「──して、本日のご用件は?」
「なに、大した事ではない。世界を救ったという魔物の友人に礼と挨拶⋯⋯ついでにいくつか連絡をとな」
ガバンが用意した珈琲をじっくりと嗜み、ベルトンに訪れた用件を言うギルバート。
礼と挨拶はおいておくとして⋯⋯。連絡とは一体何ついてのものなのだろうか。
「まずは礼から。紅志、君には本当に──」
「ああん、いやいやいや。そういうのはもう、ガバンから十分してもらった。気持ちだけで嬉しいよ」
「おや、そうか。であるなら、これだけでも受け取ってくれ」
「ん⋯⋯??」
ギルバートがベストのポケットから取り出したのは、小さな円形のプレートであった。
黒銀の光沢を放ち、大蛇の紋様が刻まれたそのプレートは、話を聞けば認定証(?)であるとかなんとか。
どうやら、冒険者ギルドという組織の中で何かしらの効力を発揮するものらしいが⋯⋯。
ちらりとガバンを見やる。──妙だ。なんじゃそれはとでも言いたげな表情を浮かべている。
ギルバートの、このプレートについての言及を意図的にするつもりがない様子が気になるところだが⋯⋯
まぁこうしてわざわざ渡すくらいだ、役に立つという確信があって俺にくれたのだろう。詮索は野暮だな。
「──それで、君はこれからどうするのかね?」
「ん? ああ、そう言えばこっちの人には誰にも伝えてなかったっけ。実はこれから旅に出るつもりなんだよ」
「旅? それは⋯⋯どういった目的で」
「この世界を巡るんだ。たまに街や村にも訪れるつもりだな。
色んな風景とか出会いとか、今まで出来なかった事を存分にやって──まぁ兎に角、気ままに生きる事にしたんだよ」
俺の返答に、ガバンとギルバートが顔を見合せる。
どこか呆れているようで、しかしとても愉快そうに静かな笑みを浮かべた。
ソファにもたれて天井を見上げるギルバートと、彼の気持ちに同意するように頷くガバン。
じいちゃん2人して感慨深そうな顔しやがって、息子か孫でも相手にしてるつもりか? 小遣いくれっ。
「若さ⋯⋯か。良いものだなあ、ガバン」
「全くですなあ」
にこやかな表情のじぃじが2名、俺の前に居る。
しばらく物思いに耽った2人だったが、ふとしたタイミングでガバンが手元の書類を手に取った。
裏面であったのでどんな内容かは不明だが、その書類に目を通したギルバートもハッとした表情だ。
なにかこう、“あっ、そうだった!”的なニュアンスを2人から感じるんだが⋯⋯?
「まずは──そうだな。謝罪から、か」
「えっ?」
気まずそうな様子で、ギルバートが話を切り出す。
謝罪と聞こえたが⋯⋯そこまで深刻な内容ではなさそうだ。
「ここしばらくの活動および活躍から、
まぁ、冒険者には血の気が盛んな連中が多いだろう? 君からしても、旅の最中で襲撃されては困るハズだ。
そこで、新たに脅威を印象付ける──君が有する力に相応しい名を付ける事で露払いを⋯⋯と、思っていたのだがね」
ほ、ほうほう。すっごい気になる話だ。
銀槍竜、猛紅竜ときているワケだから、次は蒼炎竜とかか?
なんでもいいが、カッコイイのを頼むぜじぃじ!!
「特徴的なその角と炎が円を描くイメージから、“
「お、おお⋯⋯!!」
「本当に申し訳ない。承認に至るまでに手違いがあったようで【鬼竜ベニル】と⋯⋯既に公式でそうなってしまった」
⋯⋯えっ。