──ガキンッッ!!
豪快な音が響き、無数の金色の破片が粒子となって消える。
よし。三本の槍のうち、ひとまず
残るは後ろから高速で追尾してくる
「おっと、」
半身に構えて躱したこの
⋯⋯斬撃の風切り音が少ししか聞こえなかったな。当たっていれば、脳天から尻尾の先まで一刀両断だったろう。
防御力がウリの
最近、立て続けに炎装の異常防御力を突破されて自信なくなってきたぜ。
「──フン。アルノヴィアが貴様に仕込んだのは、虚勢の張り方と逃げ足の速さじゃったか。合点がいくわ」
上空に陣取るオーガが、悪態をつきながら指を振る。
直後、背後から迫る
俺は真横の地面に刺さる
まぁ斬撃と刺突であれば斬撃の方が脅威だし、警戒すべきは本来そちらなのだろうが⋯⋯。
いかんせん、同じ負傷レベルならば斬られるよりも刺される方が痛いんだもの。
肉体の損傷における痛み具合は、刺された時の方が
多少大袈裟に回避したところで、ダメージを負って神経を削がれるよりはマシだろう。リスクヘッジってやつだ。
断じて“痛いからビビっている”というワケではない。ビビってなどないのである。
「オヌシがいつまで逃げ惑っていられるか、そんな事に興じるつもりはない」
「⋯⋯!!」
「早々に片をつけてやる──❨
オーガを中心として、ごく小さなエネルギー弾が広範囲に炸裂する。
無数に降り注ぐ光球は、まるで金色の豪雨かの様に美しく、そして恐ろしい。
煌めきが辺り一面を覆い尽くす中、自身に向かってくる光球を打撃で相殺してゆく。
ちっ、キリが無いな⋯⋯。こうなったら、強引にでも攻撃を中断させてやろう。
⋯⋯おっ、
「ほっ! と⋯⋯」
背後から薙ぎ払われた
そのまま弾除けとして利用し駆け回りつつ、オーガの側面に回る事に成功した。
ふとオーガの様子を窺ってみると、俺の姿を見失っているように──
っと。そう勘違いさせてコチラの油断を誘う演技をしているのか、あのタヌキジジイ。
「はあッ!!」
昇〇拳ヨロシク、拳を突き上げ頭上の
無数の破片が飛び散り、
えー、こほん。四番ピッチャー、
「ふんぬッ!!」
投げたあーー!! そしてストラーーイク!!
オーバースローで放った
「チィ、小癪な真似をする奴じゃ。ならば⋯⋯!!」
「うおっ⋯⋯!?」
咄嗟に構え直し、俺は
広範囲に拡散していた❨
くっ、飛連拳の手数ではこれに対抗し続けるのは厳しいか。
『
「死ねぇぇい、燗筒 紅志!! 来るべき新たな時代への贄となるのじゃ!!」
オーガが叫ぶと、❨
このまま決める気のようだが⋯⋯。いやしかし、待てよ。
『不知火』での肉薄が難しいとは思ったが、アイツも接近される事は無いと
であるからこそ、ここはどうにかして急接近によって意表を突きたいところだ。
「ふ──ッ!!」
『不知火』を使って地面を蹴り、高く跳ね上がる。
地上の俺から上空のオーガまでの距離は、目測で100メートル程度。
射程距離が30メートル弱で、本来は正面に向かって使用する『不知火』では届く筈も無く、俺の身体は失速を始めた。
故に、こうする。
首を丸めるように地面に向け、二本角に魔力をチャージし、そして思いっ切り⋯⋯!!
──ギュオオオオオンッッ!!!
〘
荒れ狂う❨
俺は〘
そしてぐるんと身体を起こしてみると、目の前には──少しばかり見下ろした所に──オーガの狼狽えた姿があった。
「あ、❨
「ぬぅああッッ!!」
踵落としを脳天に打ち込み、オーガを地上に叩き落とす。
今アイツが使おうとしていたのは❨
⋯⋯ふふふ。コレもソレも、リゼさんにオーガとの戦い方をレクチャーしてもらった成果か。
俺としても、“王の庭”であれだけミッチリ扱かれた甲斐があるというものだな。
「小童ァ⋯⋯貴様ぁぁ!!」
パシン! と、オーガが両手を強く握り合わせる。
あれは⋯⋯前に幼女を相手に使おうとしていた能力か?
ゼルの介入によってその全貌を見る事は出来なかったが⋯⋯
「──❨
オーガの声が響き渡った刹那、一つの影が俺を包んだ。
そして現れた、重圧と重量に全身が押し潰されそうな感覚。
唐突に現れたそれに、思わず唸り声を上げる。
同時に俺の脳裏には、ある日の幼女との会話の記憶が蘇っていた。
『⋯──オーガの能力には、いくつか面倒なのがあってさ』
『面倒な能力? どんなのだ?』
『まぁ、一概には言えないんだけど⋯⋯。なんか空から門を降らせてくるヤツがあるんだけど、食らうと魔力の制御が出来なくなっちゃうっぽいんだよね』
『なんだそれ、やば。食らったら終わりじゃないか? それ』
『そう、終わりなんだよね。落下速度も早いし、単純に拘束する力も高いから、抜け出そうったって楽にはいかない。少なくとも、回避も脱出も紅志には厳しいかなぁ』
『マジか⋯⋯。幼女はどう対処してたんだ?』
『私? 私は食らった事ないよう。なんせ伝説の星廻龍だからね♪──⋯』
俺が食らったコレって、幼女が言ってたアレじゃねーか!!