絶対不可避の異世界更生   作:浅葱 沼

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お仕事を頑張ろう

 

「さっきの方達はお知り合いですか?」

 

 キーラが来るのを待ちながら、ギルドの掲示板で依頼を探しているとクゥに質問される。

 

「知り合いっていうか、出身が同じってだけであんまり知らないかな」

「出身というとニホンでしたっけ?この間、図書館に行って調べてみましたけど、どこの国か分かりませんでした」

 

 そういえば、この間の休みに王立図書館に行ってたっけ。

 

「わざわざ俺の国を調べに図書館に行ったのか?」

「い、いえ?ちょっとついでに調べて見ただけです。そ、そんなことよりこの依頼なんてどうです?」

 

 クゥはなぜか顔を赤くしながら慌てた様子で依頼の紙を見せてくる。

 

「なになに?エース山の山頂付近にてワイバーンが巣作りをしているとの情報が入ったので、偵察してきてほしい。ってこんな危なそうな依頼受けれるわけないだろう?」

「そうですよね〜」

 

 こんな怖い依頼、見せないでほしい。しかも紙の下の方に小さい文字で(命を落としても一切の責任は取れません)とか書いてるし、探索者の命軽すぎない?

 

「こんなのより、こっちの依頼なんてどうだ?」

 

 ワイバーンの依頼を掲示板に戻しながら別の依頼をクゥに渡す。

 

「ジブウサギの狩猟依頼、ですか?」

「ああ、ジブウサギ(こいつ)なら今まで山ほど狩ってきたからちょろいもんだよ。それに捨てるところがないからそこそこの金にもなるしな」

「ならこれにしましょか。私、受付に行ってきますね」

 

 にこりと笑って、小さな歩幅で受付へと駆けていくクゥ。その後ろ姿を見ているだけで癒される。騎士団だとか宵の手だとかの面倒くさそうな現実を忘れられる気がする。

 

「あんた何ニヤニヤしてるのよ。気持ち悪い」

「うわぉ!」

 

 クゥを眺めていると突然後ろから声をかけられたので思わず姿勢が良くなる。

 

「なんだ、キーラか。びっくりさせるなよ」

「あんたが犯罪者みたいな目でクゥを見てたからでしょ?」

「誰が犯罪者だよ!俺は妹のような存在としてクゥを温かく見守ってただけだ」

「はいはい、そんなことより、どう?これ」

 

 必死の講義をさらりと流して、着ている物を見せびらかすように脇腹に手を置いて胸を張る。

 

 キーラは最近まで、ただの村女といった服装だったのだが、今彼女が身につけているのはプレートアーマーを胸部に付け、ロングソードを腰に差している。

 

「おお、探索者っぽくなったな」

「なかなかいい出来でしょ?」

 

 ここ最近キーラは自分で稼いだお金で自分に合った装備を(あつら)えてもらっていたのだが、今日完成したらしく取りに行っていたのだ。

 

 

「あ、キーラちゃん!とっても似合ってますよ。その新しい装備」

「そうでしょう?ありがとクゥ」

 受付から帰ってきたクゥはキーラの装備を褒めると、キーラ自慢げに返事をする。

 

「じゃあキーラも来たし、仕事に行くとするか」

「今日の依頼はなんなの?」

「ジブウサギの狩猟依頼だよ」

「ジブウサギ?なんでそんな、よわっちそうなやつ狩りに行くのよ。せっかく装備も整えたんだし、そこの依頼のワイバーンでも狩りに行きましょうよ」

 

 こいつもか。

 

「ワイバーンなんて狩りに行きません!日々の生活で精一杯なんだから身の丈に合った仕事をするんです」

「え〜、せっかく探索者になったんだから私もドラゴンとかと戦ってみたいわ」

 

「キーラちゃんは戦うの好きですもんね」

 つまらなそうに文句を言うキーラを宥めるように話すクゥ。

 

 ドラゴンなんてとんでもない。そんなのと戦ってたら命がいくつあっても足りないっての。

 

「お前今日は変な魔獣にちょっかいかけて追いかけられるなんてことごめんだからな」

「大丈夫よ。コウイチは心配し過ぎなの」

 

 前回そう言ってデカい熊みたいな魔獣に追いかけられたの誰のせいだと思ってるんだ。

 

「だといいけど、じゃあ行くか」

 

 こうして三人で狩猟依頼をこなしに、ディエス山に向かった。…のだが。

 

「ふざけんなーー!」

「ごめんってばー!」

「二人とも早く走って下さい〜!」

 

 

 

 結局、キーラが謎の魔獣にちょっかいを出して追いかけられる羽目になり、その日は少しのジブウサギを狩って、全員泥だらけで帰ってくる事になった。

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