「──魔力には”性質の違い“というものがある。さっきも言った様にそれは『DNA』と似ていて、同種族でもそれぞれ違うんだ」
「つまり、俺とテュラングルの魔力も違う、と」
「いいね、分かってきたじゃん。その通りだよ──⋯」
⋯──そもそも、グレイドラゴンは炎の操作が出来ないんだ。
魔力を扱う⋯。つまり、『魔力を何かしらの物質に変換する』というのは魔物なら体内で行うワケだけど、君の種族が使うのは『金属』のハズだ。
即ち、君の体内には『魔力を炎に変換する器官』というのが無い事になる。⋯⋯けど、君はあの『炎装』っていう能力を使用した。本来なら不可能な芸当をやってみせたんだ。
それも『魔法』ではなく、『魔力の操作』という形で。
いいかい?銀槍竜。
『魔法』というのは、『魔力を物質に変換する器官』を持たない人間が作り出したモノだ。だからこそ『魔法』は、必ず『体外』で発現している。『魔法陣』っていう、『魔力を変換する器官』を模倣したやつを使ってね。
つまり、『魔力の操作』自体は人間でも出来るワケだけど⋯。
まぁ、この話は一旦置いといて。
君の『炎装』が、『魔法』みたいに体外で発生させた能力ならともかく、『体内から発生している』という点が大事なんだ。
それは即ち、君に『魔力を炎に変換する器官』が存在しているって事を意味するからね。
普通に生活してればそんな事態にはならないし、『外的要因があったんだ』と私は思ったんだよ。
そして、その予測はビンゴ。
君本人の口から、『テュラングルから力を貰った』と聞かされんだ──⋯
「⋯──難しい話だな。要点だけ説明できないか?」
「も〜。これでも、結構端折ってるんだよ?まったく」
「そこをなんとか」
「⋯はぁ。まぁ、頑張ってみるけど。⋯⋯えーっと。つまり、『魔法』ではない方法で『炎を使った』というのは、君に『魔力を炎を変換する器官』が出来たという証拠。
で、そんな事が起きるなら、外的要因が必要になってくる。
そんでもって、『テュラングルから力を貰った』となると、『彼の力が強大過ぎて、君の肉体にも変化が起きた』って事だ」
「⋯ふむ。オーケー、よく分かった。分かった気がする。⋯⋯ウソ、ぜんっぜん分かんない」
「だーかーらー!“力の性質”の話をしたでしょ!『肉体に変化が起きる程の魔力』を受け取ったなら、『君自身の魔力』が『テュラングルの魔力』に『上書き』される恐れがあったの!
もしそんな事になれば、君の中の『神の力』ごと無くなっちゃって、オーガが倒せなくなるかもしれなかったの!!」
「⋯⋯そりゃあ、一大事だな」
「そう!⋯君がテュラングルの魔力に順応してくれたから、事なきを得たけども⋯⋯。あのコは、後でゲンコツしなくちゃ」
「いや、でもさ。今日、初めて『炎装』を見て、そんで事情が変わったてんだろ?で、スッ飛んできたと」
「うん、そう」
「それなら、アンタもどうかと思うぜ。だって、俺が『炎装』の開発を始めたのは1ヶ月以上前だし」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯え、まじ?」
「マジ。大マジ」
「⋯いや、ホラ。私も忙しいし、ずっと君の事を見れてたワケじゃないから⋯⋯ね?たはは⋯」
「たはは、て。⋯やれやれだ。この先の旅路が不安だぜ」
「いやぁ、面目ない面目ない♪」
「⋯⋯はぁ。──ん?」
「ん?」
「1つ気になった事があるんだが、いいか?」
「どうぞ♪」
「『炎装を見て、俺の所に来た』と言ったよな?俺が炎装を使ってから、大体30分くらいで君は来たワケだけど⋯⋯」
「あ〜⋯⋯⋯⋯聞かないで、とは言えないよねぇ〜?」
「おう」
「⋯むう。観念するよ。君の身に起きていた事が、あまりに一大事だったからねぇ。『魔王』にも言わずに、急いで君の回収をしに来たワケだけど⋯⋯。それが、君の所へ爆速で向かったせいで、魔力殆ど使っちゃってさぁ〜⋯」
「はぁ、通りで。延々と歩いている訳だ」
「まぁでも、私1人が『魔王』の所まで戻るくらいならスグだけど、君を伴った状態なら話は別だし。君に『私の全速力を耐えられる結界を張った状態』で、尚且つ『私も全力で飛ばす』なんてのは、ムリなんだよ」
「⋯⋯ムリ、か」
「う〜ん。付け足すなら、『オーガに気付かれない程の速度で』ってトコだけどね」
「⋯まぁ別に旅は嫌いじゃないし、いいけどな」
「へぇ、じゃあいいじゃん♪」
「調子乗んな」
「⋯ゴメンって」
「ハァ。⋯で?どんくらい歩けばいいんだ?」
「⋯あ、あ〜⋯?3日くらい、かなぁ〜?」
「本当は?」
「1週間くらいです。休まずに歩き続けて、です。ハイ」
「⋯マジか」
「マジっすマジっす」
「オーガ倒したら、ゲンコツな」
「⋯ひい」