どうも、友弥です。
現在、紅魔館のとある一室に居るんだけどね……
……まず、一言良い?
「どうしてこうなったのかな?」
今、僕の目の前にあるのはーー
ーーーー咲夜が着ているような、メイド服だった。
時は少し前に遡って、三十分前の神社。
事の始まりは、霊夢から僕への質問だった。
「友弥って、人里に行くつもりなんでしょ?」
「そうだけど……それがどうかしたの?」
僕が答えたら、霊夢は顎に手を添えて何かを考え始めた。
一体どうしたんだろ。熱でもあるのかな?
「……その服って、もう結構ボロボロになってるわよ?」
「ああ、その事ね」
確かに、幻想郷に来てからは同じ服を着てばっかりだなぁ。
……しっかり洗ってはいるよ?
ただ、弾幕が掠めたりして破れる事はあったけどね。
「そうだねぇ……どうしよう」
僕と霊夢が服について考えていると、空間に奇妙な亀裂が入る。紫さんだね。
「なら、貰えばいいじゃない」
スキマから覗いていたのか、僕達の会話にすんなりと入ってくる。
……その手があったね。
紫さん、ナイスアイデア。
「でも紫、友弥の着る服って持ってたかしら?」
霊夢のごもっともな意見。
確かに幻想郷って、女の子が多いよね。
「大丈夫よ。じゃあ、色んな人に声をかけておくわ。三十分後に紅魔館に集合して頂戴」
紫さんに何が大丈夫なのかを聞こうとしたけど、それより早くスキマの中に入ってしまった。
……どうしよう、不安になってきた。
「何はともあれ、紅魔館に行くわよ」
「……分かった。行こっか」
とりあえず行ってみる。
……きっと大丈夫だよね。紫さんを信じよう。
〜少年少女移動中〜
僕と霊夢が紅魔館に着くと、早速咲夜に案内された。
ちなみに、美鈴は門の前で微動だにせずに寝てたよ。
そのおかげで咲夜にナイフ投げつけられてたけどね。
「ここの部屋よ。どうぞ入って」
咲夜が少し大きめの扉の前で立ち止まる。
耳を澄ますと、部屋の中から紫さんや射命丸、レミリアの声が聞こえた。
……射命丸とレミリア、和解するの早くない?どーでもいいけどさ。
「おじゃましまーす」
僕が部屋に入った瞬間、紫さん達の視線が僕へと集まる。
……神社で『きっと大丈夫だよね』って思ったのはフラグだったみたい。
「紫、要件は何よ?」
霊夢が紫さんに尋ねる。
こういう時に霊夢って頼もしく感じるよ。ホントに感謝。
「霊夢、ちょっとこっちに来なさい」
霊夢が紫さんに呼ばれて、渋々といった顔で近寄っていく。
……うわぁ、僕一人になった。
「友弥は隣の部屋にいてね」
……レミリアによる強制退出命令。
僕だけ仲間外れ?
とりあえず、レミリアの言う通りに部屋を移動する。
部屋を出る瞬間に、紫さんと霊夢の会話から『結界』って単語が聞こえたけど気にしたら駄目な気がしたから無視。
「……ん?部屋の前に紙が置いてあるね」
読んでみると、部屋の中に服が置いてあるからそれをあげるとの事。やったね。
少し嬉しい気持ちで部屋の中に入ると、更にもう一つ紙が置いてあった。
『友弥、その部屋にある服に着替えるまでその部屋を出る事は出来ないわ。勿論、能力も封じさせて貰ったし、扉は結界で出られなくしたわ。それじゃあ、楽しみにしてるわね。
紫より』
「んん?嫌な予感しかしないね……」
そう思って、部屋を見渡してみると……
ーーそこにあったのは、一着のメイド服だった。
ここで最初に戻るよ。
で、改めて一言。
「僕は男だよ!?普通男ってメイド服は着ないよね!!?」
あ、紫さんのスキマが開いた。
……文句言ってやる。
「紫さーー」
「友弥、早く着替えなさい。今着ている服は後ろの籠の中に入れなさい。はい、服の着方を知らないだろうと思って説明書を書いたわ。これで着なさい。じゃあね」
……紫さんは僕が文句を言う前に一方的に喋った後、スキマの中に帰ってっいってしまった。
「はぁ……これが八方塞がりなんだね」
もう足掻けないし、どうせ足掻けたとしても状況は変わらないんだろうな……凄く憂鬱な気分。
「……仕方ない、着るしかないのかな……」
この瞬間、僕の中のナニカが砕け散ったのがはっきりと分かった。
〜少年着替え中〜
着替え終わって、鏡を見てみた。
感想……
「何これ、こんなの僕じゃない」
基本色は白。汚したら大変。
膝の少し下くらいまでのスカート。違和感MAX。
それに全体的に少しずつ付いてるヒラヒラしたもの。邪魔。
更には、僕のスキマと組み合わせてあるポケット。収納力バツグン。
幻想郷では男子の威厳なんてゼロに等しいね。寧ろマイナスかな?
唯一、スカートの下だけは短いズボンだった。
……もしここがズボンじゃなかったら、発狂してた自信がある。
「あ、能力が戻った。ついでに扉の結界も無くなってるね」
更に、さっきまで着ていた服も無くなってるけどね。
……もしかして、これからずっとこの服?
とにかく、紫さん達の部屋に向かう。
「き、着替えました……」
そ〜っと扉を開け中に入ると、そこに待っていたものは……
「友弥さんっ!はい、チーズ!」
パシャッ、パシャパシャッ
射命丸のカメラだった。
しかも一眼レフ。
「待って、何で写真撮ったのさ?」
「記念です!」
当たり前のような表情で答えてくれました。
ダメだなんだか怒れない。
この前射命丸には酷い事したからなぁ……
……いや、あれは射命丸の自業自得だよね?
射命丸のカメラ以外にも、霊夢から同情の目線や、咲夜からは同族が出来たかの様な目線。
更には紫さんから微笑ましい目で見られた。
レミリアからは……うん、言葉では表せないような目線。
「どう?動きやすくないかしら?」
「紫さん……動きやすいですけど、ちょっとこれは僕には……」
うん、この服ね、凄く動きやすいの。
軽いし、伸縮性、通気性バツグンの優れものだった。
「とても似合ってると思うわよ?」
「咲夜まで……」
ついには咲夜にも言われてしまった。
……これはもう反論するだけ無駄だね、流れに身を任せよう。
「ちなみにその服には防刃、防水、防火、防弾の機能が付いてるわよ」
「はぁっ!?」
待って紫さん、何その最強スペック。
僕が持ってちゃダメな代物だよそれは!
……何で口に出さないかって?出すだけ無駄だからです。
「友弥、説明書の裏は見た?」
「見てないけど。何か書いてあるの?」
レミリアに言われたから、とりあえず見てみた。内容は……制作関連者?
『企画者:八雲紫:レミリア・スカーレット
製作者:八雲藍、十六夜咲夜
素材提供:アリス・マーガトロイド、パチュリー・ノーレッジ
設計者:射命丸文、八雲紫、レミリア・スカーレット』
……結構人が関わってた。
たかがメイド服一着に関わる人数じゃないよね、これ。
「じゃあ、今日から友弥はメイドとして生活して頂戴」
紫さんからメイド生活宣言しろって言われた。
……絶望。
「え、あの、人里には……」
「別に大丈夫だと思うわよ。はい、拍手ー」
紫の合図でほぼ全員が拍手する。
友弥は、霊夢以外の皆から拍手を贈られる中、一人涙を流していたのであった。
友弥
Level up!
普通の服→メイド服