「さて、じゃあ『骸狩り』について知ってる事を全部吐いてもらいましょうか」
ここは騎士団庁舎の取調室。机を挟んでシャバラと向き合う形で座らされているのは捕まった不良の男。
「それ、教えたらここから出してくれんのかよ?」
「そうですね。教えてくれたら私達を襲った事は不問にしましょう」
目を逸らしながら僅かな抵抗とばかりに外へ出してくれと言う男は、悠然とした態度で笑うシャバラの瞳を見て背筋が凍るのを感じた。
こいつ、目の奥が全然笑ってねーじゃねーか。
「どうかしましたか?」
「い、いや」
目は笑っていないのに優しい口調で話すシャバラに、言いようのない恐怖を感じた男は口を開いて知っている事を話し出す。
◇
「いやー、それにしてもクゥ。お前かわいいなー。こんなかわいい子見たことないぞー?」
「へっ!?そ、そうですか?えと、ありがとうございます?スイレンさんも美人だと思いますよ」
「いいこと言ってくれんじゃん!よーしよし」
取調室から少し離れた庁舎内の別室にて、シャバラにここで待つよう伝えられたスイレンとクゥだったが、次から次へと話しかけてくるスイレンにたじろぎながら頭をぐしゃぐしゃと荒く撫でられるクゥの姿がそこにあった。
「ところでスイレンさんは、武術の後継者を探してここまできたんですよね?」
「そうだぞ」
ボサボサになった髪を少し整えながら、話を逸らすために逆にスイレンに質問することにしたクゥ。
「じゃあ、そのカリムって人が後継者の素質を持ってたらどうするつもりなんですか?」
「そりゃあ、ふん縛って国に連れてくだろ」
「でも、カリムはこの国で悪い事をしてる犯罪者なんですよ?」
「その辺は大丈夫!我らが武術【
情報を集めるために片っ端から殴って話を聞いているスイレンえお立派な真人間と言えるのか疑問に感じるクゥだったが、スイレンに直接は言えない。
「でも、騎士団の人達はカリムを捕まえたらスイレンさんには渡してくれないと思いますけど…」
「なに!?…でも言われてみれば確かにそうだな」
スイレンは少し考える素振りをしたかと思うと、「よし!」と立ち上がり、
「じゃあ、あたしはあたしでカリムを捕まえるから早い者勝ちだな!」
「え!?」
それだけ言って部屋から出て行ってしまい、部屋にはクゥだけが残った。
い、行っちゃった。嵐みたいな人でしたけど、止めた方がよかったでしょうか。止める間もなく行っちゃったけど…。
「すいません。お待たせしました」
部屋でスイレンが出て行ったドアを呆然と見ていると、そこからシャバラが戻ってきた。
「おや?スイレンはどこですか?」
シャバラにスイレンが出て行った旨を伝えると、
「あの女も縄で縛っておくべきでしたね」
片手で頭痛をがするように頭を抱えて呆れるシャバラだったが、気を取り直して取り調べの結果を伝え始めた。
「話を聞いたところ、いくつかのアジトの場所とカリムの居場所が分かりました。アジトには他の騎士を向かわせたので、我々はカリムの所に数人の騎士を連れて向かいましょう」
シャバラがいうにはカリムは捕まるリスクを下げるため拠点を転々と移しているらしいのでコウイチ達を待つより、先に自分達で捕まえに行くのが先決とのこと。
「では行きましょう」
簡潔に説明を終えると三人の甲冑を着込んだ騎士達と共にカリムが潜伏しているというクエス王国の南西部に位置する居住区へと向かうことにした。