(流石にちと風がきついなぁ)
「大変ですおやっさん!ロメロスの連中がサランの各アジトに襲撃を始めたと連絡が!」
屋敷の中庭に面する縁側にて、夜風に当たりながら涼んでいたオニバスの元に組の若い衆が駆け込んでくる。
「ん...来たか。まぁよりによって『滝雲』の出てきた日に来るとは
「ど、どうしますか?」
若い衆は想像以上に落ち着いた様子のオニバスに驚いた。
「お前らは全員他の組の助けに行ってやれ。わたしはここでお客さんを待つとするよ」
「は、はい!」
口調こそ優しいものの、オニバスから放たれる重い空気感に居ても立っても居られず慌ただしくその場を後にする。
若い衆には気づけなかったが、その時オニバスの体からは恐ろしいほどの殺気が放たれていた。殺気感知のスキルを持たない若い衆が異変を感じてしまう程の殺気が...。
しばらくしてオニバス以外いなくなったカエン組のアジトには『滝雲』が近づいてきた事による強い風の音と乾燥したロンシャ王国には珍しい湿気が漂っていた。
「そろそろかな」
オニバスが呟くとほぼ同時、アジトの玄関から何かが破壊された音が響き渡る。
「邪魔するぞ」
「お前がロメロスかい?
オニバスの待つ中庭に姿を現したロメロスは座り込むオニバスの隣に立ちゆっくりと周りを見渡しながらオニバスに視線を戻す。
「お仲間はいなくていいのか?」
「はっはっはっ!先に言われちゃったなぁ」
笑いながら立ち上がるオニバスからはつい先程まで放たれていた重苦しい殺気どころか一切の殺気が出ていなかった。そのせいで拳が放たれるその瞬間まで殺気感知を持つロメロスですら気付くことができなかった。
「お前のせいでここ最近ほんとに大変だったからなぁ。......しっかり落とし前はつけてもらうぞ?」
ドカンという轟音と共に屋敷を破壊しながら後ろへ吹っ飛んでいき見えなくなったロメロスに今度ははっきりと全身に殺気を纏ったオニバスが話しかける。
「いいぞ。やはりバルクラヤと戦る前のいい前哨戦になりそうだ」
笑いながら自分が吹き飛んだことで破壊した場所を戻ってきたロメロスはゆっくりと構えをとる。
睨み合う二人の間に静寂が流れ始めた時、ピカリと空に光った雷と同時にザアアと中庭が見えなくなるほどの雨が降り始めた。
「お前は今回の襲撃のタイミング、『滝雲』も相まって都合がいいと思っているかもしれないが......」
突然話し出すオニバスを注意をそらさずに見ていたはずのロメロスだったが、オニバスの体の周りで一瞬火花がチカリと光ったのが見えた次の瞬間に彼が視界から消えて自分の懐にまで潜り込んできたことに反応できなかった。
「がっ!?」
再び鳴り響く轟音と共に今度は雨が降り続ける中庭に吹き飛ばされる。
「悪いけど、わたしにとっても最高のタイミングなんだよ」
庭にあった岩に激突して地面に座り込むロメロスを縁側から降りて見下しながら話すオニバスは雨に打たれながらも続ける。
「バルクラヤ様は女神クレナ様と同じ『
オニバスの言葉に、ロメロスは何も返さず座ったまま黙り込んでいる。
「話したいことは話せたか?随分と長ったらしい話だったもんだから寝るかと思ったぞ」
やっと口を開いたロメロスから放たれた言葉を聞いたオニバスは、もう何も語ることはないと『風雷坊』のスキルを発動すると共に一瞬でロメロスに近づいてトドメの一撃を打ち込んだ。......はずだった。
(当たった感触がない。どこに行った?)
「ロンシャ王国のNo.2がこの程度か?」
雨と岩が破壊されたことで出た粉塵のせいで視界が悪く、ロメロスを探すために顔を上げたオニバスのすぐ後ろから声をかけられると同時に脇腹に衝撃を感じて横に吹き飛ぶオニバス。
凄まじい雨の量のせいで地面はくるぶし程度の高さまで水が張っており、バシャバシャと音を立てながら水切りのように地面を転がったオニバスはすぐさま体勢を立て直しロメロスに向き直る。
「お前......ほんとに人間か?」
ロメロスの方へ向き直ったオニバスは見た。雨のせいで数メートル先の景色すら見ることはできないが、その雨の先にロメロスのものらしき紫色に光る腕と脚、そしてこちらを見つめる眼が...。その
「王にナルのに人間である必要ハあるのカ?」