某妖怪「超有名冒険譚の主人公が目の前にいるんやが」 作:ピコッピコ
この作品ね、また読み返したんですけどマジでおもしれぇ〜わ
ケータはマジで頭おかしくなりそうだった。
「なんで六十年前にガネラがいるんだよ!」
蔵でデッッッッカくなったフユニャンを見つけたケータ一行
なんやかんやあって
ケイゾウが妖怪ウォッチの製作者(今は作るのをやめた)が原因で妖怪ウォッチが消えたと分かり
六十年前に来て
何故かガネラがいる、という情報を得た。
「ほっえっ本当にガネラ……なのか……????」
「あ〜フユニャンさんバグっちゃいましたね」
「無理もないにゃん」
そして、それを知ったフユニャンはバグった。
同じことしか言わない。
いつもの威風堂々とした振る舞いは何処へ行ったのか。
居るのは推しの新情報に狼狽えるオタクのみである。
そんなフユニャンの姿を、ウィスパーとジバニャンは生ぬるーい目で見ていた。
わかるわかる。ほんとにわかる。
こんな普通に居ると思わないよな、ガネラ。
「ど、どうしよう。オレ普通に喋ってしまったぞ。どうする……オレ……!!!!」
「クソわかる」
「共感しかないにゃん」
「……いや、普通に喋れば良くない?そっちの方がガネラ喜ぶでしょ」
「「「そういうことじゃ……なくって……!!!」」」
「うわ」
絞り出すような声だった。
急に親の仇が恩人だった時みたいな苦悩した声を出されたので、ケータは引いた。こわ〜
「な、なんでガネラがコッチに来たんだ?」
「それは全く分からないでウィス」
「過去が気になったとかありそうにゃんね〜」
「うわ〜ありそ〜」
オタクの講談が始まってしまった。
ケータは慌てて話を戻す。
「そんなことより!元祖と本家の戦い、辞めさせなきゃ」
「そ、そうだな。さっき言った通り、怪魔が関係している可能性がある。……両陣営には、信じて貰えなかったが」
項垂れるような仕草でフユニャンは言う。
きっと足蹴にされた時のことを思い出しているのだろう。
それか、自分一人で何でも解決しようとしているケイゾウのことか。
きっと両方だ。
「ガネラ、怪魔のこと知ってるにゃん?」
「ああ、取り憑かれた妖怪の怪我の対処までやってのけていたさ」
「ふーん、じゃあ怪魔のこと教えようとしてるんじゃないの?」
「ケータの頭にしてはやるにゃん!!!」
「うわ絶対それですよ!!!」
うわマズイまたオタク講談に戻りそう。
ケータは自身の失言を呪った。
「もしかして怪魔のこと聞きつけて来たんじゃないですか?」
「うわ〜どうやって知ったのか検討もつかないの、マジでそれっぽいにゃん」
「…………その、話は変わるんだが、新作ってそっちで出てるか?」
「それ、聞いていいにゃん?」
「うわっ待ってくれやっぱり無しで」
ケータは空を見た。
四日後、元祖本家で戦が起こるらしい。
にんぎょやけうけげん等の、どちら着かずの古典妖怪に聞いた話だ。
この様子だと対策、立てられないだろうなぁ……
ケータはいそいそとハリセンを取り出した。どこから出した?
そしてフルスイングで振りかぶった。
話を戻すには、これしかないのだ。
ケイゾウは、一人で怪魔を探していた。
早く見つけなくては。
そう急ぐ気持ちとは裏腹に、進展は何も無い。
焦れる思いばかりが溜まっていく。
心が曇天の雲のようにモヤモヤすると、ケイゾウは直ぐに
──助けられなかった。
別に、誰かが死んだという訳では無い。
ちょっとした怪我はしたが、そう取りただす事でも無いだろう。
だけどケイゾウにとっては、とてつもない問題だった。
──ヒーローを目指すのにも関わらず、友人を不良から庇えなかったのだ。
なんてことはない帰り道に遭遇した、小さな齢からするとうんと大きい不良達。
目をつけられたのは友人だった。
ケイゾウはあの時の震えをよく思い出せる。
そして思い出せば出すほど、己を矮小に感じてしまうのだ。
立派なヒーローになるまで、友達を作らないと決めた。
なにも助けられなかった友人に決別されたから……だけではない。
ただ、悔しい。ただただ悔しい。
怯えて何も出来なかった己が、まるで罪を犯しながらも保身に走る悪党の如く思えてしかなかった。
だから努力する。
だから自罰的になる。
──少なくとも、他人にはそう見えていた。
「あら、ケイゾウ。おひとりで何してるの?」
「!?」
小鳥がそう声をかける。
ケイゾウは肩を大きく跳ねさせて、ガネラの方を見た。
急に真横に立つ少女は怖いだろう。
だけども、真っ白な少女は可愛げのある笑みを浮かべていた。
「精が出るわね。一人で怪魔と追いかけっこ?」
「関係ないだろ。ほっといてくれ」
「あらあら」
振り切って歩いても、小鳥は難なく着いてくる。
背丈が違うから、足のリーチも違うのだ。
「誰かに手伝ってもらえば良いじゃない。そうすれば、もっと楽よ。」
「……いい。俺一人で十分だ。」
「十分なら、何故未だ黒幕が見つからないのかしら」
ケイゾウが小鳥の目を見る。
意味ありげに細められて、意地悪げに目線を返される。
……小馬鹿にされている。
己の奥底……気づきもしていない柔い所を嘲笑われているように感じた。
ケイゾウは立ち止まる。
「元祖と本家で戦がまた起こるそうよ。きっと怪魔の仕業ね。」
「……」
「今度こそ、本当に後戻り出来ないかも」
訳知りげ。
苛立ちが膨らんでいく。
責められている。そう感じてしまう。
「なら、お前は何してるんだ」
責められるのもしょうがないと思う心が、棘のある言葉を吐いた。
吐き出した直後に萎えていくのが、自分でも分かる。
小鳥が気に食わない。
それだけなのかもしれない。
たったそれだけで、ケイゾウの心は荒んでいるのかもしれない。
会った当初から気味の悪い女だった。
多少味方っぽくても、やはり滲み出る
仕草、言葉、声色。
全てが無意識に警戒をさせてくる。
それに、やろうと思えば戦くらい止められるだろう。賢い人だ。
なのに、それをしない。
ケイゾウには理由が分からなかった。
「何もしてないわ。する義理、無いもの。」
「なっ……」
あっけらかんとした態度に度肝を抜かれて、ケイゾウの意識が今に戻ってきた。
ここまで関わっておいて、本当にやってないのか……!?
小鳥が元祖と本家に出入りしているのは有名な話だ。
そして、どちらの大将にも喧嘩を売ったのはもっともっと有名。
今や知らぬ妖怪はいない程、熱狂的に囁かれている。
当の本人は、気楽そうな笑みを浮かべているが。
「貴方もそうよ。怪魔なんて倒さなくても良い。妖怪なんか助けなくったって良いの」
「良いわけないだろ!」
「なぜ?」
「みんな困っているんだぞ」
ケイゾウの言葉を遮るように、小鳥が言った。
「それは貴方に関係がある?」
「だって、みんなが困って……」
「そんなの人間に頼む程のことでは無い筈よ。おわかりでしょうけど、妖怪は人間よりもうんと丈夫。出来ることも多い。……貴方、何がしたいの?」
ケイゾウはキッと睨みつける。
無意識に寄った眉間が、目尻を上げて眼光を鋭くしているのだ。
口をもたつかせて、少しづつ言葉を発する。
頭の中では、様々な言葉が質量と背景を持って巡っていた。
「……俺が立派なヒーローになって、…ガッツ仮面みたいな、勇気のある……」
そこで何故か言葉に詰まってしまった。
「ヒーローになる為だけなら、もう、関わるのはお止めなさい。そんな覚悟で関わるものでは無いのよ。」
「……」
「それとも、友人と仲直りしたいのかしら。なら謝れば良い。人間の交友ってそういうものよ。」
まるで、大人が子どもの悩みを一蹴するかのような物言いだった。
声色がやけに柔らかいのが、気に触る……筈なのに、ケイゾウは何も言えずにいた。
ハクハクと口を動かす。
何を言っても絡め取られていく感覚。
誤魔化しの言葉が口をついて出そうになった瞬間、ケイゾウの目つきは変わった。
そんなの、こんなの俺らしくない。
「俺は……俺はそれでも助けたい。」
小鳥が片眉を上げたのも気にせず、ケイゾウは言う。
己の中にある言葉全てを圧縮して、ただ、思うままに言っていた。
「アイツには謝りたい。仲直りしたい。俺はヒーローになりたい。でもそれだけじゃないんだ。」
止められない訳では無い。
口をついて出た言葉が、ついうっかり流れ出ている訳では無いのだ。
意志を持って語っている。
それは、ケイゾウに
「ここで助けねえなんて、そんなの、俺じゃない。」
シンと辺りが静まり返ったのを感じた。
さっきと全く変わらないはずの景色すら、ビビットに霞んで見える。
「お友達の妖怪を助けたいの?」
「……ッ!」
急に、その言葉が己の中に染み込んできた。
ああ、そうだ。
俺はみんな助けたい。
トモダチを助けたいから、強くなりたいから、努力したんだ。
傷つけたくないから離れてたんだ。
自分の気持ちなのに、初めて知ったみたいだ。
爽やかな風が吹いて、揺れる草原みたいに。
ケイゾウの心中は極めて穏やかになる。
「ケイゾウ、本当に凄いよ。」
絞り出すような声が聞こえた。
穏やかな笑みで、穏やかな眼差しで小鳥は言った。
その時、ケイゾウは己の感じていた違和感に気がついた。
大人び過ぎているのだ。
己よりも数個程度しか違わないだろう少女が、まるで数千の時を生きたように見える。
だからこそ、老獪に思えて仕方なかったのだ。
ああ、でも違うのかもしれない。
「言うだけならダンスよりも簡単だわ。何してもある程度様になる。だけど、それを続けること……覚悟を抱き続けられるのは素晴らしいことよ。」
薄ら笑みの意味がようやく分かったような気がする。
「貴方は続けて見せた。トモダチを助ける、守る、そのどちらも。」
真っ直ぐと見つめられて、ケイゾウは小鳥の瞳を見た。
澄んだ色をしている。
「その結果、付いてくるヒトがいる。」
不思議と、頭に浮かんでくるヒトがいる。
ケイゾウは、少しばかりの照れくささも感じない自分に、寧ろ驚きすら感じていた。
「貴方みたいなヒトを見捨てる人なんていないわ。私には分かるの。」
試されていたんだ。
そして、今まさに認められた。
なんか、ずっとそうだな。
ずっと見守られていたよな。
そう考えて、ふと思った。
ケイゾウの口からついて出てくる。
「……なんでお前、俺の師匠みたいなんだ?」
「やめてちょうだい。師匠は別にいるわ。」
小鳥と別れたあと
ケイゾウはケータと共にマスターニャーダと言う妖怪の元で修行をすることになる。
あ、マジで別にいるんだ。
ケイゾウはそう思った。
うーーーん!!失敗です!!!
小鳥は失敗していた。
何にってケイゾウを場から降ろすことに、である。
妖怪同士の戦なんて、大概勘違いかどっちもやらかしてるかの二択である。
妖怪の尻拭いを人間に、しかも子どもにやらせるのは……ちょっと…………………ねぇ………?
という気持ちから起こした行動だった。
が、何故かケイゾウのやる気を出す結果に終わった。
あまりに健気で良い子すぎて普通に褒めちゃったしな……
最初こそ全部ケイゾウに全部任せてやろう、と思ってはいたが……
流石にあんな戦いや、あんな危険そうな怪魔とやらなんぞに首突っ込むなら話は別である。
止める良識は持っていた。
ちなみに、
うーん、まぁいっか!
子どもって結構戦えるし!
そして旧い妖怪なので、そこら辺ガバガバだった。
妖怪として生きている年月の方が倍以上長いので……
危険そうになったら手伝ってあげよう。自分が死なない程度に。
あと三話くらいで過去編終わります。たぶんね