猛焔滅斬の碧刃龍   作:Nidhogg

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1章【王都編】
第38話・緊急事態


 

 

「⋯⋯ふぅ」

 

 

ベルトンを出発してから2日目の本日。

俺は缶コーヒを片手に、魔導列車なる乗り物に揺られていた。なんでも、魔力の放出を推進力に動いているらしく、電車には及ばないが、中々の速度での走行が可能だ。

 

ベルトンから程近い場所に停車駅があり、王都に向かうにはコレが1番だとか。異世界にこんな乗り物があるだなんて想像もしていなかった俺は、列車を見た時はそりゃあ興奮した。

 

吊り革が無い事と、ほぼ木製という事以外、車内の構造は前世の電車と同じ。座席も窓側を背としたロングシートタイプで、こうして揺られていると人間の頃を思い出す。

 

この列車はどういった仕組みで動いているのかと、疑問をシルビアぶつけてみたが、どうやらあまり詳しそうではなかったな。まぁ要約するとこんな感じだ。

 

 

『動力は、魔力石と呼ばれる物』

 

『1駅毎に、魔力が切れる』

 

『各駅で魔力石を補充、距離によって石のサイズを調整』

 

⋯科学技術が発展していない分、安全性への疑問は多い。

本来列車なんてのは、この世界の技術力的に有り得ない乗り物だ。魔力というエネルギーが、様々な物事を可能にしているだけであって、使う側の人間が賢くなる訳でもなし。

 

だが、発想に関しては確かに凄い。

特別なエネルギー源があるからといって、こういった方向に活用しようとは思い付かない。⋯まぁ少なくとも、俺はそうだって話だが。

 

 

「⋯⋯やぁ、楽しんでる?」

 

 

俺が流れる風景をぼんやりと眺めていると、貫通扉からシュレンが顔を覗かせた。⋯まぁアイツの心情は何となく察せれる。というのも、この2日の間はずっと列車が走りっぱなしな訳で、車内で出来る事といえば読書程度。

 

まぁ⋯⋯ヒマって事だ。

朝の起床から夜の就寝まで、ハプニングも無く経過した2日間。そりゃあ、やる事も減ってくるだろうし、話し相手も欲しくなる頃か。

 

 

「ところでソレは?その⋯⋯手に持っている黒いの」

 

「あー⋯コレか、珈琲だ」

 

「独特な入れ物だね。⋯手作り?」

「まさか」

 

 

因みにこの列車、普段なら各駅停車での運行らしい。

今回のゼクス達の移動に際して、特別に快速の状態なんだとか。つまり途中での下車は出来ず、ただただ車内で時間を潰さなければならない。

 

それに、シュレンにとっては難点がもう1つ。

前提として、各メンバーに1車両づつがプライベート空間として提供されている、というのがある。

 

10両編成のこの列車は、後部の魔力石が設置してある車両と、先頭の魔力の放出を調整する車両、それぞれを除くと8両になる。ゼクスの7人と俺を含め、丁度8車両⋯⋯問題はこの後だ。

 

シルビア、サンクイラ、ニナの女性陣は後部車両になり、ヴィルジール、ソール、ハクア、シュレンの男性陣はその逆に。そして俺は中間へとなったワケだが、シュレンの車両は俺とソールの間になっている。

 

⋯⋯つまり、ヴィルジールやハクアと雑談等の暇潰しをする為には、ソールを跨がなければならないという事だ。

 

 

「⋯あの人は、ちょっとコワくてね。君とならお話できるかなーって」

 

「まぁアイツはな、近付き難いよな。ハハハ⋯」

 

「そう!なんだよねぇ〜ホント!」

 

 

パァッと表情を明るくしながら、シュレンが俺の隣に座る。

余っ程、退屈をしていたのか、話し相手を見つけて嬉しそうだ。⋯かくいう俺も、内心では喜んでいるがな。

 

さぁて⋯⋯時刻は午後の3時頃ってところだが、話の相手も来てくれた事だ。夕飯までは付き合ってもらおうかね。

 

 

「⋯ところでさ、銀槍竜?君ってテュラングルとどんな関係なの?」

 

「⋯なに?」

 

「いやだって、話を聞いた感じだと、初めて会った時は殺されそうになったんでしょ?その後に、ギフェルタの近くでまた戦った直後、角を食べさせてもらったって⋯⋯」

 

 

あー、そういう意味合いね、ハイハイ。

⋯この前、ベルトンの酒場で彼らに軽く話してが、確かにあの内容だけだと疑問点があるか。うーむ⋯⋯どう説明するかなぁコレ。

 

 

「まぁ⋯⋯友達ってのが1番近いかな。そんなに軽い感じではないけど」

 

「へぇー!!凄いなぁ!特別監視個体でも、まぁまぁ強い魔物なのに!」

 

 

俺の話に食い気味なリアクションなシュレン。

話を聞かせている側としても、心地が良い。⋯⋯が、1つだけ気になる所があるな。⋯聞き違いだったらいいんだが。

 

 

「⋯まぁまぁ?」

 

「うん!エスツー個体⋯⋯あ、特別監視個体の略ね?それの中では、まぁまぁってトコかな!」

 

 

う、お⋯⋯疑問が増えやがった。

冒険者の中で、テュラングルがまぁまぁな強さだというのは理解した。⋯いや割り切れてはいないが。

 

だが今、其方はいい。

エスツー?S2って言ったのかシュレンは?

確かに今まで『ラッキー』とか『ナイス』とか『サンキュー』程度の英語は、ヴィルジール達も使っていた。イントネーション的に、英語というより日本語っぽいソレだが⋯⋯

 

ん⋯?待てよ?

そもそも、この世界の言語は日本語なのか?今まで、何気なく会話をしていたが⋯⋯

 

 

「な、なぁシュレン?」

 

「うーん?」

 

「突然なんだが、シュレンの本名ってどうやって書くんだ?」

「へ?本名?シュレン・バ⋯」

 

「こ!コレに書いてくれないか?」

 

 

俺は勢いよく立ち上がり、シュレンにペンと日記を渡した。

全ページを使い切っているので、適当な余白を指差しながら頼むと、困惑しつつもペンを手に取った。

 

俺は完成していく文字を凝視していたが、シュレンがフルネームを書き終えるより早く、席に腰を落とした。

 

 

「出来たケド⋯⋯」

 

(どういう事だ⋯?)

 

 

『シュレン・バナフ』⋯⋯確かにカタカナでそう書いてある。

という事は、この世界の言語は日本語って事で間違いなさそうだな。そんでもって『ラッキー』『ナイス』は、前世の日本同様、日常的に扱われている⋯と。

 

 

「なぁ、シュレン。コレって読めるか⋯?」

 

 

そういって、俺は余白に『ナイス』と『nice』の2つを書いた。どちらも同じだが、果たしてシュレンはどんな反応を見せるのか。

 

冷静を装いつつ、俺はシュレンに2つの文字を見せる。

数秒間、日記を見つめていた彼は、視線を俺へと移すと首を少しだけ横に傾けた。

 

 

「こっちはナイスだけど⋯⋯う〜ん?こっちはなんだろう?魔物の文字はちょっと知らないなぁ」

 

 

⋯⋯⋯⋯⋯⋯。

 

 

⋯⋯⋯⋯。

 

 

⋯⋯。

 

 

⋯“英語”というものは、この世界には無い。

だが前世の日本の様に、簡単な単語は日常的に使われる事がある⋯⋯か。ますます理解が難しくなってくるな。

 

仮定を立てるとするならば、大きく2つ⋯⋯いや、3つか。

 

『その1』

俺の様な転生者が、大昔にこの世界に来た。

それは、言葉という概念が生まれる以前で、その人物が日本語を広めた。もしくは言葉自体は存在していたが、何らかの理由で日本語が広まった。

 

 

『その2』

この世界と、前世の世界で同じ様な言語発達をした。

それがたまたま、日本語と全く同じだった。

 

だから、

ありがとう!=感謝の意。

サンキュー!=ありがとう!=感謝の意。

 

この様に完全に前世と同様ではなく、サンキュー等も言い方が違うだけ。脳内で英語から日本語への『変換』を行っておらず、そのまんまの意味で使われている。

 

 

『その3』

シュレンが転生者。

日本人っぽい顔だし、それだけなら有り得なくもない。⋯が、

niceが読めなかった時点で、候補は外れるな。

 

 

「どしたの、急に?人間の言葉を学びたいなら、僕でよければ相手になるけど⋯⋯」

 

「いや⋯⋯」

 

 

⋯⋯まぁいいか、考えるの疲れたし。

俺がどうこう考えて何かが変わるといった話でもない。ここは環境を理解して、受け入れるとしよう。逆に、言葉が通じるだけ良かったと思うべきか。ポジティブに行こう、ポジティブにな。

 

 

「⋯話を切って悪かったな。その⋯⋯S2個体の話って?」

 

「え?⋯⋯あぁ。エスツー個体っていうのは、ギルドが定めた基準値を超えた魔物の事なんだ。基準値っていっても色々あるけど、大体は凄く強いヤツに指定されるね」

 

「へぇ⋯」

 

「エスツー個体は、基本的にヤバい魔物の集まり。⋯なんだけど、その中でも順位的なのはあるんだ」

 

 

そう言うと、シュレンは周囲をキョロキョロと見渡し始めた。

何かを探している様で『いい感じの無いかな⋯』と呟いている。どうしたのか聞くと、説明が小難しくなるから図解で説明したいとの事。

 

俺はすぐに金属を板状に生成し、シュレンに見せた。

俺の意図を察したのか、シュレンは縦にした拳を手の平に落とし、席を立とうと浮かせていた腰を降ろす。

 

「⋯すごいね、そんな形にもできるんだ」

 

「まぁな。⋯それで?どんな感じにすればいい?」

 

「えーっと、それじゃあねぇ⋯⋯」

 

 

⋯ふむふむ、なになに?

三角形を4つね、はいはい。⋯⋯え、違うって?台形?

 

こんな感じかね⋯っと。

ん?全部じゃなくて、1個だけ三角形のままだって?

 

もー、注文が多いな。

それで、最後に1個1個サイズを調整して⋯⋯オケー。

 

 

「そうそう、こんな感じがいい!」

 

(あぁ、こういう事ね⋯)

 

 

ピラミッドを作りたかったワケか。

この世界にピラミッドが無いから、単語化が出来なかったって事だな。そりゃ、注文が多くなっても仕方無いか。

 

 

「まず初めに、ある魔物がエスツー個体に指定されたとする。すると、この1番下の階層に分類されるワケね?」

 

 

シュレンは最も大きな台形を手に取り、窓枠にそっと置いた。

次に、2番目に大きな台形を片手に持ってから、シュレンは話を続ける。

 

 

「ここが、今の君がいる場所」

 

持っていた台形を、先程置いた物に乗せて俺を見るシュレン。

リアクションを気にしているのか、表情を見てくるのはいいんだが、まじまじと見られると気まずい。

 

⋯だがまぁ⋯⋯シュレンって中性的だし、ある意味では悪く無いかも。だって俺って(ry

 

 

「んで、テュラングルはココ」

 

「確かに、まぁまぁな位置だ⋯⋯」

 

 

3段目の台形を置き、シュレンは話を1度区切る。

ピラミッドの4分の3を完成させ、最後の三角形を片手に持ったシュレンは、ソレを手の平でコロコロと転がしながら苦笑していた。

 

 

「⋯()()()()は、本当にヤバいのしか居ないね。僕も、1度だけ見た事があるけど⋯⋯」

 

「けど⋯⋯?」

 

「フフ、直立で気絶したっ!⋯らしい!」

 

 

どうやら救出された後に話を聞かされたらしく、シュレン本人も記憶が定かではないんだとか。シュレンには悪いが、その光景を思い浮かべてみると笑えるな。

 

がおぉ!ってきて、うわっ!で、そのまま気絶とかギャグ漫画か!って。

 

 

「笑えるでしょ?」

 

「ハハ⋯⋯まぁ俺もソイツら見た事ないし、もしかしたら気絶するかもな。⋯直立で」

 

「やめてよもー」

 

 

俺の肩をつつきながら、シュレンは冗談っぽく笑う。

随分と盛り上がった話は、あれよあれよと夕方まで続いた。ゼクスってなんなのかーとか、迎撃戦についてーとか。

 

特に興味深かったのは、今までシュレンがこなしてきた依頼の話だ。クエストなんて呼ばれているソレは、冒険者の稼ぎの全てといってと過言では無いらしく、シュレンも新米の頃は右往左往したんだとか。

 

まだ見ぬ土地や魔物、国の文化や歴史を聞いていると、ワクワクして大変だ。彼の話し方が上手いのもあるのだろうが、今すぐに列車を飛び出して旅に出掛けたくなるような、そんな話を沢山聞いた。

 

 

「「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。」」

 

 

とは言え、話題というのも有限な物だ。

そりゃあ2時間も話を続けたんだし、その内ネタも尽きるとは薄々思っていたが⋯⋯気まずいな、コリャ。

 

うん⋯大分、気まずい。

俺もシュレンも外を眺めてはいるが、チラチラと互いの様子を確認している。そして、たまに目が合うと、軽く笑って目を逸らす。

 

『なんか、ヒマだな⋯』と、現状を話題として振る事も出来るが、返答が『そうだね⋯』とかだった場合の空気は最悪だろう。俺は無論の事、話題が来た!と一瞬乗り気になるであろうシュレンも気まずくなる。⋯⋯打開策は、無い。

 

とっとと、長引きそうな話題を考え付かなくては。

 

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯あのs」

 

 

──キキィィ──────ッッッ!!!!!!

 

 

「「あっ─⋯」」

 

 

⋯そういえば、シルビアが言ってたっけ。

この魔導列車⋯⋯緊急停止の際は、反対側から魔力を放出して減速するんだって。

 

ただ、基本的に次の駅に着くまで走行し続ける設計上、ブレーキの様に徐々に減速は出来ないんだとか。

 

線路上に人がいた場合、即座に止まれる様に、先頭車両から一気に魔力を発するらしい。

 

いやいや、そんな事したらタダじゃ済まないだろ。

だって─⋯

 

 

「うおぉぉあッ!!?!?」

 

「わぁぁあッ!!!??」

 

 

中の乗客は、ポップコーンになるって事じゃん──⋯

 

 

 

NOW LOADING⋯

 

 

 

「ウグ⋯」

 

 

先頭車両にて、ヴィルジールは大量の書類に埋もれていた。

というのも、折角の自由な時間であった為、溜まりに溜まっていた活動報告書を書いていたのだ。

 

定期的にギルドに返送しなければ、ギルドランクが下がってしまうペナルティがある手前、やらない訳にはいかない。

 

とはいえ、こういった作業が苦手なヴィルジールは、列車内でヒマを持て余した挙句の果てに着手をしたのであった。その総数、100枚以上⋯⋯ようやく半数の50枚程終えた所で、事件は起こった。

 

鼓膜に響く、不快な高音。

直後に浮き上がる、己の身体と書類の山⋯⋯

 

 

「はァッ!?」

 

 

と、ここでヴィルジールが冷静さを取り戻した。

面倒な執筆作業を続ける事、数時間。10枚目辺りから、ほぼ同じ文章の丸写しだったとはいえ、本来の性分と合わない事をするのは疲労が溜まるもの。

 

俺の、努力の結晶達は無事か!?

 

⋯などと、マジでガチに心配しながら、車両内を見渡すヴィルジール。幸い、全てが無事な様で胸を撫で下ろしつつ、回収を急いだ。

 

 

「コレで全部か。⋯⋯おっと」

 

 

最後の1枚を、後方の貫通扉下の隙間に発見。

今のヴィルジールにとって、何故に列車が止まったかより、自身が必死の思いで書き上げた活動報告書の方が何倍も大切なのだ。

 

 

(フッ⋯かなり焦ったが、書類が無事なら実質無問題だな〜⋯)

 

 

鼻歌をしながら、上機嫌に貫通扉へと近付くヴィルジール。

軽く1回転なんてしちゃって、さっさと拾えば良かったものを⋯

 

 

──クシャシャァッッ!!

 

 

「オイオイオイオイ!!なんなんだァ、今のはよォ⋯!」

 

「快適、最速が謳い文句の魔導列車が聞いて呆れるな⋯!!」

 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

 

(´・ω・`)(ショボン⋯)

 

 

「⋯⋯あん?どした、ヴィルジール」

 

 

( `ᾥ´ )(ムキッ!)

 

 

「なんだ、言いたい事があるなら言え」

 

 

( ꐦ´꒳` )(ピキッ⋯)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーーーまーーーえーーーらぁーーー!!!」

 

 

Σ(゜д゜;)(えッ!)

Σ(゜д゜;)(えッ!)

 

 

 

 

 

 

 

⋯⋯と、茶番を置いておいて。

一方その頃⋯⋯後部車両でも、衣服に埋もれる人物がいた。

 

 

「じょ、冗談じゃないわよ⋯⋯。後ろの方、車体が少し浮き上がったんですけど⋯⋯」

 

 

タオルとハンカチ、上着に下着⋯⋯

衣服の山から這い上がる様に、紅桃色の髪が姿を現した。散乱した車内を見て、彼女は頭を乱雑に掻いた。

 

この人物⋯⋯ニナ・ソルディーは完璧主義者だ。

身の回りが散らかっていると無性にイライラするし、それが他人の事なら無視で通せるのだが、自分の事となるともう大変。

 

しかも、自分が一から整頓をし、その時の自分が納得した形を崩されるのは、胃が痛くなるほどにストレスになる。

 

つまるところは⋯⋯

 

 

「あぁ──ッ!!もぉ──ッ!!」

 

 

発狂である。

彼女が日常的に喉のケアを行っているからこそ、ギリギリ品性のある叫びを保っているが、一般人が同声量で発狂した場合、カッスカスなガチめの発狂になっているだろう。

 

頭に乗った下着を叩き付け、操縦席に乗り込もうと、彼女は貫通扉に手を掛けた。木製の扉がうねる程の勢いで開け、大股で前の車両へと移動するニナ。

 

あまり気に食わない銀槍竜なんかも、今はどうでもいい。

驚かれようが無視して、操縦者に一発お見舞いしなければ⋯⋯

 

などと、考えていた瞬間も、彼女にありましたと。

 

 

「うー!うー!」

「ん、ンゴォ⋯⋯」

 

 

扉を開け、銀槍竜がいる車両へと入ったニナが見た光景⋯⋯それは、今にもシュレンの頭を喰らおうとしている銀槍竜だった!⋯と、いうのはニナの思い込み。

 

先の衝撃よって、銀槍竜達は空中へ放り出された。

いち早く事態に反応した銀槍竜は即座に着地を決め、後から飛び込んでくるであろうシュレンを受け止める為に振り向いた。

 

一方のシュレンも、ゼクスの名に恥じぬ反応速度で受身を取ろうとした。目の前の銀槍竜は上手く着地できたっぽいし、衝突を避ける為に横に逸れようと動いた。

 

⋯が、

 

 

(さぁ来い!⋯って、え?)

 

(よし受身を⋯って、あれ?)

 

 

⋯と、言う事情があり⋯

 

 

「銀槍竜ッ!!本性出してきたわねッ!?」

 

「ンゴォ!?ングー!ングー!」

 

「覚悟なさい⋯ッ!!」

 

「ンガァァァ!!!」

 

 

〜先頭車両〜

 

 

「落ち着けヴィルジール貴様!何故にキレている!?」

 

「お♪お前と喧嘩なんて久し振りだなァ♪」

 

「うおぁぁぁぁ!!」

 

 

☆大☆混☆乱☆

阿鼻叫喚だか、泣きっ面に蜂だかは分からないが、最早収拾のつかない状況へと列車内は化していた。

 

このままヴィルジールとソールが乱闘か?

ニナと銀槍竜は殺し合いか?

 

頭を強打したサンクイラ!

彼女を介抱しつつ、聞こえてくる怒声に動揺するシルビア!

 

 

列車に立ち塞がる巨大な赤竜に腰を抜かす車掌!

そして!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クェッ」

 

 

自分に被さったニナの上着を振り払う虎徹であった──⋯

 

 

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