金田一少年と神津少女の事件簿   作:GZL

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久しぶりです。



File5

はじめは綺世を連れずに1人…茉莉香が殺された現場である白狐神社の中に入っていた。既に規制線は外されており、はじめでも容易に入れる場所だった。

中には大量の狐の面と狐の嫁入りを描いた古い絵が置かれていた。

しかし中に埃はほとんどなく、かなり綺麗…と思ったが、隅には埃が溜まっていた。掃除が雑に感じる。

更に凛の父によると、ゴムボートはここに置いてあったと言っており、電報で使ったであろう黒電話も置いてある。

 

「間違いない、ここから全てが始まったんだ」

 

はじめは白狐神社を出ると、また同じ田んぼの畦道を歩く。

この前は綺世がやって来たが、今回は彼女がいる気配はない。

考えが頭の中を巡ってしまい、はじめはほぼ無意識で畦道を歩いて行く。すると、その畦道の横の水路にサッカーボールが引っ掛かっていた。それを無意識のうちに拾い、はじめは過去の思い出に浸る。同じようにこんな水路ではじめがボロボロのサッカーボールを拾って、みんなとサッカーした思い出を…。

 

「…待てよ?」

 

はじめは田んぼを振り返り、水を貯めるための水門に目が行く。

 

「…なるほど、そういうことか…」

 

あまりに感情の篭ってない言葉に、はじめ自身も分かっていた。

ここまで使命感に駆られないことはなかったからだ。だが、はじめにはこの真実を見逃すことなど、絶対に出来ない。

はじめはサッカーボールを水路に戻した。そのまま凛の家に戻ると、朝日が昇り始めていた。虚な目で扉を開けると、凛の父親が出勤するところだった。

 

「金田一くん、こんな夜にどこに?」

 

「いえ…別に…。それよりも凛のお父さん、お願いがあるんですが…」

 

はじめの提案を聞いた彼は驚いたが、それを何故かは聞かなかった。

それははじめの表情が…とにかく暗かったからだった。

 

 

 

 

 

 

その日の夕刻を過ぎた頃、神小路陸と鐘本あかりは川の(ほと)りに立っていた。何故2人だけなのか分からず、しどろもどろしていると後方から「待たせたな」とはじめの声が聞こえた。

 

「金田一!」

 

「どうしたの?私たちを突然呼び出して…」

 

「呼んだ理由はこれだよ」

 

はじめは両手の籠に灯籠を入れて持って来ていた。数は4つだ。

 

「これを流すんだよ、俺たちで…死んでしまったあいつらを弔うんだ」

 

「ならみんなでやろうよ!私、呼んでき」「悪いが…それは無理だ」

 

「はじめはあかりの言葉を遮る。

 

「あいつらには…言えない」

 

「なんでだよ金田一…俺たち親友だろ?それに茉莉香たちを弔うのに、何で4つなんだ?数が1つ多いんじゃ…」

 

「その理由は…お前がよく分かっているんじゃないか?陸」

 

陸ははじめの言いたいことが分からずに怪訝な表情を作る。

その()()に、はじめは少し笑みを浮かべた。

 

「さて…始めようか。この事件の真相を明らかに…。どうやって()()が彼らを殺したのかを…」

 

それを聞いた陸の表情は流石に動揺する。額から汗が流れ落ちる。

横で聞いているあかりは何のことか、まるで分からずに交互に2人の顔を見る。

 

「な、何を言ってるの?金田一くん?」

 

「…茉莉香、光太郎、凛を殺した犯人に言ってるんだよ。そうなんだろ?…陸」

 

驚きの事実にあかりは目を大きく見開いた。

陸は冷や汗をかいたまま、一言も発することはない。

 

「まず茉莉香殺害に関してだが、あれは突発的な犯行で、アクシデントがあったせいで彼女を狐の嫁入りの姿にしたんだ」

 

「どういう理由で…」

 

「血痕だよ。茉莉香の血じゃない、お前自身の血だ!…あの時、口論かトラブルになったお前は、何らかの拍子にどこかを怪我した。その傷付いたことが引き金かは分からないが、茉莉香を殺害してしまった」

 

陸は黙ったまま、一言も発することはない。

 

「だが冷静さを取り戻したお前は、事の状況のまずさに気付いた。茉莉香の服を持ち出したりすれば、その理由を勘繰られる可能性があった。そこで思い付いたのが、【狐の嫁入り】だ。大量にあったお面と白いシーツを着せれば、その不自然を誤魔化せる。おまけに小さな村だ。忽ち、呪いなどといった世迷言に踊らされると考えたんだ」

 

ここまでの推理に陸は視線をはじめに向けれなかった。

少し後ろで聞くあかりは驚きと困惑の表情を浮かべていた。

 

「だが…お前は一線を超えてしまったことで、更なる計画を考えた。お前を3人も殺害に至らしめた()()の復讐のために俺たちをこの村へと呼び出し、実行した。最初の光太郎…あいつはお前が殺人をしたなど知る由もない。だから油断して殺されてしまった。その光太郎を例のゴムボートに乗せて、()()()()()()()に放置した」

 

「用水路?え…光太郎は川の上流から流されたんじゃ…」

 

「いいや違う。陸はゴムボートを用水路に浮かせた。事前に水門を開けて水を溜め、一気に門を開けることで、ゴムボートを流したんだ。あの屋台から水門まで歩いて5分…往復10分もあれば十分犯行は可能だ。陸、何か反論はあるか?」

 

「…ああ、あるぜ?」

 

陸は汗を拭い取ると、こう言った。

 

「あくまで今の推理は…俺じゃなくても、カブスカウト仲間なら誰でも出来るってことだよな?何で俺なんだ?それに凛の殺害はどう説明する?俺はあの時、お前と一緒に狐火流しの会場に歩いて、手を振ってくれた凛を見てるんだぞ!?」

 

「…()()()()()()()()()()()?」

 

はじめの問い返しに思わず陸は目を見開く。

 

「あれは巧妙な心理トリックだ。お前は俺たちの後ろにいると、()()()()()()。お前は元々口数も少なく、影が薄い。俺たちの後ろにいると、俺たちが勝手にいると思い込んでいたんだ。ある程度距離が出来た後にお前は横道に入り、俺たちよりも早く社に着いた」

 

「まさかそれで先に凛を殺したっていうのか?それは無理だ!仮に殺せたとしても、あの花嫁姿の衣装をまた綺麗に戻すのには時間がかかる。つまり…あの時凛は「誰もあの時凛を殺したとは言ってないぞ」

 

はじめは陸の言葉を遮る。

 

「凛は俺たちが来るよりも前に殺害されていたんだ。それであの時振っていた真っ白な手…あれは、お前の右手だったんだよ」

 

「‼︎」

 

陸の表情に動揺が走った。

 

「白粉を付けた手を振れば、少し距離の離れた俺たちでも騙せると踏んだ。その企みは成功した。俺たちが消えるのを待ち、その後穴を開けた障子を戻した。…違うか?」

 

陸は唇を噛み、顔を下へ向ける。

だがここで、あかりが横から口を挟んだ。

 

「ちょっと待って!金田一くん!言わなかった?私あの時、みんなより少し遅れて行って、私が声をかけたら凛が手を振っていたのを見たって!」

 

「……」

 

「もし金田一くんの推理通りなら、あの時凛は…し、死んじゃっていたんでしょ?だから…」

 

はじめは無言のまま項垂れる陸の前に立ち、ポケットに入れたままの陸の右手を掴んで、自分たちの前に曝け出した。その手には白い粉が付いており、ポケットからもサラサラと零れ落ちた。

 

「!」

「あ…」

 

「これでも…そんな詰まらない言い訳をするのか?あかり」

 

「……」

 

「今までの話は全て状況証拠だった。あの蔵から陸の血痕が見つかればそれで問題なかったが、半年も経っている。見つからない場合もある。だけど、この白粉を付けた手だけはどうしようもない。公衆の面前で出すわけにもいかず、お前はポケットに突っ込んでいた。それがポケットに付着したんだ。これでお前が犯人だという十分な証拠になる」

 

「でも…でも…‼︎」

 

あかりははじめの胸板に顔を押し付けて叫んだ。

 

「これでいいの?ここで…みんなの友情を金田一くんは壊すの?せめて…せめて外部の人が犯人なら私たちの友情は壊れない‼︎だから…」

 

はじめはあかりの方を見ていない。

その真っ直ぐな眼差しは陸にだけ向いている。

 

「確かに…そうなれば、どんなに楽だったかな。だけど、その友情を利用して殺したこいつを野放しにする方が…俺には許せない。それにあかり、お前が庇った理由は、そんな詰まらない綺麗事じゃないだろ?」

 

「っ!」

 

ビクッと肩が動くあかり。

 

「あかり、何故陸が3人を殺したのか知ってるんじゃないか?そして、その動機にあかりも一枚噛んでいる」

 

それを聞いた陸が反応する。

 

「どういうことだ?金田一」

 

「それよりも認めるのか?陸。出来れば…どうしてこんなことになったのか、聞かせてくれよ。俺もお前らを追い詰めるのは辛いんだ」

 

「…分かったよ。確かに俺があの3人を殺した。とは言っても、金田一のことだ、動機は粗方掴んではいるんだろ?」

 

「ああ、カブスカウトの後、お前の母親が急死、くらいしか分かってないが…母親の死と3人に何か関係があるのか?」

 

陸は少し黙り込み、はじめが持って来た灯籠4つ全てに火を付けると、ゆっくりと川に流した。そして最後の灯籠を流した後に、ポツリと呟いた。

 

「金田一…これは償いだよ」

 

「償い?」

 

「……っ」

 

「ああ、あの3人の悪ふざけが…俺の母さんを、殺した」




また頑張って書いていくので、今後ともよろしくお願いします。
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