某妖怪「超有名冒険譚の主人公が目の前にいるんやが」   作:ピコッピコ

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女妖怪だろうが男妖怪だろうが、性別なかろうが、人型じゃなかろうが、全員落とします。

震えて待ってろ




13

 

 

 

ふぶき姫は妖魔界を彷徨っていた。

 

否、彷徨っていたというのは語弊がある。

 

ふぶき姫は探し回っていた。

無論、妖怪ウォッチの事である。

 

色々探し回ったり絡まれているガネラや、さとりちゃんに無理難題押し付けられたケータと違い。

 

このふぶき姫は、まだコミケの二日目であった。

 

つまり、ガネラが過去に行ってから

 

ガネラ 二週間

ケータ 二日目

ふぶき姫 二日目

 

である。

 

時差が起きているのは気にしないで良い。

犯人がうんがい三面鏡だから。

 

ふぶき姫は妖怪ウォッチの事を探そうとしていた………

 

…が、宝探し(暗喩)と並列は困難を極めていた。

 

まぁ、ようやく終わりそうだが。

 

ふぶき姫は同人誌をバッグにしまって、会場を後に、電車に揺られて、カフェの最寄りについた。

 

カフェはカフェでも、ネットカフェである。

 

ふぶき姫はインターネットが苦手だ。

 

知り合いでありながら、争いの絶えない友人の椿姫に手伝ってもらわないと、検索もできない。

 

だけど今日のふぶき姫は一味違う。

 

ガネピッピの頼みだ。

最善を尽くしたい。

 

妖怪が見えるようになる時計について検索しようと思っているのだ。

あと、ついでに同人誌読もう。

 

「ふうん。会合サボってると思ったら、こんな所にいたんだ。()()()()。」

 

アッ

 

後ろから声をかけられたのに、ふぶき姫は振り向けなかった。

 

冷や汗が垂れて、ギュッとカバンの紐を握る。

 

「ところで、まぁ、デカイ鞄だねぇ……一体何が入っているっていうんだい?」

 

バッと振り向き、ふぶき姫は引きつった顔で、相手を見た。

 

「……キュ、キュウビ……」

「やぁ。久しぶりだってのに、随分な顔じゃあないか。」

 

キュウビはわざとらしく笑った。

 

キュウビ。

九つの尾を持つ、狐の妖怪。Sランクである。

 

特に、このキュウビは古くから桜町を守る守護者的な妖怪であった。

 

知り合いである。

 

「で、何してるんだい?」

 

ああっ、責められてる。

 

その会合は別にふぶき姫が不参加でも良いはずだ。

 

納めている地があったりする重要な妖怪だけで良いのに……

 

ふぶき姫は嫌〜な気持ちになりながら、しばらくキュウビの相手をすることを決めた。

 

「ああ!もしかして……あの、低ランクがこぞって行く祭りにでも行ったんじゃないだろうね?」

 

訳 なんでボクが行けないのにお前が行けるんだよ。である。

 

うーん、この。

 

あまり知られていないが、キュウビは割とガチファンだ。

 

かつてはガチ恋勢であったという片鱗を、今も覗かせる。

 

「最近、気味の悪い妖気を漂わせる妖怪が出現している事だし、気を引き締めた方が良いんじゃないかい?」

 

あ!ガネピッピの事だ!

 

悪い妖怪じゃないが妖気のヤバさは否定できないので、ふぶき姫は目を逸らした。

 

「その妖怪は、何かしたんですか?」

「何もしてない。でも、低級が怯えて混乱してるんだ。それだけでも迷惑だよ。」

 

擁護できない……

 

ガネピッピさんのことを話したら、キュウビにネチネチ言われそうなので、ふぶき姫は黙った。

 

「最近は地獄にいる妖怪の封印が解けかけているってのに……」

 

その言葉にふぶき姫は、少し目を見張った。

 

地獄といえばムゲンジゴクである。

凶悪な妖怪が多数封印されている、どんな妖怪でも近寄らない場所だ。

 

「しかもあの()()()()()()と言われる妖怪だ。まぁ、強いだろうね。」

「…………え」

 

えーー!!

 

ふぶき姫は、心の中で悲鳴をあげた。

 

ガネラの友人。知人。ヤバい妖気。ガネピッピ。

 

恐らくガネラの知り合いで、ガネラが預かったはずのカンザシを持っている、ガネピッピ。

 

この時代、ガネラの友人など語り手以外存在しないくらいだ。

つまり、つまり

 

ふぶき姫の中で、全てが繋がった──!

 

「へ、へえ〜……その友人って何をしたんですか?」

「なんでも人間が好きすぎて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……だってさ。」

 

うへぇ〜と顔を歪ませたキュウビ。

 

ふぶき姫はバレないように顔を引き攣らせた。

 

あっ!

ガネピッピ、思った以上にヤバい妖怪だった!

 

さしものふぶき姫も、これにはドン引き。

 

「あの……」

「なんだい」

「妖怪が見える時計って……知ってますか?」

 

そう言われて、キュウビは胡乱げな顔で、こう言った。

 

「妖怪ウォッチのことかい?ヨップル社の。ケータが持ってるじゃないか。」

 

その瞬間、ふぶき姫に電撃のようなものが走った!

 

あっ!ケータ!

 

思い出した!

 

「そ、そうだ。私はケータさんの友達……なんでこんなことを忘れていたんでしょう……」

「……何言ってるんだい?」

 

ふぶき姫は全てを話した。

自分が記憶を失っていたこと、ガネピッピのこと。

 

恐らく、そのガネピッピはガネラの友人──封印されてた妖怪であることを告げた。

 

キュウビはそっと頭を抱えた。

 

「何でその妖怪を止めなかったんだい!!」

「だっ、だって凄いセクシーでかっこよくて魅力的だったから!!」

「お黙り!!恋をしているんじゃないよ!!」

 

キュウビは思った。

 

あのふぶき姫が、こんなにめちゃくちゃになっている……相当危ない妖怪だ。

 

相当強い魅了が使えるか……妖怪自身の人心掌握術が強いのか……

 

とにかく、ふぶき姫は事情聴取の為に連行されることになった。

 

歯ぎしりをしながら、キュウビは思った。

 

白い衣服の少女の妖怪。おぞましい妖気。

ガネラっぽさがすごい。

 

友人であることは間違いないだろう。

ふぶき姫の記憶を操作でもしたに違いない。

 

封印、解けてたのか。

 

キュウビは焦った。

桜ニュータウンこと桜町は気に入っているのだ。

 

何年も前の事を、つい最近起きたことのように思い出せる。

 

キュウビは焦りながら連絡した。

 

何処にって……自分の遣いに、だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、ガネラこと小鳥は命懸けで噺を語っていた。

 

 

 

 

 

これは私が、とある国に寄った時の話です。

 

その国は古くからある、少しばかり貧しく、そして人々の笑顔が絶えない国でした。

 

人間の国です。

 

私は共に旅をしていた友人と、その国の、とある町で数日過ごしました。

 

その中でも私は、その国で流行っていた服が気に入りまして。

アシメントリー……左右非対称の洋服です。

 

左が白、右が青色のワンピース。

 

それが可愛くて……

ああ、昔は左が青、右が白の服が流行っていたそうですけど。

 

それで、それを着て屋台のパンを食べるのが最高でした。

 

そんな風に過ごしていた、ある日のことです。

 

私と友人は出発の準備を始めていた頃、一人のご婦人に頼まれ事をされました。

 

曰く、娘が帰ってこない。

 

まだ十にも満たない齢の娘が、友人達と、古びた屋敷に肝試しに行ったきり帰ってこないのだそう。

 

友人達も一人残らず帰ってこない。

帰り道攫われたのかと思いきや、屋敷の入口で娘の兄が待っていたのだそう。

 

ですから、屋敷の中で行方不明なったとしか思えない。

 

泣きつかれた私たちは、仕方なく、その屋敷に足を踏み入れました。

 

屋敷は暗く、古びていましたが、何年も放置されている割には小綺麗でした。

 

そう、まるで、まだ人が暮らしているかのように。

食器も、テーブルも、なんなら消耗品まで何から何まで、そのままにされていました。

 

家の片付けをする妖怪がいるだろう。

付喪神でもいそうね。なんて話しながら屋敷に入ります。

 

ご婦人から頂いた地図……()()番目と書かれた地図を見るに、相当広かった。

 

そんな広い屋敷を、私たちは二手に別れて探索しました。

 

見終わったら出口で会おうと約束し…………友人は帰ってきませんでした。

 

迷ったのかと思い、ずっと待ちましたが、一向に来ない。

 

私は友人を探しに行きました。

 

ですが、どの部屋を覗いても居ません。

 

最後の一部屋。

地図から読み取るに、この屋敷の一人娘が使っていた、()()()()です。

 

私は恐る恐る、戸を開きました。

 

色とりどりの着物、大きな窓

私が部屋をくまなく探して、何も無いと分かると、私は部屋を出ようとして……

 

──そこには、女性が一人立っていました。

 

真っ白な肌の、ドレスを着た女です。

 

私が呆気に取られていると、女はこう言いました。

 

「お前が小鳥?」

 

と。

 

私は驚きました。

この女が私の名を知っているのには、訳があるはずだと考え、至ります。

 

呆気に取られたままの私に、女は頬をコツコツ指で叩きました。

 

私が急いで頬を擦ると、私の手にはベットリと煤が着いていました。

 

少し恥ずかしく思いながら、私は言います。

 

「貴方、私の友人を何処にやったの。」

 

と言うと、女は笑って

 

「隠してやった」

 

そう答えました。

 

私はこの女が、ご婦人の娘を隠した犯人であると確信しました。

それと同時に、私の友人を隠したのだとも。

 

「返してちょうだい」

「いやだね。いやだ。分からなかったアレが悪いのに、どうして私が言うこと聞かなくちゃいけないの?」

「……()()()()()()()?」

 

私の疑問に、女は含み笑いで、私を嘲るように言いました。

 

「私の正体だ。」

 

私は問いかけました。

 

「貴方の正体を見破れば、返してくれるの?」

「あはは、良いよ。返してあげる。」

「今まで隠してきた人間もよ。」

「いいよ。そんな事が、お前に出来るなら。」

 

正体、というからには、何がしか恐ろしいものであるのだと、私は考えました。

姿を変えているのは、もちろんです。

 

私は三つ質問をしました。

 

私の友人の格好は?

 

「白い布切れと薄汚れた履物。ああ、それと、肩からカバンを掛けていた。」

 

何故こんなことをするの?

 

「馬鹿だね。ふふ、楽しいからだよ。人間は嫌いだ。大嫌い。だから、奴らが絶望する姿がすき。楽しくてしょうがない。あはは。」

 

私のドレスを見て、どう思う?

気に入っているの。

 

「昔流行ったやつだろう?閉じ込めた人間がそう自慢していた。私は見るに堪えないと思うよ。」

 

さて、質問を終えた私は、女に向かって、地図を見せました。

 

「これはなんと書いてある?」

「………くろ」

 

そう言われ、私はその女を、()と看破し

 

無事、囚われた友人と人間全員を助け出したのです。

 

私は何故、鏡と分かったのでしょう?

 

 

 

 

 

「おしまい。」

 

そう言うと、土蜘蛛はより一層眉間に皺を寄せ、考え込んだ。

 

勝負を初めて、丸3日。

 

小鳥は、まだ現代に帰れていなかった。

というか、()()()()()()()()()

 

この勝負、重要なのは小鳥の噺ではない。

 

相手が考え込んでいる最中に逃げ出して、国ごと離れる荒業をかませるかどうかなのだ。

 

つまり卑怯。

だが、小鳥は今までそうやって何とかしてきた。

 

それに、小鳥の話す噺は難問だ。

 

そう簡単に解るわけが……

 

ふと、目が合った土蜘蛛が言った。

 

「答えは()()()()()姿()()()()()()()()()だ。」

 

正解である。

 

小鳥は泣いた。

たった三日で答えられたから泣いた。

 

頬という目立つ場所に着いている煤に気づけなかったということは、部屋に鏡がなかったということ。

 

あの大きな衣装部屋に姿見がなかったから、その鏡の付喪神だ。が正解。

 

全然、鏡文字や服の左右でも正解だが。

 

「付喪神でもいそうね」がヒントだった訳だ。

 

因みに、実際に遭遇した時、小鳥は「鏡……(何処?)」と呟いたら「チッよくわかったね」で開放された感じだった。

しばらく何が起こったのか理解してなかったり。

 

そんなことより、である。

 

この渾身の問題が解かれた!

 

さしもの小鳥も動揺を隠せない。

口元を隠して、少しばかり眉を下げた。

 

そんな小鳥を見て、土蜘蛛はフンと誇らしげにした。

 

「少し考えれば解ることだ。さて、小娘。次の噺をするが良い。」

 

小鳥は動揺しながら考える。

 

この三本勝負。

一番が鏡、二番がじゃんけん、三番が砂漠である。

 

どんな噺なのかは後述だが、とにかく、これだとすぐに答えられてしまうかもしれない。

 

想定よりもうんと賢い。

 

「今日はここまで」

「な……」

 

呆気に取られた土蜘蛛を見て、小鳥はニッコリ笑って、言った。

 

「また後日、お伝えいたします。」

 

逃げるぞ!!!

 

「小鳥ちゃ〜ん、おやつ食べましょ〜」

「……」

「……良いぞ。入れ。」

「は〜い」

 

えんらえんらが入ってきた。

 

毎回この時間になるとお茶を持ってきてくれる妖怪だ。

 

「あまり部屋に近づくでない。」

「あら〜、()()()()()()()独り占めするんですか〜?」

「違う。これは吾輩と、この小娘の真剣勝負であって……」

「はい、おまんじゅうです〜」

 

話に入れない。

小鳥は渡されたまんじゅうをモグモグ食べた。

 

…ニコニコしているえんらえんらと目が合う。

 

えんらえんらは、何故か小鳥を気に入っていた。何故かは知らない。

 

「小鳥ちゃんは、いつ元祖に入ってくれるの〜?」

「勝負の行方によるわ。」

 

これを聞かれるのも千回目くらいである。

 

「………やけに気にするな、えんらえんらよ。」

 

土蜘蛛がそう言うと、えんらえんらはニパッと笑って言った。

 

「私と小鳥ちゃんは、運命の相手ですから〜」

「…………は?」

「あらあら……」

 

小鳥は混乱した。

 

こうなったのには訳がある。

 

一日前まで遡る──

 

 

 






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