東方他力録   作:黒檻さん/詩歌

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人里の存在

どうも、友弥です。

 

今、魔法の森の中を歩いているんだよね。

どこに行くのかって?アリスの家。

なんとなく行きたくなったからさ。

 

「……それにしても、いつ見ても気持ち悪いなぁ」

 

薄暗い森の中、猿が植物に食われていたり、キノコが背中に寄生した狼とかが容易く見れるからね。

まぁ、アリスがクッキーと紅茶を出してくれると信じれば多少はマシかな。……信じれば、ね。

 

 

ていうか、何故ここまで魔法の森は混沌と化しているんだろう。

食人カマキリとか、食人植物とかね。

 

「あ、そうだ。アリスに『食人植物』って早口で十回言ってもらおっと。魔法使いだから早口な筈だしね」

 

うーん……ハードル低いかな?

でもこれ以上の難易度のものは……あ、あった。

 

「これはやっぱり東京特許ky「シャー!!」うへぇ、現れたな毒蛇よ!」

 

正直カッコイイよね、蛇。

あ、細長い方だよ?おっさんの方じゃないからね?

 

「いや、おっさんもカッコイイぞ……?ああでも蛇かな」

 

蛇とスネークはややこしい。

きっと周りから僕を見たら奇妙な人に見えるんだろうなぁ……蛇とスネークとおっさんを連呼しているもんね。

 

そんな事を考えながら奇妙な森を歩いていると、急に開けた場所に出た。

整頓された薪、綺麗な庭。アリスの家だね。

 

発見した直後、とりあえず玄関の前に立ち、大きく息を吸い込んで……

 

「アリスー!来たよー!!」

 

と叫んでみた。

叫んだ直後に部屋の中から大きな音が聞こえた。さては何か落としたね?

 

「うるさいわよ!もっと静かに呼べないの!?」

 

「あ、やっほーアリス。元気してた?」

 

無視だね。アリスの文句は無視したほうが面白い。

 

「……はぁ、元気よ。とりあえず中に入りなさい」

 

お、やっぱり呆れた顔になった。

それでしっかり家に入れてくれるのは流石アリスだね。

 

「アリスったらお人好し〜♪」

 

「誰がよ!」

 

凄く面白い。アリスの反応で三十分は大丈夫だね。

 

そんなこんなでアリス宅の居間ーーこの場合はリビング?ーーに到着。

 

今思ったけど、アリスの家の中で人形が忙しなく働いてるんだよね。あれってアリスが動かしてるのかな?

 

「そこの椅子にでも座ってなさい。お菓子を持ってくるわ」

 

「待ってました!」

 

お菓子ね、お菓子。それが楽しみだったんですよ。

一回アリスのお菓子を魔理沙から貰ったんだけど……もうね、パティシエになれるよ。そんな味だった。

 

おっと、アリスがお菓子を持って来てくれた。あれは……クッキーかな?

 

「はい、どうぞ。……ところで、今日は何しに来たのよ?」

 

聞かれたら答えるしかないよねー。

 

「そりゃあ勿論……暇つぶしだね」

 

「帰りなさい」

 

「やだ。お菓子食べるまで帰らない」

 

「持って帰ればいいじゃない」

 

それは正論だね。でも帰らないけど。

こうなれば意地でもアリスの家でお菓子を食べてやる!

 

とりあえず、アリスをジト目で見つめる。

 

「……何?私に何かついてるのかしら?」

 

まだ気づかないのかな……

よし、もっとジト目で見つめる。

 

「え、あ、何?何なのよ!?」

 

あ、でもうっすら気づいてそうだね。

ここでラストスパートだ!

 

「……もう良いわよ。好きにして頂戴」

 

「やたー!ありがとうアリス!」

 

競り勝ったぁぁ!

アリスは押しに弱いね。これは良い情報を手に入れた。

 

「それじゃ、いただきまーす」

 

「はぁ……どうぞ」

 

とりあえず一口、出来たてのクッキーを頬張ってみる。

 

 

ーーーーこれはっ!!

 

 

「凄く美味しい!流石アリスっ!」

 

丁度良いサクサク加減と適度な甘味、そこにほんのり暖かさが加わって……これは革命だね。お菓子革命。

 

「……本当に美味しそうに食べるわね……」

 

「当たり前だよ、美味しいからね」

 

アリスが紅茶を飲みながら呆れた顔でこっちを見てくる。

最近いろんな人から呆れられてる気がするけど、僕は気にしない。

 

……そういえば、アリスって中々外で見ないけど、食料とかどうしてるんだろう?

 

「ねえアリス。どこから食料を調達してるの?」

 

「基本的に魔法使いは食事を必要としないわ。……それでも、たまに人里に買いに行くかしら」

 

ちょっと待った。聞き捨てならん単語があった。

 

「人里!?そこって僕と同じ人間が住んでるの!?」

 

僕の反応が意外で驚いたのか、アリスが紅茶をこぼしかけたけど気にしない。

 

「……友弥。もしかして、今まで人里を知らなかったの?」

 

「知らないよ!!?」

 

くそう、何で今まで誰にも教えられなかったんだろ。

 

……今思えば、よく妖怪だらけの場所で今まで無事だったんだろ。幻想郷の人間って……僕含めて四人しか知らないよ?

 

「よく無事だったわね」

 

「それは僕も思ったけどさ……」

 

アリスと周りの人形から憐れみの目線が送られてくる。

やめて、その目線だけはやめて。悲しくなってくるから。

 

「……ん?ちょっと待って。話戻すけどさ、もしかしてアリスって……滅多に外出しないの?」

 

僕の質問が核を突いたのか、アリスが目を逸らした。

とっても分かりやすい態度です。

 

「アリス。友達と遊んだり……してる?」

 

アリスが焦った顔で反論してくるけど……

 

「と、友達くらいいるわよ!霊夢とか魔理沙とかパチュリーとか友弥とか……」

 

しかし、そこから先は出てこなかった。

……色々察したよ。

 

「この引きこもりっ!」

 

「インドア派なだけよ!」

 

ちょっと反論早いよアリス。

今までにどれだけの人からそれを言われて反論してきたんだろうね。

 

……幻想郷にインドアが伝わる人って限られてる気がするけど。

 

「とりあえず今度人里に行ってみるよ。じゃあね、アリス」

 

「ええ、また今度会いましょう」

 

いやー、今日は大収穫だったね。

人里の存在も知ったし、クッキー食べたし、大満足!

……でも

 

 

「こんな森じゃなければもっと満足なんだけどなぁ。何故か少し息苦しいんだよねぇ」

 

境界を弄ったら平気になったけどね。

 

そんな事を考えながら、来た道を戻っていく僕でした。

 

 

 

 

 

ちなみに、この時の僕に『スキマ』と『飛行』の単語は無かったよ。

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