キーラとクゥの向かうダンジョン。テサボンの街から砂漠を歩くこと半日の場所にあるその場所は【ガマラダンジョン】と呼ばれている。
「ここがガマラダンジョンね」
ダンジョンに辿り着いたキーラが、地下へと続く階段を覗き込む。
「暗いですね」
クゥは、その入り口が二人を飲み込もうとする大きな口に見え、少し身震いをする。
「じゃあ、行くわよ」
「...はい」
意を決した二人は、ガマラダンジョンへと足を踏み入れていく。
『
キューブ状態だった杖を展開したクゥの言葉と共に小さな光の球が宙に浮き、辺りを照らす。
「やっぱり魔法って便利よね」
「未だに攻撃魔法は使えませんが、こういうのならたくさん使えますよ」
キーラに褒められたのに嬉しさ半分、情けなさ半分といった反応で微笑するクゥを後ろで歩かせながらダンジョンを進むキーラは道の途中で、石の壁をくり抜いたような部屋を見つける。
「ここは...、特に何もないみたいね。流石にこんな分かりやすい所の宝なんてとっくに誰かに見つけられてるだろうし」
部屋をある程度探った後、落胆していたキーラにクゥが語りかける。
「あの、私、宝探せるかも、です」
「え!?ほんとに!?どうやって!?」
思いもよらぬ発言に目を丸くしてクゥに詰め寄るキーラ。
「えっと、私の習得している魔法の中に『
浮かぶ光球によってか彼女自身によってか、キーラの顔がパァっと明るくなる。
「さっすがクゥ!天才!かわいい!」
「えへへ、、」
わしゃわしゃと頭を撫でられ表情が緩むクゥは、杖を構えて早速『果報』と『探知』を発動する。
「あっちの方から何か感じますね」
「よーし、じゃあ早速行くわよ!」
クゥの感じる先に向かって意気揚々と歩いていく二人の姿が、ダンジョンの奥へと消えていく。
◇◇
━━キーラとクゥの向かうガマラダンジョンの奥深くにて、
「うぅ...」
「いてぇよぉ」
「ここはロメロス組の縄張りって言ったよなー?聞いてなかったー?」
ダンジョンアタックをしにきた腕自慢の数人の男達が皆うずくまるのを笑い、悠然と歩きながら話す面長で垂れ目の男が一人。身長は二メートル近くあり、気に触るような言葉の伸ばし方で喋るのが特徴的である。
男の名はラキズン。ロメロス組幹部の一人である。
「お前ら、こいつらの所持品かっぱらった後はテキトーにその辺でお宝探してこーい」
「「「はい!」」」
ラキズンの抜けた声に返事をする部下たちは、言われるまま倒れている男たちの体を弄り始める。
「ふ、ふざけるなぁ!」
倒れていた男の一人。バンが、最後の気力を振り絞ってラキズンの部下を払い飛ばす。
「ん?何か言ったかー?」
垂れた目をギョロリと見開いて、声を出したバンを睨みつける。
「ロメロス組だかなんだか知らないが、ダンジョンは誰のものでもない!好き勝手やるのも大概にしろ!」
バンは近くに落ちていた槍を手に取り、まるで自分の手足の如く振り回すとラキズンに向かって構える。
「長物使えば勝てると思ったのかー?甘いねー」
大きい体をくねくねと動かしながら挑発するラキズンに隙ありと見たバンは目にも止まらぬ突きを繰り出すも、いつの間にか動いていたラキズンは槍の柄を踏みつけて穂を地面に叩きつけるとあっさりと折ってしまう。
「なに!?」
バンは確実に捉えたはずのラキズンの動きが見えなかったことに驚いていた。
「そんなに驚いてどうしたよー?なんか不思議なことでもあったかーい?」
驚いていたのも束の間、次の瞬間にはいつの間にか懐に入り込み目の前に聳え立つラキズンに目を見開く。全く目で追えなかった。まるで、瞬間移動でもしたかのように。
「遅いおそーい」
「ぐっ!?」
そのまま顎を蹴り上げられたバンは高さ四メートルはある天井に吹っ飛び頭がめり込む、そのままだらりと力を無くしたように宙ぶらりんになってしまう。
「我らがロメロス様は次期国王だよー?そのロメロス様に認められた俺に楯突くなんて、死に値するよねー?」
蹴り上げた足を下ろすと同時、壊れた天井と共に地面に落ちてきたバンを高笑うラキズンの声がダンジョン内に響きわたる。