海賊王の子供による海兵譚   作:ふくふくまる

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第6話 山賊ヒグマの強襲

 

 

 今日も変わらず村長さんの授業を受けに行こうとフーシャ村に向かっていると、村の人達が慌ただしく動いているのに気付いた。

 

 不思議に思って近寄ってみれば、村人達の一人が焦ったように私に話しかけてくる。

 

「嬢ちゃん、ルフィを知らないか!?」

「ルフィ?ルフィがどうかしたんですか?」

「山賊のヒグマに連れ去られたんだ!」

 

 え、ええ!何それ!?

 

 話を聞くところによると、マキノさんの酒場にやって来たヒグマ達にルフィが喧嘩を売ってしまったらしい。

 その際に、赤髪海賊団の海賊達がルフィに乱暴をするヒグマ達を懲らしめたみたいだが、当のヒグマがルフィを連れて逃亡した、とのことだった。

 

 それは………不味いだろう。

 

 一味を壊滅させられた山賊の頭領が大人しく逃げるはずもない。腹いせに村の子供一人、容易に殺してしまうだろう。

 

 事態の深刻さにぞっとしていると、シャンクスさんが私のもとにやって来た。

 

「嬢ちゃん、知らねえか?ここに来るまで、ルフィを見かけたんじゃねえか?」

「ええと………」

 

 慌ただしくルフィを探す村人や海賊達の気配の隙間を縫うように、ヒグマとルフィの気配を感知する。

 

 ───海の方向だ。

 

「ルフィは南の海岸に向かって連れ去られています」

「お、おう!そうか!」

 

 咄嗟にそう答えればシャンクスさんは一瞬目を見開いた後、踵を返して私の前から去っていった。

 は、はやい。あの足の速さなら間に合うかもしれない。

 

 他の村人や海賊達も、シャンクスさんが走っていった南の海岸の方へ向かっていく。

 

 ヒグマとルフィ。そしてシャンクスさんの気配を感じながら、私も行くか行かないか悩んでいると、どこからともなくベックマンさんが現れて「心配なら一緒に行くか」と言ってくれた。

 

 確かにその方が良いかもしれない。

 気配は感じないが、ヒグマ一味の残党が残っていて山から降りてくる可能性だってある。私一人で対処し切れる自信はもちろんないのだ。

 

「……………嬢ちゃん、やっぱり見聞色の覇気が使えるだろ」

 

 海岸へ向かっていると、ベックマンさんが呆れたように言った。

 

 先程のシャンクスさんとの会話を聞いていたのだろう。

 咄嗟に誤魔化そうとしたが、今更隠すこともない。

 

 この人達は海賊ではあるけれど、変な力を持った子供を売買するような外道には見えなかった。

 それならば力の開示をして『覇気』の情報を得た方が良いかもしれない。

 

 ベックマンさんの言葉に頷けば「やっぱりな」と溜め息を吐かれた。

 

「覇気というのは、他の人にも使えるものなんですか?」

「訓練すればな。だが、嬢ちゃんみたいに生まれつき身に付けている奴は珍しい」

 

 やはり海賊王の血がそうさせるのか。

 そう考えると、双子の弟のエースにも自覚がないだけで、すでに覇気を身に付けている可能性がある。

 

「嬢ちゃんが今後どんな道に進んでいくか知らんが………。この長閑な村を出て過酷な海を生き抜いていくのなら、その力は大きな強みになる」

「強み?」

「ああ。………だが、前にも話したように覇気には3つの色がある。独学で学ぶと得意な色に隔たりすぎて使用の幅が制限される」

 

 つまり、覇気を効率よく使いこなすならば師匠が必要ということか。

 

「嬢ちゃんは今のところ見聞色の色が強く、その上精密に気配を感じ取れるようだがな。ただ、それに特化しすぎると、見たくないものも聞きたくないものも感知できるようになっちまう」

 

 どこか同情するように言うベックマンさんに頷く。

 以前、彼から見聞色の覇気は人の感情や未来をも見えると聞いた。

 

 そういったものが感知できるようになった先、新たな苦しみがあることを何となく予感する。

 

 ───その時、前方から海岸が見えてきた。

 村人や海賊達もいるが、肝心のルフィとシャンクスさんがいない。

 

 読みがずれていたのだろうかと、周囲の気配を慌てて探索する。

 

 慌てふためく弱々しい村人

 沖に向かって声を上げる海賊達

 

 そして、海の方にはまるで竜のような威圧感を持つ巨大な生き物と、シャンクスさんとルフィの気配がした。

 

 おそらく近海の主だろう。

 状況を確認するため、より感知の精度を上げる。

 

 獲物を狙う時に放つヒリヒリとした威圧が近海の主から発せられており、冷や汗がどっと流れた。

 

「あ、危ない…… ───」

 

 しかし次の瞬間、何者かからのとてつもない圧が当たり私は意識を保つことができず、そのまま気を失ってしまった。

 

 

 

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