった。そしてポケットからスマホを取りだし倒した怪異の写真を撮った。

 

「私はこれから家に帰って可愛い可愛いピアスを開けるんだ。僕もいつかピアスの良さに気づくと思うよ」

 

 男の子にピアスをチラつかせながらペダルを漕ごうとすると

 

「お姉ちゃんって……何者なの?」

 

 と、最後の質問をされた。

 

「……私の名前は『(とどろき)エルシア』ただの女子高生だよ。多分」

 

 ◆◇◆◇◆

 

「わぁ……写真で見るより可愛い……」

 

 家に帰るなりエルシアはポストの中に入っていたピアスを眺めていた。家に入り、靴を脱ぎながら、ピアスを袋から取り出していた。

 新しいピアスは黒のリングで等間隔に白い線が入っているデザインだった。

 

「どうしよっかなぁ〜。どこにつけよっかなぁ〜」

 

 ご機嫌なのか鼻歌を歌い出した。鼻歌を歌いながらカバンの中からポケット灰皿を取り出し、中の掃除を始めた。静まりかえる部屋の中、彼女の鼻歌だけが部屋の中に響いていた。

 ポケット灰皿を掃除し終えると、今度はカバンの中から『L96 AWS』を取り出した。

 新聞紙をさらに広げ、タンスからクリーニングセットを取り出し、箱の中からビニール手袋を引っ張り出し、装着して銃を分解し、掃除を始めた。

 彼女の鼻歌に交えて銃を掃除する音が彼女の部屋に響き出す。彼女はこの時間が大好きなようで表情はすごく幸せそうだ。

 掃除をし終わり、用具などをタンスへ片付けた。やることが無くなった彼女はソファに座り、怪異討伐以来をSNSで探っていた。

 

「う〜ん……やっぱり天人限定が多いな……」

 

 SNSを見ていると依頼の条件として「天人限定」というのがある。

『天人』というは、『天力使いで怪異専門の会社に属している人の事』をいう。

 また、『天力』というのは、人が怪異を取り込むと能力が使えるようになる。なぜ『天力』なのかと言うと、全ての始まりは『天使』からと言われており、それに基づいて『天力』と言われている。

 彼女は『天人』でも無ければ『天力』も使えないので条件に満たせず、依頼探しに苦労している。

 

「天人になればいいだけの話なんだけど私まだ学生だし、なにより怪異を取り込むとか生理的に無理!!」

 

 足をバタバタさせながらSNSで依頼を探す。が、やはり大体の以来に条件があり、「天人限定」や「天力持ち限定」が多い。

 そんななか、1つの依頼に目をつけた。

 

「『由良トンネルを調べ、夜でも安全に通れるようにして欲しい:条件 なし』……か。いいじゃん!」

 

 由良トンネル、そこは和歌山県でもかなり有名な心霊スポット、噂ではそのトンネル内で何人もが行方不明になってるらしい。

 

「これこそ天人とかに頼めばいいのにまさか条件なしだとは。これは『エルシア様! どうか由良トンネルに安全を!』って言ってるようなもんじゃん!!」

 

 彼女はウキウキしながら出かける準備をした。

 

「さっき倒した怪異の討伐写真を市役所に持っていけば15万は貰えるかな? んで、由良トンネルの謎を解きつつ、絶対中に怪異がいるからそいつを倒す。んで! 由良トンネルの怪異だから絶対お金も多く貰えるから……うん! 私の中の計算機では合計50万は貰えると出た!」

 

 怪異は倒し、自分が倒したという証拠を持っていけば、その怪異の強さによって応じた金額が貰える。彼女はその方法でお金を儲け、生活をしている。なので水道代や電気代、また学校もこのお金を使って通っている。

 

「よし、それじゃあ由良トンネルに出発しますか!」

 

◆◇◆◇◆

 

「坂道きっつ……結構遠かった……すっかり遅くなっちゃったな」

 

日は沈みかけ、周りは赤く光っていた。

 

「ここが由良トンネル……17年、和歌山に住んでるけど始めて来たな」

 

トンネルの中は蛍光灯が僅かな光を灯し、非常口の緑の光が光っているだけでなにもない。

……だが、なにかがいることは確実だと思えるくらい寒い風がトンネルから吹いている。その風は彼女を振るい立たせ、山を降りていった。

 

「……ちょっと…怖いな……。もっと明るい時にくるべきだった……かな?」

 

鳥肌を立たせつつ、彼女は仕事の準備をはじめた。カバンから銃を取りだし弾を一発ずつ丁寧に入れていく。弾を入れ終わった銃を背負い、コートの内側に手を入れ、彼女のもうひとつの愛銃、『キアッパ・ライノ』を取りだした。

 

「室内戦ではこいつを使うのが私の決まり。室内で銃よりナイフが強いって言うけれど、それは普通の人だから。私は違う。室内でも完璧にこのライノを使いこなし、ナイフ相手でもなんなく倒す。エルシア!いざ、由良トンネル内へ!」

 

普段このようなことを言わない彼女がなぜ言ったのか。理由は一つ。

彼女は今、怖がっているからだ。

ここで何人もの人が死んだ。10人以上?100人以上?真相は分からないけれど彼女は、はこのトンネル内で多くの人が死んだことを実感しているのだろう。彼女の手を見ている限り、手汗がものすごく出ているのだ。

 

「手汗すご……進むか…」

 

『キアッパ・ライノ』を握りしめ、1歩1歩とトンネルに向かい、足を進めた。

 

トンネルの真ん中をを進んでいくと、端の方から話し声が聞こえてきたり、後ろの方で何かが走ってる音がしたりと様々な現象が起こっていた。

「安全に通れるようにしてほしい」との依頼ことだが全部の怪異を倒せとは言われてないので今自分に悪さをしてこない怪異は倒さず、そのまま本命へと向かっていく。

ここのトンネルで人を襲っているのはもっと強く、おぞましく、そしてあまりの不気味さに顔が引つるくらいだ。

 

「結構進んだけど、何も出てこない。出口見えちゃってるよ」

 

出口が見えるところまで進んだ彼女に殺意を向ける怪異は未だにおらず、街中を歩くような感じで歩けていた。

 

「私が何もしなかったら、相手も何もしてこないのかな……っていうのはちょっと安全すぎる考えかな!」

 

彼女は背後からの殺意を感知し、前にジャンプすることで殺意満点の攻撃を避けた。その攻撃はコンクリートの地面をえぐるほど強く、避けていなかったら死んでいた。

 

「出たな本命!……ってなんで私の一番嫌いな映画の化け物がいるんだよ」

 

彼女を襲った怪異は有名ホラー映画にでてくる複数の人間が繋がった化け物。

「ヤスデ人間」だった。

 

 




改めまして、はじめまして。平華慶兆(ひらか けいちょう)といいます。
スナイパーライフルを持ったキャラを主人公にした物語を書きたかったので書いてみました。
スナイパー女子って……いいですよね
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