絶対不可避の異世界更生   作:浅葱 沼

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準備

 

「と、いうことで。仕事が決まりました」

 

 コルト亭の食堂にて、クゥとキーラにシャバラと俺でテーブルを囲みながら昨日の晩に起きたゼルバートとの戦闘、そして『骸狩り』の捜索と捕獲の依頼について説明していた。

 

「なにが と、いうことでよ。なんであんたがそんな危ない事に首突っ込んでる訳?」

 

 少しばかり不満そうな顔をして目の前に置かれたパンケーキをフォークでつつくキーラ。それもそのはず、昨日危ない事はするなと言った本人が危ない事をしてしまっている訳で…。

 

「いや、俺が自分からそんな事する訳ないだろ?あれはプリ…」

 

 プリムの名を出しそうになった所で思いとどまる。ちらりと横のシャバラを見ると、シャバラも俺の視線に気付いてどうかしたのかという表情でこちらを見返してくる。

 

 スメラギにはプリムと偶然会ったと言ってるから連れ出されたとは言えないな。

 

「どうしたのよ?」

「ほんとに偶然で俺もびっくりだよ。でも『骸狩り』は世の為人の為、放っておく訳にもいかないだろう?」

「なんか嘘くさいわね」

 

 嘘くさいとは失礼な。

 

「まぁまぁ、キーラちゃんいいじゃないですか。コウイチさんがやるって言うなら私も頑張りますよ?」

 

 事情も知ってくれているクゥが、助け舟を出してくれる。流石クゥ、俺の味方はやはりお前だけだよ。

 

「私も別にやらないとは言ってないわよ?ただそんな危険な連中を相手したらコウイチなんてあっという間にやられちゃうんじゃないの?」

 

 最初に俺がやられるという発想になる辺り、どんだけ弱いと思われてるんだ俺は…まぁ弱いけども。そんなにはっきり言われるとそれはそれで傷つくぞ。

 

「まぁその辺は、このシャバラが付いてくれるから大丈夫だろ。なんたって副団長様だしな」

「なんであんたがそんなに威張ってんのよ」

 

「あははは」

 

 俺達のやりとりを見ていたシャバラが急に笑い出す。

 

「どうした?」

「いえ、とても仲が良さそうなのでつい」

 

 なんだそりゃ。

 

「ツガヤマさんはこんなかわいい人達に好かれてるなんて羨ましいですね」

「今の会話で好かれてる要素あった?」

「もちろんですよ。お二人ともツガヤマさんが心配でしょうがないって顔をされてますからね」

 

 心配というより、信用が無いの間違いではなかろうか。二人の方を見てみると、クゥは手をもじもじと動かせて照れた顔をしている。何やってもかわいいなこの子は。

 

 対してキーラは、「心配なんてこれっぽっちもしてないわよ」と強い口調で言い放った後そっぽを向いてしまった。こいつには愛嬌というものがないのか。

 

 

「でも依頼を受けて下さるのならありがたいです。そこでなんですが、まず手始めに各自の装備を整えるのなんてどうでしょうか?」

 

 相変わらずにこりと優しい笑みを浮かべて提案してきたシャバラの案に否と答える者はおらず、俺達は装備調達の為にシャバラのおすすめの武具屋へと向かう為、席を立つ事にした。

 

 

   ◇

 

「装備っつても何買えばいいんだ?」

 

 武具屋への道中、半ば独り言で呟いてみる。

 

「そうですね。やはりここは御三方の得意分野をより強める為の何かを買うのがおすすめですよ」

 俺の独り言にシャバラが返事をしたと思うと、続けて俺達一人一人におすすめを話しだした。

 

「キーラさんですと、見たところ剣士のようですし、より良い剣で攻撃の質を高めたり、もしくはアーマーなどで防御の底上げなどですかね」

「いいわね。フルプレートアーマーとか欲しい!」

「フルプレートとなると、そこそこの値段がしますよ?」

「おいおい、予算は依頼の前払いで貰った金貨10枚だぞ。お前のアーマーでほとんど持ってかれるじゃねーか」

 

 このままじゃほんとにアーマーを買われそうなので釘を刺しておかねば。

 

「クゥさんなら、魔術師なのでマジックロッドなどで魔法の威力を上げたりですかね」

 

 へー、ロッドで魔法の威力が上がったりすんのか。まんまRPGみたいだな。

 

「ツガヤマさんは、短刀を持っている所を見るに索敵や敵の撹乱なんかをされていると思うので、重い装備ではなくスモールシールドや籠手、弓矢なんかもいいかもしれませんね」

「なるほどなぁ」

「後はやはり、皆さんの適正やスキルに合わせて選ぶのがいいと思いますよ」

 

 籠手は確かにいいかもしれない。敵の攻撃を防げつつ、接近戦でのパンチの威力も上がるだろうからな。弓矢も適正があれば『絶対不可避』と相性がいいだろうし。

 

 少しばかりの期待と高揚感を胸に店に行って選ぶのを楽しみにしていると、シャバラが一つの店の前で立ち止まる。

 

「着きました。ここが【セルカの武具屋】です」

 

 そこにあったのは、外見は少し大きい程度のごく普通の民家の玄関先に、店の名前の書いた看板が置かれているだけの建物だった。

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