み〜あろっく 作:幽霊部In
帰り道、電車の中で思い出すのはあの言葉。
『ていうかガチじゃないですよね』
って言葉が、心に引っかかって、取れない。
確かに、私達はお客さんも常連の人がほとんどだし、宣伝っていう宣伝もしていない、よく居る下北のバンドって言われても、否定できない。
だって人前で弾いても、上手く出来ないのは変わってないし、ちょっとずつは改善していると自分では思っているけど、今だってわたしが足を引っ張っちゃったって場面はいっぱいだし。
それに、だって。それで。って、いっぱい思うことがいっぱいあって弾けそうになる。
「あっあの、みあさん」
「ん?」
頭がぐちゃぐちゃってなってきて、つい私は頼るように、隣で目を閉じながら座っているみあさんに声をかけた、かけてしまった。
さっきまでのやりとりは聞いていたと思う、結構響いてたし、だからかは定かじゃないけれど、今日は最寄り駅まで一緒に帰ってる。
多分、気を遣ってくれたんだと思う、
「……えっ、と。そのっ。みあさん……も、ガチじゃないって、思いますか……?」
ちがう、言いたいのはこんなことじゃない。だけれど私の口から出た言葉は、そんな言葉で。
ほんとうは別のことを聞きたくて、言いたかったのに。なんで。
いつもより視線が下がっていくのを感じる、なんて言われるんだろう、怖い。みあさんにも、そう言われたらどうしよう。気を遣われて、心にも思ってないようなこと、言われたら。
どうしよう_____って、頭で考えていると、ぽんって、頭を撫でられた。
驚いてみあさんの表情を見る、そこにはいつもと変わらない顔で、わたしの目を覗くように見ているみあさんがいた。
綺麗な大人の顔なのに身長は私とあんまり変わらない、そんなみあさんが目の前にいる。
文字通りすごく近くで。
「わひゃぁ!」
「あは。驚きすぎ」
「うぅ……」
最近、何かとこういうこと多いんだよなみあさん……最近でもないけど、でもここ最近は私以外の人にも驚かせることしてるし、みあさんの中で流行ってるのかな。
やっと慣れてきたと思ったけれど油断するとぼわーーーって顔のパーツが……!
「わたしがキミたちを観ている視点は演奏の良し悪しじゃない」
「えっと……なら、どんな視点なんですか?」
「それは内緒。それで、ガチかガチじゃないかだっけ」
「は、はい」
みあさんが少しだけにやけた、みあさんの事は、
だけどこのにやけるときの、少し遠くを見つめるような目は、みあさんが昔の事を思い出しているんだろうなって最近わかってきて。
今のやりとりに、どこに昔の事を思い出すような会話があったんだろう?ってふと思うよりも先に、みあさんはさも当然のように、言葉を切り出した。
「そんなの自分の心に聞けばわかる事でしょ?」
「……!」
「ロックバンドらしくいってみな」
「はいっ……!」
そうだ。
色々、思うことはあるけれど、一番は、わたしのやりたいこと、やりたい音楽は。
虹夏ちゃんと、リョウさんに喜多さんと、結束バンドの皆とやりたい音楽だ。
私の夢はギタリストとして皆の大切な結束バンドを、最高のバンドにすることだ。
だったら、今日言われたことに対して、わたしが次に向かってやることは決まってる……!
「そろそろ着くね」
「……はい、その。ありがとうございますっ」
「全然?あ、それとさひとりちゃん」
「あっはい……?」
「マイニューギア*1し過ぎないようにね」
えっ。
あれっ私みあさんにそのこと言ったっけ、ううん言ってない、みあさんに失望されたくないしそんなこと言えるはずがない。
なのになんで知ってるの?
あれっ……?
「ギターヒーローで検索したら出たよ、さっき」
「あっうっ」
「エフェクターぐらいなら買ってあげるのに」
「えっいやそれは」
「でもそうなると行き着く先は廣井ちゃんかな」
「あっそれは、あの……いっ嫌です……」
★
これは音楽に限った話でもないけれど。
明確な未来性、つまりは目標やそれに向けた現実的な視点と、理想像を描けているとして。
なら、先ずはこれで、次はここ、その次に進めることができれば理想の一歩に近づける。
その一歩一歩を建設的に取り組むことが出来れば迷うこともない、迷うことがないから取り組む事に対しての不安も少ない、結果的に成功する確率が高くなり、モチベーションの維持も頻繁に低迷することもない。
それが出来る人と出来ない人の違いは他人から一目見てわかる、もっと簡単に言えば、聞いた事をその場でメモをする人と、しない人どっちがやる気がある?っていう話。
誰がどう見ても前者なのは、誰が見てもわかる。
じゃあ少しだけ見方を変えて、聞いた事をその場でメモする人が二人いるとして、片方はメモを取って終わる人。もう片方はメモを取って更にそのメモに対してのQ &Aを出来る人。
今回は後者がやる気がある人だろうなって見える。
なら、その後者の人が二人いるとして、どっちがやる気がある人?
どちらもやる気がある人、それはそうだよね。なら条件を一つ追加する。
片方は、やる気に+して明確な将来設計を考えている人とする。
やる気があるのは同じ、だけれどその後の行動に対しての結果は目に見えて違うように映る。
今の話を結束バンドに置き換えると、彼女達はメモを取ってQ &Aが出来る人になる。
つまりは+αによる彼女達の音楽に必要な独創性及び創造性が、メモ以上のことが出来る人たちには至っていないことになる。
その点で言えば彼女達はライターの子が「その辺にいるバンド」と評価した事は、間違いとも言い切れない。
わたしはそれをはっきり肯定する事はしなくても、だからって明確に否定はしない。
バンドとして足りないモノはそのバンドによって様々だが、共通するものは何個かある。
まず技術、ただこれは時間とやる気で解決する。
次に活動意欲、これも問題ない。
三つ目に、バンドとしての独創性、ここで必ず大多数のバンドは躓く。
バンドの方向性?目的や目標?将来的な夢?どれも違ってどれも全て。
それに+して、ならどういう方向性にするのか、その方向性はどんなものでどういった理由なのか。
目的はどうするか、その目的を達成するにはどんな事をしないといけない?その目的が達成した後の目標はどんなもの?その目標は現実的に出来る事?
将来的な夢を具体的に話せる?その夢に向かって進むとして、叶えた後の未来は見れる?夢が終わればそれで良いの?次の夢はどれ?
明確な未来性がはっきりしているバンドはこの全てに解答出来る。はっきりしていなかったら全てに解答は出来ない。
結束バンドはその明確な未来性を築けているかと言われれば、まだまだ全然足りてないよって言うしかない。
バンドマンは夢を追い掛ける人であって、夢に追われるような人じゃ、バンドマンとは言えないんだ。
もちろん、これはアーティストでもミュージシャンにも当てはまる。
ただバンドは1人でやるものじゃない、数人でやる音楽だ。
だからそれぞれの意見や目的、目標や夢がある。
わたしは最終的に一人になったから、自分の
だから最終的にわたしが語れることはわたし一人の話になる。
でもこの話は、もうぜんぶ蛇足……ひとりちゃんにはしない。
「ひとりちゃん」
「あっ、はい」
最寄駅に着いて、分かれ道。
前髪の隠れたひとりちゃんは、でもさっきよりも良い目をしていた。初ライブの時に魅せたヒーローの目だ。
うん。良い目……好きな目だ。キミの色はすごく透き通っていて、そんなつもりもないのに、わたしも感化されちゃうな。
「ふふ、やっぱいいや」
「えっ、えっ?」
「またね」
わたしは。
あの時の続きを望めないって思ってる。
でも彼女達は違う……だからかな。見たいんだ、あの時の続き。
こういうのはあんまり良くない、自分でもわかってるよ。だから苦しいんだ、でもそれ以上にたのしみなんだ、彼女たちが。
ひとりちゃんのギターに対する情熱は、学生っていう何にでも出来る時間をひたすらに音楽に使っている。ロックに対する熱意はその演奏力と集中した時に発揮出来るパフォーマンスに如実に現れている。
虹夏ちゃんの叶えたい夢をわたしは詳しく聞いていないけれど、その夢に向かって突き進む行動力、方向性を一つに統一させるようにメンバーを纏める力は、縁の下の力持ちのようなもの。
リョウちゃんのマイペースな思考は彩りを広げる、独特の価値観を持つソレは視野を広くしないと出来ない。広い視野から観る世界は得られるモノが多い。
喜多ちゃんの突っ走り方は物事を良い方向に向けられる陽気さがある。楽器を練習しながら歌い方を研究しながら、音楽以外の事も取り組む器用さだってそう簡単に出来るものじゃない。
彼女達は一人一人のキャラクター性が成り立っていて、見ている方向も向かう目標も、夢も違うかもしれない。
けれど、それに向かっていく時、彼女達四人がカチッと歯車が噛み合う時。
その方向を一つに纏めて、見えている方向に突っ走って、目標に向けて実直に練習して、夢を背負う様に集中する。
その時の爆発性は、誰にだって測れることはできない。
あの気持ち良さは「成ったこと」のある人にしか分からない。
☆
自宅、眠れない深夜にわたしがやることは、やっぱり音楽しかない。
睡眠は多く取れば取るほど健康的にもコンディション的にも良いけれど、眠れない夜から創造出来るフレーズだったりメロディだったりももちろんある。
わたしの体感的な話になるけれど、その日の集中や、深夜テンションってやつが上手く作用した時の瞬発力は時に想像も付かない程のひらめきを与えてくれる。
アルコールもそう、手に負えないぐらいに飲み過ぎたらわたしも廣井ちゃんだけれど、ほどほどにたのしむぐらいなら活性剤にもなれる。
だからわたしは、そういえば飲んでなかったスパークリングワイン*2一本開けた。
750mlぐらいじゃ、酔わないけどね。
「……よ〜〜〜し」
あは、たーのしくなってきた!
Miniキーボードに触れる、今の気分は電子音楽。エレクトリカルミュージック*3?ヒップホップ系*4?どっちも良いものだ、それに+してハードコア*5要素も付け足しちゃう?
……お酒飲んだ後にハイスクリーム*6出ないや、それにどうしたって喉に負担は掛かっちゃうし。
ほんの少しテンションが下がったので冷蔵庫に閉まってからまだ飲んでなかった梅酒の小瓶と炭酸水を取り出すことにしよう。
気を取り直してパソコンを操作してDAWソフトを開く、今回は直取りした楽器の音を調整したりする訳じゃないから、そのジャンルをたのしむ時専用のDAWソフトを開いている。
音楽制作ソフトにも種類がある、音楽の種類ジャンルによってそれに適しているソフトは一つのソフトに統一している訳じゃない。
……少し語弊があるね、別に出来ない訳じゃないよ?
ベースやギター、ドラムやオーケストラに使うバイオリンとかホルンとか、シンセサイザーだったりの全て纏め最初から用意してくれているDAWソフトはある。
でも触って行くうちに、ベースやギターのエフェクターがもっと欲しくなったり、和楽器も入れたいなってなったり、そもそも音の質感がなんかちょっと違うなって思ったりしてくる。
そうすると、それ専用で売っているDAWソフトに手をつけたりする。
もっと言えば、弾ける楽器は自分でやる方が作業効率的にも音質的にも良くなったりする。
わたしの場合、弾く方が音が出るベースやギターは生音、宅録する場合電子ドラムよりはDAWソフトを使う。
ボーカルをわたしが歌うか歌わないかはさておき、一度仮歌をつくる為にボーカロイド*7だったりは使う時はある、いざ歌う時、予め決めている音程を正しく刻む為とか色々理由はあるけれど。
問題という問題といえば、音質の向上ややる事を増やすためには兎に角お金が掛かるっていう一点だね。いやあ本当に、まじで。*8
仕方ない問題ではあるけれど、これから音楽を始めるって人やかお金のない学生や売れるまで行ってない音楽関係を生業にしている人にはとても辛い話だ。
始めた頃のわたしは色々揃える為にコツコツ貯金に入れていたお金の八割が消えたし、それでも細かい所まで拘るまで至らなかったし。
外出を控えるというか行けなくなって節約自炊生活を始めるきっかけになったのは、良いことではあったけれどね。
最近は自分で作ってないけれど料理はたのしい、音楽がこの世界に溢れていなかったらきっとわたしは料理人になっていた。
「さて」
わたしの時間だ________音楽を始めよう。
廣井ちゃんの曲フルで聴きてぇ〜〜〜〜><
文化祭が楽しみですね....(特にメイド服着たぼっちちゃん)(執事服着た山田も良い)というか喜多ちゃんも良い)(メイド服虹夏ちゃんもやばい)
ところで。
と何か語りたいところですが特に思い浮かびませんね、そういう日もある。
ただ最近見た中では成人済みヤニカスぼっちちゃん概念は個人的にはアリでした、顔の良さも相まって無自覚で女の子落としてファン2号みたいな子を量産して欲しい