金田一少年と神津少女の事件簿   作:GZL

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File6

翌日、左近時、高遠、さとみ、桜庭、そして支配人の長崎はラウンジへと呼び出された。それも帰りの列車が到着する1時間前…。

早く帰りたい左近時は苛つきを隠しきれないのか、タバコを吹かす。

 

「なんなんだ?あの探偵は…。俺たちをここに呼びやがって…」

 

「何か、呼び出されたらマズいことでもあるんですか?左近時さん」

 

ギクっとしながらも、左近時は後ろを振り向く。

そこにははじめと剣持、明智、佐木…そして、車椅子に乗る綺世がこちらに向かって来ていた。

 

「後ろめたいことなんてないない。早く帰ってゆっくりしたいから、少し愚痴が出ちゃっただけだよ」

 

「…本当に、口だけはよく回りますね」

 

はじめのバカにしたような言い方に、左近時もおちゃらけた笑顔が一瞬で消える。

 

「皆さんを呼んだのは他でもありません。この中に…山神、由良間、夕海、そして綺世までも殺そうとした地獄の傀儡師を暴くためです」

 

「俺らと関係ないじゃん。何を今更…」

 

「関係大有りですよ、左近時さん。むしろ貴方が最も今回の事件の核心を知る1人なんじゃないですか?」

 

「はあ?」

 

「この事件は、5年前に死んだ…いや、()()()()近宮玲子の復讐劇だったんです」

 

その名前を聞いたその場の者は一気に凍りつく。

特に左近時は冷や汗を額から落とす程だった。

 

「近宮さんが…殺された!?」

 

「…待ってくれよ。どこにそんな証拠が…」

 

「…確かに、近宮玲子を殺した者を裁くために必要な証拠は…時が流れて消えてしまった。当時も決定的な証拠がなく、神津恭介でも解けなかった」

 

それを聞いた綺世の表情が曇る。

人間が完璧ではないのは綺世自身がよく分かっているが、いざ尊敬する自身の祖父が解けなかった事件があると知ると、少し意識してしまった。

 

「だが、あんたが近宮玲子さんから奪ったものの証拠なら、まだ残っているぜ?」

 

「何!?」

 

「…トリックノートですよ」

 

左近時はそれを聞くと、目を大きく見開いた。

 

「明智さんは、生前近宮玲子から『生きたマリオネット』の種を聞いてるんだ。その証拠に自転車で乗り回るというのは、明智さんのアイデアなんだ」

 

はじめも後から知った話だ。

明智も近宮玲子の事故死に不信を抱き、毎年ここへ来てマジックショーを見ていたそうだ。そして、ある時のマジックショーで生きたマリオネットが公演された際、明智の疑念は確信へと変わったそうだ。だが証拠もなく、彼らがボロを出すのを待っていた。

 

「だ、だからなんですか?そのトリックノートを独り占めするために俺が3人を殺した?まあ筋は通ってるが、だったらそこのお嬢ちゃんを殺す動機はなんだ?全くの無関係だろうが‼︎」

 

左近時の物言いは鬼気迫るものだった。

はじめたちから見れば、罪から逃れようとする哀れな男にしか見えない。

 

「確かにあんたは犯人じゃない。その証拠は…山神夕海殺害が証明している」

 

「どういうことだ?」

 

「思い出して欲しい。俺たちは夕海の悲鳴を聞いてから部屋の中で誰かいると分かり…ドアをぶち破った。だが、中には誰もおらず、消えたと思った。だが、犯人は確かにその場にいたんだ」

 

「何故?」

 

「夕海の足には泥が付着してた。あれはつまり、1回夕海を地面まで降ろしたってことだ。そこから導き出される答えは…」

 

「シーソーですよ。あの由良間殺害と同じ手法ですよ」

 

「そうか!じゃあ、夕海よりも重ければ…」

 

「いや違う。犯人は山神夕海よりも()()奴だ」

 

「へ?だ、だがシーソーだって…」

 

「俺は夕海の部屋を見た時、違和感を感じた。あるはずのものがないと…。それは真下の部屋に行って気付いたよ」

 

「ある……もの?」

 

不意に綺世が喋るが、はじめは綺世の肩に触れて「喋るな、辛いだろ」と制止する。

 

「翡翠だよ」

 

「翡翠ぃ?」

 

「ああ、夕海の部屋にはなかったが、その真下には2個翡翠があったんだ!つまり、犯人は翡翠を担ぐことで体重を重くして部屋から脱出したんだ!」

 

「そうか!…じゃあ山神夕海よりも体重が軽いのは…」

 

「メモしただろ?しっかりとその名前を眼に刻め。地獄の傀儡師の…名前をな」

 

剣持が由良間殺害時に尋問したそれぞれの体重…。

手帳をめくり、全員の体重を見比べて…剣持はその犯人の方へとゆっくり視線を向けた。

綺世も剣持の視線と同じところへ向ける。

そして、全員ゆっくりと“彼”に目を向けていく。

 

 

 

「あんたのお芝居も終わりだ。地獄の傀儡師……いや、高遠遙一‼︎」

 

 

 

名前をしっかりと言われた高遠は一瞬動揺した表情を浮かべる。だが、すぐに惚けた表情に戻り、釈明を始める。

 

「待ってください!確かに私の体重は夕海さんよりも軽いです。でも、それだけで私が犯人とは言い過ぎじゃないでしょうか?だって…団長の死体消失も、その消失させた身体も…どうやってこのホテルに運んだって言うんですか!?」

 

はじめはそれを言うことを読んでいた。

今回の事件で、仮に由良間と夕海の殺害がバレても山神団長のトリックが解けなければシラを切り通せる。そう踏んでいたのだろうが、はじめはもうそういった余計なことを考える必要もなかった。

 

「そのトリックも全て解けてるぜ?」

 

「!」

 

「まず最初に…あのコンパートメントにあった死体…あれは死体じゃない。あったのは首だけだ」

 

その解答に高遠はピクリと眉を動かす。

他の者は驚きを隠せない。

 

「バカな!確かに俺たちは団長の遺体を…!」

 

「触ったか?」

 

「は?」

 

「あの死体に誰か触ったのか?冷たくなった死体だって、誰かでも確認取ったか?」

 

はじめの言う通り、彼らが見たのは死体だ。確認を取ったわけではなかった。

 

「じゃあ、あのコンパートメントにあった身体は何なんだ?」

 

「それは…“これ”さ!」

 

佐木から手渡されたもの、それは風船だった。

はじめは手早く風船を膨らませて、手袋を人に見立てて付けた。

 

「じゃ、じゃあ…あの爆発音も全て…」

 

「そう…ただ風船が破裂しただけ…。俺たちはまんまと騙されたわけだ。因みに山神団長の身体が風船であることは、映像で証明出来る。だが、このトリックには不安材料があった」

 

高遠は黙って聞いているだけだ。

風船だと言われた以外では、ほとんど表情を変えない。

 

「万が一、山神の身体に誰かが触ったらアウトだ。そのために中には大量の風船とバラを敷き詰めることで、その異常性で俺たちが部屋に入るまでに躊躇させる時間を作った。それとあの爆弾騒ぎ…あの時の煙も爆弾を連想させるために出した心理トリックだった!…どこか間違ってるか?」

 

ずっと黙っている高遠だったが、フッと嫌な笑みを浮かべた。

 

「全く…素晴らしい脳をお持ちのようですね!」

 

今までと明らかに異なる口調になった高遠に、さとみたちは一気に後退(あとずさ)る。外面では見えなかったはずの高遠の狂気に…圧倒されそうだった。

 

「確かに筋は通っています。だけど、それならどうやって団長の身体は部屋に運んだんですか?あれだけ身体検査や荷物チェックをされたのに…」

 

「あの時、既に山神団長の身体だけは列車の中には無かったんだよ。別の方法で運ばれていたからな」

 

それを聞いた高遠の表情が一気に曇る。

 

「不可能だ!この死骨ヶ原ホテルには、あの列車しか行ける手段はない!しかも周囲は沼地で車やバイクも運転できない。それでどうやったってんだ!?」

 

「列車があるじゃないか」

 

はじめの答えに高遠は少し反応する。

 

「ただし、こっちの列車だけどな」

 

はじめが携帯で見せた画像…そこには爆弾騒ぎで止まったはじめたちが乗ってきた列車が映っていた。だが、はじめが真に強調したいのはその奥にある列車である。

 

「そいつは…トレイン急便!」

 

「そう…あんたはこのトレイン急便で山神団長の死体を運んだんだ。爆弾騒ぎで止まっている間に、死体を入れたカバンと元々運ぶ予定だったカバンをそっくり入れ替えた!そうすれば…自分は何もせずとも死体はホテルに届けられるってわけさ」

 

「しかし、それを行うには荷物の送り先が必要です。私宛に送れば、流石に貴方たちも怪しむのではないですか?」

 

高遠の冷徹な視線にはじめは全く狼狽えない。

それが既に高遠にとっては、致命的であるかのように…綺世には思えた。

 

「いるじゃないか。とっておきの宛先が…。都津根毱夫が」

 

その答えに高遠は遂に息を吐く。

 

「まさか、そのためだけに都津根毱夫を!?」

 

「ついでに犯人に仕立てるつもりでもあったんじゃないかな。…どうだ?高遠さん、まだ言い逃れをするつもりか?幸いにも、都津根の部屋の前に置かれていた荷物とあんたの荷物が同じだってことは、佐木のビデオが証明してくれる」

 

高遠は少し黙った後に、はじめから視線を逸らしてメガネを外した。

 

「やれやれ…悪い予感が当たってしまいましたね」

 

そして、天井を見上げてまるで独り言のように呟いた。

 

「もう少しで…私の一世一代の大マジックが完成するところだったのに…。やっぱり、神津綺世だけでなく…君も殺すべきでしたね。金田一くん」

 

その薄笑いにはじめは少し生唾を飲んだ。

今まで出会ってきた犯罪者とはまるで一線を画す狂気と恐怖…。

それは綺世も感じており、あの沼に突き落とされた時のトラウマが蘇ってくる程であった。

 

「確かに…山神たちを殺したのはこの僕…地獄の傀儡師ですよ」

 

「随分あっさり認めたな」

 

「マジックの種を見破られたら、すぐに幕を下ろす…それが()から教わった唯一のものでね…」

 

そして、掛けていたメガネを外して、放り投げると…それは赤いバラの花びらとなって消えた。

 

「高遠さん、あんた…まともじゃないだろ?」

 

「と、言いますと?」

 

「これだけ頭が切れて簡単に殺人を進められるんだ。綺世に脅迫状を送りつけた時点で警察も来る可能性が高い。…何がしたかったんだ?」

 

「……つまらないじゃないですか…ただ、殺すだけでは」

 

「!」

 

はじめは更に高遠の瞳の奥に本当の狂気が見えたような感じがした。

 

「マジックのように観客にあっと言わせる芸術を殺人を犯す…。私にとってはこれが至高なんですよ、金田一くん」

 

「………」

 

「へっ!殺人とマジックを一緒にするな!高遠…お前俺たちに一体何の恨みがあって…!」

 

左近時が問い詰めると、高遠は冷徹な視線を向けた。

 

「私の母のマジックを独り占めしようと殺した貴方にだけは、言われたくないですね」

 

「なんだと!?貴様…まさか!」

 

「そうです!私は左近時たちに殺された…近宮玲子のたった1人の息子です!」

 

その発言に1番動揺したのは紛れもなく左近時だった。

 

「デタラメ言うな!近宮先生に子供がいたなんて…!」

 

「まあ、信じられないのも無理ありません。私も彼女に会ったのは2回しかなく…話した回数も1回しかありません。…海外で育てられた私は、不仲の父と過ごしていました。そんな中、父から突然マジックショーに連れて行かれたんです。そこで…彼女と出会いました。そして、母が披露するマジックに魅入られ、私もマジックを練習するようになったのです」

 

「血は争えない…というわけですね」

 

「明智警視、それは貴方たちもでしょう?私は人を欺き、騙し、操ることに快感を覚えましたが…金田一くん、君はどうやら逆のようですがね」

 

「………」

 

「そして…私が10歳の時に、初めての対話を果たしました。それも偶然でした。公園でマジックの練習をしている時に、母と出会って…色々話しました。貴方を尊敬している…貴方のマジックをもっと見たいと。今にして思えば…母が私に会いに来たのでしょう。そこで私は母と約束を果たしました。私が立派なマジシャンになった時、母は凄いマジックを見せてくれると…!しかし、そんな語り合った夢はすぐに潰えましたがね!」

 

その時に高遠は悔しそうな表情をした。

これが高遠の本当の気持ち…といったところなのだろう。

 

「母の死から2年後…私に1つの手帳が送られて来ました。それは近宮玲子直筆のトリックノートでした。何故こんなものが私宛に届けられたのか、気になって父の遺品をひっくり返しました。そして分かったんです。彼女が…僕の母親であるとね!」

 

高遠はそれを懐から取り出し、全員に見せた。

 

「トリックノートは2冊あったのか!」

 

「ええ、もう一つは母が使う時用にコピーした物でしょう。そして私は、母の弟子が築いた幻想魔術団のマジックを見に行きました。しかし…そこで見せられたものに、私は絶句しました。何せ、母のトリックノートを見様見真似した猿芝居が演じられていたのですから!そこから私は確信しました。母は…奴らに、殺されたと…‼︎」

 

ずっと静かに聞いていたはじめだったが、高遠の動機がひと段落したところでスタスタと高遠に足を進めた。

綺世はどうしたのかと見守っていたが、次に信じられないことが起きた。

なんと、はじめが拳を振り上げて高遠の左頬にぶつけたのだ。

これは綺世だけでなく、剣持と明智も驚いた。

はじめは倒れることなく、平然と立っている高遠に視線を向けた。

 

「それで…どうして…綺世を殺そうってことになるんだ!?」

 

高遠は懐からハンカチを取り出して、口元を拭った。

 

「確かに神津綺世に恨みはありません。ですが…神津恭介がきちんと調査していれば…強く警察に再調査を言えば…母の死は事故死とはならなかったかもしれません。もう左近時を裁く術は残っていません。それを招いた原因は、神津恭介です。彼が事故死と断定しなければ、こんなことは起きなかった。…意識せずにいられますか?貴方なら」

 

「このっ…‼︎」

 

はじめは再び拳を振り上げようとしたが、それを明智が止める。

 

「やめなさい、金田一くん」

 

「…離してくれ。俺は…こいつだけは…!」

 

「君が彼をここで殴っても、意味はありません!」

 

明智の強い言葉にはじめも歯を噛み締めて、ゆっくりと背を向けた。

すると、はじめの震える拳に綺世が手を差し伸ばした。

 

「綺世…」

 

ありがとう

 

小さな声ではあったが、はっきりと聞こえた。

はじめはその手を握り返すと、「言っただろ、俺が謎を解き明かしてみせるってな」と言い返した。

悔しい表情はそのままだが、はじめも事件を解決出来て安心した。

後ろで高遠は手錠をかけられ、連行される。

だが、左近時が突然高遠を呼び止めて何かを投げた。

それは高遠が取り出したトリックノートと全く形も大きさも同じノートだった。

 

「左近時さん、あなた!」

 

「おっと勘違いしないでくれよ?これは近宮先生から()()()だけで俺は殺しちゃいない。それに証拠はないんだ。ねえ、神津さん?」

 

その陽気で生意気な表情に今度は綺世の怒りが沸々と込み上げる。

その裏で高遠は左近時の投げたトリックノートを見る。

すると…悪魔みたいな笑みを浮かべて、こう言った。

 

「そうですね。彼を裁くことは出来ないので、私の復讐劇もここまでです」

 

「え?」

…」

 

はじめと綺世は呆然としてしまう。

去り行く高遠にはじめは追う。

 

「おい!一体…何を企んでる!?」

 

「左近時は、近宮玲子自身の手で死ぬのです」

 

「!?」

 

「燃え盛る…炎の鉄槌で…」

 

そして、高遠は北海道県警に連行されてしまった。

最後に高遠が言った【炎の鉄槌】…それだけが気になり、はじめはどんどん小さくなっていくパトカーをずっと眺めているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから2週間…はじめは毎日のように綺世の病室を訪れていた。

綺世は死の寸前と肋骨の多重骨折もあって、1ヶ月は病院過ごしを送らなくてはならないと診断を受けたのだ。

今は喋れるようになったが、未だに話すと少し胸が痛む綺世。

 

「大丈夫か?」

 

「大丈夫だって。何度も言ってるでしょ」

 

「…俺があんな分かりやすい手に乗らなきゃな」

 

「私だって…お爺ちゃんのことで動揺して、はじめちゃんが送ったわけじゃないのに偽の手紙だと気付けなかったし…」

 

お互いに謝り続けるが、どちらとも今回の件は自身が悪いと責任を感じているようだった。

しかし、不意に綺世はこんなことを言い出した。

 

「お爺ちゃんにも、失敗ってあったんだね」

 

その言葉は綺世にとって重く感じられた。

祖父の失態が、新たな事件を生んでしまった…とずっと思っていたのだ。

だが、そんな綺世の暗い考えをはじめはバカにするように言い放った。

 

「完璧な人間なんていねえよ。誰だってミスはするし、時折間違いだって犯す。俺や綺世みたいにな…」

 

「…はじめちゃん」

 

「だからそんな気にするな。お前が暗いと、俺も明るくなれねえんだ」

 

綺世は初めてはじめから、ここまで優しい言葉を貰ったのではないかと思い、ポロポロと泣き始めてしまう。はじめは面倒そうにティッシュを差し出す。

 

「泣くなよ…。お前、最近涙脆くねえか?」

 

「良いじゃん…嬉し涙くらい…」

 

「…そうだな」

 

そうやって、今回の(わだかま)りが無くなったところで、はじめの携帯が鳴り響いた。取り出して、通話相手を見るが非通知だった。

誰かと思いながらも、通話に出ると…意外な人物からの連絡だった。

 

「もしもし?」

 

『金田一くんですか?元気そうな声ですね』

 

「…お前、高遠か!?」

 

はじめの声に綺世も反応する。

 

「お前、牢獄の中じゃ…」

 

『いやいや、2週間網走の刑務所でしたが…住み心地は悪くなかったですね。まあ、今は暢気にスローライフを送っていますよ』

 

「スローライフ…?お前…まさか…」

 

『まあ、電話したのは伝えたいことがありましてね…。君たちとは深く長い付き合いになりそうですから』

 

「……」

 

『君たちとは光と闇の双子のような存在、だが…常に隣にあるだけで決して交わることはない。いわば平行線の関係だ。また…どこかでお会いしましょう…名探偵』

 

そこで通話は途切れる。

それと同時に剣持から電話が入る。高遠が何か良からぬことをしたことを伝えるためにすぐに出たが、はじめの声は剣持の声に遮られてしまう。

 

「オッサン!実は…」

『大変だ!金田一‼︎左近時が焼死して…高遠も脱獄した‼︎』

 

1つは想定した内容だったが、前者の左近時焼死は衝撃だった。

 

「な、何があったんだ!?」

 

『左近時が今日マジックショーをやっていて、燃え盛る岩の中から脱出するというマジックをやってたら…逃げ出す前に左近時諸共燃え出したんだ‼︎』

 

「…高遠がやったのか?」

 

『ああ、その可能性は高い』

 

はじめはそこで携帯の連絡を終える。

先程の電話内容がはじめの耳に残る。

 

【またどこかでお会いしましょう…名探偵】

 

「…上等だぜ。何度でもお前を捕まえてみせるぞ、高遠…!じっちゃんの、名にかけて…!」




これにて、【ねじれた傀儡の誘い】編、完結です。
補足としては、本作の高遠の設定として、自身に関することになると冷静さを失うことがあります。普段は冷静で冷酷で計画性の高い知能の高い犯罪者ですが、場合によってはそういったことが起きます。



次章予告『生と死を決めるカード』
いつものようにコタツに入り、ぬくぬくとしていたはじめに1つの手紙が届く。それは、2週間前から行方不明となっていた幼馴染:速水玲香からのお誘いのものだった。
綺世に内緒という名目で、彼女の父親が営業しているタロット山荘へと向かうはじめだったが、そこで凄惨な殺人事件が発生する。
その最中…速水玲香から、とんでもない問いをされる。


「ねえ…金田一くん、私のこと…どう思ってる?」

玲香の問いにはじめは……。
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