金田一少年と神津少女の事件簿   作:GZL

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あけましておめでとうございます(今更)。
今年もよろしくお願いいたします。


デスゲームへの招待
File1


遠くから悲鳴に近い絶叫が聞こえてくる。

綺世はその状況を見て、ブルブルと震える。右側には風のように翔けるジェットコースター、左側には某ネズミの楽園同様の落下するエレベーター、そして目の前には…3Dのゾンビアトラクション。綺世はどれに乗るのも嫌だが、はじめと友人たちはどれに乗ろうか話し合っている。

 

(どうしてみんなそんな簡単に…)

 

そして話し合いが終わったのか、はじめが振り向いて言った。

 

「面倒だから全部回ることにした。ほら行くぞ」

 

綺世は声にならない悲鳴を上げるのだった。

 

 

 

ー数日前ー

事件に事件が続き、綺世は精神的にも体力的にも辛くなっていた。

何もかも忘れて、どこかに遊びに行きたい。そんなことを考えていると、隣の同級生:秋峰あかねが声を掛けてきた。

 

「大丈夫?」

 

「大丈夫よ…。ちょっと疲れてるだけだから」

 

「だったらさ!綺世も来る?山奥遊園地ってところ!」

 

(何その全く行く気の起きない名前の遊園地…)

 

心の中でツッコミつつ、考えるが秋峰は続ける。

 

「明らかに疲れているっぽいし、少しは息抜きしたら?」

 

「まあ…あり、だけど」

 

「決まり!じゃあ、金田一くんも連れて来てね!」

 

「え!?なんではじめちゃんも…!?」

 

「決まってるじゃない?デートよ、デート!私、綺世、樹里、草加、岡野、それに金田一くんを連れてね」

 

「ま、待って!そんなの聞いてな…」

「じゃあ決まりだから‼︎今週の土曜日、ちゃんと来なよ〜。じゃないと…綺世が金田一くんのことどう想っているのか、バラしちゃうからねえ」

 

そんな脅しを言われては、綺世に拒否権などあるはずもなかった。

そして現在…まず綺世はジェットコースターの上で大いに奇声を上げていた。隣にいるはじめが楽しめないくらいの大音量で、逆に気持ち悪くなる程だった。

コースターから降りて、はじめは綺世にまず文句を言った。

 

「お前…どんだけ弱いんだよ」

 

はじめも長年彼女と一緒にいたからある程度、絶叫系に弱いことは知っていたが…ここまで弱いとは誰が想像出来ただろうか。

 

「仕方…ないじゃない…。苦手なものは、苦手なんだから…」

 

「そんなんじゃ、今日生きて帰れるのか?」

 

次にはじめが指差すのは落下するエレベーターだ。

綺世は顔色を更に青くさせて、「ははは…」と薄笑いを浮かべた。

それからも綺世の受難は続いた。

絶叫系アトラクションに何度も叫び、泣き、ボロボロになった。一旦綺世を休ませるためにベンチに座らせたはじめ。その姿を見た秋峰が草加に聞く。

 

「もしかして…あの2人付き合ってないの?」

 

「ああ、そうっぽいな」

 

「えー!意外!」

 

「まあ性格に難があるからな、2人とも」

 

「じゃあさ!」

 

秋峰が何かを耳打ちする。

草加だけは少し乗り気ではなかったが、それ以外は秋峰の案に賛成して、静かにベンチから距離を取った。そしてはじめたちが気付いた時には、4人は目の前から消えていた。

 

「あれ?アイツら…どこ行った?」

 

それを聞いた綺世は心の中でチャンスと思った。

誰も邪魔が入らない中で、この遊園地を堪能出来る…と。

 

(こんなところで倒れている場合じゃない!)

 

綺世は身体に鞭打って立ち上がると、はじめに「行こ」とわざと可愛らしく言う。はじめはその姿を見て「なんだ、全然大丈夫そうじゃねえか」と言いつつ、綺世の我が儘に付き合うことにした。はじめも本来は、こんなところに来るつもりは毛頭なかった。だが、秋峰や草加から『事件ばかりの2人に安らぎを与えたい』と言われてしまっては、断るに断れなかった。だが、実際はじめも綺世と久しぶりの遊園地に心を躍らせていた。

そのまま2人は閉園ギリギリまで遊び尽くし、最初に草加たちがいたことも忘れていた。そして帰ろうと思った時、悲劇が起きる。

 

「………」

 

綺世がどこかで財布を落とし、はじめも綺世のバス運賃を賄える程の金額を持っていなかったのだ。どうしようか悩む綺世だが、はじめは500円玉を綺世に渡す。

 

「え?でもはじめちゃんは…」

 

「歩くって言っても1時間半だ。帰れない距離じゃない」

 

「でも…」

 

「お前は帰ってゆっくりしろ。前の事件の疲労も抜けていないだろ?」

 

それを言われては綺世も断りにくい。

だが、歩いて帰ろうとするはじめの腕に綺世はしがみ付いた。

 

「お、おい…!」

 

「私も…歩いて帰る…。1人は嫌だ」

 

意識せずに言った言葉だったが、はじめには効果覿面(てきめん)で顔を赤くさせて「お、おう…無理するなよ」と言った。2人は黙々と車がほとんど通らない道路に沿って歩いていく。お互いにさっきの言葉が効いたのか、恥ずかしくて口を開けない。

 

(何でこんなに緊張しているんだ…俺…)

 

そう思っていると、不意に綺世がこんなことを聞いてきた。

 

「ねえ、はじめちゃんは…玲香ちゃんのこと、どう思って…いるの?」

 

突然の話題に流石に足を止めるはじめ。

 

「どう…って、玲香は俺の大事な友達で…」

 

「じゃあ、どうして名前呼びなの?私以外で…名前呼び、玲香ちゃんだけでしょ?」

 

「それは…別に意識したことないよ」

 

それは嘘だった。

あのタロット山荘で彼女から言われたことを、今も脳裏に焼き付いている。逆に意識しないようにするので必死だった。

綺世の上目遣いにはじめは困惑するばかり。更に綺世は詰め寄ってくる。

 

「じゃあ、私は…どうなの?」

 

「お、お前は……」

 

ここで答えないという選択肢は与えてくれそうもない綺世。

はじめはどうしようかと思ったが、ここで…天からの助けが降ってきた。

1粒の雨がはじめの鼻に当たる。最初は一滴だったが、徐々に雨足が強くなり、とうとう大雨と雷を合わせた豪雨となる。

 

「やべっ!このままじゃ風邪引くぞ!」

 

「でも!急いでもまだ駅まで1時間くらいあるでしょ?」

 

「…やっぱり俺だけ乗って帰るべきだった」

 

はじめの言葉に綺世は聞き捨てならなかったが、今は怒っている場合でもなかった。2人は上着を傘代わりにして、急ぎながらひたすら道路を歩いた。徐々に寒くて震え出す身体にどうにかならないかと思ったその時だった。後方からバスがやって来たのだ。

お金がない2人だったが、この寒さから逃れたくて流石に手を上げた。

 

「すいません!」

 

はじめは危ないと思いながらもバスの前に出て、両手を振った。

バスはすぐに止まり、雷も同時になる。その光で一瞬バス内が見えたが、運転手に反応はないように思えた。

 

「入れてくれるの?」

 

「信じるしかないだろ…」

 

そう呟くが、すぐに扉が開いた。

 

「すいません!ありがとうございます!」

 

「あの…私たち持ち合わせがないので、あとで交番にでも…」

 

そう言う綺世だが、バスの運転手は何も言わずに左手を振った。

つまり料金は要らないということだ。

幸運だと思った2人はハンカチで濡れた箇所を拭きながらも席に座った。それから暫く走行していたバスだったが、はじめたちは不意に眠気に襲われる。綺世はすぐに眠ってしまったが、はじめは違和感を感じていた。

 

(この眠気…どこかで…)

 

一度睡眠薬を盛られたことのあるはじめは、これが薬なのではないかと感じたが…抵抗する間もなく、彼女と同じく昏睡してしまった。

バスははじめたちを帰すはずの駅とはまるで逆の方向へと進み、錆びれた巨大な廃病院で止めた。そしてバスの運転手は、昏睡したはじめたちを車椅子で1人1人…その病院の中へと運んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジリリリリリリリリリリリリリリッ‼︎‼︎

 

唐突に響いた目覚まし時計の音にはじめたちは目を覚ました。

頭がガンガンと痛むはじめは身体を起こすが違和感しかなかった。頭は何故か重く感じられる。なので、頭に手を置こうとしたが、触れる前に何かが障壁となっており、触れることは一切出来ない。だが、部屋も真っ暗でどうなっているのか分からない。

そして、自分たちの状況が分かったのは…やっと電気が付いてからだった。部屋の中にいたはじめと綺世、そして男性3人と女性3人…全員が頭に謎のマスクを被せられていたのだ。

 

「な、何だこれ!?」

 

「その声…はじめちゃん!?」

 

目の前にいる女性は声から綺世だと分かった。

マスクは例の遊園地にあったアトラクションの1つ、『海賊危機一髪』と同じもので左目が塞がれている。そのせいで視界もいつもより悪い。

 

「これって何?何かのイベント?」

 

「いや…俺たちはバスで眠ってしまって…それから…」

 

そこから先の記憶ははじめたちには無かった。

とにかく邪魔なマスクをすぐにはじめは外そうとしたが…。

 

ガリッ

「いっ…!?」

 

首に何か刃物か棘が突き刺さり、苦痛に襲われたはじめはすぐにマスクを外すことを諦めた。どうやら自力で外すことは出来ないようだ。

その時、目の前のテレビが付いて黒塗りの男が登場した。

 

『ようこそ、我がゲームの館へ。私はゲームマスター。君たちには楽しい楽しいゲームに参加してもらうよ?』

 

「なんだ?編集で声を加工してるのか?」

 

「ふざけるなクソ野郎!ここから出せ‼︎」

 

1人の男性がテレビに向かって声を荒げた。

 

『おっと、ここからはお喋り禁止です。もし誰かと話した場合…』

 

その時、テレビの上に乗っていた海賊危機一髪と同じマスクを付けた人形が小さく爆発して…人形の頭が吹き飛んだ。

 

「!?」

 

『こうなっちゃいますよ?』

 

(こいつ…脅しじゃない!本当に俺たちを…!)

 

『さて…楽しいゲームを始めましょう』

 

閉じ込められた参加者たちは声を上げることも出来ず、パニック状態になってしまう。綺世もゆっくりとはじめの腕にしがみ付き、「はじめちゃん…」と小さく呟いた。

これからはじめたちは【ゲームマスター】によって、恐ろしいデスゲームに参加されてしまったのだった。

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