金田一少年と神津少女の事件簿   作:GZL

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超久しぶりの投稿です。
今年の4月から社会人なので、投稿頻度は相変わらずだと思いますがご了承ください。


File6

次の日、綺世ははじめから呼び出された。

場所は四ノ倉学園の空き教室。

どういう要件かと思いつつ、教室のドアを開けるとそこには既にはじめの他に剣持、浅野、久米、梶間、おまけに佐木と関係者が揃っていた。

どうやら綺世が最後に到着したらしい。

 

「どうしてみんながここに…」

「俺が呼んだんだよ。さあ、綺世も空いている机に座ってくれ」

 

はじめが何をさせたいのか分からないまま、言われた通りに机に座る綺世。それを皮切りに久米が口を開いた。

 

「いい加減理由を聞かせてくれないか?私たちをこんな場所に呼んだ理由を!」

「……」

 

はじめは一瞬綺世を見る。その表情は、少し悲しげだ。

 

「もちろん、事件を解くためですよ。古谷、室井、そして仁藤を殺害した犯人を明らかにするためにね!」

 

その発言は綺世も驚いた。彼女はすかさず反論を言ってしまう。

 

「待って!あれは古谷たちの自殺で…」

「綺世、お前は真犯人に騙されていたんだよ。そして…その犯人はこの試験で分かる」

 

はじめは試験用紙を1人1人机に置いていく。

その問題は明らかに異常だった。

まるで今回の事件の全てを当てろと言ったようなものだったからだ。

 

「全員にこの試験を受けてもらう。綺世、佐木、オッサンもだ」

「へっ?俺もやるのか!?」

「4択の問題だから誰でも出来る。試験時間は25分、始め!」

 

はじめの合図と共に試験は始まる。

彼以外の全員は黙々と鉛筆を忙しなく動かしていく。

 

(こんなもので何が分かると言うのよ…)

 

綺世は心の中で文句を言いつつ、着々と解答用紙に答えを書いていく。

そしてあっという間に25分経ち、はじめは終了の声を上げることなく、1人1人から試験用紙と解答用紙を回収していく。そのまま教室の外へ出てしまう。

 

「金田一は何やっとるんだ?」

「多分、試験の答え合わせをしてるんじゃないですか?」

「こんな試験が何だっていうのよ…」

 

綺世ははじめのいないところで、大っぴらに愚痴を溢した。

5分とせず、はじめは教室に戻ってきた。

 

「みんな、この試験がどういう意図でやってもらったか…そろそろ説明しようと思う。この試験にはちょっとした細工があってな、()()()()()で犯人が分かるんだ」

「とある点数?」

 

はじめは紙束の中から、1枚の解答用紙を見せる。

そこには神津綺世の名前の他に、点数は15点だった。

 

「綺世のように、犯人でなければ平均より少し高いか低い点を取る。しかし、犯人はこの問題の答えを全て正しく書くだろうか?俺はそう思わない。つまり逆算的に言えば、犯人は意図的に全ての問題を間違えるはずだ」

「で、でも偶然全て間違える可能性だってあるんじゃ…」

 

佐木の意見に綺世はすぐ反論した。

 

「それはないわ。3/4を30問当たる確率はおよそ1/4300。普通に考えてあり得ない数値よ」

「そう…適当にやっても0点は取れない。だが、この中で“1人だけ”…0点を取った者がいる!」

 

はじめは再び紙束に手を突っ込み、1枚の解答用紙を取る。

そのままゆっくりと教壇を降りて、1人の机の前に立つ。

その人物に…綺世ははじめが名前を告げる前に叫んだ。

 

「嘘よッ‼︎そんなのッ‼︎」

「黙ってろ!綺世‼︎」

 

はじめは身体を震わす()の眼前に0と書かれた解答用紙を置き、静かに犯人の名前を告げた。

 

「これはあんたのものだ、浅野先生…」

「っ!」

 

自身の名前が告げられた浅野の顔から血の気が引く。

 

「これを見たアンタは愕然としただろうな。アンタ以外知るはずのない情報が全てここに書かれていたんだから。そして俺の仕掛けた心理トリックにまんまとハマった。まあこんなところだろう」

「…ちょっと待ってくれ」

 

ここで今まで黙っていた浅野が遂に口を開いた。

 

「たまたまこんな試験の点数が0点だっただけで犯人だなんて…言い過ぎじゃないか?それに僕は…室井さんが死んだ時は警察署に居たんだぞ?その状況でどうやって…」

「そもそもアンタが何故古谷と一緒の部屋にいたのか、それが理由だ。浅野サン、アンタは()()()警察に連行されることで、鉄壁のアリバイを手に入れたんだ。だが、そのトリックも既に分かっている。オッサン、結局室井の死亡推定時刻は分かったのか?」

「いいや、腐敗が進みすぎて分からんかった」

「そのせいで…俺たちはこの文字のせいで勝手に室井が2番目に殺されたと思い込んだ」

 

はじめは机上に今まで書かれた【コモリウタ】の血文字を写真で並べた。

そして、古谷のところに置いてあった【リ】と室井のところで置かれていた【ウ】の写真を入れ替えたのだ。

 

「こういうことだ。先に殺されたのは室井の方だったんだ!」

「え!?」

「ッ‼︎」

 

浅野は更に表情を硬くさせる。

 

「つまり室井の死体をあそこまで腐敗させたのは、このためだったんだ。こうすることで、アンタは室井殺害の時に鉄壁のアリバイを手に入れた」

「待ってはじめちゃん!」

 

ここで今度は綺世が浅野とはじめの間に割って入った。

 

「じゃあ私が見つけた試験はどうなるの?あれは室井が古谷死亡までに生きていた確かな証拠よ!」

「そ、そうですよ!その時間…つまり3時限目まで生きていた室井さんを僕がどうやって殺すんです?」

「…そこまで言わせるか。良いだろう、そのトリックの種明かしもしてやる」

 

はじめは綺世が見つけ出した解答用紙を浅野に見せつけつつ、核心的な発言をした。

 

「第一にだが、室井は本当にこの試験を3時限目に受けたのか?」

「ど、どういうこと?」

「これは3時限目に受けた試験じゃないってことだ。つまり室井は、試験の1つずつズラして受けさせられていたんだ!」

「!」

「そう考えれば、何故最初にニワトリ自殺を行ったのか理由もつく」

「な、なんだ?それは!?」

「室井の解答用紙を処分するためさ。久米学長の指示で、ニワトリ騒動で利用された解答用紙は全て燃やされてしまう。そうすれば…邪魔なNo.14の試験を確実に排除できる。そうすれば…誰がいつ試験を受けたかなんて分からなくなる。そうして、犯行当日…アンタは1時限目にNo.16、2時限目に17と本来その日に3時限全て使って受けるはずの試験を先に受けさせたんだ」

 

綺世は唖然としていた。

あの見つけた試験が浅野を無実へ導くものばかりと思っていたが、逆に浅野の罪を覆い隠すためのものだったから。

 

「綺世、お前は浅野サンが犯人でないと先入観を持ちすぎた故に、正確な推理が出来なくなっていたんだ。そしてアンタは、綺世の心理を巧みに操作することで最初の偽装自殺を見事にでっち上げた。だが、俺にはそんなものは通用しない!」

「……証拠があるのか?」

「……」

「そのNo.17の試験が…2時限目に受けられたという証拠が!」

 

(そうか!室井が受けたのは既に3日前…。マークシートで名前だけが筆跡…そんなものを立証することなんて…)

 

だが、綺世の期待と裏腹にはじめはフッと笑みを浮かべた。

 

「確かに…普通ならばそんな証拠は出るはずがない。普通ならばな」

 

はじめは懐からまた別の解答用紙を取り出した。

それはなんと綺世のものであり、番号はNo.16。

 

「それ私の…」

「綺世、お前の試験と室井の試験…見比べて何か気付かないか?」

「何かって……え?う、嘘…。どうして!?」

 

動揺する綺世の後ろから佐木もやって来る。

その佐木も少なからず動揺した。

 

「ど、どうしてですか!?先輩は確かに…!」

 

あの時、綺世はわざと間違えた答えを室井に見せて嵌めたつもりだったがこれ何と彼女はどういう方法かは不明だが、綺世の答えを全て完璧に丸写し…つまり、カンニングを行っていたのだ。

 

「どうやら…室井はお前らが想像するほどアホではなかったようだな。浅野サン、室井はな、綺世の答えを盗み見していたんだよ!」

「なっ!?」

 

全く同じ答えになった試験を見た浅野の顔はみるみる内に青ざめていく。

 

「マークシートで全く同じ答えになることはあり得ない!つまりこれは、室井が2時限目に綺世たちとは別の番号の試験を受けていた物的証拠なんだよ‼︎」

「っ、くっ、ぷっ、ははははははッ‼︎」

 

不意に笑う浅野に綺世は思わず引く。

何故笑っているのか分からずに怯える綺世に気付いていないのか、浅野は更なる反抗を見せる。

 

「もう一つ忘れてないか!?仁藤さんが残した遺書を!あれも僕が書かせたと言うのか?」

「当然だ。1番気の弱い仁藤を脅すことで、あんたは色んな策を講じた。その1つがニワトリ自殺の首謀者が自身だと言いふらさせたことだ。他には室井の答案の回収だ。あれは古谷たちの偽装殺人を見破られないために、あんたが命令させたんだろ?」

「知らない!僕は何も…‼︎」

「そしてアンタは遺書を書かせた。ただし、()()()()()の遺書としてな」

「‼︎」

「な、何ですって!?」

 

はじめの指摘に更に浅野は青ざめ、綺世は動揺の声を上げた。

 

「あの遺書には【僕たち】としか書いてなかった。そして、アンタは指定した文章を仁藤に書かせた後、アンタの自宅へと送るように指示した。まさかそれが自身の足元に置かれるとも知らずにな。オッサン!あれを」

 

剣持は仁藤の遺書を渡した。

それをはじめは元の封筒に入るように折り、裏返しにする。

そこに鉛筆で線を書くと…見事に浮かび上がってきた。

 

 

 

【浅野慎二】の名前が…。

 

 

 

「なっ…!」

「これでも言い逃れをするのか?浅野サン‼︎」

 

はじめの強い言葉と言い逃れの出来ない証拠を提示された浅野は、観念したのかゆっくりと椅子に座った。更にはじめは浅野の前に立ち、問い詰めた。

 

「認めるな?浅野サン」

「……ああ。僕が…あの3人を殺した」

 

浅野の自供に綺世は…信じられないと言った表情を浮かべたまま、思わず叫んでしまった。

 

「どうしてよっ‼︎」

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