某妖怪「超有名冒険譚の主人公が目の前にいるんやが」 作:ピコッピコ
ガネラことガネピッピが、妖怪ウォッチを探している──
──一方その頃
ケータと、ケータ家とりつき妖怪達は記憶を取り戻していた。
妖怪ウォッチが何故か骨董品店で売られていたのだ。
それを譲り受け、とりつき妖怪達をぶっ飛ばし、妖怪メダルを手に入れることで、全員記憶を取り戻した。
「絶対ガネラの仕業にゃん」
「そうとしか思えませんよ」
そして、全部ガネラの仕業ってことにされそうになっていた。
ケータは半信半疑で、ウィスパーとジバニャンの言い分を聞く。
「ガネラはマージでやるにゃん。こういうこと。」
「ただのイタズラ好きな妖怪とは違って、なまじ力がある分、変な事をするんでウィス」
いや……後方オタク面か……?
二体は得意げに言うと、ますますケータが訝しんだ。
だって、そんなことする?
最近目覚めたばかりで、現代文明ワクワクだぜ!だった妖怪が
自分の現代散歩を妨げてまで、イタズラをするだろうか。
それに出会った時、あんなに悲しそうだったのに。
「ケータも一回は伝記、読んだ方がいいにゃん。ちょっとは頭良くなるにゃんね」
「ちょっと!それどういう意味!?」
「お〜顔真っ赤にゃん」と笑うジバニャン。顔真っ赤なケータ。
くだらない口喧嘩が始まりそうになって、ウィスパーはため息を吐く。
「でも実際色々な事が乗っていますし、中々勉強になるでしょうね。」
「え?本気で言ってたの?」
「俺っちは何時だって本気にゃん」
ウィスパーはいそいそと妖怪パッドを操作すると、ケータに差し出した。
一つの物語のページが映し出されている。
「これがガネラの冒険譚でウィス。一番易しい話ですから、ケータくんでも読みやすい筈ですよ。」
「え〜小説じゃん……」
「いいから読むにゃん!」
布教を決めたオタクはテコでも動かない。
そのことを知ってか知らずか、ケータは諦めて、その話を読み出した。
一時間後……
「妖怪ウォッチ盗んだ犯人分かった!」
「誰にゃん?」
「ガネラだ!」
「ほーら納得でしょう?」
コイツ!物盗むのに躊躇いがない!
ケータは理解した。
みんながガネラガネラ煩く言う理由は分かりきれなかったが、ガネラに対する悪評については完全に理解した。
コイツ!性格悪いよ!
「ウィスパー!ジバニャン!ガネラ捕まえよう!」
「捕まえてどうするにゃん?」
「捕まえないと何も始まらないじゃん!」
今朝方、ガネラが念入りに覚えていないのか確認してきたのも、こうなってくると怪しく思える。
ケータの頭の中では、すでにガネラが犯人であると確定されていた。
「絶対捕まえるぞ!えいえい、おー!」
「おー、だニャン!」
「おー、でウィス!」
こうして、ガネラは何も悪いことしてないのに、勝手に犯人だと断定されたのである。
「へえ。この街の守り神は今、お留守なのね。……そんなことを、この私に教えてしまって良いの?」
「はい。ガネピッピさんになら……」
なんか近くない?
ガネラはビビっていた。
ふぶき姫の距離感に。
物で釣らせて頂いたつよつよ妖怪だから、ガネラは、ふぶき姫の変わり様が怖い。
完全に自分のムーブの責任であるのだが、ガネラにはそれが分からなかった。
そんなポヤポヤした様子のふぶき姫を引き連れ、街で聞き込みをしている訳だが……
当然、情報を得られる訳がない。
ガネラは考えていた。
そうするしか……いやでも流石に……うーん……でも……
「妖魔界は、今どうなっているのかしら」
「妖魔界、ですか?」
ふぶき姫は答える。
何も知らないガネラ以外の妖怪にとって、なんら不思議でも何でもない情報だ。
だが、それがより一層ガネラの気を重くした。
情報を聞くなら、妖魔界に行くのが手っ取り早いのだろう。
妖魔界は妖怪の世界。
当然、そこには妖怪ばかりだ。
盗まれたであろう妖怪ウォッチと、盗人の情報を集めるのに適している。
それと、ウィスパーやジバニャンを探すのも。
だがしかし、うーん、嫌すぎ。
ガネラが気を重くするのには、訳があった。
ガネラは、妖魔界が苦手だ。
妖怪は気ままで自由そうに見える。
が、その実、結構色々なものに縛られているのだ。
その変な感じが表れるのが妖魔界だと、ガネラは感じていた。
そうそう簡単に行けるところでは無い所だったのも相まって……
ガネラの時代の妖魔界は、大変独特だった。
特に、ガネラは妖魔界を支配する妖怪のことも苦手だった。
──エンマ大王のことである。
ガネラの時代のエンマ大王は、比較的温厚、そして歴代最も苛烈。
言ってしまえば強烈な情緒不安定芸術家肌の、変な妖怪だった。
ガネラは思い出す。
頻繁に、ごきげん取りをさせられていたことを。
無理難題を押し付けられ、それを解決してんのかしてないのかみたいな方法で解決する。
時には、ただ単純な話し相手(少しでも間違えれば
屋敷で働いている使用人などを庇ったりもした。
あまりにも哀れだったので……
よくわかんない理由でキレられ、その度に心労を増やしていったことを、ガネラはよーく、よーーーく覚えている。
妖魔界行ったらさ〜〜!!
見つかるじゃんね……
「あの、ガネピッピさん、大丈夫ですか?」
「ええ、まあ、大丈夫よ。」
ガネラは知らない。
時代が違うので、大王は代わってる。二回も。
そうそう変わるものじゃないのに。
そんなこと知らないので、ガネラは勝手に心を疲弊させていた。
これを杞憂という。
ということで、ガネラは悩んでいた。
妖魔界に行きたくない気持ちが、強すぎる。
ガネラが爪の甲を掻いた時、ふぶき姫が言った。
「よろしければ、代わりに私が行ってきましょうか?」
まさに鶴の一声だ。
ガネラはパッと顔色を明るくして、「良いの?」と問いかけた。
いつもの変化のない余裕そうな表情とは違い、わかりやすい変化にふぶき姫はちょっとトキメキを感じる。
「そろそろ、帰らないといけないと思っていましたから。」
「あら、邪魔しちゃってた?」
「い、いえ、私がやりたいと言ったことですし……!」
うーん、優しい。
距離感がおかしい以外は、人の良い妖怪なのだ。
二体は、一旦別れることになった。
ふぶき姫は妖魔界へ、ガネラは地上を探索である。
そうして、ガネラは妖怪を探した。
そしたら眠っている妖怪を見つけたので、声をかけた。
「ねえ貴方、聞きたいこ」
「キャーーー!!!!」
そうして、ガネラはどっかに飛ばされた。は?
ガネラが声をかけた
ソイツは急にビカッと光る。
次にガネラが目を開けると、そこは知らない場所だったのだ。
ガネラは困惑した。
駅が古いから、桜ニュータウンからは遠いだろうことは分かる。
木が多い。
見える道も砂っぽかった。
ガネラは人間に変身した。
そしてガネラこと小鳥は駅の中に入り、駅員に声をかけた。
「失礼、そこの貴方。」
そして、駅員はビビった。
駅員は、
生まれ育ちも同じココ。
汽車というロマンを夢に見て、田んぼを耕していた両手を、切符を改札鋏に変えたに過ぎない。
中々純な男だった。
男は初めて見た。
白いドレスを身にまとい、澄んだ瞳で己を見る少女など、初めてだった。
「ど、どうかなさいましたか」
男は動揺を隠すこともできず、少し吃り気味に言う。
少女は眉を困らせて、口元に手をやった。
どこまでも見透かすような瞳に己が映る。
「私、迷ってしまったみたいなの。ここは何処か、教えて下さらない?」
男は思った。
こんな場所に、こんな
お化けだろうか。
妖怪、だろうか。
バカみたいな思考がはみ出てきて、それを感じながら、男はボンヤリと言葉を発した。
「ケマモト村と言います。なんも無いけど野菜が美味いところ、です。」
つい関係ないことまで口をついて出てきて、男は慌てて口を噤む。
その様を見た少女は、うっそりと笑った──
──みたいなことになりつつ。
小鳥は駅員に色んなことを教えてもらった。
はえ〜
ここら辺ケマモト村って言うんだ〜
小鳥は駅員に別れを告げた後、ゆっくりと人の多いところを目指して歩き始めた。
何せ、ここから村まで距離があるので。
テッテッテと歩く。
代わり映えのしない景色が続く。
すると、向こう側から妖怪が急いで走ってきた。
それも結構な数。
ワ…ワァ……!
小鳥はガチビビりして、目が会わないように空を眺めた。
「おい、あの人間、空を見ながら歩いているぞ」
「モォ〜本当だぁ〜」
不味い。近寄ってきた。
あんなセカセカしていた妖怪たち数体はガネラに近づく。なんでだよ。
小鳥は無視して歩くが、妖怪も付いてくる。
「服が真っ白だわ」
「靴まで白いよ〜ぷわぁ」
私は見えてない。
私は何も見えてない……
妖怪のうち一体が手を伸ばしてガネラに触れようとする。
小鳥は避けた。
「………」
「………」
また触れようとする。
小鳥は避けた。
「………」
「………」
目が合う。
「あ!逃げたぞ!!」
小鳥は走って逃げた。