運命に見放された少女   作:哀上

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7話 諭吉が1200人……

7話 諭吉が1200人……

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「あ、いたいた。教室に居なかったから、先帰っちゃったのかと思ったよー」

 

「どこで待ってろとも言われなかったので」

 

「だからって、普通は教室で待たない?」

 

「普段真っ先に教室出るので、その癖でつい……。それに、一回出たのに戻るのもなんか違うなって思って」

 

「えぇ……」

 

 そう、待ち合わせ場所を指定しなかったこの先輩が悪いのだ

 むしろ帰らずにちゃんと待っていた事を褒めて然るべきまであると思う。

 

 まぁ、実のところ約束したはいいけど話聞くのもめんどくさそうだしやっぱり帰ろっかなとか一旦思ってたけどね。

 結局家に帰る方が気まずいことを思い出して、ちゃんと待っててあげたんだから別にいいよね。

 突然、それも一方的に約束取り付けてきたのは先輩の方な訳だし。

 

 考えれば考えるほど、こんな先輩の怪しい儲け話とか聞く価値ない気がしてくる。

 家に帰りにくいだけなんだから、普通に図書室で時間潰してればよかっただけ説あるよね。

 

 いや、お金儲けには興味はあるけどさ、よく考えたらそんな話この人が知ってる訳なくないっていう。

 だって、そんなおいしい儲け話知ってて先輩の家が貧乏なままなのおかしいじゃん。

 

「まぁいいや。というか、ゆりは普段の放課後は何か用事ある感じ?」

 

「いえ、特には。単に、少しでも早く妹に会いたくてさっさと家に帰ってただけなので」

 

「へ、へぇ……。ストレートなシスコン宣言に先輩も驚きですよ」

 

「?」

 

 わたし、今何か変なこと言った?

 妹が居るなら少しでも早く家に帰るなんて当然のことでしょ。

 最近は家帰っても自室で勉強しててしばらく会えないんだけど、それでも早く帰れるのなら早く帰るべきだよね。

 

 あそこらへんで部活してる人たちは、きっと妹とかいないからあんなことやってるんだろうなぁ。

 かわいそうに、妹いないなんて人生全部損してる。

 そう思わない?

 

「で、今日はその妹はいいの?」

 

「……」

 

「あ、もしかして朝教室で悩んでたのってそれだった?」

 

「だったら、なに? 別に関係ないでしょ」

 

 やっぱり話聞くことにしたのは失敗だったかもしれない。

 この人なんかうざい。

 

「いや、どうせなら先輩が相談に乗ってあげよっかなぁって」

 

「人に相談する気とか無いので」

 

 よし、帰ろう。

 時間は……適当に近くの図書館で潰せばいいや。

 

「あ、ちょっと待ってよ。せめて話だけでも聞いてからね」

 

「……」

 

「無駄話辞めてすぐ本題入るから、ごめんって」

 

 全く、最初からそうすればいいのに。

 儲け話以外なんて初めから全く興味ないし、まぁそれだってただの暇つぶしでしかないんだけど。

 とりあえずこの話を続けられるよりはマシ。

 

「それで、ゆりって転売でどれぐらい稼いでたの?」

 

「20万ぐらいじゃない?」

 

「そ、そっっか……」

 

 ……今、思ったより稼いでるなって反応しなかった?

 やっぱり聞くだけ無駄なんじゃないの?

 

「なに? やっぱり出任せでそれ以上なんて無理?」

 

「いや、そんなことないよ」

 

「本当?」

 

「本当だよ、」

 

 ……その割には、目が泳ぎまくってるけど。

 

「で、ゆりはその収入に満足いかなくて転売を辞めたんだよね?」

 

「いや、満足っていうか……妹が転売嫌いだって言ってたから」

 

「……なるほど? その一言でキッパリやめたの?」

 

「当然でしょ」

 

「何というか、すごいシスコンだね」

 

「それほどでも」

 

「……いや、褒めてないよ?」

 

 金額的に満足いかなかったかと聞かれると、お金はあればあるほどいいとはいえ未成年であれだけ稼げる方法他に思いつかなかったしそれほど不満はなかった気がする。

 

 まぁ、金額がどうかだったなんて無意味な事でしかないのだけどね。

 どちらにしても妹の嫌がるような事をしてまで稼ぐものでもないし。

 ただそれだけの単純な理屈、誰にでも理解できるでしょ?

 

 何が不思議なのだろうか?

 やっぱり、どこか変な先輩だ。

 

「で、どうやって稼ぐの? まさか、パパ活とか言わないでよね」

 

「それならもうやってるって言いたいんでしょ。そんなのよりもっと稼げる方法が、」

 

「やってないよ!? 何でみんなしてそのイメージ?」

 

 何故わたしが稼ぐ手段として出てくるのがパパ活なのだろうか。

 

 何?

 わたしってそんなにパパ活してそうなの?

 それはちょっとショックなんだけど。

 

「みんな?」

 

「この前、転売で稼いだお金見せたら疑われちゃったんだよね」

 

「清楚系な美少女がお金持ってたら、夜に金持ちのおっさんとパパ活してるのが定番じゃない?」

 

「何その嫌な定番、そんなことないと思うけど」

 

「そうかな? 私はそんなイメージだし、実際よく見るよ」

 

 だめだ、酷い偏見に塗れている……

 実際よく見るって、偏見フィルター通して見てるからそう見えてるだけなんじゃないの?

 

 見た目か、見た目がダメならイメチェンでもする?

 別にこだわりとかないし、髪染めてみるとか……

 それこそパパ活やってる感増す気がするんだけど。

 

「で、結局どうやって稼ぐの?」

 

「自分の体を資本にするタイプの労働ってどうしても限界が来るものなの、だから自分が労働をせずに……」

 

「そう言う抽象的な話じゃなくって、もっと具体的な方法を」

 

「……えっと、友達呼んでもいい? その子も詳しくて、私に教えてくれた人なんだけどこれですっごい稼いでて」

 

「えー、じゃあ帰ろっかな」

 

 やっぱり聞くだけ時間の無駄だった。

 こう言う抽象的な話を始めるやつは相手にしてはいけない。

 

 これは私の実体験だ。

 儲け話を探してた時、こんな話から入る本やサイトを山ほど見つけた。

 が、こういう話から入るサイトや本に碌な情報はなかった。

 

「ま、待って! ……なら、FXかな?」

 

「何それ?」

 

「えっとね、言ってしまえばギャンブルみたいなものかな?」

 

「えぇ、ギャンブルって儲かるの? 競艇とか競馬とか絶対胴元が儲かるようになってるんじゃないの?」

 

 なら? まぁ、いいや。

 

 何かと思ったら、ギャンブルって。

 そもそもわたし年齢的にまだ出来ないし、絶対負けるとわかっててやる訳ないじゃん。

 パパ活よりはマシだけど、犯罪って意味じゃ同レベルだしね。

 

「えっとギャンブルって言っても胴元がいるものじゃなくって、ドルと円ってあるじゃん、それを売り買いしてその差額で儲ける……みたいな?」

 

「まぁいいや。で、それは儲かるの?」

 

「当然儲かるよ。トップ層の人は一瞬で何億って稼ぐんだよ」

 

 この先輩ほんとのこと喋ってるんだろうか?

 

 でも、億……

 全然想像つかないけど、サラリーマンの生涯年収が2億3億だっけ?

 それを一瞬で稼ぐのか。

 

「それは、ちょっと興味あるかも」

 

「未成年で本当に儲けようと思ったらこれが一番だと思うよ」

 

「本当に? 嘘でもあるの?」

 

「あ、いや。別に嘘をつこうとしてたとか言うわけじゃなくってね……何でもない」

 

 そういえばこの先輩、渋々みたいな感じでFX提案してきたけど。

 初め、何提案する気だったんだ……

 

「やっぱり、FXは動かせるお金が違うから。転売やってて元手があればーって思ったことあるでしょ?」

 

「動かせるお金が違う? まぁ、お金あればもっと転売で稼げただろうし、それに転売より稼げる方法もいくつか……」

 

 でも、動かせるお金が違うってどゆこと?

 お金があるってのとは違うんだよね。

 そもそも始める物事によって、始める前の軍資金が変わるとは思えないんだけど。

 

「ああ、なるほど。FXってデフォルトでレバレッジが掛けられるんだよね」

 

「レバレッジ?」

 

「このサイト見て、たとえばここに千円札があります」

 

「野口が1人」

 

「これを口座に入れると、なんと100万円分の資金を動かすことができます」

 

「諭吉100人!?」

 

「さらに、ボーナスが入って1000円分のポイントが」

 

「諭吉200人!?」

 

「さらにさらに、口座開設ボーナスで1万円分のポイントが」

 

「諭吉が1200人……」

 

 これは凄い。

 たった千円で1200万円動かせるのか……

 

「どう?」

 

「うん、儲かる気がしない」

 

「あれ?」

 

 倍率だけならまだ分かる。

 いや、わからないけど。

 ポイントってなんだ?

 最終的に倍率の掛かる元の金額も12倍に増えてるが?

 

 まぁ、口座開設ボーナスって初回限定だろうしある程度豪華にするのは理解はできるけどそれにしたってやりすぎでしょ。

 そして、ここまでやるってことはそう言うことだ。

 

「だって、それだけ大盤振る舞いしても回収できるってことじゃん」

 

「いや、回収とかそう言うのじゃなくって……FXは基本その取引を会社が仲介してるだけだから、ユーザーの勝ち負けは会社には関係なくて。むしろ、その手数料で儲けてるから負けて離れるよりは勝ち続けてもらったほうが良いわけで、」

 

「ここの会社は?」

 

「……すー」

 

「目を逸らさないで」

 

 ここは違うにしても、そう言う会社もあるって事か。

 で、そこはここに比べて手数料が高いのかな?

 じゃないとこう言う会社が生き残れる訳ないし。

 

 競馬のノミみたいなものってことかな?

 未成年でも買えるとかって書いてあったけど、そもそも思いっきり違法だし支払われない可能性があるとかで論外だったけど。

 このサイト結構ちゃんとしてるし、ノミ行為自体が合法なのか……

 

 というか、本当に儲かるならそれこそ疑問がある。

 

「それを知ってて、何で先輩の家は貧乏なわけ?」

 

「あー、それ聞いちゃう?」

 

「で?」

 

「あ、はい……えっとね、うちの母親が失敗して貯金吹っ飛ばして更に借金しちゃったんだよね」

 

「だめじゃん」

 

 やっぱり……

 ていうか、先輩の家が貧乏な理由ってFXなのかよ。

 そんなもの人に勧めるんじゃありません。

 

「先輩もやってるの?」

 

「私もやってるよ」

 

「どう?」

 

「借金はしてないよ。母親が使ってたのは国内の会社だけど、私が使ってるここは海外のだから追証無いからね」

 

「……」

 

 いや、そんな自慢げな顔されましても……

 

 お金儲けの話してて、"借金はしてない"でドヤ顔されるとは思わなかった。

 そりゃまぁ儲けようと思ったらそれ相応のリスクはあるんだろうって思ってたけど、だからってこの状態で誘わないでよ。

 

「話聞く限り、辞めた方がいいと思うんだけど。お金ないんでしょ?」

 

「あ、母親はもう辞めたから。今お金ない原因はFXじゃないんだよね」

 

「え、でも今もお金ないんだよね?」

 

「実はうちの母親宗教にハマってね」

 

「あぁ、それで」

 

 親が貯金ゼロにして、救いを求めて宗教か……

 

 この先輩も結構苦労してるんだな。

 苦労してる道にわたしを誘ってくるのは意味わからないけど。

 

 もしかして、仲間ってそう言うこと?

 一緒に貧乏になりましょう的な。

 せめて建前だけでも"一緒に儲けましょう"みたいな、もっとポジティブなものにした方がいいと思う。

 

「違うよ、勘違いしないで。私はそこの宗教には結構感謝してるんだから」

 

「そうなの?」

 

「お母さん宗教にハマる前はFXの負けを取り戻すってギャンブルにハマってて、それが宗教に入ってから今まで借金が増え続けてたのに借金が増えなくなったんだよ。すごくない?」

 

「……減ったりとかは?」

 

「いや、減ってはないね。宗教への献金があるし」

 

「……」

 

 それは良かったのか?

 

「ゆり、そういうのは高望みって言うんだよ。増え続けてたものが増えなくなった、それだけで進歩なんだから」

 

 それは何というか……

 確かにそうなんだろうけども。

 

「あ、私はまだやってるよ。流石に、もうお金稼ぎとしてはやってないけどね」

 

「そうなの?」

 

「母親がギャンブルやってるの横で見てて楽しそうだなぁって思ってたんだけど、まだ競艇も競馬も出来ないじゃん。ギャンブルとしてやってるの」

 

 この親にしてこの子ありってことか……

 

 将来が心配だ。

 先輩に言う言葉じゃないと思うけど。

 懲りたりしないのかな?

 

「で、どう?」

 

「いや、どうって言われても……その話聞いてやろうって思うと思いますか?」

 

 誰がこれ聞いてやりたいって思うんだ。

 

 いや、確かに野口のくだりはめっちゃ興味あるけど。

 少ない金で大金を動かせる、リスクはでかいけど利益もでかいのか。

 正解がわかってるなら、それ以上の方法はないけどそうもいかないからね。

 

「でも、本当面白いんだよ。こうお金が増えたり減ったり、世界情勢を勉強するきっかけにもなって……」

 

「先輩テストの点数良いんですか? 先生に“一年生からやり直すか?”とか言われてたしあまりそうは見えない」

 

「……私が勉強してるのは現代、学校で勉強するような歴史とか近代は興味ないから」

 

 でしょうね。

 

 先生も明らかに問題児に対する対応だったから。

 わたしみたいに成績いいと、多少問題行動してもあんなあからさまな態度は取られない。

 やっぱり成績って大事だし、大人になってからも学歴は大事だ。

 

「ちょこっとだけ、お試しだから。ほらこの会社なら暴落して元金以上に負けても借金とかにはならないし」

 

「まぁ、お試しで千円ぐらいなら……」

 

「ささ、そのURLから登録しちゃって」

 

 借金にならないし、千円ぐらいならいっかな。

 ちょっと面白そうだとは思うし。

 流石に、先輩みたいにはなりたくないけど。

 

 ちょっと待って……

 

「……ねぇ、そういえばこれ合法なの?」

 

「え?」

 

「日本だとこの年じゃまだFXの口座とか作れないみたいだし、その年で海外のに登録するのって……」

 

「グレーだからセーフ?」

 

「……」

 

「白よりのグレー、多分オフホワイトだから多分大丈夫!!」

 

 いや、うん。

 やっぱり辞めとこう。

 好奇心は猫を殺すって言うしね。

 

 せめてもっと調べてから……

 

 ん?

 これは、

 

「あ、そう言うことか。やけに勧めてくると思ったら」

 

「え?」

 

「お友達招待でポイントプレゼントねぇ」

 

「……えーっと」

 

 面白いぐらいに目を白黒させている。

 大したセールスポイントもないのに、無理にでも勧めてきた理由がこれかい。

 確かに、中学生にしたら1万円は大金だからね。

 

 まぁ、思ったより面白い話聞けたしいっか。

 

「まぁ、家に帰ってから考えてみるよ」

 

「そう? わかった。私の番号これだから、登録するときはちゃんと入力してよね」

 

「はいはい」

 

 確か、すみれ先輩だっけ?

 

 ほんとたくましい先輩だ。

 でも、面白い人だった。

 あまり良い人だとは思えないけどね。

 

「じゃあ、またね。すみれ先輩」

 

「登録、よろしくねー!」

 

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 そろーっと、気づかれないように……

 

「おねぇちゃん、おかえり。今日は帰り遅かったんだね」

 

 ドアを開けるとひまわりがいた。

 

 あれ?

 もしかして、わたしのこと待ってた?

 

「ちょっと話があるんだけど」

 

「え? ……今はちょっと」

 

 昨日の続きかな?

 

 まだちょっと答え出てないっていうか、

 考えるの途中で放棄しちゃったっていうか、

 

 ……

 

「? そんなに時間はかからないから」

 

「……」

 

 別の話?

 

「わたし受験する学校やっぱり変えようかなって思って……」

 

「え?」

 

「わたしね、やっぱりおねぇちゃんと同じところ受けたい」

 

「本当!? ……先生はなんて言ってたの?」

 

 わたしとしては嬉しいけど……

 

 でも、受験先変えたのって合格出来るか難しいって話だったからで。

 ひまわり受験勉強頑張ってるし、成績上がって今の調子なら目指せるかも的な?

 

「……わたしには厳しいって」

 

「なら」

 

「でも、後悔したくないから」

 

「……そっか」

 

 ひまわりの人生だもんね。

 ひまわりがやりたいようにやった方がいい。

 受験料かかるって言っても、それほど高額なものじゃないし。

 それぐらいでお母さんが何か思うとも思えない。

 

 受験日同じだから両方は受けられない、だから落ちたら今目指してるところにも通えなくなっちゃうんだけど。

 でも、そもそもいい中学校行く方がいいとかもエゴだしね。

 ひまわりがやりたいようにすればいい。

 

 やりたいことに学歴が必要ないなら、別に受験とかどこだって良いしね。

 そもそも中学は受験なんかしなくたって、別に手遅れになんてならない。

 おねぇちゃんは応援するよ。

 

「おねぇちゃんってあんまり受験勉強とかもせずにその学校入ったでしょ」

 

「それは……」

 

 否定はしない。

 多少やったけど、本当に多少やっただけ。

 

 6年生の間もひまわりとずっと遊んでたし、それはひまわりもよく知ってるはず。

 少なくとも、部屋にこもって朝から晩まで勉強なんてことはしなかった。

 やっぱり、良くなかったのかな?

 でも、まさかひまわりも受験するなんて思ってなかったし。

 

「違うの。それに何か言いたいんじゃないの。ただ、わたしも頑張ればそんな凄いおねぇちゃんに並べるのかなって思って」

 

「ひまわり……」

 

「そもそも中学受験を受けようって思った理由がそれなのに、自分のレベルに合わせて志望校落としてたら意味ないよね。やる前から無理だって自分で決めつけちゃってるんだもん」

 

 そっか。

 そんなふうに……

 

「それでさ、前断っておいてこんなこと頼むのもあれなんだけど……宿題とかだけじゃなくて、受験勉強も手伝って欲しいなって。ものすごく迷惑かけちゃうと思うんだけど」

 

「全然いいよ。むしろウェルカムだよ」

 

 迷惑だなんて思わないよ。

 こんな可愛い妹からのお願いを断る姉が居る訳ないじゃないか。

 

「あのさ、昨日はごめんね。本当はあの話するつもりなかったんだ。おねぇちゃんが気にしてるの知ってたし、だから後でわたしの方から返事しようと思ってたんだけど……」

 

「わたしの方こそごめん。わたしもひまわりのこと全然考えれて無かった」

 

「そんなことないよ。おねぇちゃんはわたしの事いっつも考えてくれて……」

 

「ひまわり!!」

 

 思わず抱きつく。

 

 昨日あんまりベタベタし過ぎないって決めたんだけど……

 でも、仕方ない。

 こんなの耐えきれるわけないじゃん。

 

「おねぇちゃん……」

 

 ひまわりも抱き返してくれた。

 ああ、あったかい。

 

「だからさ、、今日は久しぶりに」

 

「お風呂? 入るー!」

 

 やったー。

 久々にひまわりとお風呂だ。

 

 ……あれ?

 

「……一緒に寝てあげようと思ったけど、もうおねぇちゃんなんて知らない!」

 

「ごめんって、ひまわり! おねぇちゃんもいっしょに寝る」

 

「わ、ちょっと」

 

「ぎゅー」

 

「全くもう、おねぇちゃんったら」

 

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