み〜あろっく   作:幽霊部In

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うぇぇぇぃ前書きに書くことなくなってきたぞ〜〜〜!




必殺!文化祭ライブロックダイブ

 

 

 昔から人並み以上は何か出来たと思う。

 

 不得意なことより得意なことの方が多かった。

 

 上を見たらキリはないけれど、目指そうと思う程そのことに情熱的にはなれないし。

 

 気付けば、なんでも出来てなんでも出来ないような、そんな。

 

 少しの不自由と、多くの自由に囲まれた世界に生きる人間。

 

 普遍的で、きっとこのまま何かが大きく変わるような事もないまま、卒業して就職して。

 

 ちょっとした達成感とあの時こうすれば良かったななんていう後悔に囲まれた、ただ毎日を惰性に生きるような、そんな退屈な。

 

 別に、それでもいい。

 

 でも、それじゃいやだ。

 

 そんな時に、わたしは音楽を知った。

 

 ……少し、違うね。

 

 

「ねぇ、バンド組もうよ、キミと私で!」

 

 

 同じ高校に在籍しているってだけの、ただそれだけでそれ以上も以下もない、そんな間柄。

 

 下校時間の、誰もいなくなった放課後に誘われたんだ、それが音楽との出会いで。

 

 わたし(Mia)の始まりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然だがわたしは結構ゲームをするタイプだ。

 

 と言ってもひとりちゃんと出会ってからは音楽に対するモチベーション(たのしさ)が回復してきたので、していた方と言う方が正しいかな。

 

 ゲーム音楽は良い、大きく分けてゲーム音楽の大半は電子音楽を使った表現法だけれど、それがロックバンドに相容れないようで、そんな事はない。

 

 特徴的な電子音のフレーズはベースラインを考える時に参考になったりするし、ギターソロを多用するゲーム音楽も少なくないぐらいに存在していて、それも参考になる。

 

 総じてそれらはエレクトロポップって名付けられる事が多いけれど、ソレはわたしの中で音楽に対する“世界”を広くさせた。

 

 そんな感じで音作りの一環としてゲーム音楽に触れていく内に、気付けばゲーム自体もやることになったんだ。

 

 物語性のあるゲームに触れる時や、登場人物の何かしらの台詞の言い回しだったりは歌詞作りにも使える事に気付いてから、それらを考えながらゲームをたのしむことは、思った以上におもしろかったりする。

 

 自分の持っているメッセージ性と、ゲームの雰囲気がハマったりすると、一曲作ってみようかな?って考えた時もあるし、実際にやってみたこともある。

 

 営利目的でやるわけでもないから、何かに追われて作るモノよりたのしめる。それがきっかけにわたしがたのしめるような案件が降ってきたら、もっと良い。

 

 ちょっと打算も入っちゃうのが、大人になっちゃったなって思う時もあるけれど、それはさておき。

 

 

「PAさんってゲーム実況者だったりする?」

 

「え“っ”?!」

 

 時刻は夜。

 

 STARRY(スターリー)で仕事終わりのPAさんと飲むことになり居酒屋に来て、今に至る。

 

 ゲーム自体をする機会は減ったけれど、だからってプレイ動画とか実況を見ないわけでもない、息抜きの方法の一つではある。

 

 そんな最中に開いた生放送で喋っていた人の声にPAさんの声が似ていたので、なんか聞いたことある声してるんだよな……って思ったので、ぶっちゃけて聞いてみた。

 

「ひ、人違いでは〜?」

 

「あれ。違ったかな」

 

 それにしては声が似ているんだけれど、まあ否定しているなら人違いなんだろう、確かに少しPAさんのイメージとは違うような、似ているような……?

 

 ちなみに何でPAさんと飲む事になったといえば、わたしがスターリーに遊びに来て、見るものも見たし帰ろうって思ったら、PAさんに声をかけられたって流れ。

 

 偶にくる一人暮らし特有の寂しさが急に来たみたいだ、わたしは音楽さえ出来ていれば後は何もいらない……ってまでは言わないけれど、家の中は一人が良いってタイプだから、PAさんの気持ちはわかるようなわからないような。

 

「でもPAさんって普段何してるか知らないな、教えてよ」

 

「あっいやまぁ……普段はグローバルな友人達と新時代コンテンツについてのオンラインサロンなどを開いてます」

 

「ふーん、ところで初見なのに病み村*1クリアするの凄いね、わたしには出来ないなあ」

 

「そんなことないですよ〜〜偶々上手くいっただけで……あっ」

 

「やっぱり音戯アルトでは?」

 

 

 PAさんがひとりちゃんが壊れた時の顔みたいになって一気飲みしだしてしまった、おもしろ(ごめんね)

 

 そう思ってみると、ああ確かにPAさんだ……って思ってきた、ちょっと画面上ではかわいめの声を使ってるのを指摘するのは、さすがに死体蹴りになっちゃうか。

 

 

「誰にも言わないでくださいね……」

 

「隠す趣味でも無いと思うけれどなあ」

 

「店長には兎も角、結束バンドの子達に知られたくはないですよ〜……」

 

「あは、どうしよう」

 

「みあさん〜!」

 

 弱ってるPAさん……新鮮でかわいいな。まあ揶揄うのはこれぐらいにしよっか、長くやってもつまんないし。

 

 

「すいません、ハイボールお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばPAさんって、ピアスいつから付けてるの?」

 

「いつからだと思います〜?」

 

「えっ、うーん。高校中退した次の日とか?」

 

「みあさんの中で私はどんな人になってるんですか?」

 

 

 どんな人って言われても、そのまんまとしか……。

 

 わたしもPAさんほどじゃないけれど付けていた時はあった、一人で音楽をするようになってから、人前に出る事は少なくなったから、自然と辞めたけれど。

 

 

「でも、みあさんもゲームするんですねえ……」

 

「するよ、逆に普段どんな事している人だと思ってたの?」

 

「うーん、投資……?」

 

「えっ、えー……したこともないや」

 

「みあさんも私と同じだった(高校中退したの)の忘れてました〜」

 

 

 おや、さっきのお返しかな?でもPAさんより一年は長く居たんだよ、いやまあ、結局辞めたけどね。

 

 でもそう考えると、PAさんって結構すごいことしてるよね。PAエンジニアって音響周りの専門的な知識が必要だから、結構ちゃんと学ばないとなれない業種だと思うんだけれど。

 

 PAさんが「PAさん」になる過去が少しだけ気になったけれど、聞いていいのか迷うな、いつか聞けるぐらい仲良くなれるかな。

 

「どうしました〜?」

 

「なんでもないよ、終電逃したらPAさんのお家泊まろうかなって思ってただけ」

 

「えっいやまあ私は良いですけどね?」

 

「良いんだ……」

 

 

 ここまでくると人恋しいってレベルじゃないような気がしてきた、星歌ちゃんが心配する気持ちも少しわかってきたぞ。まあわたしの時間(終電)が許す限りPAさんとお話ししよう。

 

 泊まるのはちょっと、うん。替えの服も無いしね。

 

 

 

 

 

 

 

 ひとりちゃんと喜多ちゃんが在籍している秀華高校の文化祭二日目に来た。

 

 高校の文化祭に来たのは、多分初めてだ。高校時代に文化祭は参加しなかったし、文化祭で何かすることも無かった。

 

 多分、やろうと思えば出来たんだろうけれど、わたしはやる気じゃなかったし、あの頃はもうわたしの居場所はロックバンドの、ライブハウスが殆どだったとも言えるし。

 

 それはともかくとして、せっかく文化祭に来たんだし、結束バンドのライブが始まるまでの暇つぶしでもしよう。

 

 わたしは文化祭のしおりを一緒に来ている星歌ちゃんと、PAさん。それから既に何本以上も飲みながらふらふらしている廣井ちゃん達に、きたーん!って目で訴えながら、しおりを見せつける。

 

「お化け屋敷に行こう」

 

「いやライブ見に来たんだろ、体育館行こうぜ」

 

「お酒飲める場所どこぉ〜〜〜?」

 

「ここ高校ですよ廣井さん」

 

 

 あんまり乗り気じゃないらしい、じゃあわたし一人でも行こうかな……いやいや、流石に現役高校生に混じってわたし一人でお化け屋敷をたのしめるほど、メンタルが強いわけじゃないし。

 

 じゃあそうだ。

 

「メイド喫茶に行こう」

 

「みあお前、なんか、今日どうした……?」

 

「もう四本ぐらいしかないや〜、もっと買っとけば良かったかなぁ?」

 

「ふわぁ……眠くなってきました……私夜型なので……」

 

 

 これも乗り気じゃないらしい、じゃあやっぱり一人で行くしかないのか。お化け屋敷よりはハードル低いし行けないこともない、うん。

 

 でもやっぱり現役高校生に見守られながらオムライスを頼んだ後に「もえもえ☆きゅん♡」をしてもらうのは、なんというか……わたしが失ってはいけないものまで失なってしまいそうだ。

 

 せめて誰かついてきて貰わないといけない、やっぱり却下。

 

「じゃあ、この承認欲求ぬいぐるみを貰いにクイズ挑戦しに行こう」

 

「本当にどうした!?」

 

「そういえばベースどこ行ったっけ!あっはは〜〜〜!」

 

「現役の高校生を見ていると、やっぱり肌の艶が……」

 

「嘘だろ、今まともなの私だけなのか?!」

 

 

 全問正解で等身大承認欲求ぬいぐるみを着れるらしい、わたしに似合うか似合わないかは別として、ひとりちゃんに着せてみたいな、多分いや絶対しっくりするよね。

 

 よし、行こう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんてことは無く、結束バンドが始まる前に文化祭のライブステージに居座ることになった。

 

 バンド曲でペンライトを振り回してるの見るのは少し新鮮だな、アイドル路線のバンド現場でもそこまでしてるの見たことないかも、地下アイドルの現場なら全然あるけれどね。

 

「廣井ちゃんは、したことある?文化祭ライブ」

 

「な〜〜い!ゴクッグビビビ」

 

「お前その辺で飲むの辞めとけよ」

 

「えぇ〜〜〜先輩はわたしに死ねって言ってるのぉ〜〜?」

 

「そうだよ」

 

「ひどっ酷いひどくない酷いよね酷いよぉ〜〜?」

 

「あ、そろそろ始まるみたいですよ〜?」

 

 

 PAさんがそう言ったのと同時に、司会の子が「次は結束バンドさんです」と告げた。

 

 ステージの上に結束バンドのみんながやってくる、歓声にひとりちゃんの名前が上がらないのは、想像してたけどおもしろいかなしいね。

 

 わたし一人でも歓声してあげようかって思ったのと、隣からお酒臭い大声が発したのはほぼ同時だった。

 

「ぼっちちゃんがんばれぇ〜〜〜〜!かっけぇ演奏たのむよぉぉ〜うえぇっぇぇぃ!」

 

「うわっうるさ」

 

「ってあれぼっちちゃんなんで無視すんの〜!おいこら〜〜〜!」

 

 うわっ、カップ酒ステージに投げ出したぞ廣井ちゃん、ロックだなあ。ひとりちゃんが全力で目を逸らしてるのも面白いけれど、キレた星歌ちゃんが廣井ちゃんにコブラツイスト*2し始めたのも見逃せないぞ。

 

 あれ、しれっとPAさんが少し離れた位置にいる。わたしもそうすれば良かったかも?まあいいや、近くで見たいし。

 

「今日は私達にも皆にとってもいい思い出を作れるようなライブにします」

 

「それでもし興味でたらライブハウスに観にきてください〜!」

 

 

「それじゃ一曲目行きます〜!」

 

 

 ドラムカウントから音が彩り始めた。

 

 出だしは順調だね、比較するわけじゃないけれど、この高校の軽音楽部の人たちよりは出来るって、わたし以外のここにいる観客は、思ってくれるんじゃないかな?

 

 ほらあの、世紀末風の二人組もノってるし……いやいや、うん?何で世紀末風の二人組が?ま、まぁいいや。

 

 盛り上がりは悪くないよ、ここに敵はいない。

 

 上手く出来てる、このままの調子で2曲目もいける。

 

 ただ、だからこそ、不可解な違和感。

 

 ちらっと廣井ちゃん(とコブラツイストをかけている星歌ちゃん)の方に目線を送ってみると、どうやら二人ともこの違和感を感じてるみたいだ。

 

 違和感を出している本人、ひとりちゃんも気付き始めた。

 

「え〜ラストの曲の前にMCなんですけど、結束バンドはMCがつまらないそうで〜______」

 

 

 この文化祭の観客に観られながらの演奏にしてはひとりちゃんは頑張っているけれど、ずっとチューニングが安定していない。

 

 ラストの曲の演奏が始まってもそれは直ってない、演奏技術的な問題じゃない。

 

 1弦のチューニングが明らかに合っていない。まずいね。

 

「______ッ!」

 

 パツン!っと微かだけれど音がした、ひとりちゃんのギターの1弦が切れた。

 

 1弦や2弦は細い弦だ、滅多にないけれど演奏中に弦が切れる事は無い事はない、弦が切れる原因は幾つかあるけれど、今はその原因を解明するよりも先に、起きたことをどうするかだ。

 

 ただあれは、ベグも故障しているのか?だとしたら2弦のチューニングも直せないよ。

 

 わたしなら別のギターに替えるけれど、ひとりちゃんには替えのギターがない。あれじゃギターソロは無理だ。

 

 でもひとりちゃん、そんな顔をしなくて良いんだよ。

 

 初ライブの時、ひとりちゃんが結束バンドのみんなを持ち直したように。

 

 結束バンドのみんなもひとりちゃんを持ち直す時間を作ることが出来る、それがひとりちゃんが背中を預けているバンドメンバー、仲間だ。

 

 

 喜多ちゃんは目に見えて、って言えるほどじゃないけれど、しっかり演奏のブレが少なくなってる、演奏に費やした時間がしっかり技術についてきている。

 

 ひとりちゃんの足元に何かが転がって、ひとりちゃんはそれを拾った。

 

「あのギター何やってんだ⁉︎」

 

「よく分かんないけどすげ〜〜!」

 

 音が蘇る、ひとりちゃんのギターソロ。

 

 足元に転がったカップ酒を使っての奏法、瓶であのタイプのカップ酒ならスライドバーの代わりが出来る。チューニングがズレていても問題ない。

 

 

「よくできました。花丸だねひとりちゃん」

 

「この土壇場でボトルネック奏法*3とか普通やるかぁ?すげーな」

 

「あれならチューニングずれてても関係ないもんね。私がお酒飲んでたらたまにはいい事もあるしょ」

 

 

 本当に土壇場でよく出来たよ、起きるアクシデントの中でも立て直しの難しい直面で、結束バンドのリードギターとしての役割を技術で乗り越えた。

 

 ひとりちゃんだけじゃない、喜多ちゃんも。リョウちゃんも虹夏ちゃんも上達していってる、バンドとしての成長が、形が出来上がろうとしている。

 

 

 ここにいる何人かは確実に、いい思い出になった、そんな風に思えるライブだったと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ〜今日は本当にありがと〜!この日のライブを将来皆が自慢できるくらいのバンドになりま〜すっ」

 

 虹夏ちゃんの締めで結束バンドの出番が終わる。

 

 観客の野次もいい感じだ、ひとりちゃんの頑張りも見られていたし、讃えてくれているよ。

 

「ほら後藤さんっ、一言ぐらい何か言わなきゃ!」

 

「えっ、うっ……!」

 

 

 ん?

 

 おっ_____

 

 興奮冷めやらない会場に、瞬間。

 

 ひとりちゃんが何を思ったのか、ふらっ……といや、ばっ!みたいな、勢いがあるのかないのかのステージ場から跳んだ。

 

 ダイブだ、そうそれこそ廣井ちゃんのステージパフォーマンスを真似たみたいなダイブだ。

 

 ただ悲しいかな、それを受け止める観客はここにはいなかったみたい。ひとりちゃんは至極当然のように床にぶつかった。

 

「誰か先生呼んできて!」

 

「ひとりちゃん大丈夫!?」

 

 おぉ〜〜〜、すげー。

 

「うひゃひゃぼっちちゃんサイコー〜〜!」

 

「お前は伝説のロックスターだ!」

 

「いえーい記念写真しよー」

 

 ぱしゃ。

 

 インカメにしてピースするわたしとリョウちゃんのキメ顔と廣井ちゃんのゲラゲラ笑いに、床になったひとりちゃんをパシャった。

 

 

「おまえら少しは心配しろ!」

 

 

 えへっ。星歌ちゃんに怒られちゃった。

 

*1
死にゲーといえばアレ

*2
皆ご存じプロレス技の一種、アバラ折りともいう

*3
弦がフレットや指板から浮いた状態のままバーを任意の位置で弦に接触させ、ピッキングして発音する奏法




ちょっと投稿遅れた理由は書き直してたからです……。それと12月になったので投稿遅くなるぞい、仕方ないね。年末はくそ。

ところで。
とても感想が来て凄い嬉しいっていうのと、PAさんって絶対Sだよな、でもMそうでもあるよな。どっちなんだ?でも多分土下座して頼めば大抵の事許してくれそうで捗るな?って事なんですけど、キミは?()
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