某妖怪「超有名冒険譚の主人公が目の前にいるんやが」 作:ピコッピコ
一方キュウビの一人前になる儀式すらも知らなかったガネラこと小鳥は
「え? トマトが毒? ……初めて聞きました。あんなに甘くて美味しいのに、変わっているんですね。」
ウ゛ッ゛ッ゛ッ゛
ジェネレーションギャップに、ものすごい勢いでヤられていた。
小鳥は自分のことをババアなどと言うのに、他人にそれを提示されるとそれはそれでダメージを受ける面倒な性格だった。
軽い気持ちで昔話なんかをすると、こんな風にカウンターを食らう。
そういえば椿姫は若い方だったな……
「そういう逸話もあったな、と思い出しただけよ。もし本当なら怖いと思って」
「まあ。確かにトマトが毒だったのなら、今頃お腹を壊してしまっているかもしれません」
そう言って椿姫はクスクス笑った。
……なんか、ふぶき姫に似てるな。顔。
小鳥はその美貌を眺めながら、そう思った。
パッチリと開かれた木々の新芽のような双眸と、目を奪われるような唐紅の長髪が美しい妖怪だ。
国の一つや二つ、簡単に手に入れられるであろう。
椿姫は見目に似合った気品も兼ね揃えていた。マジの一国の姫だったりする?
そう考えると、なんというか。
こんな子が私の役を……?
そう考えるとちょっと困惑する。
どうしよう、めちゃくちゃ美化されてたら。
小鳥は噂話を鵜呑みにした妖怪に会った時のことを思い出して、また心が荒んだ。
失礼すぎるよな……本当。
「ねえ。貴方、ガネラの役をなさるのよね」
「はい」
「ガネラって、貴方のように美しいヒトなの?」
「まあ。」
小鳥が何となしな言い方で尋ねると、椿姫は淑やかな笑みを浮かべた。
美しいなど言われ慣れているのだろう。
小鳥とて反応を望んだわけではなかったので、大して気にならなかった。
「それは勿論。大層
「そうなの。」
私の事なんて書いた?
小鳥は震えた。
今までいくつかの妖怪に名を明かしたが、もしかしたら、親友の描いた物語を存じていた可能性がある。
ドラマ化するくらいなのだし、まあまあ人気はあるのだろう。
もしかしたら幻滅させてしまっていたのかもしれない。
親友の作品のファンを減らしてしまったとしたのなら……普通に謝るしかない……
恐らく出版されたのは、親友が旅の最中、マメに書き記していた日記を清書したものであろうし……
「容姿だけの話ではありませんよ。むしろ、彼女を美しく書く作家は少ないかもしれません。」
椿姫は何か悟ったように言葉を続ける。
小鳥は安心した。
その辺の理性はちゃんとしていたようだ。過激な美化は全然普通にやりかねない。
良かった。
特にこれと言って幻滅はされてなさそうだ。
「性根、志、あり方。その総てを美しく感じるのです。」
私の事なんて書いた……?
小鳥は震えた。
下手に容姿が「川のせせらぎのような眼差しと太陽の光のような髪が、薔薇のように透き通っていた」みたいな感じに書かれるよりも怖かった。
マジで私の事なんて書いた?
「ふふ。貴方、まるでガネラを、ガネラの知人のように語るのね? まるでその目で見てきたかのようだわ……」
「…………?」
己の内面すら誤魔化すように小鳥が言う。
椿姫一瞬だけ目を瞬かせ、すぐさまに合点が言ったように「ああ」と呟いた。
「ごめんなさい。まるでガネラを実在するように言うものですから、少しピンと来なくて。」
椿姫はそう言った。
ガネラは空想の存在である。
そういう考えが
「実際にいるように話すのが楽しいから、ついね」
「私もそう思います。いつかお会いすると羨望しながら語り合うのは胸が踊る思いになりますよね。」
「ね」
小鳥は咄嗟にめちゃくちゃ話を合わせてしまった。
命の危機を全てコミュニケーションで解決してきた経験が今活きる。
なに? 空想で書いてた感じ?
いや確かにあの子そういう所あるけれど……そこが面白いんだけども……
「──不思議な気分です」
せせらぎのような声だった。
川に澄んだ水が流れていき、その端に苔がむしている。
一見、やわらかく透明であるから濁りがない清潔な水。
小鳥のような旅人は、そういった流れの良い水は飲まない。
上の方が見えないから危険なのだ。
椿姫の言葉に、小鳥はその薄ら細めた眼差しで続きを促した。
「小鳥さんって、ほんとう、
何だか。何だかは知らんが。
その心休まる木々の命すらもを移したような瞳が、微睡むように笑んで、美しく微笑んだとき。
小鳥は割とガチで、嫌な予感がした。
長生きの勘。
そして、数え切れないほどの修羅場を潜り抜けてきた旅人の第六感が告げている。
なんか、真面目にヤバい気がする。
具体的には、この子を起点にして何かがおこりそう。
ヤンデレや試し行動してくる子は好き?(備考程度の質問)
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嫌い
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好き
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デレや好意が分かり易ければ好き
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裏でドギマギしまくってたら好き
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上二つがあるなら好き