み〜あろっく 作:幽霊部In
作詞を難しいものに捉えているかも知れないけれど。
実はそんなことはない、例えば今、目の前にリンゴがあるとして、それが青森県のリンゴだとして。
そのリンゴは瑞々しくて美味しいし、切り方次第で工夫もできる。そんなのは皆が知ってる事。
兎のリンゴさん、とってもキュートで可愛らしい。そんな一言でもそれを音楽として置き換えるなら、歌詞のワンフレーズにもできる。
そんなありきたりな所から作詞っていうのは着想が得られる、つまりは日常の中で自分が感じた事、思う事。その言葉の羅列の中から、繋げて切り取って貼り付けて。
そうやって出来て行く、少しわかり辛いかな。作曲と同じだよ。
まず最初にメロディーを完成させて、コード進行を考えて、リズム隊を乗っけて、順番は違ったりそれに付け加えたりすることはあるけれど、大まかな流れはこうなる。
これを作詞に置き換えると、テーマを決めて、それを深く考えて、視点を変えたり決めたりして歌詞の設定を決める。それに関連するワードを思い浮かべて、そして組み合わせる。
例えばテーマは情熱だったり友情だったりするとして、そのテーマにどんな友情だったり、情熱だったりを考えて。
俯瞰的な視点でみるか、一人称視点としてみるか。それらを踏まえて、統合してその設定を作る。
テーマは友情、すれ違い。視点は私、時間は夜。場所は都内、そこで出会う君久しぶりの再会。はっとする間に居なくなった。気づいた時にはもう遅くて。でもそれでも過去の情熱だけは忘れられない。
そんな設定を作ってみる、物語を作るように段々とワードが出てくる、フレーズが浮かんでくる。それをただひたすらに思い付く限り並べてみる。
それらをパズルゲームみたいに繋げていって、そうして出来あがった集合体が、歌詞と言われるものになる。
……これに、Aメロの書き方とかBメロとか、そういうの音の親和性を考えたりとか色々あるんだけれど。
一度その中の「世界」を創れば、後はそれの延長線上だ。
暗い午後、わたしと君が始めた音はまだ終わらなかった、だから終わらせない。わたしはまだここにいる、わたしはまだ音楽ができる、やりたいってそう思える。
誰かに聞かれて、何かを伝える。そんな風な言葉はいらない、そうじゃない、わたしはいつだって最終的には独りよがりだ。わたし一人の世界で始まって終わる。でもこの
背後を見ればあの頃のような情景と、あの頃に負けないぐらいに情熱的な子たちがいるのがわかった。隣を見れば、一足先で待ってるって言うかのように楽しそうにしている人だっている。
前は切り開く、わたしを蝕むもの全てを、わたしだけじゃない皆で切り開いた。
もう二度と同じことは出来ないかもしれないけれど、わたしはそれでも奏でる。音を作るそのたのしさだけは変えられない、変わらない。
わたしの世界はまだ続く、それを今から教えてあげる。
________それが、新曲の歌詞の設定。
……なんて曲名にしようかな、って思ってたけれど。
多分、うん。これがしっくりくる。
「NeuStarten」
ちょっとださい、でもそれぐらいで良い。
そんな
☆
どこで楽器を買っても同じって思ってるならそれは少し間違ってる。
というのも、楽器屋さんによってはどれぐらい楽器に対しての知識を持っているかとか、お試しで弾ける場所かとか、そういう所もそうだけれど。
普段使わないけれど使う人は使う小物だったりは、やっぱりちゃんとした所に行かないとなかったりするし。
わたしはそこまで興味がある方ではないんだけれど、ココにしかない!っていう希少な楽器を展示している場所もあったりする。
わたし的には、実際に音楽に携わっている人が店員の楽器屋さんをおすすめするかな。
その人がどんなジャンルのバンドマンなのかはさておき、基本的な所は何処も似るから、現場に携わっている人に聞いてセッティングしてもらった方が楽だったりする。
そのお店に普段行くようになって顔見知り以上になれば、その人のライブにお邪魔したり逆にさせたりして、界隈を広げて行く事も出来るし。最初の頃は、そんなこともしていたっけ。
最近はネットショッピングが普及し始めて、大抵のモノは買えるようになったかもしれないけれど。やっぱり楽器店さんで楽器を視察しながらのお買い物は楽しいよ。
普段見ないコアなエフェクターとか、手の出し難いハイエンドな楽器だったり、探してた珍しいピックとかが見つかるたのしみがそこにある。
ならどこに行けばいいの?って言われたら、やっぱり定番の御茶ノ水に行こうってなる。
アクセスと店舗の多い渋谷とか、意外と穴場だったりする秋葉原とかも捨て難いけれど、それでも御茶ノ水を選ぶかな。
昔から楽器ならここって言われるだけあって老舗の店舗さんが多くて、だからって新店が少ないかって言われるとそういう訳じゃない。
何より品質や品揃えのアベレージは他の所と比べると、やっぱり一段上だなって感じる。
初めては御茶ノ水で買ったって人、多いんじゃないかな。わたしもそうだよ、何を買えばいいんだろう?って気持ちで行って、ひと目見てこれが良いって思えるようなギターがそこにあったんだ。
「いらっしゃいませ〜!」
さて、そんな訳で御茶ノ水の楽器屋さんに来ている。
ひとりちゃんが文化祭で弦が切れたアクシデントが起きて、我が身を正すって訳じゃないけれど、替えの弦だったりドラムスティックだったり、この際新しいのにしようと思ったのが発端。
楽器通販サイトでも良いけれど、今の気分は楽器屋さん巡りだったから、自分の心に従った。
「フェイザーエフェクター*1置いてる?」
「置いてますよ〜!宜しければ案内しましょうか?」
「お願い、ハイエンドでも良いよ」
「わあっ太っ腹ですね!もしかして有名なアーティストさんだったり?」
「どうかな……ん。ごめん待って、先にパワーサプライ*2見たいな。新しいの欲しいんだ」
「分かりました〜〜〜!あっ、いらっしゃ……うわぁ!あの子すごいヘドバンしてる……!?」
何そのひとりちゃんみたいな子、店員さんの目線の方に私も目線を合わせてみると、何処かで見た格好のよく知る女の子がヘドバンしながら入店してきた、本当にひとりちゃんだった。
ひとりちゃんだけじゃなくて、結束バンドの皆もいる。一人でお店に入れるぐらい成長したと一瞬だけ思ったわたしが間違っていた。でも良いね、とてもロック。というかメタル。
じと〜〜〜っと見つめてると、結束バンドの子の一人と目があった。リョウちゃんだ、うん?近づいてきた、なんだろう。
「どうもみあさん」
「こんにちは、どうしたの?」
「ハブられました……楽器見てるの私だけ……」
「わあ」
☆
せっかくだからリョウちゃんとお店の中を見ることになった、といっても、わたしが見たい所にリョウちゃんが付いてくる形になっているけれど。
店員さんに案内されたエフェクターコーナーを見ていると、隣でじっと見ているリョウちゃんが目についた。
「リョウちゃんは何か欲しいモノ、ある?」
「ここに在るもの全て……?」
「楽器屋さんでも開くのかな?」
「将来は自分のお店を立ち上げたいです」
「良いね、手始めにハイエンドエフェクター片っ端から買っちゃおう」
「……すいません冗談です」
目を逸らしたリョウちゃん、ふふ。でもお店か、楽器店を自分で開くって言うのも数十年後になったら、やってみたいって思ったりするのかな?
そういうマネジメントも悪くないかも、まあ本格的に考えるまではいかないけれど、わたしの気に入ったものが他の人の手に渡って、使ってくれるっていうのは、どんな気持ちなんだろうか。
そんな風に思ったりして物色していると、持っていなくて気になっているフェイザーエフェクターがあった。
買っちゃおうかな……これとさっきおすすめしてくれたパワーサプライと、ベース用に使うエフェクターも欲しいんだよな。
「みあさん、こっち……」
うーんそれにアンプも欲しいな。今は使う予定もないけれどオカリナとか買っちゃう……?
「……みあさ」
わっ、カホン*3ってこんな色あるんだ、装飾品みたい、綺麗だな〜買っちゃう?一個あると何か使えるかもしれないし。
いやでも持って帰るの難しいなあ……どうしよう、トラック使ってくれるかな?それならドラムも……ああいやドラムはだめだ、苦情来ちゃうし、せめてスティックは新しいの買おう、うん。
「聞いてくれない……」
久しぶりの楽器巡り楽しいな……!ハイエンドギターとかベースも見ていこう、一つぐらいなら買えるし、部屋に置ける場所あるかは後で考えよう、よし。
「って、あれ」
リョウちゃん消えちゃった……あっ、いた。
ギターの試奏……試奏?にしては結構本気で引いてたけど、なるほどね。
一言言ってくれれば一緒に見たのに……。
☆
「それ、気に入ったの?」
「ウヒャヒィ!ぴぇ、あっ。み、みあさん……」
ひとりちゃんがじーっとギターを見つめてるのを目撃して、後ろからそーっと呟く様に囁いてみた。
こうするとひとりちゃんの驚いたおもしろかわいらしい顔が見れるので、最近のわたしの中の流行り。
YAMAHAのエレキギター、特注仕様かな。作りが良いギターだ、手頃な値段の中ではお目が高いって言えるかも。
すると、店員さんがこっちに来て、ひとりちゃんに試奏してみるか聞いてみた。断れなさそうにぶるぶる震えながらギターを弾き始めるけどうーん、なんてことだ。なんというか。
「産まれたての子鹿がギターを弾いている……」
「あっうっそうです私は御茶ノ水の子鹿……」
「だ、大丈夫です!練習していけば必ず弾けるようになりますよ!」
「……」
ひとりちゃんのライフがゼロになってしまった。とどめを刺したのは店員さんだからわたしは少ししか悪くない。えへ。
他の人が弾いてるのを見ると、わたしも試奏してみたくなってきたな。
エフェクターを買いに来たから、楽器本体を買いに来たわけではないけれどそれはそれとして、弾いてみたいなって思うギターが見つかったりする。
ほら、例えば目の前に置いてあるこのSGタイプのエレキギター*4。
ギターボーカルには向かないけれど、リードギターにはうってつけ。何故ってこのギターは重量バランスが酷いからヘッド落ち*5するんだよね、ハイポジション*6が弾きやすいのを踏まえると、トータル+?
でも、ステージ上のパフォーマンスを考えた時、一番ロックに抜群だって言えるのはこのタイプのギターかもね。ロックを象徴するエレキギターって謳い文句は、嘘じゃない。
「少し弾いて良い?」
「えっあ、どうぞ!」
座らないで立って弾くのは今もする、ひとりちゃんに廣井ちゃんと一緒にやった路上ライブでもした。
でもこのギターのタイプでするのは、久しぶり?ステージの上で弾いていた時、わたしはリードギターも兼用するボーカルギターでもあるけれど、マイクの仕様上とかでヘッド落ちが多発するギターは最初の方しか使わなかったっけ。
此処には観客もいないけれど。
楽器を弾く以上、そこはどこだってステージだ。
店員さん達に結束バンドの皆。それから通り掛かる楽器店のお客さん。ここに居るみんな。
一分。
わたしの世界を覗いてくれる______?
☆
「お会計こちらになります〜〜」
「うん、カードで買える?」
「はい!」
楽器店さんは良い、色々な出会いがある。今日だって気に入ったエフェクターもそうだけれど、結束バンドの皆と出会ったり、久しぶりに弾くタイプのギターを弾けたり。
何より、わたしが弾いている時に喜んでくれる顔を見れたのは、やっぱり嬉しい。最前も最前でキラキラした目で見つめてきたリョウちゃんは少しだけ怖かったけれど。
「あっ……それと」
「うん?」
店員さんが耳元に口を寄せようとしてきたので、大人しく耳を貸してみる、すると声を小さくして、呟くように言葉を出した。
「ソロギター……最高でした……っ!」
「もしかして、バレちゃった?」
「あははっ、だって配信、見てましたからっ」
「ありがとう。また来るね」
うん______やっぱり楽器店さんは良い、誰か見てくれているのはわかってる、でもそれでも直接こうやって伝えてくれる人がいると、どうしても嬉しくなっちゃうのが人なのかな。
またお越しくださいっていう声が後ろから聞こえる、そんな声につい、ふって口元が緩くなった。
うん、また来よう。次は何を買おう?ベースのエフェクターとか、今回見て買おうかなって気に入った楽器とか。
楽しみだね。
ちなみに余談だけど。
わたしのお会計23万8000円を背後で見ていたひとりちゃんのわたしを見る目が変な目になっていた。虹夏ちゃんもちょっと引いてたし喜多ちゃんもきたーん……って目してた。
違うんだよほら……その。色々さ、買いたくなるんだ。
かなしいかな、わたしの味方はリョウちゃんだけでした。
めっちゃ嬉しい感想が来ると「へっふへひひひ……」ってなる(不審者)(可愛く無いぼっち)(限界)(コーナーで差をつけろ)
あとここすき機能良いよね、おっふ〜んここすきなんだ.....ニャってなる
ところで。
楽器屋云々の話書いてたら行きたくなってきた、池袋が最近ホットらしいけれど、ラーメン美味くてゲーセン寄れてPCの周辺機器も覗ける秋葉原が色々楽しめておススメです、もちろん御茶ノ水も最&高です。