今回の章ですが、個人的に原作ストーリーがかなり納得行かないところが多々あるので、今までのストーリーの中で最も改変点があります。それをご承知で購読してください。
原作好きの方は、この話だけは即座にブラウザバックしてください。
File1
3年前、1つの事件が世間を震撼させた。
犬と散歩中だった老人が少し盛り上がった土を見たと同時に、その犬は激しく吠えながら土を掘った。するとそこには、ボロボロになった女性の遺体があったのだ。これが、これから起きる事件の始まりだったのだ。
剣持は机の上で1つの資料を睨み、深く大きな溜息を吐いた。
その様子をたまたま近くを通った明智は訝しげな表情を浮かべつつ、剣持が見ている資料に目を通す。それは3年前の女子高生殺害と死体遺棄を犯した3人の少年たちの写真だった。
「どうしたんですか?そんなものを見て」
「明智警視…。いや…こいつらの罪が見合ってるのかと思いますとね…。この共犯の多間木と魚崎はすぐに出所、主犯の毒島はたったの3年で世に放たれた。あんな凄惨な事件を起こしたのにですよ…!…クソ!」
「…確かに、日本の少年法ほど甘いものはありません。ですが我々に出来ることは、彼らが更生しているか祈ることだけですよ」
明智の指摘を剣持は否定しなかった。
しかし、立ち上がりつつ剣持はうわ言のように呟いた。
「祈るだけしか出来ない我々が…1番無力かもしれませんね」
そのまま外出した剣持に、明智は静かな眼差しを向けるだけだった。
剣持はその足ではじめたちが通う高校へと足を運んでいた。
剣持がここに来たのは理由があった。丁度昼食時間で、はじめは屋上で適当な弁当を口に運んでいたが「態度悪いな、相変わらず」という声に反応して上体を起こした。
「オッサンかよ、何の用だよ。事件の協力ならしねえぞ」
「相変わらず口の減らないガキだ。用ってのは…お前の学校に転入生来ただろ。車に乗った高校生もどきが」
「んあ?ああ来たよ、海外から戻って来たチャラチャラした奴」
今日、はじめの通う高校に1人の転入生が来たのだ。しかし、ただの転入生ではない。なんと車に乗って来ていたのだ。高校生は自動車免許を取れないはずだが、その彼は既に20歳を超えており、21歳から高校生だという異色の男だった。
「名前は…多間木、とかだっけか?俺も綺世も興味ねえけどな。…アイツがどうかしたのか?」
はじめは剣持が一点を見たまま固まっていることに気付いた。
その視線の先はただ地面で…側から見れば呆然としてるだけにも見えた。だがはじめは、その瞳の奥で激しく揺れ動くものを見逃さなかった。
「何かあったのか?」
「…いいや、別に。お願いがあるんだが…」
「なんだよ、らしくないな」
「俺が多間木のことを探っていたこと、
【奴】という言い方に少しばかり違和感を覚えたが、はじめがこの約束を破るメリットがない以上すぐに了承した。剣持は学校をあとにして、そのまま姿を消した。
その後ろ姿を見ていたはじめを他所に、屋上に綺世もやって来た。
「今の…剣持警部よね?」
「ああ」
「何の用で来たの?」
「…別に。俺にも分からん」
このように答えるはじめだったが、綺世には嘘であることがすぐに察しがついた。
はじめの何とも言えないなんとも言えない…不安に満ちた表情に、綺世も嫌な予感がした。
そして、その予感は的中する。
翌日、はじめと綺世はそれぞれいつもの朝の支度をしていると、テレビにまだ日が昇ってない早朝に起きた事件に関して報道が出ていた。その内容は、深夜3時過ぎに男性が銃で肩と耳を撃ち抜かれたというものだった。
「物騒ねえ、はじめ」
「拳銃…か。この付近でヤクザでもいたのか?」
「はじめも気を付けなさい」
「分かってるよ」
そうして学校へ行こうとした時、ポケットに入れていた携帯が鳴り響いた。画面には【非通知】とあった。普段のはじめなら無視していただろう。だが、彼の中で何かを感じて咄嗟に出てしまった。
「もしもし…」
『私だ。明智だ』
「なんだ?こんな朝っぱらから。しかもアンタからの電話とはな。まさか俺の手を借りたいほどの事件だったりするのか?」
『…生憎、全くその通りだ。金田一くんに聞きたいことがある。君が最後の情報源だからね』
「情報源?何のことだ?」
『実は…』
明智からの話を聞いた瞬間、はじめは驚きのあまりに目を大きく見開いて無意識のうちに激しく立ち上がった。その勢いのまま、カバンを片手に自宅を飛び出す。
同時に綺世と鉢合わせてしまう。
「どうしたの?」
「…別に」
一瞬でバレる嘘をつくはじめに、綺世は益々気になってしまう。
そしてすぐに白い高級車が2人の前に止まる。
運転していたのは明智だった。
「金田一くん、早く」
「ああ」
「私も行く。何があったのかは車の中で話して」
ついてくるなと言おうと思ったが、はじめだったが…綺世の性格上言っても無駄だと悟り「さっさと乗れ」と冷たく言い放った。
2人を乗せた車はどこかへと運んでいく。
「で?何があったの?」
「……」
はじめは黙ったままで、あまり内容を話したがろうとしない。
それを察した明智が話し始めた。
「本日、早朝…まだ日が昇る前に拳銃の発砲事件がありました」
「ニュースで見ました」
「本来なら私が出るまでもない事件なのですが…使われていた拳銃が問題でね…」
「どういうことですか?」
「…ある警官の拳銃だったんだよ」
ここではじめがやっと口を開いた。
「ある警官?…!それってまさか!」
「剣持のオッサンの…らしい」
「正確には剣持警部が所持している拳銃が使われた、とだけ判明しています」
「でもそれだけじゃ…!」
「ああ。それだけじゃ、オッサンを疑う理由にはならない。他にも何かあるんだろ?」
明智はちらりと後部座席を見る。
「撃たれた被害者が、その要因です」
「何かそいつとオッサンに因縁でもあるのか?」
「会えば分かりますよ」
そんな話をしていると、車は病院の前で止まった。
そして通されたのは複数の警官が護衛をする病室の前だった。明智に続いて中に入ると、肩と耳に包帯を付けて、スマホで暢気にゲームをしている男が座っていた。左眉毛に傷が残っており、顔つきも如何にも半グレさを醸し出していた。
「よお、刑事さん。何しに来たんだ?」
態度は悪いとしか言いようがない。後方で聞いているはじめと綺世は不愉快に感じる。
「君が撃たれた時の状況を改めて聞きたいんですよ、毒島くん」
「夜勤のバイトが終わって、帰る途中に突然撃たれたんだよ!何度も言わせんな!」
「…では、狙われた理由については?」
「さあな。シャバに出てからは、1名を除いて誰とも会ってねえからな」
(1名…?もしかして)
「その1名って、剣持警部?」
「あ?ああ、そんな名前だったな。あの無精髭ヅラのおっさん」
明らかに口の利き方がなってない毒島に綺世のイラつきが時間が追うごとに増していく。
「あいつとは1回会ったよ。取調室で散々にしごかれたからな」
「…で、あんたはその剣持のオッサンと何を話したんだ?」
はじめの質問に対する返答に綺世の怒りが極限値に達する。
「ああ?そんなもん決まってるだろ?4年もムショにぶち込まれて、反省なんざしてるかって言ってやったんだよ。あのゴミカス刑事になあ」
「あんたねえ…!」
綺世が飛び出そうとなるところをはじめが止める。
「どうせアイツが犯人だよ。俺に恨みを持って、拳銃も使える。1番可能性あると思わねえか?…っておい!そうなると、魚崎と多間木もやべえぞ!」
(多間木?)
はじめと綺世は顔を合わせる。
まさか…と思ったが、今は気にしている場合ではない。
そんな中、毒島は勝手に話を進めて、誰かと電話しようとする。
「例の事件の仲間ですね。連絡先を教えてください」
「ああ、こいつだ。さっさと探せよ?俺たちは、テメエらのお仲間に殺されるのかもしれねえんだからな‼︎」
そこで我慢の限界を迎えたはじめと綺世は病室から出た。
そして綺世は病院の中であるにも関わらず、壁に拳を叩きつけた。
「何よ!あいつ…」
「
「それもそうだろうね」
その時、2人の前に1人の刑事が現れる。
「あなたは?」
「私は青山だ。所轄の刑事です。…ここにいる毒島には、少し因縁があってね」
「聞かせてくれませんか?毒島が関わっていた事件を」
「…君たち一般人に教える義理はない」
「あるわよ!そのせい剣持警部に容疑がかかってるのよ!?身内の不祥事を無くしたいのが警察じゃないの?」
「…それでも構わないさ。あいつ…いや、奴らに生きる価値なんてない」
その時に見せた青山の表情は、刑事らしからぬ…怨念に満ちた表情だった。その圧に思わず綺世は、勢いを失って黙ってしまう。
青山ははじめたちに厳しいを視線を向けて、そのまま横を通り過ぎるところだった。そこで携帯が鳴り、青山が立ち止まる。
「…なに?魚崎が!?」
青山の口から漏れた魚崎という名前…。
だが、これは…まだ始まりに過ぎなかった。